スピノザ『エチカ』 2018年12月 (100分 de 名著)

制作 : 國分 功一郎 
  • NHK出版
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レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (116ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784142230938

感想・レビュー・書評

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  • Spinozaというオランダの哲学者については、高校の倫理の授業で多少触れた程度でさしたる記憶もなかったのですが、本書の分かりやすい解説を読んで彼の思想の大綱を理解することができたように感じました。

    紹介されているスピノザの思想は、日本の八百万神にも似た汎神論ですが、これは日本人が考える包摂的な存在としての神に近いかもしれません。

    また、著者が言うところの必然性の範囲内での自由の定義、というのも制約からの自己の解放という意味で、すんなりと納得できる部分でした。自由というのが、何をやってもいいという無制限の状態とは違う、という思想はある意味健全な考え方のような気がします。

    機会があれば、スピノザの著作にチャレンジしてみたいと思いました。

  • 2019年6月26日読了。

  •  國分氏の解説が素晴らしい。スピノザの現代的なことが、私自身の考えをまとめるためにも有効なことがよくわかった。原典に実際挑戦したいのだが、むずかしいだろうな…

  • そうだ、スピノザだ!『エチカ』を読んでみよう!と思いたち、岩波文庫で出ている同書を読み始めた。どこかで國分先生が「『エチカ』は下巻から読むといいよ」と言っておられたのを知っていたので、下巻から読み始めた。

    ところが、冒頭からいきなり「一、善とは、それが我々に有益であることを我々が確知するもの、と解する。二、これに反して、悪とは、我々がある善を所有するのに妨げとなることを我々が確知するもの、と解する。云々」と始まってしまい、必死に櫂を漕ぎ漕ぎ読み進めたものの、次々と現れる「定理」と「証明」の大波にさらわれ、大海原を漂流していた。

    はっとさせられるところ、しみじみと考えさせられるところもあったがしかし青息吐息、息も絶え絶えになっていたところに、大きな救助船が現れた。このNHKテキストである。國分功一郎教授の解説は、具体例が多く盛り込まれており、中心的なテーマごとに章立てがされており、とてもわかりやすい。具体的な記述に加え『エチカ』が書かれた背景や時代性、スピノザの人となり、さらにはデカルトとの対比など、『エチカ』のみでは知ることのできないトピックスも豊富で、また國分先生のスピノザ愛を感じる筆致で、『エチカ』の理解を大きく助けている。こうした記述によって、『エチカ』が、さらには哲学者スピノザが立体的に立ち現れてきている。

    このテキストを船首の女神像よろしく舳先に据えて、再び大海原に乗り出そうと思う。今度は先ほどとは違い、見晴かす海は美しく、風も心地よい。気力も十分にみなぎっている。スピノザの珠玉の言葉がきらきらと波上を光らせ、真理の旅に導いてくれているような気がする。

    國分先生は最後のところで「概念を使いこなせるようになることこそ、哲学を学び、哲学を身につけることなのです。」と述べておられる。『エチカ』を通して、活きた哲学を身につけていきたいと思っている。

  • スピノザのエチカを読み始める前に解説書の認識で読んだ一冊。

    歴史的に名著と言われるものは、読むのに難しい事が多い。どうしても意味がわからないまま読み進めて、途中で断念してしまうのだ。

    NHKがやっている100分de名著は、その課題を解決してくれる。専門家が分かりやすく解説してくれるから、難解な本がとても分かりやすくなるのだ。

    エチカのエッセンスを学んだ上でエチカに望む方が間違いなく読破できるだろう。

    エチカの概論を知りたい人にもオススメの一冊。

  • 「スピノザ『エチカ』」國分功一郎著、NHK出版、2018.12.01
    115p ¥566 C9410 (2019.03.04読了)(2018.11.27購入)

    【目次】
    【はじめに】ありえたかもしれない、もうひとつの近代
    第1回 善悪
    第2回 本質
    第3回 自由
    第4回 真理

    ☆関連図書(既読)
    「方法序説」デカルト著・小場瀬卓三訳、角川文庫、1963.11.10
    「精神指導の規則」デカルト著・野田又夫訳、岩波文庫、1950.08.10
    「デカルト」野田又夫著、岩波新書、1966.07.20
    内容紹介(amazon)
    思考のOSを入れかえる
    17世紀を生きた哲学者・スピノザの主著『エチカ』。タイトルは日本語で「倫理学」であり、人間が正しく生きる方法を説く内容だが、発行当初は無神論者による冒涜の書として禁書となった。あまりに革新的で、それゆえ難解なスピノザの思考法とはどのようなものだったのか? 気鋭の哲学者が読み解く!

  • 哲学自体が全くのど素人だったので、正直理解するところまでいっていないのですが、平易な文章で、読むこと自体にストレスを感じずに済みました(國分先生の文章力?噛み砕く力?にただただ感服……)
    普段、自然科学の分野にどっぷり浸かってる人間にはただただ真新しくて新鮮な世界……この手の本でこんなに楽しんで読めたのは初かもしれません。

  • デカルトからの近代ではない、もう1つのあり得た今というSFにも近い捉え方が魅力的。なるほど民主主義にせよ人権にせよそれらの矛盾点が現実の問題として表出している現在、OS自体の交換すら検討すべきなのかもしれない。

  • 学生時代、何度かトライして数行で断念したスピノザ。
    100分で名著シリーズで改めて挑戦。
    もう一度原著に取り組んでみようかと思える内容だった。

    ■印象に残った言葉
    ・スピノザのOSと自分がどこが違うのかを知ることが重要。
    ・人間の善悪は「命令」と結びついている
    ・それ自体で善のもの、悪のものは存在しない。
    ・我々は「我々の活動能力を増大、促進するものを善。減少し、阻害するものを悪」としている。

    ■感じたこと
    とても勇気づけられる1冊だった。
    人間とは、それぞれが持っている(与えられている)力(コナトゥス)が異なるのだから、組み合うものによって力の伸び方が異なる。それは実践的な倫理につながっていく。
    人間のありようにそもそもの「善し悪し」はない。自分の活力を向上させるかどうかで判断をしている。

    受動と能動の考え方も大変参考になった。自分の力を表現しているか否か。自分自身が活かされているかどうかが基準になる。しかし社会のなかで人間は完全に能動になることはできない。完全に自分の意志だけを通すことはできない(それができるのは神だけ)。
    現代社会には意志への過信がある。すべてを意志で決めているのではない。産み落とされた場所の運命に左右される。受動の中を生きているのだ。
    それを自己責任という人とはなかよくできないな、と感じた1冊だった。

  • 活動能力の増大、能動的になることが大事だという考え方が、保育の事例検討での学びと一致して、おもしろかった。

    しかし、近代科学的な証明が難しいと言う。

    世間から「何でも早く上手にできる」ことを求められ、遡って、乳幼児の保育や子育てもその延長線上に置かれがちである。できるできないのほうが、たしかに見た目にわかりやすい。内面を育てる保育や子育ては成果がわかりにくい。この辺りともリンクして、興味深かった。


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