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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784150018528
作品紹介・あらすじ
歴史家ルークは、講演に訪れた街で、昔の知人ローラ・フェイと二十年ぶりに再会する。しかし酒を酌み交わしながらの一晩の会話は、予想外の方向に転がっていく──。名手の新たなる傑作が登場!
みんなの感想まとめ
人間関係の複雑さと過去の影が交錯する一夜の物語が展開されます。主人公ルークは、二十年ぶりに再会した旧友ローラ・フェイとの会話を通じて、彼自身の過去や内面的な葛藤に向き合わざるを得なくなります。彼女の存...
感想・レビュー・書評
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ルークの青春は輝いていた。ローラ・フェイが現れた夜までは。
自分が興味を持っていることは、人もきっと同じ思いに違いないと、とんだ勘違いを今でも改められない私は、クックがなんなのか興味のない人にまで、このごろクックが出ないのよ、と愚痴っていた。「最近翻訳物は少なくなったしね」心優しい人たちは、大体を想像して答えてくれた。
探す手間もかけずに、愚痴りながら待っていた私は今に始まったことではないがまたまたとんだ間違いをしていた。従来の文春文庫ではなくてポケミスで出ていたのだ。毎年一冊、遅いときでも二年に一冊は出ていたはず。クックさん今回もやはり「長い休暇」ではなかったのか。
彼の作品は、初期のものも面白かったが、「記憶シリーズ」あたりからが作風も少し変化してきているがそれでも変わらず面白い。
事件の起きる原因も、不幸な環境や貧困や、両親の不和、降りかかった災難、陥った苦境からの逃避などで、自分や周りの親しい人まで巻き込む。いつも似たような展開で、以前に起きた事件の記憶を振り返ったり、不意に現れた過去を再構築しているうちに、次第に深層にたどり着くといった形式が多い。主人公や周りの人々が生きてきた歴史はそのころには遠く朧にかすんで、現実の前で色あせ始めている。そんな頃になってそれは実態を表す。
何かを契機に、消えてしまっていたはずの過去につながる人物や出来事が、降って湧いたように訪れる。
この「ローラ・フェイとの最後の会話」もその例に漏れない。捨ててきたというか、逃げてきた遠い故郷の悲惨な事件から、幻のような存在になっていたローラ・フェイが現れる。たまたま再会して(ローラは意図していたが)想い出話をした夕刻、その一夜の話である。
ルークはアラバマ州グレンヴィルという田舎町の高校では抜きんでた秀才ということになっていた。卒業のスピーチもしたし、レポートも書いた。担任はハーバードに行けると励まし、市長の推薦も受けた。
彼の夢は生き生きとした歴史書を書いて世間に認められることだった。ハーバードから入学許可の通知が来る、しかし当てにしていた奨学金は認められなかった。彼は静かに絶望した。
父親は儲けなどには無頓着で、流行らないバラエティ・ストアを開いていた。雑貨屋という名前どおり、商品の整理も出来ていない、父親の性格そのもののような雑然とした店だった。
母は体が弱く、そのころはもう回復の見込みの無い悪い病気に蝕まれていた。
ルークは店員の女(ロ-ラ・フェイ)と父の関係を疑っていた、倉庫を探って浮気を確信した。そして愛して尊敬する母をいっそう不憫に思っていた。
父が射殺される。犯人はフェイの別居中の夫でウディという男だった。
父の保険金が20万ドルあると聞いてルークは胸をなでおろす。
受取人の母から金は自分に流れ込むと思っていた。ところが負債を抱えていた父は、死後債権者に店も品物も母の貯金も渡ってしまった。父は無くなる二ヶ月前に保険まで解約して手にしたという三万ドルもなくなっていた。
彼はまたしても絶望して途方にくれた、しかし重病だった母が亡くなり家を売って学費が出来た。
ルークは望み通りハーバードを出たが、歴史書は書けなかった。彼の書きかけた小説は、最後にはやせた論文になるのが常だった。
小さい大学で小さな講座を持ち、時々は地味な講演を頼まれ、夢とは程遠いながら、自分の新刊本を並べてサイン会の机を用意したが、人気は無かった。
そんなとき、講演先のセントルイスに彼女は現れた。
27歳の若さに輝いて父を誘惑した娘は、老いの影の忍び寄った47歳の太目の女になっていた。
彼女はル-クに話があるといい、気が乗らないままにルークはホテルのラウンジに誘う。
