特捜部Q ―Pからのメッセージ― (ハヤカワ・ミステリ 1860)

  • 早川書房
4.02
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本棚登録 : 482
感想 : 69
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  • Amazon.co.jp ・本 (582ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150018603

作品紹介・あらすじ

「特捜部Q」-未解決事件を専門に扱うコペンハーゲン警察の新部署である。今回「Q」のカール・マーク警部補と奇人アサドのコンビが挑むのは、海辺に流れ着いたボトルメールの謎。ボトルから取り出された手紙には「助けて」との悲痛な叫びが。書き手の名前の頭文字はP。だが手紙の損傷が激しく、内容の完全な解読は難航した。Pはどうやら誘拐されたようだが、過去の記録に該当する事件は見当たらない…。北欧を代表するミステリ賞「ガラスの鍵」賞に輝く著者の最高傑作!人気の警察小説シリーズ、第三弾。

感想・レビュー・書評

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  • やばいっ!

    なんだか知らないけど図書館に予約してた本があれもこれもと順番が回ってきて大変な数になってしまいました
    あれこもこれもと調子にのって予約しまくってたのは事実ですが、順番はかなりバラバラだったのでいい感じに回ってくるはず…だったのがなんか知らないけど一気に来ました、10数冊…

    あれですか?
    もしかして「読書の秋」全開で皆さん読みまくっていてどんどん返却されてきたってことですか?
    恐るべし「読書の秋」

    貸出期間は2週間なんで自分の読むペースから言っても期間内には余裕で読み終える計算なんですが…まだまだ後ろに予約待ちの方がたくさん控えてる人気作ばかりなんですよ
    そうなると一刻も早く返却したいと思うのが人情です
    頑張って読まなきゃ!
    最近また老眼が進んじゃってるけど頑張って読まなきゃ!

    『爺様目を酷使』なんちて

    さて『Pからのメッセージ』です

    いや、面白かったんですよ!
    特捜部の3人はめちゃくちゃキャラ立ちしてて魅力的だし
    今回はローセがやっぱりねという感じで面白かったし
    最後の犯人を追うスピード感溢れるクライマックスもドキドキしたし
    面白かったんですよ

    でも多くの皆さんが感じてるような爆発的面白さはまだ感じられてないです
    あれ?もしかして土瓶さんの評価にひっぱられてる?

    『瓶寄りの星表示』なんちて

    さて『Pからのメッセージ』です

    いや、面白かったんですよ!
    ってもういいわ!

    • ひまわりめろんさん
      本を読むのもひと仕事や
      物悲しい
      本を読むのもひと仕事や
      物悲しい
      2022/10/06
    • 土瓶さん
      まあ、私はナウいヤングの若人ですがね(笑)
      \(゜ロ\)ココハドコ? (/ロ゜)/アタシハダアレ?
      まあ、私はナウいヤングの若人ですがね(笑)
      \(゜ロ\)ココハドコ? (/ロ゜)/アタシハダアレ?
      2022/10/06
    • ひまわりめろんさん
      いやいやいや
      一番ヤバい
      一番要介護
      いやいやいや
      一番ヤバい
      一番要介護
      2022/10/06
  • 「彼女は三つこぶのラクダみたいなものですね」 「なんだって?」 「私の育った土地ではそう言うんです。少し変わっているという意味です。乗りこなすのは難しいですが、見ているだけなら面白い」

    北欧ミステリの最高峰「ガラスの鍵」賞受賞!
    【特捜部Qシリーズ】第3弾。
    文庫版では上下巻にわかれている長編だが、あっという間に読み終えてしまった。

