- Amazon.co.jp ・本 (116ページ)
- / ISBN・EAN: 9784142230693
感想・レビュー・書評
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野生の思考で主張している主な内容は、現代の科学的思考方法からみれば、未開社会では、まるで不完全で、野蛮で、非合理的なことを考えているような印象を持っているが、実はそうではなく、未開社会では、自然界に満ちている具体的な事物を素材にして、世界の本質を考えるということが行われている、ということを主張している。
解説者によると、弥生時代以後の古代に日本人の思考(=縄文人の思考)と考えてとらえると理解が進みやすいという。
縄文人=前期新石器時代人は自分の周りの自然を徹底的に観察し、食物や経済的に利用できる動植物ばかりでなく、利用しない動植物についても、また風や水なのどの自然界の出来事すべてに対して「野生の思考」を適用し考え抜いていたはず。分類と変換にによって、つまりは「構造」の思考によって知識の体系を作り上げていた。
レヴィストロースの考え方は構造主義と呼ばれている。
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茂木健一郎のvoicyでレヴィストロースのブリコラージュという言葉を初めて知り、手に取ったもの。抽象的な概念が語られるこの手の本はとても苦手。自分自身の力のなさを痛感。せめてブリコラージュという概念だけは忘れないようにしよう。
voicy
https://voicy.jp/channel/1136/258828
理想はいくらでもあるだろうが、手元にある情報、環境、材料を使って最善を尽くすというのがブリコラージュ。日曜大工に例えられる。
野生の思考の原題は「ラ・パンセ・ソバージュ(野生の思考)」というらしいが、「野生のパンジー(三色スミレ)」という意味もかけられているという。表紙にはきれいなスミレの絵が描かれている。
思考:pensee
パンジー:pensee
野生種:sauvage
最も印象に残っているのは、「ブリコラージュとは何か」の章で出てきた「ブリコラージュする人=日曜芸術家」の説明としてでてきたシュヴァル(1838-1924)というフランス人。なんとこの人、南フランスの小村で郵便配達の傍ら拾い集めた石を庭に積み上げ、33年をかけて不思議な宮殿「理想宮」を完成させてしまったという。掲載されている写真をみると、とてもじゃないが趣味程度にやったなんてレベルではない。まるでアンコールワットのような古代遺跡を彷彿とさせる。本職の芸術家ではない郵便局員という立場ながら、石を積み上げることに没頭し、これだけのものを完成させたという点で、「日曜『芸術』=ブリコラージュ」であり、(周囲からはおそらく変な目で見られていたかもしれないが)この人の人生はさぞ幸福感に満ちていたのではないかと、感じた。
シュヴァルの理想宮
https://cheval-movie.com/info/cheval -
野生の思考というより、レヴィ・ストロース概論という内容だと思う。
構造の何たるかも判ったつもりになっているけれど、チョッと怪しいなと思い到る。
トーテミズムに対する批判。構造を作り出すメカニズムの一例がトーテミズムとのこと。
肝心のブリコラージュについては、偶に目にする。藤森照信「茶室学」にも言及があったな。
自然の人間化として鳥獣戯画やポケモン、ゆるキャラが取り上げられている。納得するけれど、自然が遠くなり、こういう形になっているとも思う。
レヴィ・ストロースについては「悲しき熱帯」の訳文の酷さにウンザリしたっきりになっている。そろそろ、ちゃんと手に取ろうか。 -
哲学から民族学へ思考の対象を移して行ったレヴィ=ストロースの55年前の著作'野生の思考'を人類学者中沢新一が解説。歴史主義的な進歩の発想に基づく考え方で、政治も経済も行き詰まり感がある現代で、改めて'野生の思考'に立ち返ることが、人類の未来を予見する上で重要になると示唆。抽象的な概念化で理解するのでなく、自然界の具体的実在で構造を把握する未開人の'野生の思考'方法に光を当てている。ポスト資本主義とは何かを考察する上で面白い考え方である。
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■評価
★★★☆☆
■感想
◯構造主義の象徴的な名著、「野生の思考」の解説本。
◯コテンラジオやアバタローさん動画など、事前知識があったので、すんなり読むことができた。
◯「構造思考は近代西洋哲学の腹を食い破ってでてきたエイリアンのようだ」というのは、非常に的を得ている表現だと思った。
◯ブリコラージュ的なものが見直されて、もてはさやされる時代になっているのかなと思った。特に都会など、ブリコラージュ要素が少ないところにいる人こそ、そんな要素に憧れる揺り戻しの時代なのかなと思った。 -
まったくわからなかった!!
飲茶さんの最強の哲学の本を読んでから臨んだけれども、全然わからなかった。
もっと知識を蓄えたら、いつかわかるようになるだろうか。
P75 火あぶりにされたサンタクロース
サンタクロースの文化の成り立ちが手短に語られており、面白い -
野生の思考の民俗学的なアプローチはよく理解できた。ただ、そこから構造主義に至る過程が説明はされているものの、腹落ちしなかった。別の本を読んでみたい。
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これだけで全貌を理解したとはいえないが、少なくともとっかかりにはなれた。いつかは本物を読んでみたい。
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確かに日本人の文化には、西洋にない野生の思考が残っている、事に気付きました。