未来をつくる権利 社会問題を読み解く6つの講義 (NHKブックス)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140912164

作品紹介・あらすじ

私たちをとりまく環境のさらなる情報化により、働き方や暮らし方など生活が様変わりし、生命科学や工学技術の高度な発展により、身体の可能性が塗り替えられる近未来。そんな未来社会で誰もがよりよく生きることのできるように、どのような社会を目指せばいいのだろうか?その旗印となるのが、「権利」だ。さまざまな「あしたの権利」を構想することで、現代社会に正面から向きあう「社会問題入門」登場!

感想・レビュー・書評

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    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00211458

  • 新しい権利を発見・発明することこそが、未来をつくるのだ。
    なんとかなる社会、って良い言葉だな。
    当たり前のようでいて当たり前になってない不便さが横行する社会。普通であることが求められるこの社会で、ほんのちょっとだけ世間の普通にくくれない人たちも、普通に普通だと言える社会を。
    見えてるようで見えてないこと考えきれていないことって多分たくさんある。
    みんななんとかなる社会に。
    ありがとう。

  • これからの世界、こういう権利があるといいんじゃないの、既存の権利もこういうふうになっていくといいんじゃないのというのをチキさんが講義形式(?)で紹介する本。実はちょっと粗製的な感じのする本で主張としてはあまいかなーという感じがするところもところどころ。現状の不便を実例を引いて紹介したうえでこうなるといいよねということをちょっと紹介しているんだけど、こうなるといいよねという部分がおおかたうなずけはするんだけど、どうも説得力というか根拠に欠ける感じ。思いつきとまでは言わないけどとりあえず言っとくみたいな。材料は挙げるからその先は読者が自分の頭や行動でつくり出してってことかもしれないけど。
    リバタリアン(自由意志主義者)であるリチャード・セイラーとキャス・サンスティーンの『実践行動経済学』での主張をヒントにした結婚制度の民営化(p.143)という提案が、実現の可否・要否はとりあえずおいといて、面白いと思った。
    結婚って行政に届け出るからいってみれば国家資格ってわけだよね。それを民間の認証にしてもいいじゃないかというもので、まあ、国家資格を必要としなくて事実婚という人たちもいるし、宗教のおゆるしを得ないと結婚できないなんていうのは(行政にも届け出るかもしれないけどそれ以上に)宗教という民間組織に認めてもらってこその結婚ってことで現在でもあること。それをたとえば同性どうしを認証するような団体が認めるようなことになればというわけ。さらには、結婚相手はキャラクターとかでもいいんじゃないとか書いていて、とりあえず言ってみるということでは面白い。自分としては、そんなに結婚の幅を広げるより結婚なんて制度そのものをなくしてしまえばいいのにと思うけど!  でも、結婚ってなんで「国家資格」なのかっていうと、せめてそのくらい縛りがないと人の気持ちは移ろいやすく、気持ちだけに任せていられないってことでの現状なんでしょうね……なんてことを思った。

  •  幅広くおすすめ。

    【版元】
    発売日 2014年05月23日
    価格 定価:1,242円(本体1,150円)
    判型 B6判
    ページ数 224ページ
    商品コード 0091216
    Cコード C1310(哲学)
    ISBN 978-4-14-091216-4
    https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000912162014.html

    【シノドス】
    https://synodos.jp/newbook/10029



    著者:荻上 チキ
    校閲:遠山 真佐美
    図版作成:原 清人
    D T P :㈱ノムラ
    編集協力:宮崎 智之

    【目次】
    目次 [003-006]

    序 なぜ権利を考えるのか 009
    「今よりちょっと先」へ
    権利意識を共有する意義
    「人」とは誰か


    第1講 縁を切る権利――暴力から身を守る 021
    不幸な関係から逃れたい
    なにから縁を切るのか
    「権利と義務はセット」という誤解
    過去を取り消す権利
    縁を切りやすくするために
    いじめと「縁を切る権利」

    第2講 病気である権利――工学的希望の先を読む 049
    「健康な人々の王国」と「病める人々の王国」
    「言語」の範囲
    手話言語条例とは?
    障害者のための多様なアイテム
    サイボーグ化する身体
    「読書」は天賦の人権?

