新・古代史 グローバルヒストリーで迫る邪馬台国、ヤマト王権 (NHK出版新書 735 735)

  • NHK出版 (2025年1月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784140887356

作品紹介・あらすじ

「日本」はいかに誕生したか?

卑弥呼と三国志、空白の四世紀と技術革新、倭の五王と東アジア情勢──。最新の発掘調査とAI・DNA分析などの科学的アプローチ、さらには中国や韓国の国際研究の成果から、「日本」という国の始まりを多数の写真や図版とともに描き出す。東アジアを見渡すグローバルな視点から謎に満ちた日本古代史の最前線に迫った、NHKスペシャル「古代史ミステリー」が待望の書籍化!

第1章 邪馬台国と古代中国  
第2章 最新研究で迫る邪馬台国連合  
第3章 漢王朝の崩壊と「倭国大乱」    
第4章 卑弥呼×三国志──知られざるグローバル戦略
第5章 卑弥呼の最期と歴史の断絶
第6章 「空白の四世紀」に何が起きたのか
第7章 ヤマト王権と朝鮮半島情勢
第8章 激動の東アジアと倭の五王
第9章 「日本」はいかに誕生したか

みんなの感想まとめ

古代日本の誕生とその背景を探る本書は、邪馬台国やヤマト王権に焦点を当て、最新の科学技術や国際的な研究成果を駆使して解き明かしています。特に、魏志倭人伝や考古学的な証拠を基にした議論は、古代の日本と東ア...

感想・レビュー・書評

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  • 昨年3月放送の「NHKスペシャル 古代史ミステリー」の取材ネタの新書化である。テレビ番組だからわかりやすく刺激的、かつ最新の説を追っている。しかもNHKなので、出てくる考古学者は全員第一線級だ。とても信頼が置ける。目を通しておくに如くはない本である。今年1月発行。

    2-3世紀の邪馬台国問題とヤマト王権の成立について、最新学説がかなり整理されて書かれていた。お陰で私の「仮説」が、現代の「有力な学説」と全然矛盾しないということが、改めて確認できた。
    即ち、私の「仮説」はこうである。
    倭国大乱は2世紀の中ばに起きた。何故か。この時期2世紀前半にかつてない大洪水時代が10年ほど続き、その直後に大旱魃時代が起きた。人々は小さな村を捨てて大きなクニに入らざるを得なくなり、王が生まれる。民衆が王を欲していた。しかし日本は、大きなクニが小さなクニを従え多数の奴隷を作って中央集権化をはかるという、中国モデルの手段を取らなかった。
    私は、その一つのロールモデルが、吉備国の170年ごろの楯築遺跡上でのプロモーションにあったと考える(と言ってるのは私だけ)。倭国王でかつ吉備国王帥升の墓、楯築墳丘墓の儀式の場に、河内、出雲、北九州、讃岐などの王を一堂に集めて、龍神信仰の秘儀を担保に連合体を作らないかと相談したのだ。と、私は物語を考えている。この時に鳥取の青谷上寺地遺跡の倭国大乱を想起させる「青谷の虐殺」が一つの契機となった。最新の人骨研究は、私の仮説を全て証明していた。
    しかし、吉備の楯築の実験は徹底しなかった。倭国大乱を収めたのは、3世紀初め、210年代、有力な吉備でもなければ、伊都国の九州でもない、当時未開の土地だったヤマトの纏向を舞台に、吉備、伊都国、河内、讃岐の「談合」により「邪馬台国連合」を作ったことである。本書は、私の仮説以外にあと2つ書いているが、私はあまり説得力はないと考える。
    その後の纏向遺跡の推移については省略する。

