国家緊急権 (NHKブックス)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140912140

作品紹介・あらすじ

もし原発事故がもっと大きかったら?もしミサイルが日本に落ちてきてしまったら?緊急時、政府は憲法に違反する行動をとることがある。そんなことが許されるのか?もし許されるとしたらどんな場合か?政府は、首相は、責任を負わないのか?あくまで民主主義の原理に立脚し、憲法学最大のタブーに真正面から挑む、全国民必読の刺激的提言!

感想・レビュー・書評

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  • 条約の拘束性とか、伊藤博文による憲法義解など新たな学びがあった一方で、インフレや、革命については一般的な話であり退屈に感じる部分もあった。国家緊急権の負の側面にもしっかり焦点を当てており、結論としても筆者は国家緊急権の制定に反対していることには好感を持てた。民主主義を保とうとする限り国家緊急権の行使は不可能に近い。また、日本特有の事情もある。憲法制定権が国民にあるという記述があだだがそれは事実だろうか。一般的には、アメリカによって日本国憲法が押しつけられたとされており、その発布も戦後まもなく行われたもので現代の国民にとっては理解できない部分も多いにも関わらず、いまだに変更されていないのは、国民の意思にのみよるものではないだろう。日本の憲法の硬性さをもっと考慮して欲しかった。

  • 【由来】


    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】


    【目次】

  • ☆いやー、面白かった。推薦。

  • 東2法経図・開架 323.14A/H38k//K

  • 【簡易目次】
    第1章 国家緊急権とはなにか 009
    第2章 国家緊急権と憲法 021
    第3章 国家緊急権と軍隊 037
    第4章 国家緊急権と独裁 059
    第5章 国家緊急権と安全保障 081
    第6章 国家緊急権と経済危機 105
    第7章 国家緊急権と緊急事態 127
    第8章 国家緊急事態をどう終息させるか 147

    資料編 
     I 国家緊急権をめぐる、学説 176
     II 各国憲法の、国家緊急権に関する規定 182
     III 緊急事態をめぐる、日本政府の見解 212
     IV 日本の現行法の、緊急事態への言及 224




    【目次】
    まえがき [003-004]
    目次 [005-008]

    第1章 国家緊急権とはなにか 009
    憲法/憲法制定権力/革命権/国家緊急権/国家緊急権のなにが問題か

    第2章 国家緊急権と憲法 021
    政府はなぜ憲法に縛られるか/人権と政府の組織/人権はなぜ、守られなければいけないか/公共の利益は人権を上回るのか/国家緊急権を行使しないことのなにが問題か

    第3章 国家緊急権と軍隊 037
    軍と警察はどこが違うか/緊急時に対応できるのは軍だけ/自衛隊は軍なのか/戒厳令/緊急時は、「必要なことはできる」/補論・連合軍の日本占領はなんだったか

    第4章 国家緊急権と独裁 059
    独裁政治は、国家緊急権を必要としない/ワイマール共和国はなぜ独裁政治に移行したか/国家緊急権は、もとの憲法秩序に復帰することを目的とする/議会と裁判所は、国家緊急権をコントロールするか/国家緊急権は、民主主義を破壊するのか

    第5章 国家緊急権と安全保障 081
    安全保障とはなにか/講和条約と憲法/日米安保条約と憲法/日本国憲法にはなぜ、国家緊急権の規定がないのか/有事法制と戒厳/国家緊急権を、憲法で定めるべきか/戦争とテロは、どちらが対応しにくいか/テロへの対応

    第6章 国家緊急権と経済危機 105
    ハイパーインフレとはなにか/経済的国家緊急権/アベノミクスはインフレの火遊び/その日、なにが起こるか

    第7章 国家緊急権と緊急事態 127
    国家緊急権の原則/国家緊急権を法制化すべきか/国家緊急権と、現行の法体系/緊急命令の効力/緊急命令のガイドライン/緊急事態と、抗命権

    第8章 国家緊急事態をどう終息させるか 147
    憲法秩序への復帰/政府の行動を検証する/政府職員の責任追及/国家緊急権の規定をなぜ、設けないほうがよいか/事後検証をどう制度化するか/政府職員のとるべき道

