- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140911747
作品紹介・あらすじ
ミクロの世界から宇宙、そしてハイテクノロジーに至るまで、この一世紀余りのノーベル物理学賞の業績をたどっていくと、アインシュタインの研究に関連しているものが数多くあることに気づく。後進の科学者たちは、彼の理論をどのようにして、自らの研究成果に繋げていったのか。アインシュタインを主軸に、ノーベル賞受賞者たちを脇に配し、相対性理論をはじめ、数々の新理論に触れつつ、現代物理学で起きたダイナミックなドラマを、人間模様も織り交ぜながら平易に読み解く、異色の科学史。
感想・レビュー・書評
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【配置場所】特集コーナー【請求記号】 420.2||K
【資料ID】91110173詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
20110305 Amazon
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アインシュタインの先験的な仕事によって切り拓かれ、それに引き続いてノーベル賞受賞者を輩出することになる現代物理の発展をつづった本。
この本でひたすら礼讃されているとおり、確かにアインシュタインはおそらく人類史上の最大の物理学者でありその業績はすさまじい。20世紀初頭に、「特殊相対論」、「光量子仮説」の2本立てで現代物理の柱となる相対論と量子論の口火を切っていると思えば、量子仮説を適用することで統計力学の手法により固体の比熱を計算し、原子論者にとってとてつもなく重要なアヴォガドロ数の測定を「ブラウン運動」によって行えることを提案し、そこでのゆらぎの取り扱いはその後の統計力学にもつながり、、「レーザーの誘導放出」に関する研究は量子光学の入口につながり、「ボース・アインシュタイン凝縮」の研究では超流動ヘリウム、冷却原子気体につながり、一般相対論も完成させ、、、と挙げるだけで気が遠くなるほどである。
そんなアインシュタインだからこそ非常に礼讃したくなる気持ちは十分にわかるし、自分も上で書いたようにアインシュタインの業績は異常であると思う。しかし、それにしてもちょっと行きすぎの感覚が否めない。
一般向けの物理本はもっともっと増えるべきだと常々思っているので、こうした本はそういった意味ではもっと出版されてほしいものではある。しかし、自分がそれをやってみたいという"同族嫌悪"か、あるいは研究者的な観点から数式も使わずに説明するのは、、、という気分からか、どうしても微妙な評価になってしまった。
しかし、本の内容自体は非常に分かりやすく、「アインシュタインってどんなことをやったのか?」と、業績の概略を知りたい人にはお勧めできる一冊である。★2になっているのは個人的な好みなので、低すぎるかもしれない。