    何年も海中を彷徨い、スコットランド警察からカール達の手元へ渡った手紙の解読には、新たな仲間が挑戦する。その仲間達も個性豊かでいい味を出していた。

    なかでも、前作から登場したアシスタントのローセの双子姉ユアサがローセと同一人物なのは驚いた。
    ユアサもいいキャラクターをしており楽しませてくれたが、ローセに戻ったので今後どのようになるか楽しみだ。
    ローセの多重人格について、カールとアサドは冒頭に載せたセリフを交わすのだが、本人から打ち明けられるまで、変わらず見守ろうとする2人の姿勢から感じる優しさが、押し付けがましくなくて良かった。

    さて、今回の事件は身代金誘拐事件と宗教が絡んだものなのだが、犯人の得体の知れなさが際立ったストーリーだった。

    変装をし、誘拐するターゲットを徹底的に調べ上げたかと思いきや、警察に追われる中ボーリング大会へ行ってしまう統一感のない行動。
    そして、最後まで犯人の本当の名前が不明のままであり、本書の中では彼、夫、偽名で表されていたこと。
    犯人はまるで役者のように数々の名前を名乗り、役割を演じていたこと。
    それらの事と、ラストで犯人をカールが追い詰め、名前を問いただした時、「俺の名前はチャップリンだ」と名乗ったことで読者に気味の悪さを感じさせている。

    チャップリンは喜劇王とも呼ばれているのに、犯人がしてきたことは悲劇でしかないこともゾッとする要因だと言えよう。

    また、宗教により閉鎖的になって、世間と乖離した家族達の様子になんとも言い難い気持ちになった。
    そんな中、犯人に立ち向かおうとする、女性達と、子ども達が唯一の救いだった。

    今回はアサドの気になる描写が幾つか登場したので、今後どのような展開になるのか注目したい。

    閉鎖的な世界が引き起こした悲劇を観たような1冊だった。


    こんな人におすすめ .ᐟ.ᐟ
    ・北欧ミステリが好きな人
    ・警察小説が好きな人
    ・受賞作が読みたい人
    ・宗教が絡む事件が読みたい人







  • 10年ぶりの特捜部Q。
    何といってもアサドとカールのコンビが魅力的すぎる。

    冒頭、2人の少年が誘拐、監禁され何とか状況を打破しようと木片と自らの血で綴った手紙が海を漂うボトルメールという形でデンマークからスコットランドへと流れ着く。

    ボトルメールは、巡り巡って未解決事件捜査を取り扱う特捜部Qの元へ届く。
    手紙の筆者、Pから始まる人物、PからQへの救援メッセージを解明するのが今作のメインストーリー。

    シリーズものの定番として、現在時点で起きている連続火災事件というショートストーリー、作品を跨る謎としての各メイン人物達の闇、謎というロングストーリーを織り交ぜながら進んでいく物語。

    エンターテイメントとして文句なく良。

  •  このシリーズでは、けっこう巻末解説の影響をいい意味でも悪い意味でも受けてしまっている感があるのだが、今回はいい意味で楽しめた。巻末で翻訳者の吉田薫氏が、Googleで実際に作中のユアサが入手してきたようなフィヨルドの航空写真を読者も楽しむことができると書いており、実はこれにはまってしまったのである。

     本書は、スコットランド最北の町ジョン・オーグローツにボトル・メールが流れ着いたことから幕を開けるのだが、冒頭で少年が血でしたためた手紙を瓶に詰める様子の切迫した様子が、血がざわめくほどの筆致で書かれている。彼が水の中にそのボトル・メールを投じた場所が明らかになるのは、物語がずっと進んでからのことになるのだが、読後に、ボトルのメールがどう流れたのかを確認したり、犯行場所や、その他の捜索対象地(本書ではこれが異様に多い)などを実際にGoogleの航空写真で眺めて見ることは、確かに解説の通り、可能なのである。これは、はまる。

     さて、本書もまた狂気の犯罪者の、異様極まるやり口、あるいはそのひね曲がってしまった人生やその根っこに当たる家族の問題というところまで掘り下げないと解決されることがない事件が、デンマーク中に展開されてゆく。驚いたことにデンマークという国は日本の九州ほどの面積しかない国土である。しかし、北欧のフィヨルドのちょうど門番みたいな場所に位置する国だけあって、島や半島やリアス式海岸で作られた複雑極まる地形の国土なのである。

