- 本 ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140912058
感想・レビュー・書評
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来週日曜は参議院選挙の投開票日ですが、いまひとつ盛り上がれない自分に活を入れるため読了。うそ!(笑)盛り上がれないのは争点が拡散し過ぎて飽和状態なのと、与党の政策があいまいなのに加えて野党が未熟すぎるのと、あと総選挙でないからかな・・・。いや、投票には毎回必ず行きますけどね・・・。
先の民主党政権の機能不全による混迷と失敗を避けるために、スムーズな権力移行による政治の安定化が必要とした上で、55年体制の自民党結党から解き起こし、いかに行政事務を担う官僚を活かして政策の継続性と政権独自色を盛り込んできたかを俯瞰するが、政権交代時代となった現在、過去の事例を止揚して諸外国の政権交代のあり方等を事例にとりながら、わが国の新しい民主主義の進化のあり方について提言する。
1党内の派閥間おける疑似政権交代が行われた時代にあっては、官房副長官をはじめとする事務官僚の継続や有能な政治家を複数登用する事実上の複数官房長官制(宮沢喜一など)が政権安定と、政策実行に大きな力を発揮した。政治汚職に端を発する「改革の時代」が1980年代以降、不断に続くようになると、政治改革により政権交代をしやすくなる制度が採用される一方、「官邸主導」の名のもとに与党や野党への圧力を増し、委員会(第二臨調とか経済財政諮問会議など)を通じた政策立案の主導権を握ることで与党や官僚を統制しようとした。しかし、民意を背景とした強い内閣のもとで異能な存在によって(竹中平蔵など)推進されるものでなければこのような統制は難しく、なかなかこうした体制は引き継がれない。官僚にはもともと内務行政系、大蔵財務省系、経済産業政策系の3つのネットワークがあり、それぞれが対抗・平衡しながら行政運営されてきたが、これらを架橋し政治のパートナーとする「政治主導」の実現が必要である。そして、これらを踏まえたうえで、政権交代時代においては、与野党問わず政党自身が次期政権を担うことを熟慮した政策形成(早期の官僚との接触を含む)と、いざ、政権を担った場合においての行政事務の継続性重視と政策革新のしばらくの猶予などの基本ルール定着を提言する。
なあんだ、結局は政党が国政を担うだけの成熟・深化と、上手く官僚を行政パートナーとして使いこなせということか。(笑)まあ、地味な話ですけどこれが実際堅実な話ですね。こうした当たり前のことができなさそうな政党は無能ということですね。
ちなみに、ネット選挙法に抵触しているつもりはありませんが、やばそうな記載にはどうぞご指摘を!m(_ _)m(笑)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
<内容>
オーラルヒストリーを手法とする政治学者による日本政治論。本稿では、社会経済状況、社会構造、国際関係といったマクロレベルに注目するのではなく、政党・官僚などのアクターのinstitutionに着目し「どうすれば権力=政治が安定するか」を述べている
<感想>
学術論文ではないので、厳密な実証ができているかはわからない。ただ民主党にせよ自民党にせよ今後成熟化した二大政党制が展開されるのではないかという希望は私も同感…だが、2014年衆院選次第ではどうなるかしら。 -
戦後日本の政治における政権を安定させるための組織について論じている。もしかして政治に詳しい人には当たり前のことなのかもしれないが、自民党に置いては総裁(大体において首相)より長老の方が権力を持っており、それらが実質政治を動かしているということを知り驚いた。
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放送大学などでも活躍されている牧原氏の政権交代についてのまとめと読んでみたが、少々期待外れだった。
基本的には政治史の流れの中で、なぜ政権交代が必要になったのか、表向きと実際の統治がどのような形だったのか、自民党一党独裁の時代、政治改革としての省庁再編の時代、小泉時代や官僚との関係、公務員制度改革が進まない理由、などの視点から考察している。
文章表現が読みにくいことと、章ごとに内容が独立しており、関連性を見いだしにくいために読みにくい面があった。これは、自分の基礎的な知識の少なさ、自分の期待度が高すぎたかのかもしれないと感じた -
55年以後の自民党長期政権において、自民党が積み重ねてきた政権継続の知恵を明らかにし、他国の政権交代の制度を提示した上で、政権交代を円滑に進めるための方策を提言する本。
政権交代を円滑に進めるために、他国で導入されている制度が挙げられており、そこは一読に値する。なぜ民主党政権が失敗したのか、今後政権交代を円滑に進めるためにはどうすればよいかについて、有益なヒントが与えられている。
著者プロフィール
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