アメリカ大統領制の現在 権限の弱さをどう乗り越えるか (NHKブックス)

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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140912416

感想・レビュー・書評

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  • 東2法経図・6F開架:312.53A/Ma16a//K

  • 合衆国大統領に与えられている権限は、その「世界大統領」的なイメージと違って恐ろしく少ない。そもそもが、議会のポピュリズム的な暴走を抑制するために設置された役割であり、合衆国の国力伸張によって求められる役割が変わった後も憲法の条文改正が行われなかったため(司法判例に基づく解釈改憲)行政の役割が増大した今でも、制度的には大統領の権限は恐ろしく制限されているままである。
    合衆国大統領の権限がかように小さくても今まで大統領のリーダーシップで国が動かして行けたのは、合衆国の政党及び議員の特性によるモノであり、政党の凝集性が(日本などと比べると著しく低いとはいえ)高まると、政党の枠を超えて大統領が進める政策のための多数派構成が難しくなり、ますます大統領が主導することは難しくなっている。
    (更に言うと、現在の共和党多数の議会でも、ティーパーティー系は妥協しないため、結局は多数を確保している利点が現れない。)
    著者は、予備選などによる活動的な一部党員の影響力をそぐ方向への改革が、このジレンマを超えるために必要であろうと推察している。活動的な一部党員が政党の凝集性を高め、中道寄りの議員を候補者段階でスポイルしているためである。

    予備選の弊害、活動的な一部党員の弊害というテーマは日本でも考えておくべきであろう。

  • トランプの就任演説を見る。中継では合間にトランプの就任を心から喜んで、演説を聞きに来た人たちが映しだされる。その嬉しそうな笑顔を見ていると、当然のことではあるがトランプの政策を支持し、「アメリカをもう一度偉大な国にしたい」人が沢山いることが伝わってくる。分断されつつアメリカをトランプはどう治めていくのだろうか?そして世界はどう変わっていくのだろうか?
    期待よりも不安が大きい。

    そこで制度としてのアメリカ大統領について論じる待鳥 聡史著『アメリカ大統領制の現在』を読んだ。世間で信じられて強いイメージと裏腹にアメリカ大統領には憲法・米国法において権限がないということを明らかにし、権限が無い中で議会への働きかけ、一般国民への訴え、大統領令など大統領の使える作戦を細かく論じている。

    Twitterは、国民に直接語りかけるための、トランプ大統領の極めて重要な武器であるということか。

  • おすすめ資料 第356回(2016.11.18)
     
    映画や小説にアメリカの大統領が出てくるとき、多くは「強大な権力をもつ者」として描かれます。

    しかし実際は、大統領には自由に何かを決められるような力は与えられていないようです。

    この本を読むと「権限と期待の間で大統領が直面するギャップ」(本文から引用)について、またそれが生じた経緯や、抱えている問題点が分かります。

    騒々しい大統領選は終わりました。

    新しい大統領になる人物がこれから向き合うことになる困難について知ると、アメリカ政治を違う目で見ることができるかもしれません。


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    http://opac/opac/opacs/find_detailbook?kobeid=CT%3A7200201787&mode=one_line&pvolid=PV%3A7200503742&type=CtlgBook

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  • 第1章は大統領制の成り立ち、第2章は大統領の権限は制約されている、第3章は第2章について抽象的なことがらが多く、自分がいま知りたいこととは、ちょっと違う内容が多かった。

    ハネムーン期間、最初の100日間は今はない。

    大統領の権限は限られていて、議会の合意がないと、政策を推進することが難しい、ということが繰り返し書かれている。で、2大政党というけれど、90年代半ばから、基本的には民主党が与党だった時代が長い。大統領の首相化、というところは勉強になった。自身が属する政党と折り合いをつけねばならないと。


    大統領のジレンマ
    〜大統領制は、議会の行き過ぎを抑制する役割で制定されていて、今もそう。だけど、20世紀に入ってから期待される役割が大きくなってきた。でも、権限は変わらず、理念としても明文化されてへんこうされてないので、ここがジレンマ。

  • 「現代大統領制のディレンマ」

  • 【新着図書ピックアップ!】みなさ~ん、「サタデー・ナイト・ライブ」でやってた、アメリカ大統領選のテレビ討論会のパロディ、見ましたか~!?
    トランプ・クリントン両候補役がメチャクチャ似てんのはもちろん、トランプ候補役を演ってんのが、なんと「アレック・ボールドウィン」!
    映画「レッド・オクトーバーを追え!」(1990)で、CIA情報分析官の主人公ジャック・ライアンを演じてた、あの「アレック・ボールドウィン」!!
    あ~、あれから四半世紀。彼も巨大化したな~!!
    (閑話休題)
    最初に言っとくけど、この本の中身はトランプvsクリントンの大統領「選」の現在じゃありません。大統領「制」の現在です。悪しからず。
    著者が言うには、アメリカ大統領制度の仕組みは、大統領が、「これをしろ!あれをやれ!」と言っても、現実には「何も起こりはしない」もので、大統領という仕事は思い通りの政策決定ができず、「欲求不満の募るもの」なんだだそうです(「」内は、トルーマン第33代アメリカ大統領が言ってたセリフだそうです)。
    えー!世界中が注目する「アメリカ」の「大統領」なのに???
    というわけで、この本、「じゃあ、思い通りの政策決定ができないのは、なぜ?」→「だったら、これほどの注目と期待を集めるのは、なぜ?」→「そんな現実に、アメリカの大統領はどんな風に対処しているの?」に答える本だそうです!
    乞う、ご期待!!
    追伸:ヒラリー・クリントンを演じたのはケイト・マッキノン。ゴーストバスターズ(2016)に出てま~す!
    [New Book!] Did you see the Trump vs. Clinton
    debate spoofs in "Saturday Night Live"? They
    looked just like the real them!
    On top of that, Donald Trump was acted by "Alec
    Baldwin"!
    He performed "Jack Ryan" who was a young analyst
    for the C.I.A. in the movie "The Hunt for Red
    October" (1990).
    I think he became a "Big Guy"!

    Anyway, this book subscribes not the Presidential
    "vote" but the Presidential "system" in the U.S.
    The author says that in the President system of
    the U.S., nothing happens even if the President
    orders to do this or that. The president can not
    decide his policies as he like. So the President is
    the job with a lot of frustrations, the author says.

    Then, "Why the President can not decide policies
    as he/ she like?", "Why the President can attract
    attention from all over the world?" and "How the
    president handle the current situation?"

    The author promised to make these questions clear
    to us!!
    Look out for it!!

    P.S.
    Hillary Clinton was acted by Kate McKinnon. You
    can find her in the movie "Ghostbusters" (2016).

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著者プロフィール

【待鳥聡史】京都大学大学院法学研究科教授。『首相政治の制度分析』(千倉書房)でサントリー学芸賞。【宇野重規】東京大学社会科学研究所教授。『トクヴィル 平等と不平等の理論家』(講談社)でサントリー学芸賞。

「2019年 『社会のなかのコモンズ 公共性を超えて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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