ローラ・フェイはカクテルを前に話し始める。彼女はその後事件を追って調べつくしていた。
ルークは何かを感じとる。過去は緊張感とおびえと「輝かしい青春」が混在するものであったが、すべては思い出したくないものだった。
ローラは「ルークの旅路」に迫ってくる。ほのかな当てこすりと、遠まわしな感想。それはルークの傷をまた開かせる時間だった。
そして、過去のあの時、事件の原因と結果が、二人の前に真実の光景を広げてみせる。
クックのこのストーリーには少し緻密さがかけてきた。終わり方や話の締め方にもやや不満が残る。作者は解決したつもりでも、エピローグは、従来のように暗いものは暗いままに、ルークの人生とはそういう流れが現実的ではないだろうか。とも思う。
それでもクックが好きなのでそこを書きたい。
たとえ~であったとしても。(あたかも)~のように。頻出するこういったたとえの中の風景が鮮やかにストーリーを際立たせ、そのイメージは言葉の壁から鮮明な心象風景を伝えてくる。
ここにきてクックの描く最後の風景が明るさを見せるようになっている。
あたかもローラ・フェイにアイスピックで突き刺され、その穴から自分が永久にもれ続けることになったかのように。
「つづけて、ルーク」と彼女は言った。「おねがい、もっと話して」彼女の頬笑みは妙に満足そうだった。油断のならない水域を乗り切り、いますこし気をゆるめて、それほど危険のない川面をゆったりと下っている水夫みたいに。
依然としてわたしの人生を覆っている灰色の蜘蛛の巣をほとんどあざ笑うかのように。
「ひとつの石で二羽の鳥を殺すなんて」「殺す?」とわたしは聞き返した。というのも、その言葉とそう言ったときの彼女の言い方にぞっとするものを感じたからだった。突然、武器を持った危険な闖入者が押し入ってきて、たちまち、ほかのあらゆる問題はなにもかも生き残れるかどうかという単純な問題に還元されてしまったかのように。
陰惨、どこにも出口がないという顔だった。一瞬、彼女は生きとし生けるものの世界から切り離され、引きずられていって、自分の人生の孤独な独房に監禁されてしまったかのように。
私はただまっすぐ前を見て、ハンドルをいちだんと強く握り締めた。その致命的な握り方によって、砕け散った私の夢の破片にしがみつこうとするように。
品のいい描写、露骨な性描写もない。過去の寂れた町や野山の匂いを伝えるような文章は、子供のころの淋しい山の生活を髣髴とさせる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
何十年も前に出たきり足を向けていない故郷の小さな町から、大学教授となった「わたし」のもとへ突然現れた、かつての冴えない小娘、ローラ・フェイ。いっそう冴えない中年女となった彼女は、何を胸に秘めて私に会いにきたのか? 「わたし」の父と陳腐な関係をもち、その死のきっかけをつくったのは彼女だというのに。
そこで蛇がまちかまえているのを知りながらふらふらと引き寄せられる小動物のように、「わたし」は、ローラ・フェイとの望まぬ会話にひきずりこまれていく。語り手の疑念や不安は読み手にも感染し、息詰まるほどの緊張感を感じさせる。おぼろげな不安をかきたてるのはローラ・フェイだけではない。「わたし」はなぜこれほど、何の脅威にもなりそうにない平凡な中年女をおそれるのか。何度も彼女を冷たくあしらい、逃げ出そうとしながら、なぜ彼女との会話をうちきれず、回想に我を忘れるほどのめりこんでしまうのか。
やがて、夜が更けるとともに、ゆっくりと浮かび上がってくる真の罪は、決して犯罪として裁き得ないものゆえに、より残酷だ。平凡な人生で終わりたくない、自分の能力でどこまでゆけるか試してみたいという願望そのものは、野心ある若者ならば誰もが抱く。それが魂を殺す罪となるとは。
2人の人物が静かに会話をかわす一夜の物語だが、緊張感みなぎる文章が抗いがたい魅力を放つ。大人のためのミステリーだ。 -
今はどうだか知らないけれど、30年ぐらい前は日本もこんなことがあったんじゃないだろうか。
進学率がどんどん高くなって、親父は中卒で息子は大学卒。
親父は中卒で、しかも知能指数よりも体力が求められた時代に育ったものだから、子供が(そして母親が)どうしても上の学校へ進学したい(させたい)というのが、理解できない。そこまで無理しなくても俺の跡を継げばいいじゃん、俺も親父の跡を継いだんだから。俺も貧乏だけど、近所もみんな貧乏だ。
見てはいないけど、きっと「ALLWAYS三丁目」の世界?
