小松左京スペシャル 2019年7月 (NHK100分de名著)

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  • NHK出版
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (129ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784142231010

作品紹介・あらすじ

2019年7月度の「100分 de 名著」は小松左京スペシャル。
神なき時代の「神」を求めて

宇宙全体のなかで、この「私」の存在にはどんな意味があるのか? 人知を超えた「何か」は存在するのか?──かつては宗教的テキストが担ったこれらの問題意識に、小松左京はSFという形式で挑んだ。『地には平和を』『日本沈没』『虚無回廊』『ゴルディアスの結び目』などの代表作から、その壮大な試みに迫る!

感想・レビュー・書評

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  • 実は久しぶりに買って読んでみて、なおかつ録画していた番組も100分視聴したのであるが、遥かに宮崎哲弥の文章よりも、NHKの番組の方が良かった。プロの俳優の朗読や、アニメ化された作品の方が多くを語ってくれた。宮崎の文章は、新たな知見も多かったが、それ以上のものではなく、かえって内容を難しくするだけの知識の羅列であり、役には立たなかった。

    素晴らしかったのは、改めて小松左京を思い出したことだ。高校生だった私に、世界(日本を含めた宇宙)を見ろ、未来を想像しろ、と促した恩人だったと思い出した(新書「未来の思想」)。SFというものを知らしめてくれた人だった(「果てしなき流れの果てに」)。

    「地には平和を」(1963)は、偶然にも最近読んだ本と関係があった。『日本のいちばん長い日』の1945年8月15日のクーデターが「成功していた場合」どういうことが起きるのか、という問いかけだった。これがコンピュータ付きブルドーザーと言われた小松左京の実質デビュー作であり、やはり彼の膨大な著作の原点だったのだ。

    「地には平和を」で、歴史の改変を行ったキタ博士は、タイムパトロールにこのように反駁する。
    「悲惨だと?」「悲惨でない歴史があるか?問題はその悲惨さを通じて、人類が何をかち得るかということだ」「20世紀が後代の歴史に及ぼした最も大きな影響は、その中途半端さだった。世界史的規模における日和見主義だった」「日本の場合、終戦の詔勅一本で、突然お手上げした。その結果、戦後彼らが手に入れたものは何だったのか?20年を待たずして空文化してしまった平和憲法だ!」(24p)

    この「戦後」に対する明確な違和感。これが小松左京の出発点だった。

    「日本沈没」(1973)は、高度成長期の終わりに、もう一度それを壮大なシュミレーションSFとして作ったものである。

    「ゴルディアスの結び目」(1977)は、左京の思想の影響を与えたダンテ「神曲」の小松版地獄編である。

    その地獄編を更に進めた未完「虚無回廊」(2000)。

    未来を想像し、創造しようとした小松左京が、阪神大震災のルポを書いている途中に神経をやられて休筆し、東日本大震災で混乱している2011年の半ばに亡くなったことを知った。"未来"が彼を殺したのか?絵に描いたようなSF人生だったと思う。

  • 日本を代表するSF作家である小松左京の作品に触れ、その発想力に魅了されました。今後、機会あれば原作を読もうと思います。

  • やけに表現が回りくどく、宮崎のオナニーみたいな文章。

  • 「小松左京スペシャル」宮崎哲弥著、NHK出版、2019.07.01
    129p ¥566 C9490 (2019.07.29読了)(2019.06.28購入)

    【目次】
    【はじめに】戦後日本SFとは何だったのか―小松左京を通じて
    第1回 原点は「戦争」にあり―『地には平和を』
    第2回 滅びとアイデンティティ―『日本沈没』
    第3回 深層意識と宇宙をつなぐ―『ゴルディアスの結び目』
    第4回 宇宙にとって知性とは何か―『虚無回廊』

    ☆関連図書(既読)
    「首都消失 上」小松左京著、徳間書店、1985.03.31
    「首都消失 下」小松左京著、徳間書店、1985.03.31
    内容紹介(amazon)
    神なき時代の「神」を求めて
    宇宙全体のなかで、この「私」の存在にはどんな意味があるのか? 人知を超えた「何か」は存在するのか?──かつては宗教的テキストが担ったこれらの問題意識に、小松左京はSFという形式で挑んだ。『地には平和を』『日本沈没』『虚無回廊』『ゴルディアスの結び目』などの代表作から、その壮大な試みに迫る!

  • 電子書籍

  • SFというものをベースにして深いテーマを私たちに示していることを知って、小説を読んでみたくなった。これまでは映画はいくつも観たが

  • ■書名

    書名:小松左京スペシャル 2019年7月 (NHK100分de名著)
    著者:宮崎 哲弥

    ■概要

    神なき時代の「神」を求めて

    宇宙全体のなかで、この「私」の存在にはどんな意味があるのか?
    人知を超えた「何か」は存在するのか?──かつては宗教的テキストが担
    ったこれらの問題意識に、小松左京はSFという形式で挑んだ。『地には平和を』
    『日本沈没』『虚無回廊』『ゴルディアスの結び目』などの代表作から、そ
    の壮大な試みに迫る!
    (amazon.co.jpより引用)

    ■気になった点

    小松左京さんは、知っているし、作品もいくつか知っているけど、読んだこと
    ありませんでした。
    この本を読んで、久しぶりに「読んでみたい!」と感じた作家さんでした。

    この人の最初の文章がすごい。掴みが強烈です。
    読者が考える一文を持ってくる、この才能は意味不明です。

    とりあえず一番惹かれた「ゴルディアスの結び目」は読みます。

  • 著者の著作の中で初めて読んだ本。小松左京のことは名前は知っているが、著作を読んだことが無くて映像化された作品も観たことが無い状態で読んだ。小松左京のことや作品のことを知ることができて良かった。この本を読んで小松左京作品が読みたくなった。

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著者プロフィール

1962年、福岡県生まれ。相愛大学客員教授。慶応義塾大学文学部社会学科卒業。専門は仏教思想・政治哲学。サブカルチャーにも詳しい。近著に、『仏教論争―-「縁起」から本質を問う』(ちくま新書)、『ごまかさない仏教―-仏・法・僧から問い直す』(新潮選書、佐々木閑氏との共著)、『知的唯仏論―-マンガから知の最前線まで─ブッダの思想を現代に問う─』(新潮文庫、呉智英氏との共著)、『さみしさサヨナラ会議』(角川文庫、小池龍之介氏との共著)、『宮崎哲弥 仏教教理問答』(サンガ文庫、白川密成・釈撤宗・勝本華蓮・南直哉・林田康順の各氏との共著)、『日本のもと 憲法』(監修、講談社)など多数。

「2020年 『いまこそ「小松左京」を読み直す』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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