NHKこころの時代 宗教・人生 ヴィクトール・フランクル それでも人生には意味がある (NHKシリーズ)

  • NHK出版 (2024年3月25日発売)
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Amazon.co.jp ・雑誌 (176ページ) / ISBN・EAN: 9784149110844

作品紹介・あらすじ

一度きりの生を肯定するために

アウシュビッツから生還したユダヤ人精神科医フランクル。強制収容所での体験を記した『夜と霧』で世界的に有名になったが、フランクルが本当に伝えたかったのは、ナチスによる残虐行為の数々ではなく、「どんな人生でも、生きる意味は必ずある」というメッセージだった。絶望の淵に立たされ続けたフランクルは、何に希望を見出し、まぜ生きる意志を持ち続けることができたのか。本書では、フランクルの孫弟子にあたる講師が、フランクルの激動の人生と、その生涯を賭けて世に伝えたかった思想を紹介しながら、苦難の中にあっても生き抜いた道程を探る、かっこうの「フランクル入門書」。巻末には作家・小野正嗣氏の特別寄稿を収載。

感想・レビュー・書評

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  • NHKの特集がYoutubeに出てきて気になったので購入。

    『夜と霧』は書名は知っていたものの読んだことがなく、今回初めてフランクル、ロゴセラピーに触れました。

    フランクルの考え方は、私が日々感じていることと非常に似通っており、今回この本を通じて私の考え方がさらに明確に出来たように感じます。
    昨今、我が国を含めた先進国には漠然とした社会不安が広がる一方でSNSをはじめとする短期的な欲望を満たすための手段が蔓延しており、気を抜くと利己的で刹那的な生き方に陥ってしまいがちである感じています。
    そんな現在を生きる私たちにフランクルは「生きる意味」を追求することの重要性、とりわけ社会に対する善なる行いの重要性を説いてくれているように感じました。
    また、困難な状況にあってもその困難な状況にさえも意味を見出す姿勢は現在苦しい状況にある人に勇気を与えるものであると思います。私はフランクルと違ってユダヤ教徒ではありませんが、所謂神仏というものの存在(人智の及ばない存在)を信じていますが、やはり人生において今まで遭遇した困難は今振り返るとどれも意味のあるものであったと感じます。これは私が過去の出来事に意味を持たせたという考えも出来ますが、私自身はやはり何かしら(これを神仏の働きとする立場もあるでしょう)に導かれて現在の私があると直感的に感じています。

    今まで私は人生の指針として各種哲学(特にストア哲学)や様々な偉人伝(特に本田静六、ウォーレンバフェット等)や宗教に触れ、それぞれの共感、納得する部分を取り入れてきましたが、フランクルの考え方もこれからは私の一つの指針になりそうです。

    今後はフランクルの他の本も読んでみようと思います。


  • フランクルの言葉だけでなく、勝田茅生さんの穏やかで丁寧な解説も含めて、いくつも心に響きました。

    生きる大切さ、優しさ、色んないいものがたくさん詰まっているテキストでした。NHKの番組の方も楽しみです。

    分かりやすく、字も大きく(ありがたい!)、短い時間で読めるので、中学生くらいから何才まででも、どなたにもおすすめしたいです。

  •  本書は類書を見ないフランクルについての本である。フランクル伝でも、フランクル論でもなく、フランクルの生涯の出来事をテーマごとに追いかけながらその問いかけをも浮き彫りにするという意味で、今までに類書のないフランクルについての本なのである。フランクルはいくつかの本で自らを多く語っていることもあり、読者にとって近づき方は豊富にある。しかしどこから入ろうとも、なんらかの難しさを感じるということがあるかもしれない。もしそういった思いを抱いた人がいるなら、本書はうってつけの本である。
     本書の特徴は長年ロゴセラピーの実践の場でフランクルの思想を読み続けてきた著者ならではの、勘所を押さえた紹介にある。フランクルは数奇な運命をたどってその生を繋ぎ、ロゴセラピーを完成させた。理論として形を取っていたのは収容所体験の前であったが、それを体現せよとの暗示(啓示)を胸に収容所体験を潜り抜けた。私たちがものにあふれる豊かな現代社会の中で感じるむなしさとどう向き合えばよいのか、その道筋がフランクル本人の体験によって確証されていることを明らかにしてくれる。中でも印象的であったのは著者の紹介が、ティリーとの結婚がフランクル39歳の時の出来事であったことや、フランクルの著作の膨大さの背景にはエリーの言葉に尽くせぬ協働があったことなどに言及し、フランクル自身の著作を読むだけでは見落としてしまいがちな事実を拾い上げてくれていることである。ロゴセラピー実践の場にあって見いだされる、フランクルの生涯で特筆すべき出来事を手掛かりにその本質を浮き彫りにしていくことに特徴がある。
     フランクルの思想に近づこうとする人はあるいは精神分析などにすでに親しみがあるかもしれない。時としてフランクルはフロイトやアドラーの手法に痛烈な批判を投げかける。しかし彼が企図しているのは「生きる意味」を見失っている人にそれを見出させることにあることを見過ごしてはならない。自らを観察し、原因探しをすればするほどむなしさに捕われる可能性があることを指摘しているのである。ロゴセラピーを実践している著者ならではのフランクルの大戦前のウィーンでの青少年との関わりの紹介は、フランクルの思想が理論だけでなく膨大な実践に基づいていることを明らかにしてくれている。
     想像を絶する悲惨な出来事を潜り抜けたはずのフランクルの思想に近づく人は、その人の明るさに打たれるのではないだろうか。フランクルの生涯の出来事をフランクル自身の瑞々しい感性を掬い上げながら紹介する本書はフランクル思想のエッセンスを提示しながらも、読者をフランクル自身と出会わせてくれる一冊である。