     誘拐と監禁と殺人とを常時繰り返しては、新興宗教の多産家族を付け狙う屈折した犯人像は、自らが宗教家族の狂える父のDVに晒されてきた経緯から、非常に狡猾で慎重な連続誘拐殺人鬼となる。しかし、内向的な宗教家族ばかり狙うことによりこの犯罪はここまで浮上してくることがなく、警察の捜査対象にもならずに来た。この流れを断ち切るきっかけになるのが、流れ着いた一本のボトル・メールとなったわけである。よくぞ、こんな奇天烈な犯罪を思いつくな、というのが作者へのぼくの正直な呆れかえるほどの感想である。

     そして対極としてリアルな怠け者なエロ親父であるカール・マーク。特捜部Qただひとりの愛すべき弱点だらけの捜査官。それでいて優しく、頼りないところさえある、強気中年。いいなあ、このキャラクター。さてわれらが特捜部Qに前作から登場したローセだが、カールに腹を立て勝手に休暇を取り始め、代わりに双子の姉・ユアサが送り込まれてくる。喪服のようなローセとは対照的にピンク好きの陽気なユアサは、やはり変人極まりなく、一方でシリア人アサドの隠された正体はさらに気になるところ。全身麻痺のハーディはついにカールの家にベッドごと入り込んできたし、パンクな義理の息子も、別れてはいないが別居中の妻も、好き好きに彼女・彼氏を見つけてくるし、とカールを取り巻く陽気な仲間たちはますます炸裂気味である。

     この破天荒な一団を中心に、警察署内でも、クビになった元監査官や、辞めていった天敵など有象無象がぞろぞろいるというのが本書の環境世界。ごった煮の操作環境を中心に、一方で連続殺人犯と結婚をしてしまい子供まで設けてしまった女性や、殺人鬼が現地調達する彼女、殺人鬼が標的とする一家、かつての被害者たちの一家などなど、描写される小世界はそれぞれにばらばらながら、殺人連鎖の縦軸を中心に確実に表面に浮上しようとしている。警察小説の面白さここに極まれり、といった具合だ。一冊一冊が不慣れな分厚い本ではあるが、それに見合うてんこ盛りの中身がコストを確実にリーズナブルと感じさせてくれるはず。本書も人によっては劇画的と評して恥じないのかもしれないが、やはり小説として質も量も一級品であるようにぼくは思う。

     <ガラスの鍵賞>受賞とあるが、その内容は「国際推理作家協会北欧支部のスカンジナヴィア推理作家協会が北欧5カ国(アイスランド・スウェーデン・デンマーク・フィンランド・ノルウェー)の最も優れた推理小説に贈る文学賞」(byウィキペディア)である。一級の価値付けはぼくや読者がやらずとも、プロたちがしっかりやってくれているのである。

     本シリーズがずっと何作も何作も、この質でこのレベルで推移継続してくれることを、ぼくは激しく望んでやまない。

  • デンマークの警察小説。
    シリーズ3作目にして、最高傑作。

    コペンハーゲン警察本部の、特捜部Qで働くカール・マーク警部補。
    じつは予算を得るために新設された部署で、署員は体よく左遷されたカール・マークのみ。
    助手はシリア出身の移民アサドだけで、母国では知的職業にあったらしく有能だが、警察官ですらない。
    ここに、秘書として変わり者の女性ローセが入ったのが、2作目。

    事件は、少年二人が監禁されている状況から始まり、瓶の中に助けを求める手紙を入れて流すという出だし。
    この手紙が外国へ流れ着き、まわりまわって特捜部へ。
    必死に書かれたかすれた文字を判読しようとするローセら。

