ラスト・チャイルド (ハヤカワ・ミステリ 1836)

  • 早川書房 (2010年4月9日発売)
3.76
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Amazon.co.jp ・本 (464ページ) / ISBN・EAN: 9784150018368

みんなの感想まとめ

闘う子どもを描いたこの作品は、読者を引き込む力強いストーリー展開が特徴です。登場人物たちの心の動きが丁寧に描かれ、特に脇役のキャラクターに対する感情が深く響くという声も多く、感情移入を促します。物語は...

感想・レビュー・書評

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  • 少年が、誘拐された妹を探すストーリー。なかなかに鬱展開で始終どんよりしていたが、最後には救いがあってよかった。

    真相は残酷だった。妹の死が、性犯罪者によるものではなかったことはよかったが、事故には主人公の親友が関わっており、妹は失踪したその日に死んでいたというのはやり切れなかった。
    だからこそ、すべては神の思し召しなのだという考えには少し救われた。アリッサが死んだのは、ひそかに行われていた大量殺人をとめるため、フリーマントルが致命傷を負いながらも死ななかったのはジョニーたちを救うため。

    オコンネルの【クリスマスに少女は還る】のような崩壊と再生の物語。

  • 闘う子ども、というのが好きです。途中でやめられず、一気に読んだ。
    辻村深月さんの「ぼくのメジャースプーン」を思い出しました。それとは内容も展開も全く違いますが。必死に一途になるのは、狂気のように見えてしまうんでしょうか。
    面白かったです。



  • 賢い子どもが家族崩壊の一歩手前で踏ん張る姿が何ともいたいけで裏切りは形が変わり繰り返され読み手が翻弄されるのが醍醐味なのだろう。相変わらずミステリに不慣れで色々と心で突っ込んでしまう…大人は子どもに甘えすぎだよと。

  • 面白かった
    悲しいくらいに
    切ないほど
    細部にわたって
    良く書けてる

  • 非常に面白かった。
    若干予想はついてたが、犯人の出し方が良かった。

  • なかなか翻訳されたものだとシックリくる本に出会えませんでしたが、久々のヒット!
    最後の展開も予想外でしたし、
    終盤、「神」とか「スピリチュアリ」をイヤミにならない程度で織り交ぜているのも自分的にはグーでした。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「久々のヒット!」
      面白いけど重かった、、、次に「川は静かに流れ」を読むつもりなのですが、なかなか手を付けられず(重い本は読み始めるのに気合...
      「久々のヒット!」
      面白いけど重かった、、、次に「川は静かに流れ」を読むつもりなのですが、なかなか手を付けられず(重い本は読み始めるのに気合が要ります)。。。
      2013/04/15
  • 真相が解きほぐされるまでの過程での、登場人物それぞれの心の鼓動が感じられておもしろい。『川は静かに流れ』もそんな感じだったので、この作家はそういう作家なのだろう。ただ今回の主人公については少年というせいもあるのか、その無鉄砲さに若干感情移入できなかった。

    むしろ脇役の黒人の娘に対する愛にうるっとくるものがあった。

    ■このミス2011海外5位

  • これは、ズバリ面白いでしょう。
    個人的にはロリコンと言われる人たちもまぁ趣味の問題だし良いんじゃね?って思うけど、子どもを捕まえてやることやって殺すとかは最悪なんであって、二次元で我慢しとけってなる。そういう意味ではこういうネタは胸糞悪いわけだけど、それ故にグイグイと引き込まれるんだよなぁ。
    ジョニーくんも無闇矢鱈とハッスルしまくりでもうヤバいけどギリギリ乗り越えて、ていうか他の人たちも全体的に無茶してて、スピード感というか焦燥感というか。まぁとにかく良かったんよ、と言いたい。

  • (近頃流行りの意味ではなく)沼にはまる、家族崩壊という名の。双子の妹が失踪したのをきっかけに崩壊した家族を取り戻したい少年の妄執が事件の解決を引き寄せるとともに関係者すべてが沼にはまっていく。後味は悪くないと池上冬樹(ミステリ評論の巧者)は解説するが、それこそ流行りの意味で沼にハマってないか?

