ステラの遺産 (ハヤカワ・ミステリ 1674)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (373ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150016746

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  • 老若、男性とは幸せになれなかった女二人の物語。
    読み終わってちょっと沈む話。不幸な結婚をして、そして不倫をしても幸せになれない、とバーバラは言いたいのか。若い女が新たな一歩を踏み出そうとしたのが一筋の光。

    時代は発表年と同時代だろう。イギリスの小さな町。老人介護施設に勤めるケアラーのジェニヴィーヴ・ワーナーは幼馴染と結婚して13年、夫には愛情を感じなくなっている。そんな中ネッドというTVプロデューサーと出会い初めて愛を感じ夫とは離婚しようと考えている。

    ジュネヴィーヴの担当のステラという老女はガンで余命いくばくもないが、ジュネヴィーヴに自分の不幸な結婚生活を語る。話からすると1923年あたりの生まれ。分かりあった幼馴染のアランがいたが戦争で二人は離れ別々に結婚。それが時を経て再開し不倫の関係となる。ステラは親の遺産で家を買い、そこを逢い引きの場所にする。

    ステラの話から、そこで殺人があったのでは?と当初から想像するが、それが最後の最後になって、おまけのループが決着する。

    ジェニヴィーヴの母も町の男と結婚し2度3度と夫を変えて今はパブをやっている。この状況設定が最近アマゾンプライムで見たイギリスのTVドラマ「検視法廷 美人検視官ジェーン」に似ていた。庶民とそれ以上の人たちで「階級」が違うと分けて、庶民は小さな町で仕事も人間関係も完結しているのだ。で相手を何度も変えている。


    1995年発表
    1999.3.31初版 図書館

  • 期待を裏切らず、心理的恐怖。

  • ちりばめられた迷信の数々が読者の眩暈を誘う。イギリスの階級社会への理解がないとぴんと来ない部分はあるかも知れない。ご都合主義の設定(映画好きの友人など)がちょっと気になるが、ジュネヴィーヴとステラの人生を重ね合わせる丹念で美しい描写はさすが。この家、あたしが欲しいくらいだ。一人の女性のビルドゥングス・ロマンのようにもなっている。

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