大学に行こうという息子から見れば、親父のガサツさは耐え難いというのは、容易に想像できるね。
とは言え、今でもオヤジはパンツも一緒に洗ってもらえないくらい家族中から蔑まれているから、あまり昔と変わらないのかもね。
主人公もなまじインテリだから、過去を引きずっているだけで、親父並みのDQNなら、気にも留めなかったかもね。でもそうだと、結局本は書けないわけで。
息子や娘から蔑まれるのは、男としての悲しい宿命なのでしょうか? -
昨日銀座に行ったときゲットした「銀座百点」の中の
「グラス越しの世界」 東理夫 に紹介されていた本。
そこでは、本書にでてくるアップルティーニ(アップル・マティーニ)についても語られている。
「ウォッカ」と「グリーン・アップル・パーカー」で作るカクテル。
サスペンス小説にでてくるマティーニやリンゴ酒は、魅力的 (*^_^*)♪
と、つられて読み始めました。
私の好きな フリーマントルの「チャーリー」シリーズでも こだわりのお酒が登場します。
さて本書は、サスペンスなわけで、冒頭から暗く憂鬱な雰囲気〜。
読み進めたものか・・・、「アップルティーニ」がでてくるまで がんばろう!
読みすすめると だんだんと面白くなってくる。
そう・・・まるで、ピノ・ノワールとアップルティーニをちびちびやりながら、語り合う二人の話を 横に座って聞いているよう。
それでていて、まるで映画を見ているように、過去の映像がフラッシュバックする。
これがまた時系列順というわけでもないので、アップルティーニのおかわりとなる。
会話も本質をついたり 取りとめもなかったり。
やがて、ローラ・フェイの言葉とルークの言葉が重なりあい、真実が見えてくるが・・・。
読み終わる頃には どっぷり世界に浸っていました。 (*^_^*)♪
2012/5/6 予約 5/12 借りる。5/15 読み始める。7/22 読み終わる
内容 :
歴史学者のルークは、20年前、故郷で彼の家族に起きた悲劇のきっかけとなった女性ローラ・フェイと再会する。
彼女との会話は彼の現在を揺り動かし、過去さえも覆していき…。
謎めいた彼女の言葉が導く驚愕の真実とは?
著者 :
1947年アラバマ州生まれ。作家。
「緋色の記憶」でアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞、「緋色の迷宮」でマルティン・ベック賞を受賞。 -
ミステリと思って読むと、なんだそんなことか。と思う。
でも、最後に何があるのだろう?と思うから引き込まれて読まされてしまう。 -
5月24日読了。図書館。
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正確にはミステリーとはいえないような内容だと思うが、早川書房から出ているのでミステリーということにしておく。
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ローラフェイとの会話が延々と続く中でも、過去の秘密を探るという展開がページをめくらせられました。半分を過ぎたところで、結末を知りたくて一気読みです。会話中、二人がお互いを探り合うやり取りの描写、主人公の心境の変化の描写が上手で、読んでる側も「あーあるある、こういう焦り」等、実感できました。(読了 2013/12/29)
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主人公の頭でっかちで自己中な子ども時代の描写が、いちいち痛くて辛い。いかに自分のものの見方が未熟で偏っていたか。ローラ・フェイとの会話を通して気付いていく過程が非常にリアルで、読み手は主人公と同じショックを味わう。そして最後に明かされる主人公が抱えてきた苦しみ。この痛みを他者と分かち合えたからこそ、ラストがあるのだろう。
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大好きだけど、記憶シリーズが印象強くて
しばらく空いてしまったクック作品。
実に2年半ぶりの読了でした。
不器用な父親が店の女性と不倫したせいで
彼女の男に殺されてしまった、と思ってる主人公。
彼女との久々の、そして最後の会話で
その真相があらわになるわけですが …
いやぁ、やっぱクックはとんでもない!
