別冊100分de名著 「幸せ」について考えよう (教養・文化シリーズ)

  • NHK出版
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レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (164ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784144071997

感想・レビュー・書評

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  • 「幸せ」について、文学の章、経済学の章、哲学の章、心理学の章の4つの章から考察されている本です。
    内容はかなり専門的なので、要点だけ知りたい方は、まとめのページだけ読むだけでもいいかもしれません。

    文学の章は井原西鶴『好色一代男』『好色一代女』。
    経済学の章はアダム・スミス『国富論』。
    哲学の章はヘーゲル『精神現象学』。
    心理学の章はフロイト『精神分析入門』が取り上げられています。
    私は、普段、まず読むことのなさそうな本ばかりですので、この本で要点がわかってよかったです。

  • 2018/3/28-4/6読了

  • 4冊の本をとおして4人の筆者が出した結論はどれも「他者との関係性のなかに人間の幸せはある」ということか。ひとり勝ちではなく、他人とともに幸せになることが重要。

    ところで本筋とは離れるのだが、フロイトの「無意識」についての理論に私はどうしても懐疑的になってしまう。
    今ここに「3」という現象が顕在しているとして、この3が如何にして導かれたかを考える。
    1+2かもしれない。3*1かもしれない。6を二等分したかもしれないし、3の平方根を二乗したのかもしれない。10-7、あるいは15-12かも。
    どの方法でここにある「3」が導かれたかは、今ここにある「3」という結果だけからは断定できない。
    人間の営みのなかで、「無意識」というものが存在していると考えればさまざまな辻褄があうというのは事実なのだろう。しかし、「そう考えれば辻褄が合う」「説明がつく」ということは、イコールその推論が正しい、という証明では決してない。

    というわけで、文学、経済学、哲学、までは順調に読み進められたが最後の心理学の章で難航してしまった。申し訳ないが、やっぱり「フロイト胡散臭い…」との偏見は解けないままだった。

    各見開きの柱に古今東西の「幸せについての名言」が載っていて、地味ながら楽しめた。
    幸せって何だろう。自分を振り返って考えたが、言葉にするとどうにも陳腐になってしまう。幸せが何かを定義づけすることは私には難しいが、でも、今、私は幸せなのだということは知っている。

  • 別冊NHK100分de名著 「幸せ」について考えよう (島田 雅彦;浜 矩子;西 研;鈴木 晶)
    アダムスミス、フロイトなどの過去の識者は幸福をどうとらえたのか?を総合的に解説。
    まず資本主義の開祖アダム・スミス。どちらかというと自由放任のイメージがあるが、金銀財宝の量に富の源泉を見出す重商主義を否定し労働によってこそ価値が生まれるという労働価値説を展開しました。重商主義ならぬ「重人主義」。
    人々に、話す力と同じくらい黙っている力があれば、世の中はもっと幸せになるだろう。──スピノザ
    「幸福」について、初めてちゃんとしたかたちで語った哲学者はアリストテレス(*)です。『ニコマコス倫理学』という本のなかでアリストテレスは、人間が求める最終の目的こそ幸福。
    いざ「好きに生きていいよ」ということになると、今度は何のために生きているのかわからなくなってしまう人も出てきます。十九世紀の末にニーチェ(*)が「ニヒリズム」。
    自己意識つまり人間には、  ①承認されたい  ②自由に生きたい  という二つの欲求
    「人間は絶対に承認欲求から逃れられない存在である」
    「自己意識」を持とうとするがゆえに、人間は自由を求めるようになったが、自由を手に入れると同時に、孤独に苦しむことになったとも述べています。これは新フロイト派の心理学者、エーリッヒ・フロムが書いた『自由からの逃走』
    他者との関係性の中にしか人間の幸せはない」
    問題の根本は、自分の「心情」(心に感じたもの)がそのまま、「みんなにとってよいこと」だと素朴に思い込んでいる点にあります。自分の感ずることがほんとうに普遍性をもつだろうか、と確かめるプロセスを彼は経ていません。彼の正義は心のなかで勝手に思い込んでいるロマンティックな正義にすぎませ
    「いい仕事をしている」という「評価の承認」ではなく、駄目なところも含めて、ただ「あなただから好きなのだ」と言ってくれる。これは「存在の承認」

  • 「100分de名著」シリーズの特別企画版のような1冊。「幸せ」をテーマに、井原西鶴、アダムスミス、ヘーゲル、フロイトの作品を取り上げ、それぞれ、小説、経済、哲学、心理学の切り口から、生きることについて考える。
    こうやってテーマを設定したうえで4作品を並べて解説してもらうってのは、面白いもんですね。異分野間でも視点を変えて横軸を通すことで、どんなテーマでも学ぶことが可能なのですよね。

