- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150018382
感想・レビュー・書評
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祖父の回想録として語られる戦争小説。いや、青春小説。
舞台はナチス包囲下のレニングラード。17歳だった祖父はドイツ兵の死体からナイフを盗んだところをソ連軍に見つかり投獄される。脱走兵の青年とともに秘密警察の大佐に呼ばれた祖父は、大佐の娘の結婚式で焼くケーキのために「卵を1ダース」手に入れることを命じられる。そして2人は卵を探す旅に出るが・・・。
彼らが卵探しの道中に巡り合うのは、食糧難で人肉を喰らう殺人鬼、ナチスの相手を強制されている娼婦、ナチスを襲うパルチザンなど。
語られるのは戦争の愚かさや理不尽さではあるが、同時にそれはどうしようもなく滑稽である。
そして卵探しの旅は、さらにどうしようもなく悲惨で滑稽な結末で幕を閉じる。
ほんのり暖かなラストで救済の手を差し伸べる手法は、ハリウッド映画的な展開ではあるがまぁいい感じではあります。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
作家の祖父レフ・ベニオフの回想。
1942年、第二次世界大戦中のレニングラードは、ドイツ軍に包囲されていた。
ピーター(ペテルスブルグから)と土地っ子は呼ぶんですね。
当時17歳だったレフ。
木という木は看板でも何でもすべて燃やされ、木片一つない。
7ヶ月前には何気なく食べていたものも影も形もない。
固いパンとタマネギ1個を数人で分け合う。
飢餓にあえぐ街。
すごすぎる…
ドイツ軍の飛行機から落下傘で降り立ったのを見て少年達が駆けつけ、既に凍死していたドイツ兵から荷物を奪い取る。
見回りにレフだけが捕まってしまう。略奪に当たるので、下手すれば銃殺。
同じ時に脱走兵として捕まった金髪のコーリャ。
秘密警察の大佐に、娘の結婚披露宴のために、卵を探し出してこいと命令される。
何ヶ月も誰も見たことがないという卵を探し求めてさまよう二人。
命がけの探索中に、パルチザンと出会う。
パルチザン一の狙撃手は何と若い女性。
少女達がドイツ兵相手の娼婦にされている所へたどり着き、パルチザンと共に、訪れるドイツ兵を倒そうと…?
今の時期に読むには強烈すぎる内容なので、大急ぎでめくる。
しかし筆致は確かなので、読めなくはない…
いや戦争は一番悲惨だな…
祖父の回想を孫が聞き書きするという形式なので、若かった主人公は難題を乗り越えて、生き延びるのだけは確かなので、安心できます。
結末には救いとユーモア、爽快感があります。 -
第二次大戦中、ナチスに包囲されたレニングラード。
17歳のレフは敵兵士の遺体から所持品を奪い捕まってしまうが、同じく捕まった脱走兵のコーリャと共に、軍の大佐の娘の結婚式のために卵を1ダース探し出して持ってくるという条件で解き放される。国全体を飢餓が覆う中、果たして卵を手に入れることができるのか…
戦争の悲惨さ、愚かさを描くとともに困難に負けず前進する二人組の青春冒険小説だが、なぜこれがポケミスから出たのかわからない。戦時中に命がけで卵を探し歩くという設定は哀しくも可笑しいし、レフとコーリャの人物造形が生き生きとして素晴らしいので一気読みしたが、冒険小説はいまいち良さがわからず。前評判がよくて期待しすぎたせいか、あまりツボにはまらなかった。 -
私の評価基準
☆☆☆☆☆ 最高 すごくおもしろい ぜひおすすめ 保存版
☆☆☆☆ すごくおもしろい おすすめ 再読するかも
☆☆☆ おもしろい 気が向いたらどうぞ
☆☆ 普通 時間があれば
☆ つまらない もしくは趣味が合わない
2011.3.16読了
今までに読んだちんぽと尻の話で、最高におもしろい話。限りなく5つ星に近いけど、保存版にはしないので、星4つ。
だけどな、表紙のデザインもいいし、コレクションにしちゃおうかな。そしたら、星5つ!
読み出しは、ちょっと現実味がなくて、入り込みにくいけど、そのうち、そんな事は気にならなくなるよ。
あとがきを読むと、作者は全然、ピーテルとは関係ない人なんだね。それでも、実際に凍りついた森を歩いたり、人喰いのアパートから逃げ出すところとか、良く書けてるね。そして、二人の掛け合いが、いい感じです。
戦争は愚かだし、人生も愚かかも。でも、人生の愚かさの中には、本当に価値のあるものが、有ったり、無かったり。
関係ないけど、2011.3.11の災害に遭われた方や、私たちも、コーリャやヴィカやレフの様に、この局面をいっしょに歩いて行きましょう。 -
あんまり読まないジャンルだけど面白かった。映画で見たかったな
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冒頭から惹き込まれて一気に読み終えてしまった。装幀も、思わず手に取りたくなる。ポケット・ブック判は手に馴染んで丁度良いサイズ。
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久しぶりに読んだポケミス。
ドイツ軍に包囲され崩壊寸前のレニングラードで、大佐の娘の結婚式のために、4日以内に1ダースの新鮮な卵を探す任務を負ってしまったコーリャとレフの二人。
見つかるあてのない卵を求める二人の探索は、楽天的なコーリャの軽口とあいまって少し現実ばなれした話のように錯覚してしまうのだが、その分彼らが目の当たりにする戦争の悲惨さや愚かしさが痛々しく胸に迫ってくる。
ミステリではないが、ありきたりの戦争小説でもない。不思議と読み返したくなる小説だ。 -
大人のライトノベルって感じ。コーリャのCVは宮野真守で読んでいた。コーリャうざいよコーリャ。陰鬱な戦争の話でもあるんだけど、レフとコーリャ掛け合いが救いになって楽しく読み進められた。「卵をめぐる戦争」ってのも一種の戦争のおろかさを表してるんだろう。2人の旅の結末、エピローグの展開はまさに映画脚本だなーというすっきりさでいい。
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人間は愚かだ!戦争の残酷さをゾッとする様な文章と、生きる希望のか細い光を見る文章で綴っている。
ラストで深いため息が…。