マルクス・アウレリウス『自省録』 2019年4月 (100分 de 名著)

制作 : 岸見 一郎 
  • NHK出版
4.03
  • (17)
  • (35)
  • (15)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 344
感想 : 26
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (116ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784142230976

作品紹介・あらすじ

欧米の著名な政治家たちが座右の書にあげるという『自省録』は、第16代ローマ皇帝が自身の思索や内省の言葉を綴った古典中の古典。「困難に直面したとき、人はどう生きるべきか」という普遍的な示唆がそこにあります。2千年の間よみ継がれてきた豊饒かつ難解な名著を、アドラー研究で知られる岸見氏が解説します。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ## 本書を読んだきっかけ

    佐々木俊尚著『現代病「集中できない」を知力に変える 読む力 最新スキル大全―脳が超スピード化し、しかもクリエイティブに動き出す!』で古典の入門書としてNHKの100分de名著シリーズが紹介されていた。

    『自省録』やストア哲学に関心があり、取っ掛かりとして本書を読んでみることにした。

    ## 感想

    文章は平易でわかりやすく、『自省録』が書かれた時代背景も簡単に解説されているのでイメージがつかみやすい。『自省録』は全般を通してわかりにくい言い回しが多いが、本書ではマルクス・アウレリウスが何を考えていたのか、その断片を垣間見ることができる。
    哲学者として生きることを望みながらも、皇帝として生きなければならなかったアウレリウスが、いかに理想と現実のギャップを埋め、バランスを取って生きるかに心を砕いていたことがよくわかった。
    著者がアドラー心理学の研究者なので、アドラーの話がところどころ挿し込まれているが、これは蛇足だった感じがする。

    ## 要約

    - マルクス・アウレリウスは賢帝による治世が続き、ローマ帝国が平和と繁栄を謳歌していた時代である121年にローマの名門家庭に生まれた。その後アウレリウスは39歳で帝位を継承。義弟のルキウスと共同統治をするが、度重なる天災と四方にある辺境からの外敵の侵攻に悩まされた。アウレリウスは軍を率いて遠征するが、ローマに一時帰国する途中で、ルキウスが急死。アウレリウスが一人で帝国の舵取りをすることになったこの頃から『自省録』が書き始められたと言われている。その後息子であるコンモドゥスとの共同統治を始めるが、前線で冬営中にアウレリウスは病に倒れ、58歳で亡くなった。

    - アウレリウスは哲人政治を具現した賢帝と言われている。

    - 自省録における「善く生きる」とは、幸福に生きるということ。どうすれば幸福であるかは自明ではない。どうすればよいのかについて、アウレリウスは絶えず考えていたと思われる。

    - ストア哲学において大切なのは「自然に一致して生きる」こと。この自然とはいわゆる自然ではなく、宇宙の秩序を示す法則(理性・ロゴス)を指しており、何が自分のためになるのか、どう生きることが幸福であるか(=善)を判断できることが自然に従って生きる(=理性)こととなる。

    - 何か外にあるものを受け取ったとき、感覚器官はその映像を心に刻印する。これを表象という。表象が理性によって承認されたとき、はじめで認識に取り込まれる。例えば悪口を言われたという事実があっても、それを理性が承認しなければ自分は害を受けず、ただ悪口を言われたという事実が残るだけ。

  • 随所に心に沁み入る言葉がちりばめられている。

  • NHK

  • 面白いです。ストア派の考え方が解説とともに学べるだけでなく、昔の人の内面が生き生きと表れているという点でも価値ある本だと思います。

  • ローマ帝国時代においても、現代と同じ悩みを持ち、日本の禅に通じる(今を生きる)という考え方に共感しました。

  • 「困難に直面したとき、人はどう生きるべきか」という普遍的な示唆がそこにあります。2千年の間よみ継がれてきた豊饒かつ難解な名著を、アドラー研究で知られる岸見氏が解説します。(e-honより)

  • ・友人の「省みすぎやでホンマ」の感想がツボに入りすぎている
    ・素晴らしいこと言ってるなーというのは勿論なんですが、「善であれ」っていうのと、「判断するな、ありのまま受け入れよ」という柱があって、しかし、善であるためには何が善かを判断しないといけないのでは?外的現象はそのまま受け入れ、自分の内部については善悪を定める?の? それは可能なの? 人生ハードモード過ぎない??? と思っています…

  • たまたま、漫画「ミステリと言う勿れ」の登場人物たちの中で『自省録』の抜粋がいくつか登場してきたことがきっかけで興味を持ったところ、たまたま当月の100分de名著のテキストが書店で目に飛び込んできました。

    ついでに、NHKのオンデマンドにも加入しました。(テレビを所有していない)

    原作(?)はエッセーよりも短いセンテンス集のようですが、いきなり読むのもハードルがあるので、こうして解説文も踏まえてピックアップしてくれるのはとてもいいです。
    こんなに昔の時代の皇帝でも、小市民的な悩みを抱えていたんだと親近感も増します。

    番組だと伊集院光さんの解釈も相俟って一緒に考えたりすることができるので、せっかくならNHKオンデマンドで番組を見ることをお勧めします。

  • 100分de名著を100冊読んだ人の記事がバズってて興味をもったので自分も読んでみる。

    まずは自分も何回も繰り返した読んだことのある「自省録」。
    既読のため新鮮さはないけど、この人はこう解釈するのか~という理解の確認的な使い方ができるのはおもしろい。理解も深まる。

  • マルクス・アウレリウスの「自省録」入門の立ち位置の本。

    「自省録」自体があくまでマルクス・アウレリウスが自分のために書いたメモなので、脈絡がない記述や同じような内容が複数回出てきたりするので、ひとまず触りの本を読むことで全体を捉えようとして読んでみました。

    ちょくちょくアドラーに関する記述が出てくるのが気になりますが、それでも読みやすかったです。

全26件中 1 - 10件を表示
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×