ローティ『偶然性・アイロニー・連帯』 2024年2月 (100分 de 名著)
- NHK出版 (2024年1月25日発売)
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感想 : 42件
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Amazon.co.jp ・雑誌 (116ページ) / ISBN・EAN: 9784142231607
作品紹介・あらすじ
民主主義の危機は、「哲学」が守る
「トランプ現象」を20年近くも前に予言したとして、一躍注目された哲学者リチャード・ローティ。彼は、現代アメリカを代表する哲学者でありながら、真理の探究を目指し「理性」を重視する従来の哲学(近代哲学)を、社会の分断や差別をもたらすものとして根本から否定する。そして、『偶然性・アイロニー・連帯』などの著作を通して、「人と人との対話を止めない」ことを軸とする新たな哲学の役割を提示し、あるべき社会の在り方を論じた。
社会の分断やポピュリズムが広がり民主主義が脅かされている現在、私たちはどのような社会を構想すればよいのか。ローティのダイナミックな思想を手がかりに、そのヒントを探っていく。
感想・レビュー・書評
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BRUTUS web版で朱喜哲さんが連載中の『バザールとクラブの哲学』を読んだことが本書を手に取ったきっかけ。ここ最近のPodcastやYouTubeでも聴いたり、見たり。
本書はローティの『偶然性・アイロニー・連帯』の紹介を通して、彼の哲学思想を説明するというもの。いきなり原文読んでも分からなかっただろうし、非常に勉強になった。
『バザールとクラブ』という譬え話は現代を理解する上で大事だと感じた。自分が過ごしている多くのコミュニティは、どこに位置付けられるのか?
また「ことば」についてもその重要性が言及されているのも気になった。負の側面の参考として伊藤計劃『虐殺器官』があがってた。購入済みだから積読の順番を変えて読んでみよう。
プラグマティズムに興味持ったので少し勉強したいな、と思いました。
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ローティは、トランプ大統領(のような政治家)の登場を予言した、20世紀アメリカの哲学者。ローティの哲学は、従来のような、本質的な結論(真理とか)を目指して、「終極の語彙」で相手を黙らせる(論破する)ことが目的では無い。言葉や考え方に変化がある可能性を容認する前提のもと、人々が議論を続け、共感・連帯を生み続けることが目的だという。
100ページ程度の「解説書」にも関わらず、読んで理解するには集中力が必要。さ~っと読んでしまうこともできるが、それでは頭に全く入ってこないのである。久しぶりに、「ゆっくり丁寧に読む」「読み返す」という取り組みを意識的に行った。
中には「バザールとクラブ」や、ナボコフの小説『ロリータ』を事例としたローティ哲学の説明もあり、少しリラックスできるパートもある。紙面が限られる中で、素人に何とかローティ哲学を分かり易く伝えようとする解説者の心遣いを感じた。
西洋哲学史のおさらいや、「プラグマティズム」等の基礎用語を学ぶことができ、教科書という感じの一冊であった。 -
番組を見てすぐに買いました。
著者の朱さんの解説が明瞭でとても興味深い回でした。
現代を生きる我々へ生きる上での様々なヒントや納得を与えてくれる本だと思います。 -
「哲学の使命は『会話を継続させること』」。読み始めたときはうまく理解が出来なかったが、読み進めるごとにピントが合ってくるような読書体験だった。
世の中を知れば知るほど「断定できることなどなにもない」と相対的な立場に傾いてしまうが、その場に硬直せず、本を読み世の中の出来事をかみしめて想像力を通じて人間を拡張すること、会話を止めないこと、そういったことこそが希望だと気づかせてくれるよい本だった。 -
まずこのテキストで予習。そして録画テレビで朱先生の解説、戸田さんの朗読、伊集院さんの切込み、安部さんの進行全て胸を熱くしながら、一字一句理解しながら、一時停止しまくりながらノートに書きながら講義受けた。朱先生の話ずっと聞き入ってたくて終了が寂しい。
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この番組は本当に素晴らしい。出来ることなら原著に当たるべきなのだろうが、多分、挫折するだろう。私には、番組とテキストで分かった気になるぐらいでちょうど良い。
哲学について、新しい、というよりも、原点回帰のような。
「終局の語彙」が個人の深いところにあるからこそ、その書き換えは屈辱や苦しみを生じる。言葉が人を殺してしまうことも。伊藤計劃『虐殺器官』はよく表現している。
人権が本質ではなく言葉でしかない、そうなると、全く力がない。
哲学は、切り離されてしまった○○学の間に漂い、人と人をつなぐものなのかなぁ、と思う。 -
再読
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ローティに言及した、いくつかの著作に触れ、感銘したことに伴い、本書も紐解いた。
本質を求めないが故に、辿り着ける世界がある。その結論がもたらす行く末の可能性の大きさを十分に感じられたナビゲートであった。 -
うーん、久しぶりに難解な内容でした。理解不能です
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終極の語彙の再記述
虐殺の文法
人権が機能しないメカニズム -
「ローティ『偶然性・アイロニー・連帯』」朱喜哲著、NHK出版、2024.02.01
107p ¥600 C9410 (2024.03.21読了)(2024.01.26購入)
【目次】
【はじめに】哲学者とは会話の守護者である
第1回 近代哲学を葬り去った男
第2回 「公私混同」はなぜ悪い?
第3回 言語は虐殺さえ引き起こす
第4回 共感によって「われわれ」を拡張せよ!
