アトウッド『侍女の物語』『誓願』6月 (100分 de 名著)

  • NHK出版 (2025年5月23日発売)
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Amazon.co.jp ・雑誌 (116ページ) / ISBN・EAN: 9784142231768

作品紹介・あらすじ

現実は、ディストピア小説よりも恐怖なり!?

狂信的な全体主義国家に変貌した近未来のアメリカを舞台に、女性の性と生殖に関わる権利がことごとく剝奪された恐怖社会を描いた小説『侍女の物語』(1985)。トランプ政権の成立以降、アメリカ、そして世界中で強まる右傾化や全体主義的傾向を予見した書物として、改めて注目を集めている。そして社会の不安が高まるなか、15年後の未来を描いた『誓願』(2019)が刊行。第二次トランプ政権が始まり、フィクションを越えるような事態が現実に起こりつつある状況下で、この鋭いディストピア小説を読み解き、自由とは何か、抑圧的な体制や政治手法に抗するにはどうすればよいのかなど、「今そこにある危機」について思索する。

感想・レビュー・書評

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  • Eテレ「100分de名著」で取り上げる本は古いものが多い。比較的新しい本でも40~50年前、ものによっては何百年も前(あるいはそれ以上)に書かれた本もある。
    しかし、今回取り上げる『誓願』が刊行されたのはわずか6年前だ。セットで読み解かれる『侍女の物語』が出たのも1985年だから、この番組の中では新しい方に入る。

    そのような新しい本がなぜ取り上げられるのか。やはり、アメリカでのトランプ大統領再選の影響が大きいのだと思う。

    今回の講師でもあり、また『誓願』の翻訳者でもある鴻巣友季子はディストピア小説に描かれる国家や社会には共通した制度や政策があるという。

    【ディストピア洗脳三原則】
    (1)国民の婚姻・生殖・子育てへの介入と管理
    (2)知と言語(リテラシー)の抑制
    (3)文化・芸術・学術への弾圧

    アメリカでは近年、人工妊娠中絶を禁止にする州が増えた。
    また、ハーバード大学は「反ユダヤ主義」のレッテルを貼られて、留学生の受け入れについて圧力をかけられている。
    さらには、アファーマティブ・アクション(積極的格差是正措置)が連邦最高裁で違憲とされたことをきっかけに、アメリカの大学やアマゾン、マクドナルド、メタなどの大企業が、DEI(多様性、公平性、包摂性)の取り組みを次々と縮小もしくは廃止している。

    小説に出てくるギレアデ共和国といまのアメリカの動きはどのように似ているのか。われわれは何に気をつけなければならないのか。
    そういうことを番組を通して考えたい。

    司会のふたりと講師のやりとりはもちろんのこと、小説内のどの箇所をどのように朗読するのかも楽しみだ。

  • 初読は1985年だった。
    そのときの衝撃を忘れたことはなく、何度読み返したかわからないほど。

    わたしにとっては、最高の作家のひとり。
    常に著作を追いかけてきているが、機会をとらえて何度もおススメしてきたが、
    「世界最高峰のディストピア小説」
    というキャッチフレーズにしり込みする人も多く、けっこう寂しい思いをしてきた。

    が!!
    なんと、その『侍女の物語』が、2025年6月のEテレ「100分de名著」に選ばれましたよーーーー!!!

    やったーーーーーー!!!

    以前、村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』が選ばれたとき、
    「現在まだ存命の作家を選ぶのはめずらしい」
    と話題になっていましたが、個人的には、マーガレット・アトウッドを選んだNHKの快挙と勇気に拍手喝采!!

