神学校の死 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) (ハヤカワ・ミステリ 1719)

  • 早川書房
4.14
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本棚登録 : 66
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (486ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150017194

作品紹介・あらすじ

サフォーク州の人里離れた海岸に位置する聖アンセルムズ神学校の学生が、近くの砂浜で砂の下に埋もれた変死体となって発見された。公式見解は事故死とされたが、納得しない学生の義父が、ロンドン警視庁に再捜査の圧力をかけてきた。少年時代に同校で夏季休暇を過ごした経験をもつダルグリッシュ警視長に白羽の矢が立ち、彼は校内に滞在して調査にあたることになる。時を同じくして、同校の閉校を推進する教会幹部も到着するが、ダルグリッシュはそこに不穏な空気を感じた。はたせるかな、嵐が荒れ狂う夜、彼の目と鼻の先で残忍な殺人事件が。

感想・レビュー・書評

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  • ダルグリッシュ警視長が携帯電話持つとは。コーデリアとの共演?が1970年代でそのイメージだったが2001年発表作。舞台は人里離れた神学校で王道ミステリー。ある謎解き解明の瞬間には痺れたが、犯人対警視長的部分は私には冗長感。

  • 発表と同時代を設定にしていて、携帯もPCも出てきて、この21世紀の時代に、などという表記もあるが、舞台がイギリス南東部の崖の上の神学校。神父、神学校生徒20人、夜はうちそろってディナーという場面をみると、100年前が舞台なのではと錯覚してしまう。うち続いた名家の私生児にまつわるのが発端だし。

    神学校の様子や捜査が進んでゆくにつれ、神父たち、神学校生、使用人などの背景が見えてくるのは読みごたえがある。が、動機が分かるといささかあっけなく、なーんだ、という脱力感。

    おもしろかったのは著者と同時代の女性推理作家がちらと出てきたこと。
    ある神父の部屋の蔵書は、「ドロシイ・L・セイヤーズ、マージェリー・アリンガム、ナイオ・マーシュといった黄金時代のファンらしい」といった記述。このところ読もうとしているBIG4だな。あれクリスティ抜き?と思ったら、遺体を目にした講師の女性に対し「視覚による恐怖の衝撃がなければ、殺人事件も現実というよりアガサ・クリスティの世界で、ぞくぞくするような興奮をあたえてくれる」などという表現もある。

    P・D・ジェイムズ 80歳の作品

    2001発表
    2002.7.31初版 2002.9.15再版 図書館

  • 警視にして詩人 ダルグリッシュシリーズのなかで最高だと思っています。「どんな男の人がタイプ?」ときかれたら これからは迷わず「ダルグリッシュ警視のような。」と言います。これからは。2002年発行。いきなりこれを読むのでなく「女に向かない職業」から楽しんでほしい。

  • 『正義』に続いて2作品目。
    事件発生までがかなり長く、読者側が推理するミステリでもないが、読ませる力があるのは作者の力量が素晴らしいからだろうと思う。
    たとえ事件が起きずとも、緊迫感を孕んだ濃厚な人間ドラマとして読み応えがあり、結果として事件に関わりのなかった人物達のサイドストーリーも秀逸だ。ただ、これを冗長と思う読者もいるだろうし、スピード感に欠けて退屈だと思う読者もいるかもしれない。警察の捜査も地道で無駄に終わる(でもこれが普通だろうけど)ことばかりでもどかしいばかり。万人受けではなく、じっくりと深く読書を楽しみたい人向けなんだと思う。

    意外だったのは、ダルグリッシュが前作の事件に悔恨の念を抱いていたこと。こちらがもどかしく思うくらい淡々と現実を受け止めていたように思えたから。

  • どうも作者は、時としてダルグリッシュ警視長をロンドンから解き放ちたいらしい。

    もう二人も死んでいるというのに、
    いつものごとく追い詰められている人がいるなーと思っていたら、
    殺されてしまった。
    さらにもう一人。
    舞台が学生数20人の神学校なのに殺され過ぎでは。

    人種差別問題で情熱を失いかけていたケイトが、
    重要な証言を聞き出して、情熱を持ち直したのは良かった。

    事件の関係者だったエマ・ラヴェンナムとダルグリッシュ警視長の今後の展開はいかに。

  • シリーズものだとは知らずに読んだのですが面白かったです。英国国教会について知らないので神父って結婚できるの?と驚いてしまいました。馬面...。食事とワインの美味しい神学校いいなあ...午後のお茶に参加したい。スコーン食べたい。

    ラファエルがやたらと美形だの、女より男に受ける顔立ちだのと描写されててジョン神父をやたら庇っていたのでそういう関係で事件にもその辺が関わってくるのかと思ったけどそうじゃなかったぜ!ジョン神父のその後は女性とは問題おこす心配がないから適材適所と言えばまあそうなのか...。

  • 貸してくれた人はやたら期待値を下げようとしていて、どれほどつまんないんだろうと思って読んだら、ふつうに面白いじゃん。これが初なので今までの雰囲気とかわかんないけど、ダルグリッシュのキャラが相当いい感じ。面白いのは最後にアクションシーンがあるところ。観客を楽しませるためだけにアクションシーンで終わる映画みたいな妙なサービス精神が面白い。それまでオーソドックスなミステリで、距離感がずーっと保たれているところが上品。ただ、これ面白いって言われて読んでたら、たぶん多少評価下がっている。やっぱり前半が長いよ、これ。でも、ダルグリッシュのキャラは相当好き。でも最初に読むのが、彼に久しぶりの恋が始まりそうなシリーズ12作目ってのはよかったのか?ま、いいや。2007.1.15

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