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Amazon.co.jp ・本 (260ページ) / ISBN・EAN: 9784150002435
みんなの感想まとめ
引退した探偵が、旧荘園邸ホテルで聞いた少年の恐怖の叫び声をきっかけに、未解決の殺人事件に挑む物語は、緊張感とサスペンスに満ちています。主人公のリングローズは、亡き少年の声を通じて事件の真相に迫り、長期...
感想・レビュー・書評
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著者のフィルポッツは少女時代のアガサ・クリスティのお隣さんで、クリスティは習作を見せていた、などというのを知り読んでみた。
1925年発表で、舞台も同時代と思われる。ジョン・リングローズという55歳の引退した探偵が、イギリス海峡に臨む旧荘園邸ホテルにやってきた。するとその夜、隣室から「お願いだから、お願いだから・・こっちにこさせないでビットンさん、怖い! その人を隠して こっちにこさせちゃいや 後生だから、後生だから」という少年の声が聞こえる。そしてまた数日後同じ声が・・ 考えたあげく長く逗留している老婦人に打ち明けると、それは1昨年亡くなった泊り客だった少年の声だという。
うーむ、なんとも興味を引く出だし。さらに老婦人は、少年の部屋の隣室の従僕の部屋には恐ろしい顔をした人形があったというのだ。少年の父母は死に、叔父にひきとられているというのだが、リングローズは少年は殺されたと確信する。なにより少年の父は貴族で、少年亡き後、遺産はその叔父が継いでいるのだ。
犯人は叔父だと確信し、この叔父を追い詰める様がこの本の醍醐味。この叔父もリングローズもなかなかの役者で丁々発止のやりとり。そして最後にまたひとつからくりが明かされる。これはドラマにしたらおもしろいんじゃないか、と思ったら、1970年にNHKで翻案してドラマにしていた。
しかし昭和31年の訳文。ちょっと古い文体。そもそもフィルポッツの文も説明がくどくはあるのだが。しかしそれでもなお物語に惹かれる魅力がある。
1925年(大正15年)に発表後、昭和17年に井上良夫訳で大元社、昭和25年に同訳で新樹社、そして同訳で昭和31年にこのポケミス。なんと昭和17年の訳だったのだ。
1925発表
1956.2.29初版 2003.9.30再版発行 図書館詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
フィルポッツの代表作の一つ。引退した探偵のリングローズは、長期滞在するつもりで旧荘園邸ホテルを訪れるが、初日の夜に寝室で子供が恐怖の叫び声を上げる耳にする。しかし子供の姿はどこにも見当たらなかった。密かに調査を始めると、驚くべきことに、その声の主は一年前に既に死んでいることが判明。子供を殺したまま逃げ延びた犯罪者達を捕らえるため、リングローズの最後の大仕事が始まる。
本作の独創的な点は、探偵が事件を知るきっかけが既に亡き犠牲者の声を聞いたためという所である。そして、これに関する謎はひとまず置いておいて仇討ちに挑むという姿勢から、リングローズの子供好きな性質が伝わってくる。事件そのものが一年前であるため証拠が足りず、長い準備期間をかけて身分を偽り犯人に接触する展開も、事件の特異性と彼の執念をよく現していると言える。中盤以降繰り広げられるリングローズとブルーク男爵の知略対決は、かなりスリリングで読み応えがあった。
本作で一番可哀想なのは(事件の犠牲者を除けば)ニコラス・トレメーン青年である事は確実である。こういう恋敵ポジションは嫌な奴が担当するのがセオリーだが、彼は普通にいい奴だったために可哀想さが際立つ。なまじ性格を良くするのも考え物ということか。
イーデン・フィルポッツの作品
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