100分de名著 エミール ルソー 「子」を育むということ (2016年6月) (NHKテキスト)

  • NHK出版 (2016年5月27日発売)
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Amazon.co.jp ・雑誌 (116ページ) / ISBN・EAN: 9784142230631

感想・レビュー・書評

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  • Eテレ「100分de名著」の2016年6月放送分のテキスト。人間の「良心」を信じたルソーの教育論を解説する。

    自らの内面・良心の導きと、他者へのあわれみ(共感)を軸に生きていく人間を育てるにはどうしたらよいのかという課題に、ルソーが取り組んだ古典を著者が解説する。

    ルソー存命の当時は、「子供」はまだ「小さな大人」として扱われ、固有の発達段階にあるという問題意識は持たれていなかった。そこへ発達段階に即した課題を提示した、今日では当たり前ながら、当時としては画期的な教育論であった。

    パリを離れ、閑静な田園に孤児として預けられた男の子のエミールに、その家庭教師であるジャン・ジャックが課題を与えていく。この2人は、どちらもルソーその人を投影したものであろう。

    また、主著『社会契約論』で説かれる「一般意志」を見出しうる人間として育つにはどうしたらよいのかというテーマにも取り組まれている。「一般意志」とは、非常に乱暴にいえば、「自分のため」(自己保全)であると同時に、「みんなのため」であることが矛盾しないような決定のこと。個々人の意見の総和や、多数決で決まったこととは一線を画するものである。

    このテキストで私が学んだのは、一人ひとりの「自由」には、平和共存のために「ルール」(法)を見出すための「対話」的な交流が必要だということ。そのためには、他者の意見を「聴く」「聴きとる」ことが重要であるという著者(西)の意見であった。

    「聴く」ことから始まる、自由への試みとは、まずは自分の「内なる他者」の声に耳を澄ますことなのではないかと考えている。

    次は岩波文庫に取り組むべきなのだろうが、その余裕はないので、さしあたって「まんがで読む」エミールを読んでみようと思っている。

  • 残念ながら子どもはいないのでそんなに見るべきところはないかなと思っていたんだけど,案外取ったメモが多かった。不幸の感じ方とかルソーの(男女観ではなく)人間観にはへぇと思うところが意外とあった。解説者も単純に礼賛しているわけではないのもより誠意を感じられていよい。とは言いながらも相互依存の現代への応用については,どうやって頼ったもらえるかに注目されるんだろうけど,逆に彼・彼女に頼るのか。ちゃんと家庭教師がエミールに対したように対すことができるだろうか。単純にあわれみで接するだけでは難しいだろう。
    物語にはある種の補正がかかり,極端な状況が設定される事が多い。しかも,自分そのものは少なくとも物理的には存在しない。そこにはあわれみを感じやすい環境がきちんと整備されているのである。ここに現実のシミュレーションとしての物語の可能性を感じられた。

  • 知的6
    かかった時間60分

    この前カント入門に挫折したので、カントに影響を与えたルソーの『エミール』を、100で名著の解説雑誌で読む。大きな特徴は、成長における自然を重視した教育観と、よさを指向する人間観や社会観。やはり近代ってこのあたりから始まったんだなあということが感じられる。
    自分の読書スタイルとして、概説を読んでからごくたまに元ネタを読む(多くは概説で満足する。笑)ことが多いが、エミールは読んでみたいなあ。部分的にでも。

  • 授業で習ったぐらいしか知識がなかったルソー。彼が教育や人の生き方について、こんな考え方をもっていたことが驚きだった。
    この本を知ったきっかけは、たまたま深夜に見たNHKの100de名著シリーズだ。とにかくわかりやすく。さらに、著者の生い立ちやなぜそのような考えを持つようになったのかなどの解説があるため、深い理解が可能。小説を読んでみようと思える本。

  • 教育の教典として読みつくされた感あり。
    新しい発見というよりは、現在の教育の常識の原点。

    「欲望と能力のバランスが幸福」

  • ルソーが社会契約論と同じタイミングで発表した著作。の解説書。端的で読みやすく良い。

    子供の成長段階に合わせて、学習できる内容を適切な環境で提供すべき。それが理想の教育だということが主張されている。
    少年期まではあまり人とふれあいまくったり本を読んで知識を詰め込むことよりも自然と触れ合うことを重視すべき、など。

    250年前の著書なのにその感覚は現代に近いところが多く、いま自然に受け入れられる内容になっていることが驚き。

  • (2016.09.15読了)(2016.05.27購入)

    【目次】
    【はじめに】真に自由な人間を育てるために
    第1回 自然は教育の原点である
    第2回 「好奇心」と「有用性」が人を育てる
    第3回 「あわれみ」を育てる社会の基盤に!
    第4回 理想社会のプログラム

    ☆関連図書(既読)
    「ヘーゲル・大人のなりかた」西研著、NHKブックス、1995.01.20
    「ニーチェ『ツァラトゥストラ』」西研著、NHK出版、2011.04.01
    「「幸せ」について考えよう」島田雅彦・浜矩子・西研・鈴木晶著、NHK出版、2014.05.30
    内容紹介(amazon)
    どのような人間が 幸福な社会をつくるのか
    18世紀フランスの哲学者、ジャン=ジャック・ルソーの主著の一つ『エミール』。本書は、少年エミールの成長過程を通して語られる教育論の古典である一方、民主主義社会を担う自立した人間のあり方を問う人間論でもある。これからの社会を担う人間を、我々はどう育てるべきか─不朽の古典にその答えを探る。

  • 16/06/04。

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著者プロフィール

哲学者。京都精華大学社会メディア学科助教授。哲学者らしからぬ軽い風貌と語り口で若いファンを多くもつ。「普通の人々の心に届く新しい哲学を構築するのは彼しかいない」といわれる期待の学者。著書は、『哲学的思考』(筑摩書房)、『実存からの冒険』(ちくま学芸文庫)、『ヘーゲル・大人のなりかた』『哲学のモノサシ』(NHK出版)、『哲学は何の役に立つのか』(洋泉社新書y、佐藤幹夫との共著)など多数。現在、『哲学のモノサシ』シリーズを執筆中。

・もう一つのプロフィール……
だれに聞いても「怒った顔をみたことがない」という温厚な哲学者。学生からの人気はピカイチ。天才的頭脳の持ち主にしては「ちょっと軟弱」「貫禄がない」との評もあるが本人は全然気にしていないようだ。

「2004年 『不美人論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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