からだと病気のしくみ講義 (教養・文化シリーズ NHK出版学びのきほん)

著者 :
  • NHK出版
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (112ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784144072512

作品紹介・あらすじ

サラッと読めて、笑って学べる!

病気になる前に押さえておくべき「体の中の4つのシステム」とは。その「つながり」から体と病気の仕組みを知る。「なぜ風邪をひくの?」「腸内フローラって何?」いま大注目の病理学教授による、初学者のための超・入門書!


NHK出版 学びのきほん
あらゆる教養の扉を開く「学び直し」シリーズ。コンセプトは「生きた学びを手に入れる」。コンパクトで分かりやすく、手軽に買える実践的教養書!

感想・レビュー・書評

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  • とても読みやすい。
    関西弁の語り口調なので楽しく身体の仕組みが理解できる。

  • 【はじめに】
    著者の仲野徹さんは成毛さんが主宰HONZの中で大絶賛していた『なかのとおるの生命科学者の伝記を読む』が面白かった。その後、専門とする病理学をわかりやすく正しく伝えるという目的をもって書かれた『こわいもの知らずの病理学講義』も読んだ。こちらは細胞の話から始まって丁寧かつ親近感を持って書かれていて確かになにかわかったような気になる本だった。何より生まれが大阪市旭区千林と町まで一緒なのがわかり、会ったこともないけれど親近感が勝手に沸いた。

    医者も専門分化しているとともに、インフォームドコンセントが浸透して、最後は患者に決めさせるということが多くなってきた。そのため、「ある種の自己防衛として、「最低限の体の仕組みは知っておいたほうがええんちゃいますか?」というのが本書の趣旨」と書いてある通り、血液系、循環器系、呼吸器系、消化器系という人体を維持するための4つの精妙なシステムについて紹介している。この他にも挙げるなら、神経系、内分泌系、感覚器系、泌尿器系、生殖器系、骨格筋系といったシステムもあるので、もしかしたら『からだと病気のしくみ講義II』というのが、この本が売れれば出てくるのかもしれない。

    【概要】
    ■ 血液系
    ・血液の量は体重の1/13くらい。
    ・人体約37兆個の細胞のうち3分の2くらいは赤血球。赤血球には核がない。0.01mmくらいの大きさ。
    ・白血球は、顆粒球、単球(マクロファージ)、リンパ球の三種類に大きく分けられる。リンパ球には獲得免疫に係わるB細胞、T細胞およびNK細胞がある。

    ■ 循環器系
    ・体循環と肺循環の大きく二つの循環系がある。
    ・虚血性心疾患(心筋梗塞など)や脳血管疾患(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)が血液系の命に係わる疾患。心臓と脳は低酸素に特に弱い臓器。
    ・動脈硬化の進行を抑えるために、コレステロールと血圧のコントロール。適度な運動とバランスの取れた食事を。

    ■ 呼吸器系
    ・細胞レベルでの酸素の取り込みを内呼吸、口や鼻から空気を吸って吐くのが外呼吸 (=呼吸器系)
    ・上気道(鼻腔、咽頭)と下気道(気管、気管支、肺)に分かれる
    ・ガス交換を行う肺胞は3億個以上あって、総評面積数は数十平方メートル。肺胞の直径は0.1~0.2mm。
    ・息苦しくなるのは血液中の二酸化炭素濃度が上がって生体センサーが働いているから。
    ・肺炎と誤嚥性肺炎を合わせると日本人の死因第3位。肺炎球菌の感染によるものが一番多い。
    ・肺炎の咳は奥の肺からなのでゲホゲホと激しく、痰は黄色や緑色のものが胸の奥から押し出される。
    ・高齢者では風邪やインフルエンザが引き金になって肺炎に進展するケースも多い。
    ・肺炎には抗生物質が有効だが、ただの風邪やインフルには効かない。医者に行くことが大事。
    ・COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、エラスチンが分解されて肺胞の壁が破壊され、小さな袋が大きな袋になって表面積が減っている。喫煙が原因となることが多い。インフルや肺炎球菌のワクチン接種が大事になる。
    ・肺は再生能が低い臓器なので一度傷んだものは元の状態に戻すことはできない。
    ・在宅での酸素投与を行う酸素濃縮装置も開発されている。

