三木 清『人生論ノート』 2018年11月 (100分 de 名著)

  • NHK出版 (2018年10月29日発売)
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Amazon.co.jp ・雑誌 (112ページ) / ISBN・EAN: 9784142230921

感想・レビュー・書評

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  • 多分人生論ノートは、わたしには難しくて読めない。
    でも、岸見さんの解説、想いみたいなものがのると、非常にわかりやすく読めました。人生論ノートを語る岸見さんの文章が、好きなのかもしれない。
    だからまたこの一冊を再読すると思います。
    いつか人生論ノートそのものを読めたらいいけど、まだ無理だと思います、わたしは。

  • 三木清の本を読もうと思ったのはこのニュースを見たのがきっかけだった。
    https://www.nhk.or.jp/shutoken/wr/20201230.html
    戦前、哲学者や宗教家が思想犯として投獄されていた(旧)中野刑務所。その刑務所の門を保存する意義を、専門家にうかがうという内容だ。三木は中野刑務所で獄死している。獄中で病に苦しみながらも執筆をあきらめなかったらしい。
    2021年2月現在、国内外とわず言論の自由について気になるニュースが多い。三木の「人生論ノート」が発行された1941年、日本は太平洋戦争に突入しようとしていて検閲の目が厳しくなっていた。そんな時勢でも、全体主義化し言論統制をおこなう政府への批判を続けた三木の著書は、今こそ読まれるべきじゃないだろうか。(報道の自由度ランキング(日本)のリンク:https://rsf.org/en/japan

    一方で、三木は検閲の目を免れるためにわざと分かりにくい表現を使って書いていたという背景もあり、僕にとっては原文よりも本書の方が咀嚼しやすく感じた。

    人生論ノートで触れられているテーマは幅広い。幸福、希望、秩序、嫉妬、偽善、孤独・・・などを論じている。どれも普遍的で大切だけれど、あまりおおっぴらに話したくはないテーマだよな、と思う。なぜなら現在、こういったテーマは色々なビジネスの食い物にされているからだ。受け取り手の良心を満足させたり優越感を抱かせたりするビジネス。自己啓発・信仰対象・スピは、今の僕が求めるものではない。
    一方で人生論ノートは、どこまでも分析に基づいた記述で、読み手自身の判断と表現を促している。印象的な内容を、二つ紹介する。

    まず幸福について。成功は定量的な評価が可能なパラメータの大小(収入、地位、etc)で相対的に決定される要素であるのに対し、幸福はそうではなく、再現性がとても低いという特徴を持っている。幸福はDIYによって得られる。このDIYとは、実際の物を作ることだけじゃなく、自身の知識経験想像力をもとに思想を持つことや、芸術や言葉で表現を行なうことも指している。

    かなり自分の解釈が入り込んだ紹介になってしまったけど、この幸福に関する記述はとても納得がいく。人生は勝つか負けるかみたいな世界観で生きてる大変そうな人や、借り物の価値観や言葉を武器に人をこき下ろすことでしか満足を得られない人など、自分の基準が分からなくなってしまった人々の姿が思い浮かぶ。「弱肉強食」とか「うまいこと言った」系の言説がまかり通る社会には、理性的な発信の場はない。

    もう一つは秩序について。個人の道徳を心の秩序と呼んで、その秩序は自身で形成するべきだと三木は言う。なぜなら、全員が同じ基準で是非を判断することが当然となり、かつそうするべきとなってしまった社会は、全体主義へと突き進むのみだからだ。また、個人に秩序があるように、国家にも秩序がある。国家の秩序はある絶対的な前提・価値基準をもとに作られる。そして国家の秩序は心の秩序に合致したものであるべきだと語られている。

    この内容は、思想を自身で形作るべきという幸福に関する話と共通する点がある。そして国家の秩序という点について考えると、たとえば人権の尊重は絶対的な前提であり、表現の自由を根拠にヘイトスピーチを正当化することはできないと断じる面を持ちつつ、言論という形で表に出される国民それぞれの秩序を取り入れていく面も持つ必要があるということになる。80年も前に既に語られていたことについて、僕は何も知らなかったのだなあ(そして周囲も…)と情けない気持ちになった。

    このように「人生論ノート」は、レトリックで読者を煙に巻くような言葉ではなく、(わかりにくい表現であるものの)現実に即した問題提起と主張を表現する言葉で構成された本だった。言葉の使われ方に不安を覚えるこの時代、「人生論ノート」は心強い道しるべになるような予感がしている。

  • 背景わかるとより面白く読めますね。

  • 私は100分de名著シリーズが大好きなのですが、それは、解説者達の名著に対する愛が強すぎて、すごい熱量を感じるからなのです。この本も御多分に洩れず、三木清と岸見一郎が融合して、素晴らしい解説本になったと思います。
    岸見一郎が著した有名な作品に嫌われる勇気がありますが、嫌われるを読んでモヤモヤしていた部分が、この三木清の解説本を読んでスッキリしました。間違いなく、自分の中の何かが変化したように思います。
    三木清の本も読んでみたいけど、難しいだろうな、でも、時間ができたらチャレンジしてみたい。今から楽しみにしています。

  • 他の人を意識し、善悪の基準を他人に任せて
    自分では判断しない人を非難する三木。

    虚無とは、無秩序でカオスな状態。
    自身の観念や美意識のない状態を指す。
    その混沌とした「虚無」の中身を、切り捨てたりするのではなく、混合の中に秩序を見出すこと。

    ここでいう秩序とは、見た目上整ったものではなく
    「心の秩序」と合致する納得感のあるものを言う。

    「人生論ノート」本文の引用は難解な箇所も多いが、岸見先生の具体的な説明がわかりやすい。

  • 三木が命を懸けて伝えたかったこととは。
    現代にも通じ、ハッとさせられる。

  • 見た回

  • 番組を観て面白かったので読んだ本。三木清の思想を岸見一郎先生の解説で知ることができて良かった。岸見先生の解説がわかりやすくて良かった。「虚栄」についての三木の考えが1番印象に残った。この本を読んで三木清についてもっと知りたいと思った。

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著者プロフィール

岸見 一郎(きしみ・いちろう):1956年、京都生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学(西洋古代哲学史専攻)。京都教育大学教育学部、奈良女子大学文学部(哲学・古代ギリシア語)、近大姫路大学看護学部、教育学部(生命倫理)非常勤講師、京都聖カタリナ高校看護専攻科(心理学)非常勤講師を歴任。専門の哲学に並行してアドラー心理学を研究、精力的に執筆・講演活動を行っている。著書に『アドラー心理学入門――よりよい人間関係のために 』(ベスト新書)『エーリッヒ・フロム――孤独を恐れず自由に生きる』(講談社現代新書) など多数。共著に 『嫌われる勇気――自己啓発の源流「アドラー」の教え』(ダイヤモンド社)がある。

「2025年 『自省のすすめ ひとりで考えるレッスン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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