  • (2015.11.02読了)(2014.05.24購入)
    100分de名著の別冊です。井原西鶴を島田雅彦さん、アダム・スミスを浜矩子さん、ヘーゲルを西研さん、フロイトを鈴木晶さんが担当しています。
    共通のテーマは、「幸せ」について考える、です。
    井原西鶴とヘーゲルは、読んだことがありません。アダム・スミスは、紹介本を読んだ程度です。フロイトの『精神分析入門』は、二十歳の頃に読みました。興味深く読めた記憶があります。人間を動かしているのは、無意識の部分が大いに関係している、という部分は、大いなる驚きでした。
    いつか『国富論』や『精神現象学』を読めるのでしょうか。


    【目次】
    はじめに 名著から「幸せ」を考える  永迫英敏
    文学の章 幸せとは、断念ののちの悟りである  島田雅彦
         井原西鶴『好色一代男』『好色一代女』
    経済学の章 幸せとは、人の痛みがわかることである  浜矩子
          アダム・スミス『国富論』
    哲学の章 幸せとは、本当を確かめ合い、自分の生を肯定することである  西研
         ヘーゲル『精神現象学』
    心理学の章 幸せとは、愛する人が幸せでいることである  鈴木晶
          フロイト『精神分析入門』

    ●『好色一代男』(16頁)
    『好色一代男』は、読者を、あたかも自分がモテまくり、快楽を伴う恋愛状態であるかのように錯覚させるテキストです。「読む精力剤」「読む媚薬」と呼んでもいい。
    ●イギリス(54頁)
    イギリスは、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの四地域からなり、それぞれの対抗意識の強い国家です。サッカーやラグビーのワールドカップでは、イギリスという国家ではなく、各地域それぞれが代表チームをつくり、誇りをかけて戦います。
    ●『国富論』(56頁)
    『国富論』の発想は重商主義ではなくて「重人主義」です。富の源泉は労働にあり。それが『国富論』が拠って立つ基盤です。商品の価値は、その売却によって得られる金銀財宝の分量によって決まるのではない。その生産に投下され人間の労働の質と量によって決まる。これがすなわち「労働価値説」であり、この考え方を初めて世の中に提示したのがスミス先生なのです。
    ●「見える手」(61頁)
    人々が自分の思いに従って、自分の知恵を発揮し、のびのびと生きれば、その結果として、見えざる手があたかも働いているがごとく、全体最適解が得られる。だから「見える手」がそこにしゃしゃり出てくる必要はない。それがスミス先生の主張です。
    ●グローバル資本(64頁)
    今や、資本主義体制さえ、資本の暴走を止めることが出来ない。資本が野生に戻ってしまった。資本が野獣化している。
    ●社会契約論(84頁)
    「人間は本来、自由で平等だ」と主張するルソーは、「王に神聖な力があるわけじゃない。自由で平等な人民が、納得しあって決めたものだけが法律となるべきだ。政治は人民の意志にもとづいて行われるべきなのだ」という考えを『社会契約論』で述べました。
    ●『精神現象学』(89頁)
    近代にいたるまでの人類の歴史を、次第に自由の意味に気づいていくプロセスとみなし、その過程をたどりなおそうとしたのが『精神現象学』なのです。
    ●カントの道徳思想(117頁)
    カントの道徳思想に至って、人間は初めて自分の行為の正しさの根拠を、自分の精神の内側にもてるようになる、とヘーゲルは言います。なぜなら、近代以前には、正しさの根拠は自分の外側にあったからです。王様の命令や僧侶の説教や共同体の伝統的な掟が、「何が正しいか」を決めていたのです。
    ●構造主義(132頁)
    構造主義とは、簡単に言うと「人間は、自分の意志で自由にものを考えて行動しているように見えるが、じつは自由に考えているのではなく、大きな別の何かに束縛、支配された中で思考している」という考え方です。