    (以下、私の備忘録。無視してください)
    ・吉野ヶ里遺跡で2023年発掘された石棺墓(弥生時代後期)の石蓋に記された線刻は天体図だった可能性が高い。首長クラスではないが「特異なキャラクター」の墓だった。
    ・放射性炭素年代測定とは、 木切れや骨片などの試料に含まれる炭素14の量を測定すれば、元となった動植物がいつ活動を停止したのか知ることができる測定法。しかし、若干誤差はある。
    ・年輪年代法とは、ヒノキやスギに関しては、1980年代からの研究で、今から3000年前迄は遡ることができる基準パターンが作られている。しかし、日照のばらつきがあるため、木材は100年を超える年輪数が必要。結果、大型建物の構造材に限られる。
    ・酸素同位体比年輪年代法とは、木材の年輪に含まれるセルロースの酸素同位体比を、年輪幅の代わりに指標とする方法。凡ゆる樹木で測定可能。中塚武は過去2600年分のデータセットを作った。コレにより、纏向遺跡の木材の伐採年は231年。卑弥呼が親魏倭王になる8年前になった。
    ・邪馬台国連合九州説根拠‥‥ 日本書紀に卑弥呼の記載がない。
    ・邪馬台国連合近畿説根拠‥‥ 九州から関東までの土器の出土。箸墓には、近畿になかった貼り石の跡(出雲の四隅突出墓)、九州伊都国の墓に鏡を埋める習慣(アマテラス信仰)、吉備国の特殊器台、瀬戸内の積み石の技法が箸墓にもある。
    ・倭国大乱は何故起きて、どうしてまとまる必要があったのか?
     中塚武の気候の変化研究により「紀元2世紀は数十年周期で気候が激しく変動した。AD127年は、過去2600年間で1番降水量が多かった年。AD100年にも洪水。AD130-170年にかけて旱魃が起きた。その後20年間は小さめの洪水、AD200年ごろにまた旱魃が起きた。つまり食糧不足による争いが起き、クニがまとまっていった。やがてそれはクニ同士の争いになるのは必至だった。そのための政治連合だった。ただ、誰がイニシアチブを取ったのかは、未だ謎である。
    ・伊都国東遷説‥‥ 伊都国の勢力が近畿に移って邪馬台国連合の礎を築いた。根拠は、「一大卒である当時伊都国だけが纏向をつくる力を持っていた(柳田康男)」、鏡の文化で内行花文鏡の花びら模様は太陽の輝きであり太陽信仰を表している。纏向の建物群が太陽を意識していることとも一致している。
    ・近畿勢力説‥‥もともと近畿地方にいた勢力が中心になり、邪馬台国連合を形成した。唐古・鍵遺跡には最大の銅鐸があり、銅鐸を作って近江、紀伊、土佐、播磨、但馬、丹後へ大型銅鐸を配った。
    ・談合説(寺沢薫)‥‥特定のクニがイニシアチブを取ったわけではない。纏向の建設を担ったのは、伊都国連合と吉備国。纏向型前方後円墳は楯築の出っ張りを一つ無くすと一致する。ホノケ山からは鏡と武器が出土。倭国大乱で伊都国の力が衰え、漢王朝の崩壊で、談合が必要になった。そこで決まったのは、伊都でも吉備でもないヤマトになり、女性を王とした。特定のクニが権力を持たないのだから、卑弥呼が特別な軍事力を有していなくても成立する。
    ・卑弥呼共立で各地の王の均衡を保つ役割を果たしたのは、中国春秋戦国時代に天子を共立することで、各地勢力が直接衝突しない仕組みを築いていた、周王朝の神格化である。この叡智が日本に輸入された可能性は十分にある。
    ・漢王朝の崩壊は卑弥呼の邪馬台国を後押ししたが、一方で日本列島に新しい兵器(鉄の鏃)ををも呼び込み、邪馬台国連合に対抗する勢力(狗奴国)までも台頭することになった。卑弥呼はコレに対応することになる。
    ・青谷上寺地遺跡 110体の人骨、男性35女性17を確認、男性30〜40歳代、女性15〜20歳が多い。成人推定身長男性162センチ、女性148センチ。膝関節に炎症がある人、潜りで耳が聴こえにくくなった人、子供の頃栄養不足の人、成人3例幼児2例が結核に罹患していた。戦闘の跡は頭蓋骨を割られた、遠くから弓矢で傷を負わせて近づいて切りつけた人骨。頭部が切断され焼かれていた、13-29個体。武器で傷つけられて110点はほぼ即死状態。
    ・32個体のDNA検査で、母系の血縁が認められたのは3個体のみだった。青谷上寺地は人的交流が活発だったのか。(←他の可能性は言及していない。即ち、他所からやってきた兵士の人骨であったという可能性)32のうち、31個体が渡来人系で縄文人系は全体の3%に過ぎなかった。
    ・魏志倭人伝では狗奴国は邪馬台国の南ではあるが、歴代地図では日本国は逆さまになっている。よって、東海から東北にかけての国だった可能性がある。実際、前方後方墳の国々だった。コレらの国とは言葉も風俗も違い、ことごとく対立した可能性がある。
    ・卑弥呼の魏への使者の難升米は、かつての倭国王・帥升の一字を戴く有力者だったのではないか。
    ・漢魏洛陽古城跡は河南省にあり、日本から2300キロ離れている。帯方郡から許可を貰い、旅した。東西約3.9キロ南北約4キロの都だった。城郭に囲まれたその都に入った時に、倭国の人々の驚きはいくばくだったろう。
    ・卑弥呼が破格の待遇で金印を受けたのは、呉国を牽制する目的があった、という説が多勢。卑弥呼には魏と呉とのキャスティングボードを握っているという自覚があったのかもしれない。呉国側にいた公孫氏政権と魏が戦ったのは238年。その最中に公孫氏の案内で魏に行ったのは考え難い。よって、卑弥呼が魏に行ったのは景初2年ではなくて景初3年、239年であるとNHKは考えている。
    ・240年卑弥呼たちに金や絹が送られ、243年には卑弥呼が使者を送り奴隷や織物などを魏に奉じた。
    ・247年卑弥呼死す。3世紀から4世紀にかけて、東北・東海の前方後方墳は、特に愛知、群馬辺りで急激に前方後円墳に変わっていることがわかる。卑弥呼の死後、前方後円墳体制は急激に完成していった。
    ・箸墓から古墳に版築が採用された。これは中国から持たされた技術。強度は飛躍的に強くなった。古墳の技術は都市を作る。水路や土手の版築。前方後円墳体制とは、高い技術力の貸し借りができる体制だったのかもしれない。
    ・纏向遺跡の3世紀前半の溝から大量のベニバナ(日本自生でなく、大陸から技術者が招かれ工房が開かれた)の花粉。日本最古のベニバナ染め工房で日本未自生のバジルも発見。かなりの中国の技術者が纏向に集まったと見るべきだろう。
    ・炭素14年代で調べて箸墓の土器から計測すると、240年から260年の間だった。箸墓古墳が卑弥呼の墓である愕然性はかなり高い。
    ・これ以降は空白の4世紀、倭の五王等々の記述に移り、私の興味外なので、斜め読み。富雄丸山古墳(奈良市・4世紀後半)の東アジア最大の蛇行剣とダ龍文盾形銅鏡についてのかなり詳しい解説は面白かった。

