ラッセル『幸福論』 2017年11月 (100分 de 名著)

制作 : 小川 仁志 
  • NHK出版
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レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (116ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784142230808

感想・レビュー・書評

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  • アランの『幸福論』に続き、三大幸福論のもう一つのラッセルも読んでみました。

    この本は
    第1回自分を不幸にする原因
    第2回思考をコントロールせよ
    第3回バランスこそ幸福の条件
    第4回他者とかかわり、世界とつながれ!
    の4回からなっています。

    その中で心に残った言葉
    〇自分が送りたい理想の人生があったとして、それと仕事がまったく一致していなければ、その人生は不幸なものとなってしまいます。逆に理想の人生と仕事が一致している人は幸せだということはよくわかると思います。
    〇自分の人生の目的と自分の仕事が一致している、その調和が幸せにつながるのです。
    〇趣味は悲しみを癒す。
    〇幸福は待っていれば向こうからやってくるものではなく、自ら獲得するものだ。
    〇幸福な人とは、客観的な生き方をし、自由な愛情と広い興味を持っている人である。また、こういう興味と愛情を通して、そして今度は、それゆえに自分がほかの多くの人びとの興味と愛情の対象にされるという事実を通して幸福をつかみとる人である。

    私の感想としては、ラッセルも確かによかったのですが、同じ100分で名著シリーズで読んだ、アランの『幸福論』のほうが夢があって、ラッセルは現実的だと思いました。

  • ポジティブな幸福論だ!すばらしい

  • ・「無視」や「避けられない不幸は諦める」や「バランスこそ幸福の条件」などかなり現代的な思想。
    ・「幸福な人とは、客観的な生き方をして、興味と愛情を外に向けて広げる人。」

    -----------------------------------------
    (A) 何が人びとを不幸にするのか
    ラッセルはまず、総論として、不幸の最大の原因として「自己没頭」を掲げている。

    ①罪びと
    罪の意識にとりつかれた人のことであり、実際に罪を犯した罪人という意味ではない

    ②ナルシスト
    自分自身を賛美し、人からも賛美されたいと願う習慣を持つ人

    ③誇大妄想協
    魅力的であることよりも権力を持つことを望み、愛されるよりも恐れられることを求める人


    (B) 不幸の具体的原因

    ①バイロン風の不幸
    理性によって厭世的になってしまうこと。一言で言うとペシミズム(悲観主義)である。自分で勝手に不幸な世界観をつくり、そこに閉じこもろうとしている。

    ②競争
    成功は幸福の一つの要素でしかない。そのために他のすべての要素を犠牲にしてしまっては、決して幸福になれない

    ③退屈と興奮
    「多すぎる興奮に慣れっこになった人は、コショウを病的にほしがる人に似ている」。幸福になるためには、ある程度退屈に耐える力を養う必要がある。

    ④疲れ
    体の疲れは休めばすぐに回復する。運動による体の疲れはむしろ幸福感さえ生み出すだろう。心配からくる疲れこそ、人を不幸にする元凶である。

    ⑤ねたみ
    ねたみが人を不幸にするのは、「自分の持っているものから喜びを引き出すかわりに、他人が持っているものから苦しみを引き出している」からだ

    ⑥罪の意識
    罪の意識は子どもの頃に形成され、大人になってからも人を縛るものであり、「おとなの生活の不幸の根底にある心理的な原因」である。

    ⑦被害妄想
    周りが同情してもしなくても、自分が被害者だという思いをどんどん強めていく。「万人が自分を虐待していると感じているかぎり、幸福になることはまるで不可能だ」

    ⑧世評に対するおびえ
    自分が人にどう思われているかを気にするということである。「批評というものは、世評に無関心な人びとよりも、はっきりと世評をこわがっている人々に対して、つねにいっそう暴虐である」

    ------------------------------
    ・人は熱中すると幸福になれる。たとえば、科学者。
    ・困難だが実現できないわけではない目標を持っている者は幸福。たとえば、社会の改革に身を投じる若者。
    ・趣味に熱中すると幸福。たとえば、切手収集。

