新版 論文の教室 レポートから卒論まで (NHKブックス)

著者 :
  • NHK出版
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感想 : 103
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140911945

作品紹介・あらすじ

論文って何だ!?それは、「問い」に対して明確な答えを主張し、その主張を論証するための文章である。主人公は作文の苦手な大学新入生。彼が読むに耐える論文をなんとか仕上げるまでを時系列で辿りながら、論理的に文章を書くためのノウハウを伝授。論文のアウトラインの作り方を丁寧に紹介するほか、主張の説得力を高めるためのコツを明快に説く。インターネットなど情報へのアクセス法もさらに詳しく解説、巻末付録も充実した決定版。

感想・レビュー・書評

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  • 学生向けの論文指南本としてロングセラーの一冊。
    著者は名古屋大学の戸田山和久氏。実は、トゥールミンロジックで知られる議論の技法の翻訳者の一人だったりします。詳しくはまた別のところで。

    1~4までは論文の基本に当たる骨組みの解説でかなり丁寧に始める。
    5~6では論証のテクニックを紹介。176ページに挙げられているまとめはかなり有用。
    ラスト7~9で論文をより良い物にするための方法が紹介されています。推敲こそ上達のカギ。

    論文を書くのに必要なことが詰め合わせになった指南書ですが、へた夫くんという仮想学生を相手に戸田山先生が手取り足取り指導していく対話形式をとり、肩肘張らずに読めるフランクさが売りでもある。
    ただ、著者はインテリゲンチャで、出版からおよそ20年経過しているため、内容的な噛み合わなさが目立ち始めている気がするのは私だけだろうか。
    司馬遼太郎作品の文章のクセが分からないと途中から始まるギャグが肩透かしになる。司馬史観という言葉はいまどれだけ知られているだろうか。ダンサーインザダークは有名な映画だが、観ている学生はどれだけいるだろう…。つまり、読み手が分からないハイブローは、文章の面白みを減じるのである(僕はハイブロー好きだが、昨今ではマウントと取られちゃうらしい)。
    アウシュヴィッツを知らない東大生が話題になったらしいが、「吾輩は猫である」も著者が繰り出す当時の面白ネタを理解出来ないとその諧謔さを読み取ることが難しいように、時代と共にネタの鮮度は下がっていくのだろう。
    だが、語り口の巧みさによって別に知らなくともノリで解らせてくれているのでよしとしようか。

    著者が伝えたかったことは変わらないが、書籍は時代の制約を乗り越えることが出来ないのだな、とボヤいてしまった。

  • Kindle日替わりセールで安かったので購入。「ライターの仕事にも参考になるかも」と思ったのだ。

    「生まれて初めて論文を書く大学生」あたりを主要ターゲットにした本である。ゆえに、「基本のき」から噛んで含めるような説明がなされている。

    論文がからきしダメな「作文ヘタ夫」くん(笑)に、大学教授が論文の書き方をレクチャーしていく、という体裁をとっている。

    著者が矢継ぎ早にくり出すジョークが時々スベってはいるものの、〝これまでの類書とは違う楽しい読み物にしよう〟という意欲は伝わってくる。

    じっさい、けっこう面白く読める。全3部構成のⅠ部は本当に初歩の初歩で、論文の書き方が一通りわかっている人にはあまり参考にならないが、それでも退屈しない。

    「実践編」たるⅡ~Ⅲ部は、実際に論文を完成させるまでのプロセスを詳細に辿っての解説。
    語り口は軽いものの、内容はしっかりしており、かなり使える。

    「レポートから卒論まで」という副題のとおり、学生にとってのみならず、社会人にも役立つ。仕事で書くレポートや、ライターが書く商業文のブラッシュアップに結びつく指摘も満載だ。

  • 大学生向けの論文執筆の指南書だが、わざとアホでも読みやすい文体で書かれていながら、きちんとした論文作成の基本を抑えている。真面目な学生のみならず、普段本など読まない学生をも対象として読ませようとする筆者の努力が伝わる。

