学びのきほん しあわせの哲学 (教養・文化シリーズ)

  • NHK出版 (2021年6月24日発売)
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  • 本 ・雑誌 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784144072727

作品紹介・あらすじ

人が元気に喜びをもって生きていく、そのために必要なことは何か

「哲学」という営みが誕生して2500年ものあいだ、追求され続けてきた根源的なテーマ「しあわせ」。哲学の歴史とは、人が「しあわせ」を追い求め続けた歴史とも言える。人は、どうすれば「しあわせ」を感じ取ることができるのか。哲学者は、どのように「しあわせ」を見出していったのか。ソクラテスの「対話」、ハイデガーの「可能性」、ニーチェの「永遠回帰」……本書ではまず、哲学が生まれてから現在まで、それぞれの哲学者が時代ごとに考え抜いた思想のエッセンスを紹介。加えて、先行きの不透明さに不安を感じるいまだからこそ「哲学思想」という道から、人がしあわせに生きるために必要な考え方を提示する。

感想・レビュー・書評

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  • 「しあわせ」について、哲学者たちの言説を俯瞰的にとらえ、かつとても噛み砕いて技術している。
    大変示唆深く、繰り返し読みたい一冊。
    また、これを起点に様々な関連書籍を手に取りたいと思った。

  • 哲学と言われるととっつきにくいけど、『しあわせの』と書かれて「お?!」と思って立ち読みから購入した。
    哲学者に対しては、私は本当に無知で、名前は聞いたことあるけどなにしてるひと?位知らないレベルだったので、読みきれなかったらどうしょう…と戦々恐々だったが、著者の西研さんが、ものすごく解りやすく噛み砕いて書いてくれていて、さらに『しあわせ』について絞ってる分実に読みやすかった。何度も読み込んで、自分に落とし込んでいきたいと思う。
    個人的には、この本のサイズ(A5)と厚み、紙質(非常に鉛筆で書き込みしやすい)が凄く好み。ただ、表紙はくたびれやすいので、すぐボロボロになってしまう。
    後ろのブックガイドが、知識や興味を深める為に使える本のが色々と。
    値段も手頃なので、他のシリーズも読んでみたいと思う。

  • しあわせを追求すること以外に生きる意味なんてない、いや、生きる意味なんていらないんだけど、もし生きるならしあわせになった方が良い、という意味で、唯一の目指すべきことなんじゃないかと思っています。

    そんなしあわせとは何かを過去の哲学者が答えを導いてくれている、というのが本当にすごい!

    しあわせを考えると、その条件に他者がいることに気付かされるのが面白い。その条件を受け入れるために対話をする。もっと対話を頑張ろうと思いました。

    この流れはちゃんとインストールしておきたい

  • とてもコンパクトな一冊ですが、「人はなにを求めて生きる存在か」、「人が元気に喜びを持って生きるために必要な条件は何か」=「しあわせの条件」をルソー、キルケゴール、ハイデガー、バタイユ、フッサール、エリクソン、ヘーゲル、ニーチェの思想などを紐解きつつ、一旦個別化してしまった我々は、互いに頼ったり一緒に遊んだりする人間関係を育てる必要がある、対話の関係を育むことでわたしとみんなのしあわせにまっすぐつながると説く。
    あたたかい哲学ですね。

  •  難しい部分もあったが面白かった。何度か繰り返し読んで理解を深めていきたい。
     承認と自由を繋げるには対話が必要とあり、人付き合いが面倒に思いなんでも自分一人でやっていけると言う傲慢さから解放された。また独りよがりでもいけないという認識も得られた。
     また、私達が元気にエネルギーに溢れる人生を送るには本当の自由の獲得が必要。本物の自由を獲得するためにヘーゲルの「事そのもの」、プラトンでいうところの同じ意味合いを持つ「イデア」という事物の本質を目指すことにより自分軸を持たなければならない、これには共感した。世間の空気を読んだ表面的な評価を獲得することを目指すのではなく自由な対話が出来る環境を生み出し事物の本質を目指すことにより真の幸福を追求する。
     哲学自体がまさに「事そのもの」を追求した学問ですね。
     
     

  • 西研さんのやさしくて素朴な語り口が、一見難解な哲学者のことばを高校生や中学生でも分かる「しあわせ」への入口に変えてくれる。言ってしまえば陳腐なようでも、これを体現できる力と信頼感が、誰にでも薦めたいと思わせるほどの一冊。

    「したい・できる」を問い直すこと、自由とその承認、対話の中での「よさ」の確認。いろんな哲学者のことばの点が、しあわせを考える点で繫がっていき、哲学者に触れるきっかけも作ってくれる。

    この考え方を通して、自分自身を見つめ直すもよし、頭に思い描く誰かを見つめ直すもよし。人一人のしあわせという点では育児にまで応用が利きそうな広い懐。

    帯の通り2時間でスッと身に染みる考え方が素敵でした。

  • 噛み砕いて説明してくれるので、すっごく読みやすい。オススメです!

  • 幸せとはなにか、という視点から様々な哲学者の考え方に広く浅く触れることができた。哲学ってやっぱり面白い!同じ考え方を、言い方は違えど聞いたことがある、ビジネス書や自己啓発本でも同じようなこと言っていたな、という考えがたくさんあるのだが、哲学的に考えると、とても論理的で、理屈に隙がなくて、個人的には最も納得できる。伊坂幸太郎のペッパーズゴーストを読んでからずっと気になっているニーチェの理解を深めていきたい!

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著者プロフィール

哲学者。京都精華大学社会メディア学科助教授。哲学者らしからぬ軽い風貌と語り口で若いファンを多くもつ。「普通の人々の心に届く新しい哲学を構築するのは彼しかいない」といわれる期待の学者。著書は、『哲学的思考』(筑摩書房)、『実存からの冒険』(ちくま学芸文庫)、『ヘーゲル・大人のなりかた』『哲学のモノサシ』(NHK出版)、『哲学は何の役に立つのか』(洋泉社新書y、佐藤幹夫との共著)など多数。現在、『哲学のモノサシ』シリーズを執筆中。

・もう一つのプロフィール……
だれに聞いても「怒った顔をみたことがない」という温厚な哲学者。学生からの人気はピカイチ。天才的頭脳の持ち主にしては「ちょっと軟弱」「貫禄がない」との評もあるが本人は全然気にしていないようだ。

「2004年 『不美人論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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