死のようにロマンティック (ハヤカワ・ミステリ 1464)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150014643

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  • 「死のようにロマンティック」
    あるいは、30代女子と悩める童貞の物語。

    プロローグのように短い第一部で、いきなり殺人事件発生。
    コテージのベッドの上には無惨な全裸死体。かたわらには血糊でかちかちになったナイトドレス。

    どんな物語が始まるのかと思いきや、第二部からは語学学校の教師マデレーン女史のラブ・ロマンスが開幕。並行して生徒ポールくんの思春期青春ストーリーもスタート。

    大丈夫、きっちりサスペンスでミステリでした。それも上質の。
    読了後、さらっと二度読みして「うーん、うまい。やられた」

    登場人物達に対する作者のちょっと意地悪な目線と、緊張感がありつつもどこかシニカルな笑いを感じさせる物語も面白い。エピローグも皮肉が利いています。これまた拾い物でした。

  • ちょっと下品で優雅、意地悪で軽快。スラスラ読めるミステリです。

    冒頭、コテージで死体が発見されると話はすぐ殺人以前にさかのぼります。
    そこで展開されるのは童貞のグダグタと処女の計算高さがぶつかり合う性のドタバタサスペンス。
    スノッブな語学教師マデレーンが劣等感と性衝動で破裂しそうな生徒ポールと交わすトンチンカンな文学問答には思わずニヤリ。
    そのポールとガールフレンド・シャロンのデートも、互いの思惑の食い違いがおかしく、しかも的確。
    さてこれがどう殺人と結びつくのか……。

    ミスリードもなかなかうまいし、皮肉のきいたオチは最高。
    こんなに読後感さわやかでいいんだろうかといぶかしんでしまうほど不謹慎で楽しい小説です。

    授業で使われた詩はキーツ『聖アグネス祭の前夜』
    バイロン『チャイルド・ハロルドの遍歴』
    シェリー『自由よ』
    そのほかスウィンバーン『見捨てられた帝国』
    マーヴェルの
    「墓こそまさにふたりきりになれるところ
    なれどだれも土の中では抱き合わぬ」という一節。
    ブッキッシュである一方、教養主義も階級差も明るく笑い飛ばす快作です。

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