王道楽土の戦争 戦後60年篇 (NHKブックス 1046)

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  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140910467

感想・レビュー・書評

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  • 面白いのだけど、ちょっと疑問が残った。
    田中角栄が奥羽列藩の縄文系ということだけど、自然を改造して農村を電化し区画整理をしてしまうのはアマテラスのやることではないのか?と思う。
    どこかで読み間違えたのかもしれないけど。

    思うに、もう一軸、分析軸が必要なのだと思う。
    二つの候補を思い浮かべた。

    一つは、石原慎太郎が小樽の海に見た山下汽船の夢とか、赤い夕日の満州とかっていう、自分の住んでいる島は外側からどのように見られているのかという分析。縄文だのアマテラスだのは、自分の住んでいる村をどう認識するかだから、それをどう外部化したのか。

    もう一つは、むしろこっちを読みたかったのだけど、暴力と怨念のパターンだな。著者の吉田氏、中曽根とか石原慎太郎とか石破とか、権力者に対するインタビューがうまいと思う。権力者の内面がどういう恐怖に彩られているかと、水俣とか三里塚に入っていたそうだから、その人たちの暴力と恐怖の構造とが、どこまで同じでどこが違うのか。つまり、「三本目の足」というのはどうなっているのか、というもの。それこそコラージュでなければ書きようがないし。
    「辺境から中央を撃つ」というのを読んでみたかった。こんなことを今さら言われたくはないだろうけど。

  • [ 内容 ]
    原爆投下でアマテラスの神話帝国は崩壊した。
    だが、戦争を支えた経済体制は生き残った。
    「満州」経営と「戦時統制経済」のノウハウとシステムは生き延び、焼け跡日本で本格稼動を始め、戦後復興→高度経済成長、金ぴかバブル大国を作り上げる。
    経済戦争の兵士となり、山川草木に宿る神々を殺し、空虚となった戦後の我ら日本人。
    一億総中流の私的欲望と市民主義を支えた“民道楽土”バブル帝国の崩壊後、また再びの被害強迫病理による不安と孤立、その反動としての軍国化・管理下に向かいつつある日本に、「もうひとつの自由と希望の物語」は可能か。

    [ 目次 ]
    1章 ピカドン・プレゼント
    2章 鉄道立国―満州からのプレゼント
    3章 王様の家来たちの物語
    4章 列島改造―八百万の神々“征伐”戦争
    5章 バブルの中の「三つの王国」
    6章 万物は流転する

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • ちょっとおもしろ過ぎんだろ、これ。

  • 縄文エビス・ヒルコ系の「移動する力」→騎馬民族国家ニッポン→源平合戦「東馬西船」→奥羽越列藩同盟と「東日本政権」の幻→「偽満州」建国と鉄道ネットワーク→1940年代体制「戦時統制経済」→「満州システム」の国内移転=高度成長(新幹線・私鉄・文学・クルマ・道路)→田中角栄の「列島改造」の夢→金ぴかの「リアル満州」(80年代バブル)の完成
    国家権力vsマスメディア情報権力;個人情報保護法→住基ネット→人権擁護法案→憲法改正国民投票法案→共謀罪

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著者プロフィール

ノンフィクション作家。1945年山形県生まれ。
早稲田大学中退。
著書『下下戦記』(大宅壮一ノンフィクション賞受賞、文春文庫)『王道楽土の戦争』
(戦前・戦中篇、戦後60年篇、NHKブックス)『新宗教の精神構造』(角川書店)
『宮澤賢治殺人事件』(文春文庫)『増補新版 ひめゆり忠臣蔵』(太田出版)
『そして、憲法九条は』(姜尚中との共著、晶文社)

「2008年 『資本主義はどこまで暴走するのか 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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