    ■ 消化器系
    ・胃、十二指腸、小腸(空腸、回腸)、大腸(結腸、直腸、盲腸)、膵臓、胆嚢、肝臓、などの聞き慣れた臓器からなる。
    ・小腸で消化・吸収の9割くらいを担っている。全長7~8m
    ・コラーゲンを食事で摂っても、小腸でアミノ酸レベルまで分解されるので意味はない。グルコサミンもコンドロイチンも同様。
    ・肝臓へ入った糖とアミノ酸はさまざまなタンパク質に加工されて血液に送り出される。一部はグリコーゲンの形で貯蔵される。
    ・大腸は残りカスから水分を取ることと腸内細菌による発酵を行う。
    ・腸内フローラ/腸マイクロバイオロームの構成は成長に伴って大きく変化し、個人差も大きい。

    【所感】
    最近新型コロナで入院したこともあって呼吸器系の話はより一層リアルに感じられた。確かに省くところは省いてわかりやすく書かれている。この本が出たのは新型コロナが流行るちょうど直前の2019年12月。出版がもう少し後となってタイミングが合っていれば、免疫の仕組みや呼吸器系のところでコロナに触れることができたはずで、そうなれば今ならそういう線でも売ることができたのではないかと思うと本当に直前だったので少し残念。

    神経系、内分泌系、感覚器系といったところは、死につながるような病気とあまり関係ないので省かれたのかもしれないが、補足する形で出してもらえればと思う。そのときに補足という形で新型コロナについて身体の仕組みに即した正確な情報を書いてもらえればよいのだが。期待せずに待つ。

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    『なかのとおるの生命科学者の伝記を読む』(仲野徹)のレビュー
    https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4780908485
    『こわいもの知らずの病理学講義』(仲野徹)のレビュー
    https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4794969724

  • このシリーズの中で一番難しかった!
    けど、心筋梗塞って何?脳梗塞って何?とか思ってたことがわかってよかったし、体ってすごいなあと思った。
    とりあえず、塩分量に気をつけよう。

  • このシリーズのなかでは頭を使って読む必要がある本。タイトル通りの内容だった。医学的ではない健康情報がたくさんあることがわかった。気をつけたい。

  • 面白く読ませてくれるって意味では間違いない。たったこれだけの分量で、入門書としての役割は結構果たせている。筋違いの言いがかりとは知りつつも、物足りないんですな。

  • 体のことに興味がある人は、ぜひ読んでもらいたい。かなり平易に書いてあるので、分かりやすかった。

  • 体の大まかなしくみがとっつきやすい文章でわかりやすく書かれている。
    よく言う血液どろどろなどの言葉が医学的にはそんなに正しくないとか言ったことから、それぞれの器官がどのような働きをするのか、最新の興味深い研究結果まで体にまつわる知識が幅広く展開されている。
    そのため、自分の健康を見直しや学びへのとっかかりとしてはおすすめな一冊だと思う。
    最後にさらに知識を深めるための書籍が紹介されているのでそちらも読んでみたい。

  • 子供の頃は何度か入院したこともあり、比較的体のこと、健康のことには詳しい方とは思っているのだが、この本を読んで、自分が病気をしていない臓器に関しては意外と分かってなかったり、知識がアップデートされておらず昔の知識のままでいることも多いなあと実感した。
    コンパクトにまとまっていて、仲野先生の大阪弁の効果もあって読みやすいので、病気を全くしていないが故に病気のことについてはまったくわかっていない夫や息子にも読ませたいと思う。

  • 読んでておもしろかった!「はたらく細胞」を全巻読み直しました。からだはすごい!

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著者プロフィール

1957年、大阪生まれ。大阪大学医学部卒業後、内科医から研究者になる。ヨーロッパ分子生物学研究所、京都大学などを経て、大阪大学大学院医学系研究科教授。2022年に退職し隠居生活。専攻は生命科学。著書に『エピジェネティクス』(岩波新書)、『こわいもの知らずの病理学講義』『(あまり)病気をしない暮らし』(共に晶文社)、『みんなに話したくなる感染症のはなし』(河出書房新社)、『からだと病気のしくみ講義』(NHK出版)、『仲野教授の 笑う門には病なし!』(ミシマ社)などがある。

「2022年 『撤退論 歴史のパラダイム転換にむけて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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