- 本 ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150008802
感想・レビュー・書評
-
申し訳ないが、ハードボイルド調(?)の訳文が辛くってなかなか読み進められず難儀しました。
(ヘレンが、マローンのことを「あんた」とか呼んでて、「私のヘレンはそんな蓮っ葉な女性じゃないー(涙)」と、読みながら表現に引っかかりを覚える箇所が次々とあってですね……)
しょうがないので、必死に脳内で、小泉喜美子の訳文だったらきっとこんなステキ表現にしてくれるはず!と変換しながら読み進たりして。なので、実質、本を2冊読んだ体力使った感じです。
今回もしょっぱなから事件が発生する辺り、さすがライス、つかみはオッケー。が、そこから、前半でちりばめられる材料のあまりの脈略のなさと、とっ散らかりぶりに、読んでるこっちはついていくのがやっと。
ヘレンとジェイクの面白かけ合い成分も少なく、残念。
後半になるとようやく、このネタの数々の繋がりが見えてきて、ライスのプロットの凝りっぷりが判るんですが、最後までイマイチ作品の波に乗り切れないまま終わってしまった……。
新訳でテンポ良く読ませてくれるとまた評価は上がりそうな気もするんですが、ちょっと残念な印象…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
バラバラしたいと葬儀屋と。複雑な謎への単純な答え。
-
クレイグ・ライスが好きで訳出されているものはすべて読んだ、つもり。なんといってもマローンとジェイク、ヘレン夫妻の傍若無人な無類のかけ合い。冴えない弁護士に見えつつも実は冴えわたるマローンの推理と謎解き。ミステリとしても一級品でどれをとってもはずれがない。文庫化されているものは読みつくしたものの、ノベルズ判のこれが残っていたというのが何という幸運。というわけで小口の黄色いハヤカワノベルスを久々に買った。今でもこのシリーズ健在なんだなあ。しかしこのタイトルはなんとかならんもんか。訳者あとがきに苦心のタイトルと書いてあったけど、作品としては悪くないのに文庫化されていない理由がこのへんにあるのかも。これではライスファン以外への訴求性がなさすぎ。
1957年の作品というのに、体の各パーツ専業スタッフを合成して作り上げられた宣伝用アイドルキャラクターという現代的な設定には驚く。その各パーツが切断されて送りつけられるというのが戦慄の幕開けで、誰が何のために誰を殺して...、という謎解きを依頼されたマローンがこけつまろびつヘレンやジェイクを巻き込み巻き込まれしつつ事件を解決する。ジェイクもヘレンも今回はわりとおとなしいのがちょっと物足りないけれど、マローンのドタバタは相変わらずで楽しめる。さてこの先に読むものはあるんだろうか...。
著者プロフィール
クレイグ・ライスの作品





