科学哲学の冒険 サイエンスの目的と方法をさぐる (NHKブックス No.1022 1022)
- 日本放送出版協会 (2005年1月29日発売)
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感想 : 96件
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784140910221
作品紹介・あらすじ
「科学」と「トンデモ科学」はどこで区別するの?
「法則」や「実験」の本当の意味って知ってる? 「科学的な説明」って何をすること? 「科学」というチョー複雑な活動はそもそも何のためにある? 科学離れやトンデモ科学がはびこるなか、科学をめぐる素朴な疑問を哲学的に考察し、科学の意義と限界、さらなる可能性を文系読者に向けて対話形式で軽やかに説く。
みんなの感想まとめ
科学と哲学の関係について深く考えさせられる一冊で、科学哲学の意義を軽やかな対話形式で探求しています。科学と哲学が対立するのではなく、共に協力し合うべきものであるという視点が示され、読者はその理解を深め...
感想・レビュー・書評
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著者の戸田山氏の本にハマって何冊か読んだが、本書は扱うテーマが正直面倒くさい。音楽で言えば、アンビエントやノイズ、ドラムンベース、アブストラクト、ダブやミニマル、ブレイクビーツやサイケトランス、この音はどれに入るのかみたいな、中々分かりにくい議論。この領域問題が科学哲学にもあり、その定義を説明するのが本書。
ちなみに音楽の話は本書と関係ないが、アンビエントは観念論、ノイズは反実在論、アヴァンギャルドは社会構成主義、ジャズは道具主義…とイメージしながら私が勝手に読んでいたもので、何となく楽しかったので書き残す。言語以外の表象であっても同様のカテゴライズは可能か。
だが、事物を表す言語、そこからのインダクションやディダクションにおいて、こうした形式的な定義問題は私にとって興味の範疇にはない。かなり乱暴に言ってしまえば「懐疑論をツールとして、懐疑の程度で振り分けてラベリングした整理術」であって、分かりにくい整理術ほど意味がないものはない。知の権威化による囲い込み、自己満足。コンマリもときめかない。
素朴実在論は、世界はあるがままに存在し、私たちはそれをそのまま知覚できるとして、懐疑の程度が最も低い。科学的実在論は、現実の構造をある程度正確に表すので懐疑程度は低い。批判的実在論は、世界の実在を前提とするが我々の知識は常に不完全で間接的だとするもので、まあまあ。道具主義は、理論や概念は「役立つ道具」であって、真理かどうか気にしない。構成主義は、知識や真理が人間の認知的・社会的活動によって構成されるとする。社会構成主義は、科学的事実や社会制度すら、全て社会的合意によって形成されたもので、客観的真理は疑わしいとする。反実在論は、実在の有無に価値を認めない。理論が「当たっている」かどうかには懐疑的。観念論は、世界の存在は精神や意識によって成り立っている。物質は心の現象にすぎないとする。懐疑論、世界の存在すら疑う。認識論的不知論、実在の有無や真理の可能性自体、永遠にわからないかも。
懐疑の応答であり、懐疑に抗うか、懐疑を徹底して受け入れるかのスペクトラム。例えば、我々は科学的な理解が乏しいにも関わらず、飛行機が空を飛ぶことを信頼し、薬の効き目に頼っている。あなたと私は同じカテゴリーの人類だとして同一性基準にあることを認めている。しかし、こうした判断や認知には科学的理解のプロセスがあって、ここからここまでは、もう信用し切って一々実験するのはやめてしまおうと。その整理を言語化してみた所、余計分かりにくくなりました、みたいな理解だ。で、この分かりにくさは、音楽のジャンル分けに近いなと感じたので冒頭の話。身体がリズムとテンポを楽しむように、直観に従い事物を信じれば良いだけ、とも言える。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