他の誰にも真似できない筆致は素晴らしいです。
会話の中でどんどん出てくる主人公の深慮。
この深慮をどれだけ深く書けるかがクックの最大の魅力といってもいいのかな。
事実がひっくり返るわけではないけれど
背景、思いがひっくり返ることでどうしてこんなに静謐な物語ができるのか。
すごいったらありませんよ。
父親がなぜ死んだのか(殺された、ではなく)
真相に行き当たった時の主人公の思いは
おそらく想像を絶するものだろうと思います。自分を常に支えてくれた母親が何をしたか
そして自分は何をしたのか、しなかったのか。
最後のちょっとした温かみは
クックとしては珍しく光を与えるものですけど
それが無かったら、この重さはキツいわ。 -
これはすごいですね。
久しぶりにクックを読んで、やっぱりこのジワジワとラストが忍び寄ってくる感じがたまらないです! -
トマス・H・クックは、私立探偵小説から昔々に卒業した。その後は、過去に材を置く独自な視点のミステリを書くというスタイルで、より高い成功を収めている。記憶シリーズ三部作と勝手に呼ばれているが、その三作だけで本当の記憶シリーズが終わったわけではなかった。
トマス・H・クックは、今も、記憶をまさぐるミステリという創作手法にこだわり続けている。過去に材を取りながら、それを一人称や三人称で、何とかナチュラルに掘削してゆくような、いわば地下記憶の発掘作業のような小説づくりだ。いや、そういう言い方は失礼かもしれない。この作家の良さは、その独特でシックな文体であり、全体を通した上質なる叙情であり、第一級のストーリーテリングであるのだから。
さて本書はタイトルのとおり、主人公ルークとローラ・フェイという過去の女性との会話から回送される物語だ。いつもよりミステリ色は強くないものの、南部を舞台にした貧しい土地での因習的な環境から逃れてきたルークに、過去のあまり歓迎したくはない真実が、ローラ・フェイという、かつては若く美しかった女性の形になって、再会を求めてきたものである。
ルークの職業は歴史学者である。かつてあれほど理想に燃え、希って勝ち取った地位なのだが、仕事の内容には妥協点が多く、そもそも書こうとしていたのは、その場所、その時代に生きた人間たちの命を歴史に吹き込むことだった。しかし、今は、凡百の歴史本を二三冊書いただけという現実のジレンマと諦観に立ちすくんでいる。セントルイスでの自分でもつまらないとしか思えない講演会を終えると、もう二度と帰ることがないと思われる故郷グレンヴィルからやってきたローラ・フェイとの再会が待っていた。彼女はルークの過去について話をしたいという。
酒場に場を移した二人の話が進めば進むほど、意識の水面に浮上することのなかった過去の真実が徐々に明らかになってゆく。ローラ・フェイは明らかに、このための様々な準備をしてきたこともわかってゆく。歴史学者ルークは、かつては、ハーヴァードに行くための資金を得るためなら何でもすると誓った少年だったのだ。夢が後押しすることで、現実の雑貨屋店主の後継という運命の輪から抜けけ出そうと強く思っていたのだ。それは結果的には実現しているのだけれども……。
父と子の関係については、記憶シリーズからこの方トマス・H・クックが何度も何度も書いてきたテーマである。過去に旅することになる本書もまったく例外ではない、父を観察して育ったルークは自分が父のような人生を送るのではないことを望んでやまない。父の人生を肯定できないでいる少年がいる。父が自分の人生を救うのではなく自分の邪魔をしていると考えることがあり、自分の脱出環境を整えるのにどのように動くべきか、そのことばかりを日常的に強く意識している。
無論、環境下(家族・学校・近隣・他)の葛藤、自分の内部での葛藤などが、ドラマチックに導き出されてゆくわけであるが、回想シーンに栞のように挟み込まれるのが、現在のローラ・フェイと酒を酌み交わしながら語る時間だ。今を組み立ててきた過去が現在にどのような影響を及ぼすことになるのか。現在と過去とを往還することで、ルークは過去を見つけ出し、現在から続く未来をも見つけ出してゆくことになるのだろうか。
これまでの暗い一方のサスペンスフルなミステリの傾向が若干薄まり、より文芸的要素の濃い、しっとりとした作品として快く読んで行ける時間が、この本にはたっぷりと秘められている。邦訳も素晴らしく、日本語で綴られた文章は、とても訳文とは思えぬばかりに美しく流れるように綴られている。そうした極上の物語体験のなかで、少しだけ新しい、現在にも光をみせれくれるクックのストーリーに、とりあえず身を任せてみてはいかがだろうか。 -
あいかわらずの重~いミステリだが、ラストに救いがあるのがいいかな。
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最近、ハヤカワ・ミステリをよく読んでいるのですが、本書もその一冊とのことで読んでみました。