☆積読中
「ロリータ」ナボコフ著・大久保康雄訳、新潮文庫、1980.04.25
☆関連図書(既読)
「虐殺器官」伊藤計劃著、早川書房、2007.06.25
「アンクル・トムの小屋」ストウ著・丸谷才一訳、河出書房新社、1993.03.10
(アマゾンより)
民主主義の危機は、「哲学」が守る
「トランプ現象」を20年近くも前に予言したとして、一躍注目された哲学者リチャード・ローティ。彼は、現代アメリカを代表する哲学者でありながら、真理の探究を目指し「理性」を重視する従来の哲学(近代哲学)を、社会の分断や差別をもたらすものとして根本から否定する。そして、『偶然性・アイロニー・連帯』などの著作を通して、「人と人との対話を止めない」ことを軸とする新たな哲学の役割を提示し、あるべき社会の在り方を論じた。
社会の分断やポピュリズムが広がり民主主義が脅かされている現在、私たちはどのような社会を構想すればよいのか。ローティのダイナミックな思想を手がかりに、そのヒントを探っていく。 -
東浩紀『訂正可能性の哲学』に議論の展開が似ているような…。東さんはローティからの影響がかなりありますが、この本の著者の方は暗に東さんを参照しているのかもしれません。ローティ(と東さん)のリベラルっぽさと保守っぽさの両面を再確認しました。
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会話を続けながら、バランスを取っていくこと。そして、連帯のための言葉を大切にすること。
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哲学の役割とは何か。
おそらく人それぞれの考え方があると思いますが、私は、普遍の真理を目指したり、本質を考えることが哲学の役割だと思っていました。
「会話を守ること」
それこそが哲学者のミッションであると、リチャード・ローティは説きます。
本質を突くことはむしろ相手を黙らせてしまい、分断を生んでしまう。この考え方は、戦争がなくならない理由として、とても説得力があると感じます。
人間も民族も国家も多くの矛盾を抱えており、いくら正義を振りかざしてもその矛盾は解消できるわけではありません。むしろ矛盾を抱えたもの同士が、会話を続けることに知恵を絞ろうというローティの姿勢に学ぶべきことは多いのではないでしょうか。
『偶然性・アイロニー・連帯』を読むのはハードルが高いなと思っていましたが、見事な編集力でローティの思想をまとめてくれた「100分de名著」に感謝です。 -
偶然性、アイロニー、連帯。
偶然性によって人間は成り立っている。
古来からの哲学が追究した、普遍の真理、正解、論理的で崇高な思考/言葉というものはない。それぞれが自分の言葉で自分を形作っている。それがそれぞれの正解。その視点は目から鱗だった。色々な書籍を読んで、「人間とはこうだ」「人間とはこうあるべきだ」などという意識の高い正解を追い求めるような自分がいたことは確かだった。その考えが甘いのかもしれない。たしかに、道徳や正義といった共通して認める考え方はある。ただ、それぞれが自分の利益で動いているというある種達観したような視点はとてもいい。その視点によって、相手を見下すような姿勢は無くなっていくように思える。
アイロニーを備えたい。
自分の考え方、ファイナルボキャブラリーが常に改訂に開かれているべきである。個々の言葉、考え方を持つことには自信を持ってよいが、それを常に自分の正解として固執してはいけない。変化していくものであることを認める。むしろ変化させなければいけない。色々な書籍を読んで、「この考え方が自分にとっての真理だ」と正解を得た気分になってはいけない。常にまだオルタナティブがあるのでは?という疑う姿勢は、研究をする中でも重要だと考える。
連帯をしよう。
連帯には感情教育が必要であり、文学やジャーナリズムはその役割を持つ。それも自分にとっては大きな発見だった。僕は小説や文学をあまり読まない。興味が湧かないのだ。ただ、ローティの連帯の説明を聞いて非常に興味が湧いた。感情に訴えかけるようなものは論理的主張に劣る、とどこかで考えてしまっている自分がいた。そんなことはないのだ。感情で連帯する。それが非常に強力であることは多い。まずは興味をもった人たちの「言葉」が綴られた文学を手にとってみようと思う。 -
朱喜哲「100分で名著 リチャード・ローティ 偶然性・アイロニー・連帯」(NHK)
ローティはトランプの登場を予言したとも言われるアメリカの哲学者。
彼によると、これまでの哲学は「普遍の追求」「人間の認識の本質」「論理の本質」など、物事の根本原理を追求してきたが、もうそんなことをやめようと言っているらしい。哲学が歴史を超えて真実を追求しているのというのは錯覚で、古代ギリシア、中世欧州、近現代それぞれの社会の中で課題が生まれ議論が行われているのが実態だと。では哲学は何を目指すべきかというと人々の対話を続けることに意義がある。知識の本質、人間の本質、人権の本質などの基礎づけ主義によらず、個々に違う考えを持ち、公私で態度も変わるのが人間だとした上で、そんな人達の間でどのように共感が見出せるか、協力関係を構築できるかが大事だという。「人間とは」とか「人権尊重」と言ったところで「あんなクズは人間じゃない」という言説には対抗できない。昨今のアイデンティティポリティクスについては、マイノリティにとって追求せざるを得ない面もあるとするが「私の苦しみは貴方にはわからない」まで行ってしまうと会話が閉ざされてしまう。会話を続けることが大切だと。
著者プロフィール
朱喜哲の作品