    本書で2箇所、昨年9月に亡くなった松木武彦さんのインタビューが採用されている。松木武彦さんは、107年後漢に遣使した倭国王帥升は吉備国の王だったという説を唱えた最初の人だった。私はその説に支えられて、私の仮説を作ったのである。番組取材時には、未だインタビュー出来るまで元気だったのだろう。後書きで、特別に哀悼の意が捧げられていた。

    • yukimisakeさん
      クマさん新書…来たー!!
      魔獣狩りにも金印出て来ました!
      クマさん新書…来たー!!
      魔獣狩りにも金印出て来ました!
      2025/04/21
    • kuma0504さん
      雪見酒さん、
      コメントありがとう(୨୧•͈ᴗ•͈)♡
      んでも、金印は1世紀に北九州奴国に授けられた印なんで、ちょっと違うかな‪(*ᴗ͈ˬᴗ͈...
      雪見酒さん、
      コメントありがとう(୨୧•͈ᴗ•͈)♡
      んでも、金印は1世紀に北九州奴国に授けられた印なんで、ちょっと違うかな‪(*ᴗ͈ˬᴗ͈)ꕤ*.゚
      2025/04/21
  • ゾクゾクした

    より正確に表現するならば、ゾックゾクした
    エロいわ〜
    古代史エロいわ〜
    (連日の真夏日のせいでおかしくなってる可能性)

    はい、古代史ミステリーの邪馬台国やヤマト王権について、最新の科学技術や中国や朝鮮半島などの東アジアの歴史の文脈の中で捉えることで、新たな視点で解き明かそうと試みた本書
    いやーマジで考古学って科学よねー
    そしてマジで総力戦
    日本の力を結集して卑弥ちゃんの謎に迫っております

