100分de名著 獄中からの手紙 ガンディー 欲望から自由になれ (2017年2月) (NHKテキスト)

  • NHK出版 (2017年1月27日発売)
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Amazon.co.jp ・雑誌 (116ページ) / ISBN・EAN: 9784142230716

感想・レビュー・書評

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  • 聖人のようなガンディーも欲望にまみれた若者だったことが紹介されていて少し身近に感じられた。
    また、欲望の時期を乗り越え形成された彼の思想や言動は、宗教対立、資本主義に伴う富の流出、都市と農村部の隔たり、役割や生きる意味を見出すこと、といった現代に共通する問題を改めて考える刺激になった。

  • 行動することの大切さを学びました。立派な方です。my life is my message!

  • ガンディーの映画を中学生のころに見たことがあります。

    印象残っているのは、塩の行進のシーンです。ガンディーが海岸で塩を掴んで掲げると、大きな歓声が沸き起こります。

    ガンディーのカリスマ性は、その世界観がとても長波かつ普遍的であることに発すると感じます。

    インドのイギリスからの独立や解放を、人間の普遍的な観点から説き起こしたことが、大きな共感を生んだのではないかと思います。

    ガンディーは当時のインドでは裕福な出身であり、英国で教育を受け弁護士となっています。つまり、近代的な生活や欲望を体験したうえで、信仰に帰依していきました。

    その過程では、とても大きな苦悩があったことは想像に難くなく、その精神の強靭さが、非暴力や寛容といった信条の裏にあるガンディーの凄みであったのかも知れません。

  • 「ガンディー『獄中からの手紙』」中島岳志著、NHK出版、2017.02.01
    123p ¥566 C9498 (2017.03.12読了)(2017.01.26購入)
    ガンディーは、インドの独立のために戦った指導者です。戦い方が、非暴力ということで、その後の世界の活動家にも影響を受けた人たちが多くいます。
    どうして、非暴力が有効だったのか、なかなか理解しにくいところです。
    インドの独立に際しては、ヒンズー教徒もイスラム教徒も一緒の国を目指したけれど、果たせませんでした。現代世界では、宗教対立が、激しくさえなってきています。
    ガンディーの思想に未来を拓くカギはあるのでしょう。

    【目次】
    【はじめに】ガンディーの思想が現代に投げかけるもの
    第1回 政治と宗教をつなぐもの
    第2回 人間は欲望に打ち勝てるのか
    第3回 非暴力と赦し
    第4回 よいものはカタツムリのように進む

    ●ガンディーの考えた「自治」(59頁)
    一人ひとりがしっかりとセルフコントロールのできる人たちが、互いに顔をつきあわせ、自分の利益や欲望を超えて互いに奉仕し、分け与え合いながら生活する。それがガンディーの考えた「自治」のイメージ、そして理想の政治のあり方でした。
    ●カースト制の構造(76頁)
    「カースト制」には「ヴァルナ」と「ジャーティ」という、異なる二つの概念があるのです。
    ●ヴァルナ(76頁)
    ヴァルナとは、人々は「バラモン」「クシャトリア」「ヴァイシャ」「シュードラ」の四つの種姓に分かれるという観念です。起源はインドの古典の創世神話で、そこでは神々がまず「原人プルシャ」という巨人を生み出し、その口の部分からバラモンが、両腕からクシャトリアが、両腿からヴァイシャが、そして両足からシュードラが生まれた、と書かれています。つまり、一つの宇宙たる原人プルシャを機能させるためには、四つの階級がそれぞれ自分の役割を果たさなくてはならないのだ、という観念なのです。
    ●ジャーティ(77頁)
    ジャーティは、職能別、職業別の集団のことを指します。牛飼いのジャーティ、理髪師のジャーティ、壺造りのジャーティ……そうした職業集団が、インドには全部で大体三千くらいあると言われています。
    ジャーティが果たす役割は二つあって、一つは職能の伝達。そしてもう一つが、内婚集団としての役割です。
    ●赦す(89頁)
    「赦せない」という思いは欲望であり、怒りに絡め取られた人間の暴力である、とガンディーは考えた。その「赦せない」という欲望を乗り越えて、赦そうとする態度から新しい地平が開けてくると言いたいのだと思います。
    ガンディーは「赦しとは真に強い人間の属性である」とも言っています。
    ●近代のスピードへの懐疑(105頁)
    「鉄道」「弁護士」「医者」の三つはいらない
    鉄道は、これがあることによって伝染病が広がる。また、鉄道があるために、人々は穀物を遠くても高く売れる場所にもっていこうとするので、飢餓がおこる。さらには「悪人たちが悪行をすばやく広められる」ので、「鉄道で邪悪が広がります」とまで言っています。
    弁護士は、自分の仕事を遂行するために争いを煽ろうとするし、高額の報酬を要求する。それは「争いごとをみんなで話し合って解決しよう」という社会には不要な存在だとガンディーは言います。
    医者についても、「病院があるので、人間は身体にあまり注意を払いませんし、不道徳がはびこるのです」と言っています。病院に行けば治療してもらえると思うと、人は過食にふけったりと自己統制ができなくなってしまうし、自然の治癒力も低下してしまうというのです。
    ●派遣労働(115頁)
    今日本で急速に拡大している非正規雇用、特に派遣労働というのは、まさに「自分がここにいることの意味」を喪失した労働形態です。

    ☆関連図書(既読)
    「マハトマ・ガンジー」蝋山芳郎著、岩波新書、1950.03.10
    「ガンジー」坂本徳松著、旺文社文庫、1965..
    「ネール」木村毅著、旺文社文庫、1965..
    「インド・パキスタン現代史」蝋山芳郎著、岩波新書、1967.02.20
    「不可触民」山際素男著、知恵の森文庫、2000.10.15
    「ヒンドゥー・ナショナリズム」中島岳志著、中公新書ラクレ、2002.07.25
    「パル判事」中里成章著、岩波新書、2011.02.18
    (2018年2月15日・記)
    内容紹介(amazonより)
    よいものはカタツムリのように進む
    「非暴力」「不服従」を掲げて、インド独立運動を指導したガンディー。人間の欲望の根深さを身をもって知り、そのうえで到達した思想の地平を、彼は「歩く」「糸紡ぎ車を回す」といった具体的な行動で表現した。その思想を読み解き、21世紀に生きる我々が抱える課題への向き合い方を考える。

  • 17/01/26。

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著者プロフィール

1975年、大阪生まれ。北海道大学大学院准教授を経て、東京科学大学リベラルアーツ研究教育院教授。専攻は南アジア地域研究、近代日本政治思想。2005年、『中村屋のボース』で大佛次郎論壇賞、アジア・太平洋賞大賞受賞。著書に『思いがけず利他』『保守のヒント』『保守と立憲』、共著に『料理と利他』『ええかげん論』『現代の超克』、編著に『RITA MAGAZINE テクノロジーに利他はあるのか?』『RITA MAGAZINE 2 死者とテクノロジー』などがある。

「2025年 『建築と利他』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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