  • 出だしはなかなか話に入り込めなかったけれど、いつしかグングンと引き込まれて一気に読了。評判通りの面白さで。ナゾの大きな黒人の登場人物が、グリーンマイルの囚人とイメージが重なりました。

  • 2011年エドガー賞

    なんかいろいろ受賞してるし面白いのかな?で読んでみる。

    ジョニー・メリモン 13歳の少年
    アリッサ      双子の妹
    キャサリン     ママ
    ハント       刑事
    ジャック      ジョニーの親友
    リーヴァイ・フリーマントル  脱獄囚

    前半の暗い設定でページが進まない
    たぶんハズレだなぁと思いながら読み進めると
    後半じわじわ面白くなりミステリー的にもなかなか
    ラストは崩壊した家族にも光が差し込み
    胸にジーンと来る感じ
    ジャックが可哀そうで
    ラスト1行にホロリときました


    前半★+後半★★★★★=★★★みたいな

  • 事件が解決され、犯人が誰か分かった後、もう一度はじめから読み返すのが好きだ。張られた伏線も、ミスディレクションも、手に取るようによく分かるから。しかしながら再読したくなる小説はそう多くない。大抵は犯人の隠し方に無理があったり、語り手が重要な手がかりを充分明らかにしていなかったりして、不満が残る。しかし、なかには再読可能な作品もある。ミステリとしては瑕瑾があっても、それを問題にしたくないほど読ませる力を持つ作品が。

    これもそういう作品の一つである。『終わりなき道』、『川は静かに流れ』に次いで、ジョン・ハートを読むのはこれで三作目。それまで読んだ二扁は再読しなかった。アメリカ探偵作家クラブ賞をとった『川は静かに流れ』は、『終わりなき道』よりは良かったが、人間の描き方に不満が残った。この作家は、殺人という罪を犯す人間は、外見はどう見えていても、実のところはみな異常者だと思っているのではないだろうか、という疑念がぬぐえず、三度目の正直を期待しながら読んだ。

    ジョニーは十三歳。双子の妹アリッサは一年前に誘拐された。母キャサリンは、娘が戻らないのは迎えに遅れたあなたのせいだと父を責めた。優しかった父は家を出た。働き手を失い、家庭は崩壊する。貸家に移った母子を家主である町の有力者ケンが蹂躙した。母はドラッグと酒で心と体を支配され、息子は絶えず暴行を受けた。ジョニーは神に祈った。母が薬をやめ、家族が戻り、ケンが死ぬことを。神は答えなかった。聖書を焼き捨て、ジョニーは犯罪常習者を監視する。

    一方、担当刑事のハントもすべてを犠牲にしてアリッサの行方を追っていた。そんな夫に業を煮やした妻は離婚。一人息子は心を閉ざしていた。父と子という主題は、この作品でも大きな役割を果たしている。事件から一年後、ジョニーは一人の男が何者かに殺されるところを目撃する。男は、死ぬ前に「あの子を見つけた」、「連れ去られた少女」、「逃げろ」とつぶやく。必死で逃げるジョニーの前に巨漢の黒人が現れる。男は逃走中の服役囚だった。男の耳には声が聞こえた。「少年をつかみ上げよ」という神の声が。

    少年の冒険活劇という側面がこの作家にはめずらしく作品に明るさを呼び込んでいる。親友ジャックとつるんで学校をサボり、酒やタバコをやり、無免許で車を転がす少年像は、トム・ソウヤーとハックルベリー・フィンの系譜に連なるものだ。不良っぽいが、知識欲があり、図書館の本は延滞せず、何度も借り直すという律義さも持っている。インディアンの儀式に必要な羽をとるために鷲と格闘する勇気もあれば、餓死する運命にある雛鳥に心を痛める優しさも併せ持つ。

    一つの事件を追うのではなく、一見関係のない複数の事件が起き、それらがからみ合うプロットがよくできている。少女誘拐事件はジョニーの活躍もあって意外な展開を見せるが、妹は依然として見つからない。組織力のある警察機構より、十三歳の少年が一歩前を行くというのは、どう考えても無理があるが、ハントはことごとく少年たちの後手に回る。そんなハントに代わり、事件解決に力を発揮するのがネイティヴ・アメリカンと黒人の混血、リーヴァイ・フリーマントルという大男。

    アメリカという国の歴史や宗教を背景に取り込むのは、この作家のよく使う手だが、今回は奴隷解放の先駆者であった一人の男と彼が救った黒人奴隷の子孫(ラスト・チャイルド)がキー・パーソンになっている。神の前の平等は奴隷制度には都合が悪い。白人は自分たちの信じる神を黒人が信仰することを禁じた。白人に隠れてキリスト教を信奉した人々は、ハッシュ・アーバー(隠れ教会)と呼ばれる森の奥や湿地に集っては祈り、神を讃える歌を歌った。ゴスペルの始まりである。