    まとめると、幸福の秘訣は、興味を幅広くすること。対象に敵意を持つのではなくて、良いところを見る。

    ■幸福の源
    「熱意、愛情、家族、仕事、私心のない興味、努力とあきらめ」
    ・熱意は、自分の内側ではなく外に向けるべし。熱意にはバランスが大切。熱意が行き過ぎないために、健康、能力、収入、家族への義務を損なわないように気をつける。
    ・愛情→自信→安心感。相互的な愛情が重要。
    ・家族では、親子の愛情が基本。親子相互に尊敬の念を持つ。
    ・仕事を面白くする。技術を向上させることで仕事を楽しめる。何かを作り上げることで仕事を楽しめる。
    ・私心のない興味とは趣味のこと。趣味は、気晴らしになるし、釣り合いの感覚を保つのに役に立つ(見える世界が狭くならない)し、悲しみを癒すのに役立つ。
    ・幸福には努力が必要。その一方で、避けられない不幸は諦める。絶望に根ざす諦めは良くないが、不屈の希望に根ざす諦めは良い。

  • 番組を観て面白かったので読んだ本。幸福になる方法が実践しやすくて読んでいて参考になった。人に薦めたくなる本。バランスが大事という話と、幸福になるためには社会とのつながりが必要というところが特に印象に残った。

  • わかりやすいテキスト。
    自分の生き方にも活かしたいと思える考え方がいくつかあった。
    また読み返したい。

  • 数学者かつ哲学者のラッセルによる幸福論。
    世界には三大幸福論と呼ばれる名著がある。アラン、ヒルティ、もうひとつがラッセル。
    ラッセルの幸福論の特徴は数学者らしく非常に論理的であること。
    まず自分自身は年をとるごとに幸福になったのでその原因を分析。
    1、自分が一番のぞんでるものが何か発見して徐々にこれらを獲得する
    2、望んでいるもののいくつかは手にはいらないと捨てること
    3、自分の欠点に無関心になり関心は外に向けていくこと
    の3点に整理。

    さらに次に、人が不幸である原因を分析。

    代表的なものは、厭世的になりペシミスティックになることや、過度な競争ねたみ。ねたみの分析はおもしろく「ねたみが人を不幸にするのは、自分の持っているものから喜びを引き出す代わりに他人の持っているものから苦しみを生み出すこと」と整理。
    他人の言葉に左右されるなというのも人生経験に裏打ちさせていておもしろい。「友人は皆、自分のことを多少は悪く思ってるものだと認識しろ」と。職場であればなおさらであろう。

    要するに不幸の原因はいろいろあるが、いずれも特別なものではない。だれしもが直面する平凡な日常の思考の癖、習慣から生まれている。
    だからこそ思考をコントロールすれば不幸は遠ざけられると結論づける。

    ではその思考のコントロールとは具体的になにか?

    「ある事柄を四六時中、不十分に考えるのではなく、考えるべき時に十分に考える」習慣のことだと論じる。
    ラッセルは徹底的に数時間考えて数週間あとはほっとくとかやっていたらしい。四六時中、悩みにとらわれず思考をコントロールするひとつの例といえよう。
    また退屈に対する思考のコントロールも重要と。
    人は退屈がいやで興奮をもとめるが、幸福になるならばある退屈への耐性をみつにけるべきだ。退屈にたえるというよりも退屈を楽しむというべきか。
    また疲れてきたり悩むときは、その悩みを宇宙から比べれば誤差だよな、と相対化してしまう思考方法を提示。これもおもしろい。

    こういうった思考習慣を身につけていけば不幸を遠ざけれると。
    さらに、これでは思考を意識レベルでかえるのみなので無意識レベルにまでいくことが大事と提言。
    つまり意識レベルでいったん考え抜いてそこでいったん保留しておいて無意識に仕事させて答えをださせるまでまつということだ。