  • 職場の先輩に勧められて十数年前に『夜と霧』を読んでいた。本書も別の職場の方からシェアされた。私にとっては、フランクルが2回「心の扉をノックした」(p.143)という状況になったのかもしれない。仕事上で受け入れがたいことが起きると自然にフランクルを手にすることが多い。今回も引用したようなことが示唆的であった。

  • ユダヤ人強制収容所を経験した、ウィーン出身の精神科医、ヴィクトール・フランクル。人生には意味があるという考えをベースに、ロゴセラピーという心理療法を開発した。フランクルの生涯をたどりながら、ロゴセラピーの基本を簡易に説明してくれる一冊である。

    実は、私は、「人生に意味があるかのかどうか」という議論が面倒くさくて、苦手だった。それは往々にして、自分よがりの勝手な妄想だったり、他者と比較して自分の不甲斐なさを嘆くものだったりするからだ。

    例えば、ある人はある分野で大儲けし、「自分の人生の意味はこの仕事をすることにある」と高らかに宣言する。その一方で、病気などで身体が思うように動かせない人は、「どんなにつらい毎日でも、自分が生きる意味は何かきっとあるに違いない」と自らに言い聞かせる。

    ”人生の意味”という言葉への私の違和感は、その両極端への面倒くささであったと思う。その言葉の周りで喜ぶことや悲しむことは、人生の無駄だと感じていた。生を受け、今この時を生きている。それだけでありがたいのに、そのことに意味があるとかないとか、とんでもない思い上がりだと思っていた。

    ところが、フランクは、「生きることのの意味」とは、他の人のためになる行動ができるかどうかだという。

    目から鱗が落ちる思いだった。

    フランクルはいう。人間は心と体の苦痛を乗り越えて、他の人を助けるという「意味」のある行動を取ることができると。自分がどんなに空腹でも、最後のパンを誰かのために差し出すことできる。動物ではそうはいかない。人間だけが取りうる行動である。このように、人間には、心と体を超越した精神の働きがある。

    本能的欲求を超えた精神的次元の力を使って「意味のある行動」が取れれば、心が自由になり、生きることの意味を感じられるようになる。つまりは、精神という自己治癒力が人間にはある。「意味のある行動」が取れれば、つらいことがあっても、精神の自己治癒力によって未来へと踏み出せる。

    誰かの役に立つということが、人を人たらしめる。たとえ自分がどんなにつらくとも。たとえ小さな助けでしかなくても。

    フランクルの考えでは、「人生の意味」という議論において、この視点が最優先であり、不可欠である。

    分断が進み戦争の止まない現在において、フランクルの理論を見直すことに大きな意義があるのではないか。

  • すごくわかりやすく、収容所の実態についても新しく知ることが多かった。
    ロゴセラピーについては引き続き探りたいり
    筆者のこれまでのパートは少し飛ばしてしまった。

  • 2024.10


  •  先週までNHK こころの時代で月1回半年にわたり放送されてましたが、この番組のテキストとしてヴィクトール・フランクルのロゴセラピーをわかりやすくかみくだいて書かれてます。また、フランクルの収容所時代だけでなく、戦後まもなく再婚したエリーとの馴れ初めやフランクルの著書は何冊か読んでましたが、はじめて耳にする放送でも話されてなかったエピソードなどが興味深く書かれてます。 
     エリーの魅力ある女性であること、フランクルは精神の愛の人だとわかる良書です。読みやすく二三日で読めました。

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著者プロフィール

1945年生まれ。1970年上智大学文学部哲学科修士課程修了後、ドイツ、ミュンヘン大学博士課程入学。1976年児童音楽教育指導の資格を取得。2000年南ドイツ・ロゴセラピー研究所公認ロゴセラピスト資格を取得。2001年1月ヨーロッパに滞在する日本人のためのカウンセリングを開始。同年4月より日本でロゴセラピー入門ゼミナールを開催して今日に至る。
二人の息子の母親。

「2022年 『ロゴセラピーと物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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