    資料編 
    資料編目次 [174-175]
    I 国家緊急権をめぐる、学説 176
    国家緊急権の定義 176
      A 尾高朝雄  B 大西芳雄  C 小林直樹  D 芦部信喜  E 佐藤幸治
    現行の憲法規定をどうとらえるか 177
      一、憲法への明文化を不要として国家緊急権を認める説 177
      F 河原峻一郎  G 高柳賢三  H 佐藤幸治
      二、国家緊急権の規定がないことを法の不備と考え、明文化を要請する説 178
      I 大西芳雄  J 竹花光範  K 新正幸
      三、憲法に緊急権規定がないことを積極的に評価する説 179
      L 影山日出弥  M 山内敏弘  N 小林直樹  O 水島朝穂  P 芦部信喜  Q 村田尚紀

    II 各国憲法の、国家緊急権に関する規定 182
      フランス 182
      ドイツ 183
      イギリス 201
      アメリカ 202
      韓国 203
      ロシア 204
      日本 205

    III 緊急事態をめぐる、日本政府の見解 212
    憲法に国家緊急権が明記されなかった理由 212
    現行憲法下における緊急事態立法の可否 213
    有事法制と国家緊急権 214
    災害時の私権制限 215
    緊急事態法制と国民の権利・義務との関係 215
      一、武力攻撃時における国民権利の制限及び義務の賦課 215
      二、徴用、徴発制度が許容される場合の憲法上の根拠 218
      三、災害救助法上の従事命令等の合憲性(制定時の議論) 218
    災害時における国会議員の任期延長 220
    緊急事態に際して、閣議決定などにより、法律制定と同様の効果を生じきせることができる法律 221

    IV 日本の現行法の、緊急事態への言及 224
      警察法 224
      自衛隊法 224
      災害対策基本法 226
      国家安全保障会議設置法 228
      国民生活安定緊急措置法 229

    あとがき(二〇一四年二月十五日 橋爪大三郎) [241-242]
    参考文献 [244-249]
    索引 [250-254]

  • 題は国家緊急権そのものなんだけど、立憲主義とはなんだって根本からのわかりやすい議論がありがたい本。
    憲法は国民が政府に与えるもので、憲法を守るのは政府。その憲法以前に憲法制定権力があり、それは主権者のもので、政府がダメダメなら革命を起こす革命権がある。自然法の立場からは人間には固有の人権があり、それを守るために憲法があるが、公共の利益のために憲法違反をすることがある。それが国家緊急権。国家緊急権を発動すると憲法は停止でなく無視されることになるが、期限を定めないと民主主義が死ぬ。また、憲法に国家緊急権を定めるとそれが為政者に言い訳を与えて国家緊急権を発動しやすくしてしまうので、憲法に定めるべきではないとする。
    細かい話にはそれぞれ議論の余地があるでしょうが、日本人が改めて立憲主義は何か、民主主義は何かと考えるときに参考になる本だと思います。

  • 2014/06/26:開始

  • 国家緊急権の何が問題か、
    ・どういう場合に憲法違反とみなしてよいか
    ・憲法違反をした場合、その責任は誰がおえばいいのか
    ・憲法違反をした状態から、元の憲法秩序に復帰するには、どういう手続きが必要か。

    国家緊急権は軍隊と密接な関係がある。
    日本の自衛隊は国際法上の軍である。
    緊急時に行動できることが確実なほぼ唯一の機関が軍隊。

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著者プロフィール

橋爪大三郎(はしづめ・だいさぶろう):1948年生まれ。社会学者。大学院大学至善館教授。東京大学大学院社会学部究科博士課程単位取得退学。1989-2013年、東京工業大学で勤務。著書に『はじめての構造主義』(講談社現代新書)、『教養としての聖書』(光文社新書)、『死の講義』(ダイヤモンド社)、『中国 vs アメリカ』(河出新書)、『人間にとって教養とはなにか』(SB新書)、『世界がわかる宗教社会学入門』(ちくま文庫)など、共著に『ふしぎなキリスト教』『おどろきの中国』『おどろきのウクライナ』(以上、講談社現代新書)、『中国共産党帝国とウイグル』(集英社新書)などがある。

「2023年 『核戦争、どうする日本?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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