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Amazon.co.jp ・雑誌 (116ページ) / ISBN・EAN: 9784142231720
作品紹介・あらすじ
私たちがいま抱える問題を解く鍵が、ここにある。
マックス・ヴェーバーらと並んで「社会学の祖」と称されるエミール・デュルケーム。彼の生きた19世紀後半のヨーロッパでは、人々は自由を手にした反面、社会に居場所を見出せず孤立したり、貧困などのリスクをひとりで抱えたりと、現代と極めて近い問題が生じていた。社会はこのままバラバラになってしまうのか? 「そうはならない」と考えたのがデュルケームだ。現実には、人々はあらゆる領域で互いに支え、頼り合っている。それこそが近代以降における新しい人の繫がり、”連帯”の形なのだ――。彼の分業論を通じて、現代社会が抱える孤立や分断、自己責任の問題の根源に迫り、それらを乗り越える方法を考える。
感想・レビュー・書評
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「デュルケーム『社会分業論』」芦田徹郎著、NHK出版、2025.02.01
108p ¥700 C9436 (2025.03.22読了)(2025.01.29購入)
「100分で名著」で取り上げられる本は、読んだことがあったり、名前を聞いたことがあったり、というのが多いのですが、この本はまったく知りません。
デュルケームは、今日の社会学に直接連なる「社会学の祖」の一人ということです。
ほかに二人いて、ゲオルク・ジンメル、マックス・ヴェーバーです。この二人は、聞いたことがあります。
「社会学」の名づけ親は、オーギュスト・コントですが、現代の社会学の系譜から外れるとのことです。
●「社会学」とは(17頁)
デュルケームが社会学という学問で目指したのは、個人の欲求や利害をバネにして動く「経済」でも、国家権力による統治という「政治」でもなく、道徳的な結びつきによって成立する「社会」の実在を証明することでした。いわば個人という「私」と国家という「公」との間にある中間的なものに焦点を当てたのです。
●集合意識(共同意識)(33頁)
社会で人びとを結びつける血のつながりという意識、土地への愛着、祖先の崇拝、慣習など、人びとに共有された信念と感情を、デュルケームは「集合意識(共同意識)」と呼びました。
●「有機的連帯」は失敗(73頁)
デュルケームは分業にもとづく連隊、すなわち「有機的連帯」が近代社会の基盤になっていることを理念的に構想しました。個人化と個人主義が進んだといっても、社会的連帯が失われるわけではないことを証明しようとしたのです。しかし、こうしたデュルケームの社会学的展望は、必ずしも成功したとは言えません。
(こういうことを言われると、『社会分業論』は読まなくていいかなと思います。)
【目次】
はじめに 個人化と多様性の時代を生きる
第1回 個人化/孤立化の時代に向き合う
第2回 自律的個人はこう生まれた
第3回 「連帯」とそれをはばむもの
第4回 「個人の自律」と「連帯」の両立―依存の復権へ向けて
もう一冊の名著 デュルケーム『宗教生活の基本形態』
☆関連図書(既読)
「オーギュスト・コント」清水幾太郎著、岩波新書、1978.09.20
「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」マックス・ヴェーバー著・大塚久雄訳、岩波文庫、1989.01.17
(出版社より)
私たちがいま抱える問題を解く鍵が、ここにある。
マックス・ヴェーバーらと並んで「社会学の祖」と称されるエミール・デュルケーム。彼の生きた19世紀後半のヨーロッパでは、人々は自由を手にした反面、社会に居場所を見出せず孤立したり、貧困などのリスクをひとりで抱えたりと、現代と極めて近い問題が生じていた。社会はこのままバラバラになってしまうのか? 「そうはならない」と考えたのがデュルケームだ。現実には、人々はあらゆる領域で互いに支え、頼り合っている。それこそが近代以降における新しい人の繫がり、”連帯”の形なのだーー。彼の分業論を通じて、現代社会が抱える孤立や分断、自己責任の問題の根源に迫り、それらを乗り越える方法を考える。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