科学哲学の入門書。科学哲学を専門にしている大学教師の「センセイ」と二人の学生(つまりリケジョのリカさんと現代思想オタクのテツオくん)の三人による対話形式。まず科学哲学の歴史から入り、現在でも未だ解決していない科学哲学の難問に対する「センセイ」=筆者の解答が示される。
一口に「科学」とは言っても、その捉え方は様々である。本書を読むと、自分が如何に色々な立場の考えをごちゃ混ぜにしていたかを突きつけられる。直観的には、科学の対象には確かに実体があって科学はその姿を少しずつ明らかにしていく営みだと思っているのだが(科学的実在論)、中途半端な聞きかじりの社会科学の知識も持っているので科学は結局科学者の間の社会的合意に過ぎないという主張も分かるし(社会構成主義)、科学理論が世界についての真理を語っているとは限らないという考えも理解できる(反実在論)。例えば、量子力学には正準量子化という重要な手法があるのだが、この手法が何故上手くいくのかは、少なくとも今は、経験上上手くいっているからとしか説明しようがない(清水『量子論の基礎』)。こういうことを知ると、最も直観的に思われた科学的実在論は俄かに怪しく思われ、現象をうまく説明できさえすればそれで良いという反実在論になってしまう。筆者は科学的実在論を擁護する立場に立っており、彼の、社会構成主義や反実在論といった他の陣営からの批判に耐え得るような理論の構築の試みを、本書の後半で見ることができる。
最近関心があることとの関連で言えば、「帰納」というのは論理的に言えば飛躍のある推論方法である訳だが、それが科学の方法として正当化されるのは何故かというとそれはまさにこの世界が帰納がうまくいく世界だからだというのが、人間原理に近いと思った。「帰納を使って科学をやってよさそうな究極の理由は、宇宙のわれわれがいる場所が、帰納が役に立つような場所だからだ。われわれのいる場所が、ありとあらゆるものがもっとカオス的で、最初の状態がちょっと違っただけで、そのあとどうなるかが劇的に違ってしまうような現象に満ちあふれているのだったら、帰納という情報処理をやる生き物は進化してこなかっただろう。(略)それどころか、そんな太陽系では安定した軌道を回る惑星が存在できなくなるから、そもそも科学をやるような知的生命が進化してきたかどうかも分かりませんよね。ということは、わたしたちの科学の方法がうまく当てはまるようになっているということが、同時に科学という営みが生じてくる条件でもあるってことかしら。」(p.266-267)岩井克人の、「貨幣が貨幣なのはそれが貨幣だからだ」ともロジックが似ている? たまに見る論法なので、何か名前が付いていそうな気もする。
Ⅰ 科学哲学をはじめよう—理系と文系をつなぐ視点
1 科学哲学って何?それは何のためにあるの?
2 まずは、科学の方法について考えてみよう
3 ヒュームの呪い—帰納と法則についての悩ましい問題
4 科学的説明って何をすること?
Ⅱ 「電子は実在する」って言うのがこんなにも難しいとは—科学的実在論をめぐる果てしなき戦い
5 強敵登場!—反実在論と社会構成主義
6 科学的実在論vs.反実在論
Ⅲ それでも科学は実在を捉えている—世界をまるごと理解するために
7 理論の実在論と対象の実在論を区別しよう
8 そもそも、科学理論って何なのさ
9 自然主義の方へ -
科学と哲学。
これらは理解し合えないものなのでしょうか。
そんなことはないと信じたい人が読むべき一冊です。
もはや科学は哲学の土台から独立した学問です。
しかし、哲学も科学も基本的な成り立ちは同じであり目的も似ている。
したがって、いがみ合うべきではなく協力し合うべきものだと考えています。
“科学哲学”というどっち付かずのような学問について会話形式で綴られる一冊。
少々難しい部分もありますが、おすすめです。
又、最後のストーリーの締めくくりが素敵ですよ。 -
科学哲学ってのはなんだろうか?という素朴な疑問への回答とその意義の伝達を試みた一冊。
「帰納法vsヒューム」の辺りはおもしろい。ただ他の箇所は読み飛ばしがちだったので、もうちょっと時間をかけて読むべきだったと反省。
なぜかヒュームへの理解が深まったのでよかった。 -
科学哲学の入門書.著者によれば背伸びした高校生から大学1,2年生くらいを対象に書いたらしい.