    これほんともうゾックゾクするほど面白かったんですが、わいはちょっと未来について考えてしまったよ

    2,000年後、ちゃんと人類の歴史が続いていたら、わいたち今度は発掘される側になるんやな〜って

    照れます(*´ω`*)

    つかちょっと恥ずい
    色々見られちゃうんよ
    キャー、正装しとかなきゃ

    うーわ、この時代戦争ばっかしてたやんとか未来の考古学者に言われちゃうんやで、恥ずいわー

    それにしても2,000年前のミステリーを追いながら、2,000年後に思いを馳せる
    このセンスね
    敬意を評して、誰かわいの前方後円墳造って下さい
    2LDK、駅近、オートロック、築2,000年のやつ

    • bmakiさん
      師匠っ!!!∑(゚Д゚)



      すっごい偶然ですね!?
      びっくり((((;゚Д゚)))))))
      師匠っ!!!∑(゚Д゚)



      すっごい偶然ですね!?
      びっくり((((;゚Д゚)))))))
      2025/07/08
    • ひまわりめろんさん
      まきちゃ

      こういうことってあるんだね〜
      まきちゃ

      こういうことってあるんだね〜
      2025/07/09
    • ultraman719さん
      鳥葬ですね!
      鳥葬ですね!
      2025/07/10
  • 副題の「グローバルヒストリーで迫る」の通り、当時の東アジアとの国際関係というグローバルな視点で古代日本の実像に迫る一冊。魏志倭人伝の年代記載や科学的検証からすると、箸墓古墳が卑弥呼の墓と考えるのが妥当と思った。宮内庁の古墳の調査を許可しない方針は相変わらずで、日本の古代研究の足枷にしかなっていない。調査の結果、どのような物が発掘された所で皇室の権威を毀損する事はないと思うのだが。
    昔から良くあった「邪馬台国の場所」を推測するばかりでなく、なぜ古代の倭国が三国時代の魏や南北朝時代の宋との関係を求めたのかなど、広い論点で古代日本に迫っており、楽しく読めた。

  • 新発見がたくさん盛り込まれており、大変参考になる本。

  • 謎だからこそ知りたい。

    卑弥呼→空白の4世紀→倭の五王…そして、そのあと飛鳥時代にどうつながっているんでしょう。点と点が線で結ばれる日はいつか来るのでしょうか。

    生きているうちに知るのは夢幻なのかなぁ?

  • NHK取材班による日本古代史(3~5世紀)の最新研究をまとめた本。決して結論に触れず、調査研究による推論を並べ、古代史研究の困難さ、ロマンを強調する表現はいかにも国営放送らしい。テーマも邪馬台国、卑弥呼、空白の4世紀、ヤマト王権、倭の五王といった視聴者の興味を引く、有名ネタばかり。

    それにしても、最近の研究技術はすさまじい。ドローンでの空中視点からの解析、X線による透視解析、生成AIによる大量データ分析。過去の人力による地道で孤独な作業なんて、まさに古代の遺物だ。

    発掘された木材の年輪や馬の歯に含まれるエナメル元素により、何年前のものかを年単位で特定するし、古代人骨のDNAから出身地もわかる。正直、古代史の解明よりも、最先端の考古学研究技術の方に驚かされた。

  • なぜこの二冊を同時に読んだのか

    『日朝古代史の謎』瀧音能之 著と、『新・古代史』NHKスペシャル取材班 著を、今回はほぼ同時に読んだ。きっかけはNHKのドキュメンタリーだった。もともと私は日本の古典や古代史に関心があり、『日本書紀』や卑弥呼、邪馬台国の話には以前から強く惹かれていた。

    室町、戦国、江戸、明治以降の歴史は比較的イメージしやすい。けれど、それ以前になると急に史料が少なくなり、分からないことが増える。そこにこそ、私にとっての面白さがある。特に古代史は、日本だけを見ていても見えてこない。朝鮮半島、さらに中国まで視野を広げてはじめて、少しずつ輪郭が見えてくる。そう思ったからこそ、この二冊を並べて読んでみたくなった。

    日本は日本だけでできたのではないという感覚

    読んでいて何より面白かったのは、日本という国の成り立ちが、最初から「日本だけ」の物語ではなかったと感じられることだった。倭国のことは中国の史書にも記されているが、その間には空白も多い。その空白を埋めるには、日本側の伝承だけでなく、朝鮮半島側の歴史や交流も見ていかなければならない。

