声と文字の人類学 (NHKブックス No.1284 1284)

  • NHK出版 (2024年3月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784140912843

作品紹介・あらすじ

「文字イコール文明」というイメージを覆す

「文字による伝達が生まれると文明が生まれる」と見る人類史が見落としてきた事例は多い。本書は、古代ギリシャから中世英国、近代日本、現代バリまで、「声より先に文字がある」「文字記録が信頼されない」例を集め、字を書くことと「口伝え」との境界面を探ることを通じて文明の常識を問いなおす。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

文字と声の関係性を深く探求する本書は、リテラシーや文明の理解を新たにする視点を提供します。著者は、古代ギリシャから近代日本、さらには現代バリに至るまでの多様な事例を通じて、文字が存在する前のコミュニケ...

感想・レビュー・書評

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  • 『声と文字の人類学』が発売。「書かれたもの」への信頼を揺るがす新しい文明論! | 株式会社NHK出版のプレスリリース
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000873.000018219.html

    出口 顯 | 島根大学法文学部・人文社会科学研究科
    https://www.hobun.shimane-u.ac.jp/list_teacher/deguchi.html

    声と文字の人類学 出口 顯(著/文) - NHK出版 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784140912843
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    (yamanedoさん)本の やまね洞から

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      ◆寄り添いながらも変容[評]土井礼一郎(歌人)
      <書評>『声と文字の人類学』出口顯(あきら) 著:東京新聞 TOKYO Web
      http...
      ◆寄り添いながらも変容[評]土井礼一郎(歌人)
      <書評>『声と文字の人類学』出口顯(あきら) 著:東京新聞 TOKYO Web
      https://www.tokyo-np.co.jp/article/326473?rct=shohyo
      2024/05/13
  • 2025.3.9市立図書館
    子どもの頃から活字中毒で本がない世界なんて考えられないけれど、一方で幼いこどもにはやばやと文字を教え込むのはもったいないのではという気持ちもあり、文字を知る前の世界、耳が情報収集やコミュニケーションの要となる世界への興味は前々からいだいていた。読む=音読という時代も長く、昔の人は黙読ができなかったなどと聞き、文字文化の変遷にも興味があった。
    そういうわけで、少し前に新聞広告でタイトルを見て興味を持ち、ちょうど図書館の書架でみつけられたのでさっそく借りて読んだ。

    声vs文字か、それとも声・手書きvs活字(印刷)かという議論、楔形文字が漢字のような表意文字であったこと、明治時代の音読から黙読への変化(辞書の記述というエビデンス)、活字本の普及期には「本を読みすぎて病んだ」と言われたケースもすくなからずあったことなど、興味深いトピックばかりだった。後半は斜め読みになってしまったが、ここでの知見をたよりに声と文字、そして書き言葉と打ち言葉についてはいろいろ探求していきたい。

  • 「リテラシーとは何なのか?」という問題について興味を持ったものの、通り一遍の理解ではつまらんな、と思って本書へ。リテラシーとリテラシーがもたらす影響について、「識字化以前/以後」、「音声VS文字」といった二項対立を超えた理解の仕方についてたくさんのヒントを与えてくれる。というより、読むほどに問題が複雑だと実感し、ますますわからなくなってくる。SNS時代=「打ち言葉」の時代という視点から過去を見直すと、たしかに事は単純でないことを実感する。事例が大変豊富に引かれていて文献レビューとして今後も参照したい本。

  • 面白かった。

  • 「最初に声の文化があって、その後文字の文化が生まれた」という文明観を再検討した本。

    最初に取り上げられるのは、ジャック・グディ(初めて知った学者だ)、マクルーハン、オングのリテラシー研究。
    文字が人間の認識様式を変容させ、西洋的科学を発展させ、視覚を特権化した、とまとめてある。
    これに対して、筆者は歴史的な社会や、西洋文明に植民地化された社会を取り上げ、必ずしも口承から書承へ単純に移行したわけではないという例を対置する。

    「書承」という言葉は、この本のキーワードの一つ。
    そういう言葉があるんだ、と思ったら、筆者の導入する用語のようで、「リテラシー」とされている。
    ただ、読み書き能力だけを指すのではなく、書いてコミュニケーションを取ろうとする意志や実践も含めてそう呼ぶとのことだった。

    たしかに、挙がっている例は面白い。
    権力が人々を管理するために、戸籍を作り、それまで人々が持っていた多様な名前や婚姻の在り方を書き留めて固定しようとする。
    声の多様性は抑制され、文字は知見を固着し、論理や理性につながるものとして特別視される。
    なるほど、これは権力のするわざである。
    ところが、ニコ・ベズネエが報告した、ツバル共和国のヌクラエラエ環礁の事例は、宣教師が持ち込んだ文字言語が理性とされる観念を覆す。
    これまで口頭のコミュニケーションではなされなかったような濃密な感情のコミュニケーションを文字によって行ったのだという。

    文字を書く行為が呪術的な力を持つのではないかと期待したブラジル・ナンビワラ族の事例、十九世紀フランス・ピレネー地方に観察された、書物は「魔法の書」であり、「読書」により憑依されるという考え方があったことなども、とても面白い例だ。

    口承文化を称揚する立場からは批判されがちな文字だが、文字(特に手書き文字)も聴覚、触覚などの感覚と関わるメディアであったことも、指摘されるとなるほど、と思う。
    平家物語の研究を引きながら、物語がテキスト化され、それがさらに語られ…という文字と声の相互的な関係いついても言及されている。

    本書の終盤は「打ち文字」の話が出てきた。
    これも話し言葉を文字化したもので、声と文字の境界に起きている現象。
    そこで読み書きすることは、ボルヘスの「砂の本」のようであるのか、それ以外のありかたなのか。
    筆者の議論は手書きの方へ進んでいくようだったが、もう少し打ち文字の考察も読んでみたかった。

    こうやって多様な例を通して読み進めてくると、たしかに、声の文化から文字の文化へ、という変化を考えるのは単純すぎることはよくわかった。
    ではその先はどうなるのか。
    どう研究は進んでいくのだろう?