    第3講 快眠権と快便権――人間らしく欲求を満たす 079
    生理的欲求を満たす権利
    睡眠権
    睡眠時間の世代間連鎖
    手を抜く権利
    眠ってもらう権利
    排便権
    快便権へのアップグレードに向けて

    第4講 「家族」をつくる権利――それぞれの形で暮らす 109
    「婚外子差別」の違憲判断
    家族に関する民法の課題
    ハンセン病差別の歴史
    「人間回復の橋」をわたる
    多磨全生園と宮崎駿
    差別の歴史を後世に
    水俣病差別の歴史
    アメラジアンスクールの挑戦
    結婚の民営化をめぐって


    第5講 スポーツ権――万人とともに遊ぶ 147
    スポーツ権の拡大へ 
    ソチオリンピックの波紋
    浦和レッズの差別横断幕問題
    無観客試合の現場に立つ
    すべての人権が守られる社会の実現へ
    体罰という暴力
    非暴力のためのガイドライン
    スポーツ権の男女格差

    第6講 未来をつくる権利――監視技術を使いこなす 179
    「特定秘密保護法」騒動とはなんだったのか
    「ツワネ原則」の批評性
    どのパターンの監視社会を選ぶか
    どこまでの監視に合意できるか
    なにを「異常行動」とするか
    イスラム教徒への捜査
    差別をなくしあう努力
    ログを開示、削除する権利
    見守られる権利

    あとがき(二〇一四年四月 著者) [215-220]

  • 「社会が抱える問題」を考えるとき、正直なところ何から手をつけたら良いかわからない、と私自身戸惑いがあった。

    新聞を読むのが手っ取り早いかと思うと、意外ととっつきにくくて難しい。
    新聞はもちろん読んだ方がいいけれど、そこに書いてあるのは基本的に「現場はこう動いてますよ」という経過報告だ。

    政府がこういう法案を決めようとしている、とか、ある国で紛争がおきて難民が出ている、など。

    そういった報告を読んでも、じゃあ自分にとって社会はどうあって欲しい?という「疑問」に直結するわけではない。

    そんな時、他の人の打ち出した「疑問」をなぞることで、考えを深めていけることもある。
    本書はそういう意味で、とても助けになってくれる本だった。
    文章は読みやすいので、中学・高校生でも読み通せると思う。

    著者の6つのテーマのたてかたはユニークだ。
    トイレに行くことも権利、睡眠をとることも権利。という、身近すぎて疑問を抱かなかったことに気づいたり、また公害病やハンセン病などのテーマについては、改めて考えるところがあった。

    取材にもとづく「証言」や、実際に書かれている条文を引用として盛り込んでいるので、身近な疑問を考えることから初めて、社会問題につなげていくことができると思う。

    こういう本はもっと沢山読みたいな、と思った。

  • 316.1 / 権利 社会問題 /

  • 社会に対して論理的で感情もある提言をするチキさん、やっぱり好き!話題となるテーマも生活に根差したもので読みやすかった。子育ての話はチキさんの怒り具合につい笑っちゃったなぁ(笑)

  • これからを生きていく上で、どんな権利に対して無意識でいるか考えさせられる。
    声高に叫ぶためではなく、個々の意識に問いかけるための、権利。

  • 20160112 排泄権は面白かった。男女平等と言われるけど、トイレの数は平等ではなく女性のほうが多い構造で良い。

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著者プロフィール

1981年生まれ。評論家。メディア論を中心に、政治経済、社会問題、文化現象まで幅広く論じる。NPO法人ストップいじめ!ナビ代表理事。ラジオ番組『荻上チキ・Session-22』(TBSラジオ)メインパーソナリティー。同番組にて2015年度、2016年度ギャラクシー賞を受賞(DJパーソナリティー賞およびラジオ部門大賞)。

「2019年 『ネットと差別扇動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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