    そもそも、まともに文章の書き方などならわず作文のようにベタに最初から最後まで書いて終わり、のような指導が一般的な高校までの文章作成から、大学でいきなり論文のような長編を書くのは新入大学生にとって至難の技である。そういった学生に、準備段階としての段取り、論証のテクニック、アウトライン➝トピックセンテンス➝パラグラフという展開の仕方から、わかりやすい文章を書くための構成や語の選び方、お作法である引用などの方法まで広い範囲を教えているのが大きい。

    そもそも論文とはなにか?問い+答え+その論拠、という要素で構成された文章である、という説明から入る。作文のような、自分に思いとか感想とは異なるという点を強調し、論文を定義するところから始める。

    入門書のような本や新書からテーマを見つけて、問いを形成していく段取りプロセス。論文を執筆する作業の半分は問いを建てる部分だし、問いの良し悪しで論文の良し悪しは決まる。そのプロセスを手取り足取り教えてくれる本というのは少ないのではないだろうか。入門書などで気になったところ(目からウロコ、激しく同意、納得いかない、激しく反発の4つ、本書p.65)などから問いを定式化していき、さらに文献を探して深める作業までガイドしている。

    論文に限らず、論説文と言われるタイプの文章は、大きな流れを示す骨組みから、徐々に肉付けをしていくことによって文章となっていく。このプロセスを知らなければ、文章を頭から終わりまで読む順番同様に書いていくものという意識のまま論文を書いてしまう。例えばアメリカではアメリカ人の学生であってもEnglish101という授業で、基本的な文章の書き方を学ぶ。これはTOEFL iBTなどでWritingのパートを勉強したことがある人ならわかるが、序論・本論・結論という骨組み、そしてアウトラインから肉付けしていくパラグラフ・ライティングである。本書ではアウトラインを「論文の種」と称している。そしてこのアウトラインを何度も見返して、膨らませていくことにより、いつの間にか論文になてちる、というような指導をしているのが面白い。(p.114)

    論文とは読者に対して、自分の定式化した問いとその答えのつながりを納得させる作業である。そのために、「論証」というテクニックが欠かせない。AがBである、という主張の納得力をアップするための言語行為、と本書では論証を定義している。(p.146) そのためのテクニックがモードゥス・ポネンス、背理法、帰納法といった各方法で解説されている。(p.176に一覧)

    パラグラフ・ライティングの具体的な方法については第7章を使って詳細に解説されている。段落とパラグラフの概念の違いから、だめなパラグラフの例示をもって、パラグラフの書き方を解説する。ここが文章の書き方としてはコアな気がするし、大学生が社会で役立つ文章をかけるようになる、という部分でも重要な項目であるように思う。アカデミアに進まなくても、論文を書く指導が重要なのは、こういったパラグラフ・ライティングができるようになるからだ、というは一つの正当理由になるだろう。

    最後に、論文のお作法についてである。これには正解がない。本書では細かい作法まで解説してくれているが、第9章の冒頭の「教員の論文を探してきて真似をする」というのが良いアドバイスのような気がする。(ふふっとなるのでぜひ読んでいただきたい)

    論文を出す学生ならば、付録も読んだほうがいい。なんと論文の提出前のチェックリストや、論文の評価基準まで載っている。なんと慈悲深い本であるか。

    大学生というのは遠い昔であるが、論文を書く人間として改めて学んだ項目が多かったのも確かである。何しろカバーする範囲が広い。しかも、文体が文体なので眠くならずに読める。もちろんこの文体で論文を書いてはいけないが。

  • 今までamazonレビューなどで比較的評価のよい類書に何冊か触れているが、個人的な感想としては、本書がいちばん実践的でわかりやすい。算数をおしえるならつゆ知らず、論文の書き方に答えはひとつではないから、大方の類書があたりさわりのない仕方を紹介している。しかし、本書にはそうしたあやふやな逃げがない。かゆいところまで手がとどく書き方のノウハウが、できうるかぎり示されている。この点に好感をもった。