    思考のコントロールに並んでほかに重要なキーワードは「バランス」。
    バランスこそが幸福をもたらす。

    アンバランスな没頭は不幸を招く。だからバランス。仕事だけでなく幅広い趣味をもつこともバランスには大事だ。
    もちろん仕事は幸福に非常におおきな役割をもたらす。
    とくに仕事は技術を通じてなされるので、その技術が着実に進化していることが幸福感につながる。
    そしてさらに仕事が人生の目的と一致すると最高に楽しい。一貫性がうまれるというやつだ。

    can、will、call(社会の要請)、task(会社からの要請)が一致するとき最高に楽しい仕事ができると自分は考えているがそこにつうずるものだ。

    またバランスの一環で「あきらめ」についてもおもしろい。
    あきらめには「絶望」によるあきらめと「希望」のあるあきらめがある。後者がよい。とくにラッセルは平和活動をしていてたたかれまくったらしいが、それでも自分の活動がいつか種としておおきな木に後世になるだろうとおもって活動していたらしい。まさに希望のあるあきらめである。一度や二度挫折してもその道をだれかが引き継いでくれる・・・そうおもうあきらめのある活動。自分が何かをやって世界はかわらないというのをへいわかつどうで彼は痛感した。だがそんなおとはどうでもよい。無意味だったと絶望してもしょうがない。それでも前にあるき、誰かにつなぐ、そこに希望がうまれる。

    そして死。
    われわれの愛情はすべて死の手に委ねられている。それはいつくるかわからない。だから人生の意義や目的を死という偶然で左右されないように今を全力でいきていかねばならない

    幸福とはなにか?と問うより、幸福な人とは何かとかれは問う。
    それは他人に左右されずに自分の内側にわきあがることを客観的にみてそれをやること。そしてバランス良くほどほどにすること。
    最後に幸福には自分との調和に加えて社会との調和が不可欠だとかれはとく。社会と対立したり孤立するといくら自分のなかで調和しても幸せになれない。だからこそかれは平和運動という社会への働きかけをしたのだろう。
    個人が幸福になるには社会が幸福にならねばならない。
    これは宮沢賢治の、「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得 ない」に通じる考え。

  • 「ラッセル『幸福論』」小川仁志著、NHK出版、2017.11.01
    101p ¥566 C9498 (2017.12.09読了)(2017.10.27購入)
    世界の三大幸福論と呼ばれるのは、以下の通りです。
    ラッセル『幸福論』(イギリス)
    アラン『幸福論』(フランス)
    カール・ヒルティ『幸福論』(スイス)
    アランの『幸福論』は、既に「100分de名著」で取り上げられ紹介されています。テキストも翻訳本も放映後読みました。ヒルティの『幸福論』は、いずれ取り上げられたときにでも読んでみましょうか。
    ラッセルの『幸福論』は、小川さんの解説で読む限りは、わかりやすいのですが、『幸福論』からの引用部分を読むと必ずしもわかりやすくはなさそうです。
    積読の中にラッセルの『幸福論』は、あるはずなのでこの機会に読んでみようとは思います。
    ラッセルの『幸福論』で言っていることは、幸福になるには、関心を自分の内部ではなく外部に向けること、いくつかの趣味を持つこと、のようです。
    さらに、幸福であるためには、世界が平和であることが必要、ということで、ラッセルは、平和運動にも力を入れています。

    略歴
    1872年、イギリス・ウェールズに生まれる。
    1894年、ケンブリッジ大学卒業
    1910年、「プリンキピア・マテマティカ」刊行
    1926年、『教育論』出版
    1930年、『幸福論』出版
    1950年、ノーベル文学賞受賞
    1955年、「ラッセル=アインシュタイン宣言」発表
    1970年、97歳で死去

    【目次】
    【はじめに】実証済みの「幸福になる方法」
    第1回 自分を不幸にする原因
    第2回 思考をコントロールせよ
    第3回 バランスこそ幸福の条件
    第4回 他者とかかわり、世界とつながれ!

    ☆関連図書(既読)
    「アラン『幸福論』」合田正人著、NHK出版、2011.11.01
    「幸福論」アラン著・神谷幹夫訳、岩波文庫、1998.01.16
    「幸福論」寺山修司著、角川文庫、1973.01.30
    「不幸論」中島義道著、PHP新書、2002.10.29
    「新訳哲学入門」B.ラッセル著・中村秀吉訳、現代教養文庫、1964.02.28
    (2017年12月11日・記)
    内容紹介(amazon)
    自分の「外部」に没頭せよ
    核兵器の廃絶と科学技術の平和利用を訴えた「ラッセルアインシュタイン宣言」でも知られる知の巨人、バートランド・ラッセル。彼が自らの人生を通じて実証した、幸福を「獲得」する方法とは? 「究極のポジティブシンキング」で、論理的に幸福をつかめ!

  • 17/10/27

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