象徴天皇制の成立―昭和天皇と宮中の「葛藤」 (NHKブックス No.1244)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140912447

作品紹介・あらすじ

一九四七年五月三日、日本国憲法施行とともに象徴天皇制が誕生した。「統治権の総攬者」から国政に関する権限を持たない「象徴君主」への転換を迫られた天皇は、自らの理想とする君主像とGHQ・日本政府が要求する象徴としての役割のギャップに苦悩しつつ、側近たちと共に抵抗を試みていった-。生前退位問題をめぐって、皇室典範および象徴天皇制の在り方が注目を集めるなか、本書は敗戦直後から占領時代に焦点をあて、天皇・宮中・政府・GHQ間の複雑な力学と激しい相克の中で象徴天皇制が成立する過程を、膨大な史料を読み解きながら描き出す。

感想・レビュー・書評

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  •  敗戦後の占領期における天皇制・皇室・宮中の変容を、GHQ、日本政府、昭和天皇・側近の三者の対抗関係の分析を通して実証的に明らかにしている。国民主権で君主の国政関与機能を規制している日本国憲法と、議会政治の下で君主が国政に関する報告や相談を受ける英国流立憲君主制の相違を前提に、後者を志向する昭和天皇と憲法との「ねじれ」を特に外交・安全保障問題や宮中の人事問題、地方「巡幸」などに見出してる。先行研究で指摘されている問題も多いが、初めて明らかにされたような史実や解釈もある。「NHKブックス」という一般向け選書からの刊行ではあるが、学術論文が元となっているため(注記も非常に多い)、読みこなすには当該期の政治史や憲法・国制に相当な知識を要し、研究史・学説史を踏まえる必要もあり、一般の人には全く勧められない。

  • 東2法経図・開架 313.6A/C31s//K

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著者プロフィール

1971年、石川県に生まれる。1995年、明治大学文学部史学地理学科卒業。2006年、立教大学大学院文学研究科博士後期課程修了。文学博士(立教大学)。現在、立教大学兼任講師 ※2015年11月現在
【主な編著書】『昭和天皇側近たちの戦争』『昭和戦前期の宮中勢力と政治』 『日中戦争 対中国情報戦資料』共編著

「2021年 『昭和戦前期の宮中勢力と政治』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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