結論から言うと、本書はどことなくクリスマス・キャロル的な小説であり、この時期にぴったりなのかも知れません。
しかし、読んでいる途中は一切その様な印象を抱くことがなく、その為、ハヤカワ・ミステリに加えられたのかもと、ふとその様な考えが脳裏をよぎったりもしました。
では、前置きはこの位にして以下であらすじをご紹介。
アメリカ南部の寂れた田舎町・グレンヴィル。
ここで雑貨屋の一人息子として生を受けた主人公が、この町を出てハーヴァードへ入学するまでの出来事を描いています。
現在、主人公は同大学を卒業後、3流大学の冴えない教授として、これまた冴えない著作を何冊か世に送り出しており、妻にも出ていかれいます。
その主人公が、出版したての自著の販促のために訪れた先にて、かつて自分がグレンヴィルを出ていく前に起きたある事件に関わりのある女性に再会し、胸の奥底に閉じ込めていた過去を蘇らせていきます。
主人公は再会した女性の過去の真相を解き明かそうとする姿勢に、徐々に追い込まれていくかの様な姿を見せており、実は彼が・・・と言う緊張感がいやがうえにも高まってくる内容です。
最後はきっちりとまとめており、凝った余り読者を突き放したかの様な終わり方はしていません。
なので、「救いのないストーリーの小説など断固拒否!」という方でも安心して読むことが出決まるのではないかと思います。
寒い日は温かい家の中で本書を読みながら身も心もぬくぬくとしてみては如何でしょうか? -
やや読みにくい感じがしました(>_<)びっくり展開は、なかったけど考えさせられる内容でした(´〜`;)
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(欲しい!)
Book TV '11/10 道尾秀介 推薦 -
クックは過去と現在を自在に行き来する。
私は、過去がほどけて行く過程に魅力を感じました。
あっと驚くようなラストではありませんが、人生も半ばになるとしみじみ感じるところのある小説です。
自分自身の過ちを思い出して…。 -
でも「少しも最後の会話じゃなかった」ということで幸福な結末
冒頭から重苦しい雰囲気で始まるこのミステリーの結末について、その仕掛けや謎解きの肝を書くのではなく、ただ読後感を述べることで果たしてネタバレになるのでしょうか。ジャンルにこだわることなく普通に小説を楽しみたいという向きにはたとえ内容が明かされた後でも本書は楽しめると思います。
米国中西部のとある町に講演に来た大学教授のルークは、そこで思いがけない女性ローラ・フェイと出会う。20年以上前の故郷での忌まわしい事件。ルークにとって彼女はその原因ともいえる存在。父親の愛人で典型的な南部の田舎娘だったローラも中年となり、若さゆえの魅力が失われたのはもちろん、その後の人生も決して順調ではなかった様子。
ルークにしても念願の歴史学者となり、いくつかの著作をものにするも、かつて夢見たような「偉大な本」とは程遠い。彼は「死なせられない夢」を抱えたまま、別れた妻に「これまでも、これから先も永遠に」、「妙に干からびた人間でしかありえないだろうと」言われる。いったいなぜなのか?そもそもそういったすべてがどこからはじまったのか?
講演終了後、ルークとローラ・フェイ(「どこか話のできる場所がないかしら?」)は近くのホテルのラウンジに行く。そこで繰り広げられるの会話は、現在と過去を行き来しつつ、互いの記憶を巡ってともに近しい人を失くした故郷での一連の出来事へと収斂していく。
思わせぶりなセリフや小道具、片隅に配置された遺物、新たな侵入者?等々、ミステリ仕立ての伏線はもちろんありますが、あざとさはなく、作者であるクックの余裕すら感じられるストーリー展開に、いつの間にやら読者は、ルークやローラの感情の起伏にシンクロするという幸せな読書体験をすることになるでしょう。 -
取り返しのつかない過ち。父と息子のねじれた関係。望んだものは手に入れたはずなのに、空虚な日々。どんな事件が、どんな過去があったのか。そのとき主人公は実際には何を見、何をし、何を感じたか…が追憶によって薄紙を剥ぐように明らかになっていく、クックらしい展開。
「わたし」の暗い過去を決定づけたローラ・フェイが二十年の時を経て突然目の前に現れたとき、わたしは「毒蛇の入った籠を渡された」気分がした。
ときに無垢に見え、ときに背後にナイフを隠し持っているかのように瞳に暗い光を宿らせるローラ・フェイの謎めいた態度。一人称で語られる物語なのに、主人公も読者には何かを最後までひた隠しにしているのがわかる。
物語の終結は、しかし、いつものクックとは一味違う終わり方になっていた。こうした終わり方もよい。
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