    卑弥呼がなぜ女性の統治者だったのか。空白の四世紀とは何なのか。ヤマト王権はなぜ朝鮮半島と深く結びついていたのか。百済や新羅、高句麗との関係はどうだったのか。そうした問いを読んでいると、昔習った「日本の歴史」が、実はもっと大きなアジア全体の流れの中に置かれていたのだと感じる。

    私は、国というものは最初からきれいに分かれて存在していたのではなく、もっと複雑に、人も文化も技術も行き来しながら形づくられてきたのではないかと思った。文字も制度も技術も、交流の中で育ってきた。そう考えると、日本の文化をただ単純に「日本はすごい」と語るだけでは見えてこないものがたくさんある。むしろ深く知れば知るほど、日本の中に朝鮮半島や中国とのつながりが濃く息づいていることに気づかされる。

    新しい技術が、古代の見え方まで変えていく

    もう一つ強くワクワクしたのは、古代史が今も更新され続けているということだった。昔の歴史は、古い文献を読むだけの世界ではない。今はドローンやレーザー測量、地形解析などの技術によって、これまで見落とされていた古墳群や地形の痕跡が次々と見えてくる。掘り返さなくても内部の構造に迫れる時代になってきた。

    つまり古代史は、過去の話でありながら、今の技術によって新しく読み替えられていく世界でもある。これが実に面白い。誰かが文字を残してくれたからこそ分かることがあり、逆に残されなかった空白は、現代の技術によって少しずつ埋められていく。その営み自体に、私は大きなロマンを感じた。

    戦争や同盟、馬の導入、豪族たちの争い、国家のかたちの模索。そうしたものを見ていくと、人間は昔から愚かさも抱えながら、必死に生き延び、交わり、学び、次の時代をつくってきたのだと思う。国境もまた、後の時代に引かれた線にすぎないのかもしれない。そう思うと、歴史を学ぶことは、ただ過去を知ることではなく、今の世界をどう見るかを問い直すことでもあるのだと感じる。

    この二冊を読んで、私はますます古代史が好きになった。分からないことが多いからこそ面白い。断定できないからこそ想像が広がる。そして、日本という国をもっと深く知るためには、日本だけを見ていては足りないのだということを改めて感じた。こうした本を読むたびに、自分の歴史観が少しずつ揺さぶられ、広がっていく。その感覚が、今とても楽しい。

  • 教科書には、ほとんど詳細が載ってなかった時代が、熱い!

  • BSの番組で富雄丸山古墳の話が合った。本屋でも歴史雑誌に謎の四世紀の特集があり、新しい情報収集と思い、手を出してみた。

    邪馬台国の特定については、畿内説と北九州説の両論併記。畿内説の場合は北九州まで含む広域説を説く。それは考えたことが無かった。しかし、纒向遺跡に九州の土器など発掘されているんだろうか。
    頭を捻るのは「前方後方墳」を狗奴国のものとした処。当該の番組を見ているんだけど、ホント莫迦じゃないの。何でトンデモ説を唱えるバカ学者を取り上げるかねえ。NHKはときどきこういうことやっちゃうんだよなあ。p137の前方後円墳と前方後方墳の分布図を見れば、殆どおなじ場所にある。つまり、本来は前方後円墳を作る処を何らかの理由で前方後方墳を作ってしまったと考えるべき。例えば、円墳部分を築くのが面倒だったとか。第一、大和勢力が大陸の土木技術を知って古墳を築いたとしているのに、どうやって狗奴国はその知識を得たんだか。
    狗奴国のクコチヒクは、熊本の菊池郷にいた熊襲の菊池彦と考えるのが、真っ当だと思う。僕は邪馬台国北九州説支持。

    富雄丸山古墳の紹介や倭の五王については頭の整理になった。

  • 古代は浪漫ありすぎて面白いです。科学の進歩でこれから益々解明が進みそうですし、今後も楽しみです。8月に橿原考古学研究所博物館まで銅鏡の特別展示を見に行きましたが、富雄丸山古墳は長髄彦の墓だったりするのか...本当に浪漫です。