    テキストは、放送されないうんちくが盛りだくさんで、本当に読んでいて楽しい・うれしい♪

    また、現在ハマっている村田沙耶香さんが、
    「アトウッドの後継者」のひとりとして挙げられていたのもうれしかった♪

    40年前にこんな世界を描き切ったアトウッド。
    ほぼ同じ設定で、村田沙耶香さんは、また新しい結末と恐怖を提供してくれている。

    天才って、本当に存在する。
    天才たちの作品を読むことができるって、本当に幸せだとおもう。

  • この本を読みながら、国の最高法規である憲法というものについて考えていました。

    この小説で描かれているディストピア国家は聖書を憲法のように扱っています。しかし、このディストピア国の聖書は、(1)国民に公開されておらず、(2)恣意的な解釈に基づいて統治を行っており、その点で日本国や他の国の憲法とは異なります。

    当たり前のことだけど、憲法は、(1)誰でも読むことができ、(2)どのように解釈されているのか明らかにされていることが全体主義に抗うために必要なことなのだと思いました。

    そして、最後に書かれていたクレア・キーガンの『ほんのささやかなこと』をとても読みたくなりました。

  • 「アトウッド『侍女の物語 誓願』」鴻巣友季子著、NHK出版、2025.06.01
    124p ¥700 C9497 (2025.07.21読了)(2025.05.27購入)

    【目次】
    はじめに 近未来を予言する小説
    第1回 すぐそこにあるディストピア
    第2回 性搾取の管理社会
    第3回 言葉を奪われた女たち
    第4回 闘う女たち
    もう一冊の名著 クレア・キーガン『ほんのささやかなこと』

    ☆関連図書(既読)
    「ユートピア」トマス・モア著・平井正穂訳、岩波文庫、1957.10.07
    「すばらしい新世界」ハックスレー著・高畠丈夫訳、角川文庫、1971.06.30
    「1984年」オーウェル著・新庄哲夫訳、ハヤカワ文庫、1972.02.15
    「華氏451度」レイ・ブラッドベリ著・宇野利泰訳、ハヤカワ文庫、1975.11.30
    「レイ・ブラッドベリ『華氏451度』」戸田山和久著、NHK出版、2021.06.01
    (アマゾンより)
    現実は、ディストピア小説よりも恐怖なり!?
    狂信的な全体主義国家に変貌した近未来のアメリカを舞台に、女性の性と生殖に関わる権利がことごとく剝奪された恐怖社会を描いた小説『侍女の物語』(1985)。トランプ政権の成立以降、アメリカ、そして世界中で強まる右傾化や全体主義的傾向を予見した書物として、改めて注目を集めている。そして社会の不安が高まるなか、15年後の未来を描いた『誓願』(2019)が刊行。第二次トランプ政権が始まり、フィクションを越えるような事態が現実に起こりつつある状況下で、この鋭いディストピア小説を読み解き、自由とは何か、抑圧的な体制や政治手法に抗するにはどうすればよいのかなど、「今そこにある危機」について思索する。

  • まさに現在に繋がるディストピアを考えさせられる名著だと思います。機会があれば原作を読んでみたいと思いました。それにしても、番組で解説していた鴻巣氏の理解度が凄かったです。

  • 良い物語を読んだ後、強い映画を観た後に誰かと話し合いたくなる。
    『侍女の物語』『誓願』の読後にこのEテレを見て翻訳者の鴻巣友季子さんの解説に触れられて、より感想が深まる。
    意見の違いや細かい点で感想は違ったとしても、それは大した問題ではない。
    もう、時間はほとんど残されてないのではないか。寓話が描く世界は遠くない。

  • 以前、100分de名著のパンデミックの回で『侍女の物語』を取りあげていたと思う。気にはなっていたので、今回ざっくりと内容を知れてよかった。ハヤカワepi文庫で発刊されているようなので『誓願』とともに読んでみたい。

  • ディストピアというものがどうやって出来上がり
    成立するのかが良く分かった

    海外のドラマも見てみようと思う

  • 本編を読まなくてはいけない。もうこんな世界になっているのだから

  • 今回は、一月で全部読み終えられた。

    言葉を奪い、生殖を管理し、自由を奪う。ディストピアが現実になるかどうかの分水嶺に、我々はいるのかもしれない。

  • 2025.05.27

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著者プロフィール

英語翻訳家、文芸評論家。古典新訳にマーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ』、シャーロット・ブロンテ『嵐が丘』、他訳書に、J・M・クッツェー『恥辱』など多数。著書に『翻訳ってなんだろう?』、共著に『翻訳問答』など。

「2020年 『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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