別冊100分de名著 「日本人」とは何者か? (教養・文化シリーズ)

  • NHK出版
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784144072086

感想・レビュー・書評

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  • 九鬼周造「『いき』の構造」、折口信夫「死者の書」、河合隼雄「中空構造日本の深層」、鈴木大拙「日本的霊性」を元に彼らを語る内容。
    学生時代に『死者の書』だけは読んだが正直良く判らなかった。
    こうやって判りやすく解説してくれるのは助かる。
    九鬼、折口は彼ら自身の生い立ち、立場が強く影響していることも良く判った。
    内容的には河合の、日本では常に三つの選択肢があり、中心は空になっていて他の二つが対立したままや、善と悪に分かれたりしないような構造になっているという話がなるほどと思えた。
    日本人の良いところでもあるが、だれも責任を取らぬまま崩壊へ向かう危険性を持っているというのも納得。
    この特性を自覚することが大事というのは頷けるが、戦争を経験しても誰も何も自覚していないからまた今のような状況になっているんだろうなと感じた。

  • 斎藤環の河合隼雄「中空構造日本の深層」を軸に繰り広げられる一種曖昧論の推奨が面白い。単に良しとはせずに入り込まれる隙ともなると言う指摘もうなずける。コミュニタリアズムと同調圧力の議論にも似て、空気の研究、言葉の自動機械化という宮台の言説ともほぼ近いのでは。

  • 「「日本人」とは何者か?」松岡正剛・赤坂真理・斎藤環・中沢新一著、NHK出版、2015.04.25
    167p ¥972 C9410 (2017.10.30読了)(2015.04.28購入)
    「100分de名著」の別冊です。2015年のお正月に「100分de日本人論」として放映したものを本としてまとめたものです。
    4冊の本が紹介されています。この4冊の本を通して
    「「哲学的」に、かつ「縦方向に奥深く」、日本人のアイデンティティや文化の基層に迫ってみる」(3頁)
    ということです。
    4冊のうち、『「いき」の構造』は読んだことがありますが、ほかの三冊は読んだことがありません。いずれ読んでみようと思います。河合隼雄さんと鈴木大拙さんは、他の著作を読んだことはあります。折口信夫さんは、全く読んだことがありません。

    【目次】
    はじめに―これまでにない「日本人論」を!
    第1章 日本人の美意識 九鬼周造『「いき」の構造』  松岡正剛
    第2章 日本人の感受性 折口信夫『死者の書』  赤坂真理
    第3章 日本人の心理 河合隼雄『中空構造日本の深層』  斎藤環
    第4章 日本人の宗教観 鈴木大拙『日本的霊性』  中沢新一

    ●男性原理と女性原理(103頁)
    男性原理は「ものごとを切断する機能」を主とし、女性原理は「結合し融合する機能」を主とします。
    ●神道(106頁)
    宗教学者の島田裕巳氏は、神道には普通の宗教にあるものがない、すなわち「開祖も、宗祖も、教義も、救済もない」と指摘しています。魂の次元に触れないので、必然的に現世利益を求める対象になってしまっている。だから、多くの人が験を担いでお賽銭をあげたり初詣をしたりする。
    ●日本人の態度(128頁)
    個人の個性や自己主張を重視するよりは、全体としての場の調和や平衡状態の維持のほうを重要視するのが、日本人の態度なのである
    ●自己責任論(130頁)
    「自己責任論」の主旨は、「村の掟に背いた人間は村八分にせよ」「規律を乱したら『無限責任』を負え」と言っているに過ぎません。

    ☆関連図書(既読)
    「「いき」の構造」九鬼周造著、岩波文庫、1979.09.17
    「子どもの宇宙」河合隼雄著、岩波新書、1987.09.21
    「中年クライシス」河合隼雄著、朝日文芸文庫、1996.07.01
    「日本文化の新しい顔」河合隼雄・日高敏隆著、岩波ブックレット、1998.01.20
    「こころの処方箋」河合隼雄著、新潮文庫、1998.06.01
    「未来への記憶(上)」河合隼雄著、岩波新書、2001.01.19
    「未来への記憶(下)」河合隼雄著、岩波新書、2001.01.19
    「泣き虫ハァちゃん」河合隼雄著・岡田知子絵、新潮社、2007.11.30
    「生きるとは、自分の物語をつくること」河合隼雄・小川洋子著、新潮社、2008.08.30
    「禅と日本文化」鈴木大拙著・北川桃雄訳、岩波新書、1940.09.30
    「社会的ひきこもり」斎藤環著、PHP新書、1998.12.04
    「若者の心のSOS」斎藤環著、NHK人間講座、2003.08.01
    「「平和」について考えよう」斎藤環・水野和夫・田中優子・高橋源一郎著、NHK出版、2016.05.30
    「チベットのモーツァルト」中沢新一著、せりか書房、1983.11.20
    「宗教入門」中沢新一著、マドラ出版、1993.02.01
    「僕の叔父さん網野善彦」中沢新一著、集英社新書、2004.11.22
    「憲法九条を世界遺産に」太田光・中沢新一著、集英社新書、2006.08.17
    「レヴィ=ストロース『野生の思考』」中沢新一著、NHK出版、2016.12.01
    (2018年2月15日・記)
    内容紹介(amazon)
    私たちは、どこから来て、
    どこへ向かおうとしているのか―
    好評の『別冊NHK100分de名著』ムック第3弾のテーマは「日本人論」。多様な価値観が噴出し、日本人のアイデンティティが揺らぐ昨今、美意識・感受性・心理・宗教観の4つをキーワードに、先人たちの遺した名著に立ち返ることで、私たち日本人の基層・根源へと迫る。

  • 日本人の思想のルーツ

  • 立方体の説明が面白かった

  • ・Eテレの番組の書籍化<http://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/2015special/
    ・奇数ページ(左頁)欄外下部に、著名な日本人論の書籍題名が1頁に1冊ずつ載っている。ミニ年表というわけ。

     構成は、次の四冊。
    九鬼周造「『いき』の構造」
    折口信夫「死者の書」
    河合隼雄「中空構造日本の深層」
    鈴木大拙「日本的霊性」

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著者プロフィール

一九四四年、京都府生まれ。編集工学研究所所長、イシス編集学校校長。一九七〇年代、工作舎を設立し『遊』を創刊。一九八〇年代、人間の思想や創造性に関わる総合的な方法論として″編集工学〟を提唱し、現在まで、日本・経済・物語文化、自然・生命科学、宇宙物理、デザイン、意匠図像、文字世界等の研究を深め、その成果をプロジェクトの監修や総合演出、企画構成、メディアプロデュース等で展開。二〇〇〇年、ブックアーカイブ「千夜千冊」の執筆をスタート、古今東西の知を紹介する。同時に、編集工学をカリキュラム化した「イシス編集学校」を創設。二〇〇九~一二年、丸善店内にショップ・イン・ショップ「松丸本舗」をプロデュース、読者体験の可能性を広げる″ブックウエア構想〟を実践する。近著に『松丸本舗主義』『連塾方法日本1~3』『意身伝心』。

「2016年 『アートエリアB1 5周年記念記録集 上方遊歩46景』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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