  • 日本の古代には謎が多い。それだけに、興味とロマンを書き立てる。謎の女帝卑弥呼の物語。魏志倭人伝に描かれた古代日本の姿。明確なのは日本と言う国はその古代の始まりにおいて、朝鮮半島との交流を盛んにやっており、朝鮮半島からの人・モノのインプットが、「鉄」の伝来を始めとして、その後の日本の発展に大きく寄与したということである。また、当時の指導者が既に、資源を持たない日本としていかに外交力で生き残っていくかと言う知恵を持っていたと言うこともわかる。現代にも通じる、日本としての立ち位置がそこにはある。まるでパズルを解いていくような面白さが、日本の古代史にはあると言うことをよくわかった。

  • 邪馬台国という勢力が中国の文献に登場する3世紀。そこから日本の歴史は視覚化されるのかもしれない。その後「空白の4世紀」と呼ばれる時代をはさんで、5、6世紀ごろの日本がどのようであったのか。2024年3月にNHKで放送された内容を編纂して書籍化したもの。

    邪馬台国はどこにあったのか。少なくとも江戸時代から問われてきたテーマだ。最新のCGやAIを使った研究によって多くのことがわかってきた。当時の中国や朝鮮半島の状況を当てはめると、倭国の外交も興味深い。とかいうと期待しちゃうけど、結局、本書を読んでも邪馬台国がどこにあったのかはわからないし、どうやって近畿にヤマト政権ができたのかもわからない。NHKだからなのか、波風立つようなことは言わないのだ。ただ、最新の研究ではこうなっていますよというのがわかる。
    それがおもしろいともいえる。邪馬台国と対立してきた狗奴(くぬ)国は、文献では邪馬台国の南にあったとされている。けれど、当時の地理的な感覚では方角に誤りがあって、狗奴国は、邪馬台国の南ではなくて、実は東にあったのかもしれないというのだ。邪馬台国をリーダーとする連合が九州・中国地方にあったとして、その東、近畿あたりに狗奴国があったのなら、狗奴国がヤマト政権に発展していったのかも、なんて想像が膨らむ。

  • 三国志の時代、劉備や孫権といった人物と同じ時代に卑弥呼が生きていたということに改めてロマンを感じる。「親魏倭王」の魏は曹操の魏である。うーん、グローバルヒストリー。
    個人的には邪馬台国がどこか問題、ずっとこのままでいいと思う。邪馬台国が九州だろうが、奈良だろうが、日本という国が存在する以上邪馬台国はこの国のどこかにあったはず。それよりもこの邪馬台国という幻の都を議論し合い続けることこそ古代史ミステリーの醍醐味じゃないかな。

  • 考古資料・鏡・刀剣・地名・外交関係を丹念に追いながら、列島と大陸の「連綿とした交流・権力継承」を重視した本書、NHKだから左翼的偏見書籍じゃねえか?という私の偏見は空振りな一冊
    2024年放送のNHKスペシャル「古代史ミステリー」を加筆し「グローバルヒストリーの視点」で邪馬台国・ヤマト王権の成立を描く
    「邪馬台国と古代中国」最新の発掘・AI解析・DNA分析紹介、魏・呉との戦略的交渉(曹真・司馬懿・孫権)、鏡の伝来、七支刀の百済外交、特に「卑弥呼のグローバル戦略」や「狗奴国との争い」を三国志史料と考古資料で再構成⇨「敵の敵は味方」
    考古資料の重視:丸山古墳や古墳出土品の分析のように、具体的な遺物(鏡・剣・鉄器)を軸に語り、AIを使った未知古墳調査や大規模実験の成果もたまらりません
    邪馬台国連合(なんじゃこりゃ)からヤマト王権への移行を、最近は纏向の地がヤマト(邪馬台=倭=日本)と考えている事と符合するか思いつつ読み進めた
    空白の4世紀を「技術革新の時代」として解説、製鉄(タタラ)や加耶・百済文物交流も満足だが、グローバルヒストリーと銘打ち「白村江(663年)」あたりまでの百済・新羅・唐との7世紀外交の文脈が薄めで「百済王族末裔」や「任那条」などの朝鮮半島側資料との絡みも、もう少し欲しかったところ・・・NHKは避けるのかなw