  • 内容を備忘録的にメモ。とても面白かった。

    特に欧米文化で、識字率が低いことは雇用機会の損失につながり、識字率を高めることが良いとされている。言葉は曖昧、不正確。文字により文明が生まれた
    しかし本当にそうなのか?
    文字の読み書きとはどういうことなのか。
    書承性、口承性の関係性、それぞれの歴史、文化を辿る

    ・言葉と文字
    最初は言葉であり、言葉から文字が生まれたというのが一般的
    西洋人にとっては、文字は、言葉やものに物理的な定着性を与えるもの
    文字は発音を符号化したもの

    ただバリ島では、文字は身体の内側にあり感覚的に捉えられないないもの思想を外在化させるもの
    初めに存在するのは文字の方
    話し言葉は文字の派生形と考えられている

    ・表意文字
    文字は言葉の音を表すためにできた表音文字と
    言葉の意味を表した表意文字がある 楔形文字
    表意文字にとっては文字はものそのもの

    ・文字の性質
    文字が出来たことで、脈絡のない話が体系的に整理された
    感情が抜かれ単語の羅列で整理される
    文字にすることで曖昧なものが明確化、分断される
    一般的にはそうだが、逆もある。言葉では感情を表せない民族が、手紙で感情を表している

    音声は発した瞬間から消えていくが、文字は残る。
    それが活版印刷で世界に広がっていく
    ナショナリズムを生む
    医療など必要な知識を体系化、蓄積できる

    ・読まれないための文字
    古代ギリシアでは、読まれないために書かれる文字もあった。
    掟を板に書き起こしていたが、それに頼るのではなく、文字を介さず記憶することが義務だった。識字率の低さからも、文字の記録を信用したわけではなかった
    神に捧げられていた

    墓碑銘 われは告げる
    文字が主体として語る。文字が読む物の声を従属。

    ・読むこと、音読
    昔は文字を読むとは声に出して読むことだった
    声に出すことは読むことを完成させる行為だった
    公共の場でも声に出して読んでいた
    公共空間が広がり識字率が上がると、音読は排除され、黙読が推奨。図書館では声が抑圧

    十九世紀末、読書は人前で行うもの
    ぶつぶつ音読する姿が尊敬の念を抱かせる
    読み手に書物が取り付き棲みつく 外界から切り離される
    読書によってもたらされる知識は魔力
    読む行為は、口承文化に根づく憑依経験

    ・文字から言葉が生まれる
    アマゾンの先住民 サマンがにとっては文字の書いてある紙は口を赤く彩った女。読むことは女の話を聴くことだった、
    文字を書くことは物の表面に模様を施すこと、表面をコントロールすることの一変形
    なんでも良いから書けば良いのではなく、見た目が大事
    耳なし芳一も同様

    ・文字の意味
    文の元々の意味は、儀礼的な身体装飾、文身
    字は、家廟に子の出生を報告する儀礼
    文字は、人の体に触れるという皮膚感覚に結びつくものであったことがわかる

    ・口承文芸論
    声を作り出す文字


    ・文字は手に記憶される
    思い出そうとする時考える時、手で空中に書いたり手を動かすことがある
    見えてない文字の形態をなぞりながら視覚的記憶を筆先におびき寄せようとする
    日本語は書いて覚えるからそれが定着している
    欧米は口頭で授業が行われる

    寺子屋の時から、文字を書くことが学びの始まり
    文字の視覚的形はまず手に記憶されている

    パソコンでの打ち込みはこの流れを断ち切る

    パソコン作業は作業を短縮化するが、思考自体も短縮する
    同じ観察を手書きでやらせた方が感受性の目覚め、深い思索につながった

  • 【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/572928

  • 【本学OPACへのリンク☟】
    https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/713532

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著者プロフィール

1957年島根県に生まれる。筑波大学卒業、東京都立大学大学院博士課程中退。1996年博士(文学)。島根大学教授。著書に『名前のアルケオロジー』 (紀伊國屋書店、1995年)、『レヴィ=ストロース斜め読み』青弓社、2003年)、『神話論理の思想 レヴィ=ストロースとその双子たち』 (みすず書房、2011年)、『レヴィ=ストロース まなざしの構造主義』 (河出ブックス、2012年)、『ほんとうの構造主義 言語・権力・主体』 (NHKブックス、2013年)、編著に『読解レヴィ=ストロース』 (青弓社、2011年)、共著に『新書アフリカ史 改訂新版』(宮本正興・松田素二編、講談社新書、2018年、「ナイル川流域世界」の章を執筆)などがある。

「2019年 『神性と経験 ディンカ人の宗教』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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