    いちおう入門者を対象としてはいるが、先がすすまず煮つまってしまった人にもおすすめできる。こういときは基本を忘れているものだから、的確な指摘ある入門書は、自分自身で展開したはずの論証に四苦八苦する中級者にも、忘れてしまった基本的な思考方を思い出させる。くじける手前の問題群を、より簡潔にみる手助けとなるのではないかと思う。

    本書はたしかにはっきりとものをいうが、だからといって「こうしなさい」というおしつけがましさはない。「こうやって考えちゃえば楽よ〜」という合理的な仕方が、結果として、第三者にも理解しやすい論文作成につながることをおしえてくれる。また、入門者にはおすすめはしないけれども、個性ある論文にも理解ある言葉が添えられている。

    著者の語り口調がやたらくだけているので、もしかして半世紀後には、若人には時代遅れでさっぱり理解できないとかいうことになるかもしれない。とりあえずここ十年ぐらいの間は、著者も自画自賛するように、本書がもっとも通読しやすい論文作成入門書となりそうだ。

  • 採用試験の論文が近づいてきて聞かれることが多くなったので娘の本を拝借

    論文とは「問いと主張と論証のある文章」である
    そうなんですよね
    これって無意識のうちにやってるんですけど言葉にするとこういうことなんですよね
    問に対する自分の考えが主張になって主張の正しさを論証する
    それが論文なんですよね。
    これで説明しやすくなりました

    論文とは「型にはまった」文章である
    はい
    論文には型があります。
    その型って僕が司法試験受験してたときはホンマなかったんですよ。
    答案構成をするようにってみんなに言われてましたが結局作れるようにはなりませんでした。
    本書にはありますが
    「アウトライン」
    を書く作法がわからなかったんです。
    でも本書を読むとアウトラインの作り方から育て方まで書かれているので本当によくわかります。
    こう言う本をちゃんと先に読んでおくべきでした。

    これでどういう風に論文を教えれば良いかわかったように思います。
    ちょっとまとめたいと思います。

  • 読みものとして面白いので、約4時間半をかけてじっくりかつ一気に読んじゃった。筆者の書くとおり、「最後まで読み通すことのできる『論文の書き方本』」になっていると思う。大学の図書館から借りて読んだけど、気に入ったので買っちゃおうかしらと思ったり思わなかったり。

    今回の読書は、メモをしながら行った。
    たとえば、確かに!と思った点や重要だと思った点をコピー用紙に書いた。また、「この部分を、現在書こうとしているレポートに応用したらどうなるか」と思ったときは、読むのを中断して、同じくコピー用紙に書いてみた。さらに、本の中で気になる文献が紹介されたら、別紙にメモをした。

    このような作業をしながら読んだので、かなり有益な読書になったと思う。
    何よりも、今期末のレポートに対する「めんどくさいな」という気持ちが「この本に書いてある内容を応用して書いてみたいな」という気持ちに変化したことが、一番の収穫である。

  • かなり使える。なにより読みやすい。

  •  論文の書き方を事細かに解説している。あまり論文がうまくない大学生をターゲットにしているようで、会話体で書かれていたり、細かなジョークがちりばめられていたりする。
     論文の作法には不文律のようなものがあって詳しく教えてくれないことが多いのだが、本書はそういう詳細情報が含まれているのが面白い。
     勉強不熱心の学生に向けたと書いているが、この本を楽しむこと自体にかなりの読解力がいる。おそらく入門書というよりは一ひねりある内容を楽しむことのできる結構読書好きの学生向けである。

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00204661

  • 分かりやすいのだが、もう少し論文作成のポイントを絞って欲しかった

    以上

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著者プロフィール

1958年東京都生まれ。89年、東京大学大学院人文科学研究科修了。専攻は科学哲学。現在、名古屋大学大学院情報学研究科教授。著書に『新版 論文の教室』『科学哲学の冒険』(以上、NHKブックス)、『「科学的思考」のレッスン』『恐怖の哲学』(以上、NHK出版新書)、『論理学をつくる』『科学的実在論を擁護する』(以上、名古屋大学出版会)、『哲学入門』(ちくま新書)、『教養の書』(筑摩書房)など。

「2020年 『思考の教室 じょうずに考えるレッスン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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