  • 自分が生まれ育ち、暮らしている国がかつてどのような姿だったか、誰もが日本史を学びながら頭の中にイメージした事だろう。高層ビルに囲まれたおしゃれな公園を歩く時、そこを行き交う様々な国の人々や走り回る電気自動車。今や広告も巨大な画面に映し出されるものが主流となり、AIが作り出した様々な電子音が聴こえてくる。こんな実際に訪れた世界を、少し前の世代なら、近未来的な漫画の中でしか見たことが無かっただろう。私も幼い頃ドラえもんを読んで、こんな未来が来たら良いな出来たら良いなと思っていた、想像の中の世界は今や半分くらいは実現してるようにさえ感じる。たかだか50年、100年の間にも世界は劇的に変わる。人間の寿命が100年にも達しようとしている現代から、遡る事1800年程度前には、ようやく国の形を成し始めた古代の日本の姿があった。漫画日本の歴史で読んだ卑弥呼がいた時代である。私が読んだものは古代の戦争のシーンが強烈で、幼い記憶に恐怖として深く刻まれている。
    当時の日本がいったいどの様な国の姿をし、どの様な政治がどこで行われていたのか。様々な研究が今尚続いており、卑弥呼が政治を執り行っていた場所も、未だ謎に包まれている。多くの研究者が色々な出土品や文献から、その場所の特定を試みるものの、はっきりしたことは判っていない。自分の人生が仮に100年だとしたら、たった何代か前にも感じられる1800年前は謎に包まれたままなのだ。
    本書はその頃の日本、卑弥呼がいた西暦200年代から倭の五王がいた400〜500年代辺りの古代日本の謎を分かりやすく(どの辺りが謎かを含め)解説していく内容となっている。NHKスペシャルでかつて放映された内容の焼き直しであるが、本書にまとめられる中で新たに判った内容はアップデートされているようである。本書の解説の中で鍵となるのは、これまでの日本の古代史が、日本国内中心に描かれる事が多い中で、日本と海外の関係、グローバルな歴史(グローバルヒストリー)という視点から考察していく手法だ。中国三国時代の魏志倭人伝から、朝鮮半島に残る文献など、日本と海を超えた大陸との関係性で、ひも解いていく事を試みている。中々当時の海洋技術では海を渡るのも困難であったと推測されるが、実際は戦争や朝貢などかなりの行き交いがあったのは日本史でも習ってきた。本書でそれらをおさらいしつつ、改めて大人になった自分がより広い視野と増えた知識の中で日本史を学び直す、その様な感覚で読める一冊だ。流石はNHKが作っただけあり、誰にも分かりやすく出来ている内容だと感じる。
    古代の日本の姿に想いを馳せ、わずか1800年程度で今の世界ができたことに、人類の凄さや驚きを覚えつつ、いつか今の世の中さえも、次の1800年の中でどの様に語られていくのか。それを楽しみにしつつ本書を閉じた。

  • 「最終結論、邪馬台国は阿波にあった」を読んで信憑性他あるなぁと感じて別の視点の本も読もうと選書。やはり九州説も奈良説も少し弱い。魏志倭人伝に書かれてある旅順の方向や日数が間違えていたという解釈はさすがに強引すぎないかと思う。
    また、九州、奈良どちらも古墳や埋蔵物から当時かなりの権力者がいた事は事実だと思うが=邪馬台国がそこにあったという判断は多少尚早気味と感じる。というのもそもそも邪馬台国がどこまで中央集権的に倭国を支配できていたのかによると思う。邪馬台国は対外的に存在はしていたのは事実であるだろうが倭国内での立場や地位がどのようだったかは想像の範疇を出ない。
    そして、これだけ調べてもまだ決着がついていないところがこの古代史の魅力なのかと思う。
    こうなると調べまくって事実を明らかにしてほしい。でないと阿波説を推しちゃうなあ。

  • ・書名:新・古代史 グローバルヒストリーで迫る邪馬台国、ヤマト王権
    ・著者:NHKスペシャル取材班
    ・出版社:NHK出版
    ・内容:
    考古学・文献史学・自然科学(年代測定やDNA分析)などの成果を横断し、日本列島の古代史を「東アジアの一部」として再配置する一冊。邪馬台国論争やヤマト王権の形成を、国内事情だけでなく、朝鮮半島・中国との交流史の中で読み直す。


    邪馬台国やヤマト王権というテーマは、つい「日本史の内輪話」になりがちですが、本書はその癖を丁寧に外してきます。グローバルヒストリーという枠組みを掲げ、資料の読み替えや最新研究を紹介しながら、列島史を東アジア史の連続線上に置く。その視点自体が、まず新鮮でした。

