無慈非な鴉 (ハヤカワ・ミステリ 1488 ウェクスフォード警部シリーズ)
- 早川書房 (1987年5月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150014889
感想・レビュー・書評
-
イギリスの作家ルース・レンデルの長篇ミステリ作品『無慈悲な鴉(原題:An Unkindness of Ravens)』を読みました。
ここのところ、イギリスの作家の作品が続いていますね… 『ロウフィールド館の惨劇』に続き、ルース・レンデルの作品です。
-----story-------------
〈ウェクスフォード警部シリーズ〉
警部の隣人ロドニー・ウィリアムズが失踪して数週間後、彼の無惨な刺殺体が発見された。
折しも近隣では一人歩きの女に声をかけた男が刺される事件が相次いでいた。
まもなく、捜査に忙殺される警部をウィリアムズと名乗る女が訪れ、驚くべき事実を明らかにするが…… !。
-----------------------
1985年(昭和60年)に刊行されたウェクスフォード警部シリーズの第13作目の作品、、、
小口と天・地が黄色に染めてある、懐かしく、心ときめく装丁のハヤカワポケミス(ハヤカワ・ミステリ、HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOK)版で読みました。
はじめは、愛人との駆落ちぐらいに考えていたものの、レジナルド・ウェクスフォード警部は今や男の死を確信していた─失踪したのは、警部の隣人で会社員のロドニー・ウィリアムズ… その妻に、夫が戻らないと聞いてから二週間後、放置されたままの彼の車がまず発見された、、、
さらに、突然会社に辞表が送られてきたばかりか、妻に隠していた銀行口座が、池からは彼の身の回り品を詰めたバッグまで見つかった… 間もなく、七ヶ所も刺されたロドニーの死体が掘り出された。
折しも近隣では、一人歩きの女に声をかけた男が逆に刃物で傷つけられるという妙な事件が続いており、警部は早速ロドニー殺しとの関連を調べはじめた… ところが事件は思わぬ展開を見せた… 死体発見を知って警察を訪れた女は、ウェンディ・ウィリアムズと名乗った、、、
あろうことか、彼女は被害者のもう一人の妻だったのだ! がぜん複雑な様相を呈する重婚者刺殺事件─捜査線上に浮ぶのは、被害者に翻弄されていた二組の妻子、そしてロドニーの娘も関わる、女権擁護を声高に叫ぶウーマンリブの闘士達… ウェクスフォード警部の粘り強い捜査が明らかにした事件の真相とは?
隣人ロドニーの不可解な失踪… ロドニーの謎の私生活… 重婚による二重生活… 対照的な二人の妻二人… 戦闘的フェミニスト… ロリコン… 近親相姦… 二重人格… と、なかなか激しい展開でしたね、、、
登場人物が多いせいもあり、中盤まではやや読み辛い印象でしたが… 犯人の実像や動機、アリバイ捜査等が衝撃的で印象に残りました。
事件解決後のウェクスフォード警部によって、犯人の性格が明らかになり、人間心理の恐ろしさがひしひしと伝わってくるくだりがイチバンの見どころでしたね… もう少し全般的に読みやすかったら、もっと高く評価できるんですけどね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
裏表紙の説明に殺害された男には二人の妻があった、とある。これは妻たちの物語かと思いきや、娘達が入っていたカラスの絵をマークにしている女権団体も出てくる。60年代の公民権運動、70年代のウーマンリブを30代、40代で経験した著者ならではの設定なのか。
動機は殺された男の性癖のせいかと思いきや、根強く残る男尊女卑だ、としている。
ローラアシュレイの○○の服、とか女性が身につけているファッションの記述が具体的。
ルース・レンデルは初めて読む。1930年生まれだから発表時は55歳。
1985発表
1987.5.25発行 ハヤカワポケットミステリ1488 図書館 -
ウェクスフォードシリーズは、ミステリーはもとより、その時の時代の問題や提起、背景を、からませてあり、小説みたいな感じもする。