19世紀末の個人主義と現代が被り、デュルケームの主張が今こそ刺さるのではと感じた。特に個人主義が進むと、エゴイズムやアノミーに陥り、生きる目的を見失ってしまうという指摘はその通りかもしれない。
社会的な規範のようなものがなくなりつつある現代で、いかに依存先を確保し、連帯感を持てるかがより重要になってくると感じた。 -
番組も含め、本日読了。始めは取っ付きにくかったが、終盤にかけてはとても、深く、現代に繋がる内容でした。最後は小さい頃から教えられてきた、依存と自律が、相反するものではないという考えは目から鱗でした。
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よかった。
第4章はデュルケームが直接的にいったわけではないと思うけれども、今の社会で生きるために大事な記述が複数あったように思う。
この本の最も良いところは、デュルケームの『社会分業論』をただ紹介するだけでなく、その本の理解の先にどのような社会の形が考えられるのかまで示すことで、デュルケーム本を読むことの現代的な意義を著者なりに示したことだと思う。
分業とか、依存とかはあまり良い文脈で用いられないけれども、それらの言葉をデュルケーム的に用いてみると違った側面が見えてくる。自律した個人を良しとする現代社会だからこそ、依存をキーワードとしたデュルゲームの思想を読むと良いと思われる。そのはじめの一歩は本書から、と言えるのではないかと思う。 -
社会学の祖として挙げられることもあるデュルケームの、聞き馴染みがないながらも重要な著作である『社会分業論』を分かりやすく解説してくれる
デュルケームの生涯を交えたり、注釈も豊富に解説されてるため、当時の時代背景や彼のことをよく知らない人でも読みやすいと思う
彼が社会学という学問を創るにあたってどういった要素を重んじたか、社会と個人はどう連関しているのか、なぜその発想に至ったかなど基本的な部分を多くの紙幅をさいて書いているため、理解もしやすく後々の話題でそれらが出た時もすんなり入ってきた
「個人の自由」と「社会の連帯」をどうすれば両立できるか、という現代にも通ずる問題提起をした上で、現実に則した形で理論を打ち立てた、現代に読むべき名著だと思った
第4回で扱われた、個人の社会への「依存」という話題は、私たちが普通抱く感覚がひっくり返されとても面白く読めた -
個人主義の問題点がこの時期から指摘されていたということには驚く。そして、個人主義による孤立化が、逆にナショナリズムなどの拠り所を求めるという見解はなるほどなと思った。分業は連帯を目指すもの、という見方には勇気をもらえる気がした。
他方で、知的刺激という意味では、「100分de名著」の中でも比較的弱い気がして、月並みな気がしてしまった。作中で紹介されているブルジョワの考え方(富裕層は社会からたくさん得てる分負債を負ってる)の方がむしろ心に残った。 -
実際の本を読む前に、参考になるかと思いkindleで購入。とてもわかりやすい解説で、本編を読まなくてもある程度内容を把握することができた。依存により社会の関わりが必要となってくるというのは腑に落ちた。
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■評価
★★★✬☆
■感想
◯書いてあることに納得感が強かった。100de名著だけあり、キーとなる概念を掴むことができたと感じた。 -
社会分業論、面白かった。多様化、自由化が進むにつれて孤立化が伴うことは強く意識しておかなければならない。世の中の自由化は加速しているからこそ、意識的に「依存」していかなければならない。依存と聞くとマイナスなイメージがあったが、「自立とは依存先を増やすこと」という熊谷さんの言葉が響いた。依存してはいけないような風潮が広がる今だからこそ、依存にもスポットを当てていないといけない。自分に落とし込むなら、属するコミュニティを常に複数を保持するといいと感じた。
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さすがの内容でした。『社会分業論』を読み返して、現代社会への応用を検討したくなりました。連帯について検討する上で、ジンメルの『社会学』も合わせて、読み返そうとも思いました。
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