歴史は眠らない 2009年8-9月 (NHK知る楽/火)

著者 :
制作 : 日本放送協会  日本放送出版協会 
  • NHK出版
3.00
  • (0)
  • (0)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 12
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (157ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784141895251

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 秋道智彌・語り「日本くじら物語」
     この本の内容は、
     第一回目では16世紀から19世紀における世界の捕鯨を視野に入れ、日本の歴史の中で太地(和歌山県東牟婁郡)における捕鯨が果たした役割について述べられている。
     第二回ではクジラと日本人との関わりの歴史がの述べられている。
     第三回目では日本におけるクジラの多様な食文化について述べられている。
     第四回目ではクジラの捕獲をめぐる規制や管理の問題について取り上げ、これまでの捕鯨の歴史を踏まえて、今後、クジラと人間はどのように付き合っていけば良いかについてのべられている。

     この本の中で私が面白いと感じたところは、第一回である。
     第一回には欧米諸国による捕鯨は常に拡張主義であった。つまり、欧米の捕鯨は、ある種類のクジラがある漁場で獲り尽くせば、新たな漁場を次々開拓し、獲れるだけ獲ったあとはさらに別の漁場を求めるという歴史を辿ってきた。
     また、日本の捕鯨漁場はジャパン・グラウンドと呼ばれ、クジラの宝庫とみなされ、鎖国下にあった日本のすぐ沖合に突如として米国の捕鯨船が出現したとされている。
     そのため、日本近海でのマッコウクジラを中心とした大型鯨類の資源が急激に減少し、捕鯨に依存していた太地では生活の糧を失うことになってしまった。
     ということが書かれており、太地がどれだけ欧米諸国に翻弄されていたかがよく理解できる。

     読んで欲しいところは、第四回である。
     第四回ではクジラは誰のモノなのかをテーマにこれまでの歴史や、今後どうしていけば良いかが述べられている。
     クジラは釧路とも縁があるのでぜひこの本を読んで日本のクジラの歴史や物語を知って欲しいと感じた。(210105- 017)

  •  円満宇二郎『戦後日本 漢字事件簿』。NHK教育テレビの講座テキスト。

     戦後、学ぶべき漢字の字数に制限が加えられた。教育漢字、当用漢字。

     多くの漢字をマスターしないと、民主主義の能率があがらない。儒教や戦前のファッシズムから、解放されるためにも、それは文字のうえでも、体制変換をはからなくてはと、憲法改正と漢字制限をほぼ同時期に進めたところが、おもしろい。

     漢字制限は民主主義をすすめるために必要であったが、他方で《人間の主体性、同一性の障害になった》と、する。
     ご存知、人名漢字の制限である。「当用漢字になはいが、選んだ字のような子になって」と、願いをこめて命名した字が、役場でホロロに不受理となる。

     民主主義のために制限したら、こんどは個人の願いに制限をくわえるようになったと、する。

     訴訟に発展した人名と漢字。
     字は空気のようでありながら、壁もあるという話。
     一読あって、シカルベシ。

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

1946年生まれ。山梨県立富士山世界遺産センター所長。総合地球環境学研究所名誉教授、国立民族学博物館名誉教授。生態人類学。理学博士。
京都大学理学部動物学科、東京大学大学院理学系研究科人類学博士課程単位修得。国立民族学博物館民族文化研究部長、総合地球環境学研究所研究部教授、同研究推進戦略センター長・副所長を経て現職。
著書に『明治~昭和前期 漁業権の研究と資料』、『魚と人の文明論』、『サンゴ礁に生きる海人』『越境するコモンズ』『漁撈の民族誌』『海に生きる』『コモンズの地球史』『クジラは誰のものか』『クジラとヒトの民族誌』等多数。

「2024年 『海とヒトの関係学6 海のジェンダー平等へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

秋道智彌の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×