第I部の科学哲学の基礎概念の部分は,ちょっと前に読んだ「科学的思考」のレッスン」と重なる部分もあって,ふむふむと読み進めていったのだが,著者が一番力をいれて書いている科学的実在論をめぐる議論を扱った第II部,第III部が私にはとても退屈だった.
理由を考えてみると,まず第一は,当たり前なんだろうが,科学哲学が科学ではなくて哲学であること.私は抽象的な哲学的議論がとても苦手(そういう意味では大学1,2年生以下なのだろう).もう一つは,科学哲学と科学自身の距離があまりにも遠くに感じてしまうこと,ここに出てくる議論のほとんどは哲学者には大問題でも科学者にとってはほとんど気にもならない問題なのではないかな.そして哲学者が科学者を誤解している部分もあるのではないか.たぶん,科学者は素粒子というような一見抽象的な対象を扱っていても,その科学者の中では非常に具体的で手触りのあるものに感じているに違いない.そうでなければ,自然の本質を踏み外さない研究は難しいのではないか.そうなると「電子の実在性」なんてことを議論されても,なんだかまったく別世界の物事のように感じられてしまう.
というわけで,学問の意義は認めつつも,私との距離は遠いし,それが近づくこともなかった.哲学好きの人はどうぞ. -
自分の知りたいことではなかった。
自分が知りたかったのは、
「科学によって人類はどこに向かっていくのか?、科学をどうコントロールするべきか?」
というような内容だったんだけど、書いてあったのは
「科学的な考え方とは?」とか「実在と観察」とかだった。 -
戸田山 和久
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「科学とは何か」「哲学とは何か」そして「科学哲学とは何か」が知りたければ,とりあえずこの本を読んでみるとよいと思う.
それにしても哲学って奴はコムズカシイ.
それに比べると科学は随分取っ付きやすいように思うのだが…. -
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12/24
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帰納や演繹や知の探求など、当たり前に使っている科学の手法や目的が妥当なのかを問い直す本です。科学の目的に関する議論は思わず頭を抱えますが、知ってると知らないとでは世界の見え方が変わってくるので楽しいですね。
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知的好奇心を多いに刺激された。面白い。
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科学哲学というものがどういったものかを説明したあと、社会構成主義や反実在論という強敵の立場をそれぞれ明らかにしながら科学的実在論を擁護すると言った内容の本。
対話形式のため読みやすかった。科学哲学の知識が深まったと思う。筆者の立場が明確にされていて良い。後半には今まで出てきた色々な用語が出てきて、少し難しくはあった。出てくる2人の学生の理解力はやけに高かった。自分は科学的実在論も反実在論もどちらも魅力的であるなと思いながら読んだ。
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4月新着
東京大学医学図書館の所蔵情報
https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2001947272 -
科学哲学とは何か、を知るよりも演繹法と帰納法、論理的実証主義と観念論などの整理に役立った。人間とは経験による統計的帰納法により物事を判断していること、自分は目に見えない物や実証できない物は「ない」ものとして考えているつまり観念主義者に近い考えを持っていることなど。
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私には非常に難解でした。
文系だからって言い訳するつもりもないです、理解できないから低評価っていうのも良くないですが…
帰納と演繹の部分だけかろうじて理解できました。
私達は日常の中でも無意識に帰納と演繹を使ってるんですね。 -
【2021/4/8】
随所にあるまとめ、巻末の人物・用語解説や読書案内など、初学者に親切な構成が良い。対話形式のおかげで読みやすいが、内容はなかなか手強く、特に後半から難しくなってきて理解が追い付かないため再読が必要。科学的実在論を擁護する著者の立場が色濃く反映されているため、他の立場の本も読んでバランスを取る必要がありそう。
【2021/4/29再読】
再読。やはり後半が手強い。特に第3部が理解できたか自信がない。
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著者プロフィール
戸田山和久の作品