    ☆関連図書(既読)
    「オペラ偏愛主義」島田雅彦著、NHK知るを楽しむ、2008.06.01
    「ソポクレス『オイディプス王』」島田雅彦著、NHK出版、2015.05.25
    「経済は地球をまわる」浜矩子著、ちくまプリマーブックス、2001.07.10
    「「通貨」を知れば世界が読める」浜矩子著、PHPビジネス新書、2011.06.08
    「中国経済あやうい本質」浜矩子著、集英社新書、2012.03.21
    「アダム・スミス」高島善哉著、岩波新書、1968.03.20
    「アダム・スミスの誤算 幻想のグローバル資本主義(上)」佐伯啓思著、PHP新書、1999.06.04
    「ニーチェ『ツァラトゥストラ』」西研著、NHK出版、2011.04.01
    「フロム『愛するということ』」鈴木晶著、NHK出版、2014.02.01
    「愛するということ」エーリッヒ・フロム著・鈴木晶訳、紀伊国屋書店、1991.03.25
    「精神分析入門(上)」フロイト著・豊川昇訳、新潮文庫、1956.06.10
    「精神分析入門(下)」フロイト著・豊川昇訳、新潮文庫、1956.06.15
    (2015年11月11日・記)
    内容紹介(amazon)
    幸福とは、最高の善である。――アリストテレス
    幸せになりたい。でも幸せではない。どうしたら幸せになれるのか?――有史以来、人間は常にこの難問と向き合ってきた。本書では、文学・経済学・哲学・心理学の4分野から、それぞれ代表となる名著を紹介し、「幸せ」の正体へと迫っていく。『NHK100分de名著』初の別冊シリーズ。

  • ■書名

    書名:別冊NHK100分de名著 「幸せ」について考えよう
    著者:島田 雅彦、浜 矩子、西 研、鈴木 晶

    ■概要

    幸福とは、最高の善である。――アリストテレス

    幸せになりたい。でも幸せではない。どうしたら幸せになれるのか?
    ――有史以来、人間は常にこの難問と向き合ってきた。本書では、
    文学・経済学・哲学・心理学の4分野から、それぞれ代表となる名
    著を紹介し、「幸せ」の正体へと迫っていく。『NHK100分de名著』
    初の別冊シリーズ。
    (From amazon)

    ■感想

    「幸せ」の定義を5冊の本から道美しだそうという企画。
    大方の予想通り、いくつもの定義があり、どれが正解ということで
    はなく、自分で考えましょう!という、これまた予想通りの結論に
    帰結した本です。

    「幸せ」が何かという結論自体はどうでもいいですが、それを考える
    プロセスは、各本で違っており、面白いと思います。
    哲学自体が答えの無いものを考える事なので、まあ、本の趣旨に沿っ
    て楽しめていると言えば楽しめているのかもしれません。

    こういう本は、結論を求める人には、本当にどうでもいい本になるで
    しょうし、そういうのを考える事が好きな人には、楽しめる本だと
    思います。

    ちなみに全然関係ないですが、ポルノグラフィティの
    「幸せについて本気出して考えてみた」
    という曲が好きです。
    この曲でうたわれている事も一つの幸せの形だと思います。

    何が言いたいかといえば、何でも自分で考え、自分で責任を持ちま
    しょう!という事ですね。やっぱり。


    話は変わるが、この本の中に記載されているアダムスミスの道徳感
    情論という本は読んでみたいな~

    ■自分がこの作品のPOPを作るとしたら?(最大5行)

    哲学 × 幸せ = ????
    あなたなら何が出来るかな?

    ■気になった点

    ・カラクリを知る事ほど、不安を払しょくする薬はありません。

  • 西鶴、アダムスミス、ヘーゲル、フロイトといろんな切り口で幸せをテーマに解説した本。著者も面白い人が選ばれている。
    さらっと読めるが、で?っといった感じも。

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著者プロフィール

島田 雅彦(しまだ まさひこ)
1965年東京都に生まれ、東京外国語大学外国語学部ロシア語学科卒業。1983年在学中『海燕』掲載の『優しいサヨクのための嬉遊曲』でデビューし芥川賞候補。1984年『夢遊王国のための音楽』で野間文芸新人賞受賞。『僕は模造人間』(1986年4月)『ドンナ・アンナ』(1986年9月)『未確認尾行物体』と、郊外の新興住宅を舞台にした若年層の生活を、奇抜な語彙を用いつつ軽妙な筆致で描く作風で、新世代の作家として注目を浴びる。1987年までに6度芥川賞候補となり最多候補記録。1992年『彼岸先生』泉鏡花賞受賞。『忘れられた帝国』(1995年)、『自由死刑』(1999年)2003年には「自らの代表作とすべく書いた」という『無限カノン3部作』(『彗星の住人』『美しい魂』『エトロフの恋』)を完成。2006年『退廃姉妹』で伊藤整文学賞受賞、2008年『カオスの娘』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。2016年、『虚人の星』で毎日出版文化賞受賞。1998年近畿大学文芸学部助教授に就任。2003年法政大学国際文化学部教授。2000年から2007年まで三島由紀夫賞選考委員、2010年下半期より芥川賞選考委員となる。

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