    救った側と救われた側のラスト・チャイルドの遭遇が奇蹟を起こす。今さらノックスの十戒やヴァン・ダインの二十則を持ち出すと笑われるかもしれないが、超自然的な力や、妹の事件の解決の仕方についてミステリとして気になるところはある。ただ、そこが小説のミソなので、結果論になるが、英国推理作家協会賞最優秀スリラー賞を受賞しているのだから、問題ないということにしておこう。個人的にはジョン・ハートの作品では、今まででいちばん面白く、後味もいい。ミステリという狭い枠にとらわれることなく、楽しんで読める作品になっている。

  • 伊勢BF

  • 2015/6

  • 暗い

  • いくつかの家族の崩壊と再生の物語。
    最終的には「人が人生を生き直す瞬間」を描いた希望に満ちた物語ではあるが、そこに至るまでの悲惨さは読んでいて辛くなるほどだった。

    主人公ジョニーの抱える絶望の深さは読んでいて凹んでしまうほどで、息子を持つ父としては、「俺がいたらそんな思いさせないのに!」と息子への愛情をより深めるきっかけにもなりました。

    タイトルにもなっている「ラスト・チャイルド」の意味がまた強烈で、双子の片割が失踪してしまったことで、自分自身を「残された方の子ども(the Last Child)」と呼ぶジョニーの気持ちを考えると胸がいたい。
    それでも、たった一本の蜘蛛の糸を伝うように懸命に前に進もうとするジョニーの心に胸を掴まれる一冊だった。

    これは傑作だ!

  • 友情と愛情といった正なるものと,
    裏切りや邪悪といった悪なるものとの対比がすばらしい。

  • 図書館で借りたので、古い早川ミステリーの方で
    めちゃ懐かしかった!

    これには主な登場人物がストーリーの前に書かれているので
    ある意味、ネタバレなのですが・・。

    ミステリーファンにとって、この本の醍醐味は最後の最後、
    変質者が犯罪を犯したという事実が判明した後。
    もうほとんど主な登場人物は出てきたし、
    変質者が犯人ではミステリーではなくなるし、
    どーすんだ?? というところから。

    なんとなく怪しい人は察しがつくけれど
    それを上回る結果で・・
    この結果を知った上で、伏線を確かめながら
    もう一度読んでみたいと思わされる。

    う~ん、技ありだな~

  • 少年の孤独な調査と違うところで起こっているような家庭のことが最終的にああなるとは。グリーンなんとかって映画と似てるか…いや微妙^^;すごく好きな書き方だったのでこの人の本を読み漁ろう。

  • 1年前に双子の片割れの少女が姿を消してから、家族は崩壊した。気丈だった父は家族を棄て蒸発。母は酒と薬に逃げる。妹の生存を信じて、学校も行かず草の根を分けるように捜し続ける兄。あらたな少女誘拐が起き、事態は動き出す…。
    絶望のぎりぎりの線を歩く兄、狂気の淵をさまよう母、その二人を見守る刑事も大きな闇を抱えて、読むこちらも胸を塞がれる。なのにページを閉じることができない。
    『グリーン・マイル』のジョン・コフィーのような、神がかった黒人の存在は現実離れをしているのに突飛ではない。
    子どもを思うあまりに盲目となり常軌を逸していく親たちの物語。
    すぐれたミステリは深い文学作品ともなり得るという、好例の一作。

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著者プロフィール

1965年、ノース・カロライナ州生まれ。ミステリ界の「新帝王」と呼ばれる。2006年に北米最高のミステリ賞であるアメリカ探偵作家クラブ(エドガー)賞最優秀新人賞候補作『キングの死』で華々しくデビュー。その後、2007年発表の第二長篇『川は静かに流れ』で、同賞の最優秀長篇賞に輝いた。2009年の第三長篇『ラスト・チャイルド』は、エドガー賞最優秀長篇賞および英国推理作家協会(CWA)賞最優秀スリラー賞をダブル受賞。エドガー賞最優秀長篇賞を二年連続で受賞した唯一の作家となる
『終わりなき道 下 ハヤカワ・ミステリ文庫』より

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