カンボジア絹絣の世界: アンコールの森によみがえる村 (NHKブックス 1102)
- NHK出版 (2008年1月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140911020
作品紹介・あらすじ
かつてアンコール王朝が栄え、東アジア世界の文化的中心地であったカンボジアで育まれてきたのが、絹絣である。細くしなやかな生糸を、草木、昆虫などの自然染料を用いて先染めし、母から娘へ、手から手へと伝えられてきた極意の技法で手織りしてゆく。独特の光沢、手触りをもつ、森と先人の知恵が結晶した世界最高の布である。この伝統の絹絣に魅せられ、相次ぐ内戦のなかで、絶えてしまった伝統の技法を発掘し、復興した著者の半生を通して、美しい絹絣の世界を鮮やかに描き出す。500人規模の工房を運営し、さらに森に移転して新しい織物の村を興そうという試みは持続的な国際援助・貢献の範としても世界の注目を集めている。
感想・レビュー・書評
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クメール織を守った方。テレビ東京で放映していた。
●2022年12月29日、追記。
著者にプロフィールをコピペしておきます。
1948年京都生まれ。IKTT(Institute for Khmer Traditional Textilesクメール伝統織物研究所)代表。著書に『メコンにまかせ 東北タイ・カンボジアの村から』『カンボジア絹絣の世界 アンコールの森によみがえる村』など。2004年に第11回ロレックス賞受賞、2010年に社会貢献支援財団より社会貢献者表彰、2012年に大同生命地域研究特別賞、2014年に外務大臣表彰およびソロプチミスト日本財団より社会貢献賞。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
法然院での森本さんの帰国報告会に合わせて、往復の電車の中で読了。本が出てから6年経っているけれど、森本さんは実現したい未来に向けて、ぶれることなく着実に進んでいるんだな、と感じられて嬉しかった。森本さんのお元気なうちに、ぜひ『伝統の森』にも行ってみたい。
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たったひとりではじめたカンボジアの絹絣の復興事業。果てしない苦労があったのだと思う。
困難な道を不屈の精神で切り開いてきた人。すっごくポジティブな人。
森本さんのどこまでも探究する力、目に驚かされる。
カンボジアの歴史と地理、そこに住む人に寄り添い、調査・研究をしている。
カンボジアシルクの染め織りは、作り手の手と頭にしみついているもの。それはマニュアルやコンピューター化されたものを超えている。
媒染による微妙な発色の違いに気付くことができる、育った目、鍛えられた目。
布を紐解いていくことで歴史が見え、また追及するうち、背景にある自然環境まで考えは及ぶ。
伝統は生活のなかで培われ、そして守るものではなく創出するもの。
染め織りの本質を見極め、追求することのできる人。
物事を追求することの素晴らしさと、その行動力に感動する。
布に触れ、包まれたい。そのような文化の中に身をおきたいと思う。
森本さんのエネルギーが伝わり、読んでいるうちに元気が湧いてくる。 -
職人の世界。が本来プロジェクトというのはこうあるべきなんだろう。短期的な数年のプロジェクトで本当の意味での持続的なプロジェクトの達成は難しいのかもしれない。
森本さんの思いはとてもとても尊敬します。
カンボジアの農村部がどのように貧しいといわれるようになったかがやっと少しわかった気がします。
共生。国際協力。伝統復興など総合的。でも本来はやっぱり総合的なアプローチが基本なんであろう。いつか伝統の森を訪れてみたいと思います。 -
図書館でなんとなく借りて大変感動した本。西陣で友禅をやった著者が絣のフィールドワークの道に入り、内戦でズタボロになったカンボジアに伝統の絹絣を甦らせてついでに職業訓練、雇用も確保し昔ながらの職業共同体を何年もかけて作り上げていく過程が感動的。大事なのは職人としてのプライドなのはどこも同じ。ラオスの布が好きですがカンボジアのも持ってます。玉虫色の不思議な輝きです。あっさりめの日本人にはくどいかもしれないが。