    とりわけ印象に残ったのは、前方後円墳の扱いです。日本に固有だと思い込んでいた前方後円墳が、実は朝鮮半島(とくに韓国南部)にも相当数確認されている、という事実。日本だけの文化ではなく、当時の政治的・人的ネットワークの広がりの中で理解すべきだと示され驚きました。
    ※この点は、日韓双方の考古学調査報告に基づく分布データの提示が根拠として挙げられています。

    一方で、批判的に感じた点もあります。研究成果を分かりやすく編み直す力は高い反面、個々の学説の対立点がやや平板に整理されている印象も受けました。たとえば、邪馬台国の比定地をめぐる議論では、主要説の要点は押さえられているものの、反証の強弱や学界内での評価の差異までは十分に掘り下げられていません。新書という制約上やむを得ないとはいえ、踏み込みを期待する読者には物足りなさが残るでしょう。
    ※この評価は、各説の紹介が要約中心で、一次資料批判や方法論の詳細が省略されている点に基づきます。

    総じて、本書は「結論を断言する本」ではなく、「前提を組み替える本」だと感じました。邪馬台国がどこにあったのか、という一点勝負から距離を取り、当時の東アジア世界の動きの中で列島社会がどう変容したのかを考える。その視野の広さが、読後に静かな余韻を残します。歴史の謎解きというより、地図を広げ直す作業に近い読書体験でした。

  • 古代史研究の最近の状況が解説してあった。読んでいてもなかなかスッキリと整理できない点も多かったが、まだ結論が出ていない領域も多く、あまり1つの説に偏りすぎないようにあえて中立的に書いているので、やむなしか。NHKスペシャル取材班による執筆であり、内容は信頼がおけると思う。
    古代史研究の最前線について、一通り目を通せたような気がしたので、今後別の本も読みながら、日本古代史の理解を深めていきたい。

  • 古代史はロマンだ。

    わからないからこそ、空想の余地が沢山あってワクワクする。
    私は学者ではないので、無責任に色んな説を摘んでは、妄想をたくましくして、ニヨニヨする時間が大好きだ。
    そんな私の大好きな時間をより充実させてくれる本だった。

    古代には、インターネットなんてないし、電話もなければ電報もないし、確実に素早く手紙が届く郵便制度もない。今のように、安全に速く朝鮮半島と九州や山陰を往復する航海技術もなかっただろう。
    それなのに、どうして卑弥呼は呉ではなく魏を外交相手に選んだのか、高句麗と交戦中の倭の五王は北魏ではなく宋を外交相手に選び、朝鮮半島での軍事権指揮権を得ようとしたのか。
    広大な地域の勢力状況を、海の向こうにいながらちゃんと把握しているのは、どうしてなんだろうか?
    文字を残してくれなかった邪馬台国、そして初期ヤマト政権。
    でも、野蛮だったとか、非文明的だったとかではなくて、積極的に海外の情報を得て、分析し、国際外交を行なえるような勢力だった。彼らが見ていた『世界』はどれだけ大きな世界だったんだろう。
    邪馬台国は初期ヤマト政権は、どのような体制で国際交流を盛んに行い、国としての舵取りをしていたのかな?

    読み終わって、さらにワクワクが加速した。これからの考古学の発見や、研究に期待だ。

  • 馬、鉄、技術が列島にもたらしたインパクトは、16世紀や19世紀に起きた革命的事象と近似性があり、霧に包まれた古代欠史が仄かに見える感覚だった。最新科学を駆使し、遺跡と遺物の解析で得られた新事実は興味深いものばかりだったが、陵墓の発掘こそ古代史のブレイクスルーになるだけに、学問の発展に対する宮内庁の見識も今後より問われるかもしれない。

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著者プロフィール

長年「ひきこもり」をテーマに取材を続けてきたメンバーを中心とする、全国で広がる「ひきこもり死」の実態を調査・取材するプロジェクトチーム。2020年11月に放送されたNHKスペシャル「ある、ひきこもりの死 扉の向こうの家族」の制作およびドラマ「こもりびと」の取材を担当。中高年ひきこもりの実像を伝え、大きな反響を呼んだ。

「2021年 『NHKスペシャル ルポ 中高年ひきこもり 親亡き後の現実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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