    一方、夫に疑惑を抱く妻。
    入ってはいけないと言われていた部屋をのぞくと、別人の名前の夫の写真が‥

    視点をつぎつぎに変えて、犯人の側からも、描かれます。
    何も知らない妻との生活。
    犯人自身の過去。
    そして今、次の標的を選び、近づいていく。
    一般社会とあまり交わらない生活を送る家庭の子供を狙っている‥

    カールは、銃撃事件で全身麻痺となった同僚ハーディを、病院から自宅に引き取ります。
    絶望を見ていられなかったのだ。
    下宿人が家事に堪能で人がいいので、可能だったことですが。

    奔放な妻に出て行かれて以来、恵まれなかった私生活。
    担当カウンセラーのモーナを好きになったが、彼女は海外へ行ってしまった。
    帰国したモーナが、何か吹っ切れたようにカールとの交際に応じて、しばしハッピーなひととき。

    なぜか突然ローセが休暇をとり、双子の姉ユアサが代役として勤めだす。
    そっくりな顔でローセとは正反対の服装、強引に居座る姉にあぜんとするカール。
    カールの身近ではテンポのよい喜劇のように、あれこれ巻き起こり、振り回されるカールは少々気の毒ながらも、軽快な筆致で息抜きになっています。

    被害者とその家族の切ない思いが、胸に迫ります。
    視点の切り替えが頻繁なのにわかりやすく、犯人の正体に気づき始めた一般人も絡んでの追跡が盛り上がり、見事なお手並みでした。
    北欧5ヵ国で選ばれるミステリの最高賞「ガラスの鍵」賞を受賞。

  • シリーズ第3弾。
    浜辺に打ち上げられたボトルメールをきっかけに、過去の誘拐事件を調べることになる特捜部Q。
    事件の背後には宗教が絡んでおり、なかなか国内の作品では読めない内容で、面白いことは面白いんだけど、事件の解決とは別にアサドやローセの謎の行動や、アスベスト、カールの部屋を飛び回るハエの話など、余計な内容が多すぎて、なかなか犯人にたどり着かないのが、もどかしい。
    しかも、完璧に何年も犯行を重ねていた犯人なのに、最後の最後で詰めが甘いところが、帳尻合わせのようで、ラストが今までの作品の中でイマイチ…

  • ボトルシップの中に入っていたのは助けを求める手紙。
    未解決事件を扱う特捜部Qは手紙の主を探し出すために捜査を始めるが…。

    この始まり!
    Qの世界に否応なく引き込まれる。
    読みながら前作までに描かれた人間関係を思い出し、ますます物語にのめり込んで行く。
    重い事件を丁寧に追いながらも、ときに挟まれるキャラクタ描写がコミカルで、そのバランスが何とも絶妙。
    作品の根幹となるであろう過去の事件も、薄皮を一枚ずつがはずかのようにその姿を見せる。このじれったさがまた次作への期待と興味を高まらせてくれる。
    キャラが作者に馴染んできたのか、今回は前作よりはるかに動きがあってスピード感溢れる仕上がりになっているのだけれど、緊張感やシリアスさは少しも失われていない。
    実に見事なシリーズだと思う。
    早く続きが読みたい!

  • 前の2作よりも壮大で面白かった印象。

    容疑者を殺しちゃうのが欧米って感じ...

  • 5年前に2作目を読んだところで気になりながら読めずにいたシリーズ。だいぶあれこれ忘れていましたが読みながら思い出していきました。事件はしんどい内容ながら、登場人物が魅力的で救われるあたり、誤解を恐れずに言うと北欧版の「ぼんくら」シリーズのようです。カールの助手のアサドのその後が知りたくて読むのを再開したわけですが、ほとんど印象に残っていなかったもう一人の助手ローセと、双子の姉妹ユアサも最高でした。事件はタイトルにもあるように、ボトルに入って届いた「助けて」という言葉で始まる血液で書かれたらしいメッセージだけが手がかりで、時間と海水とでほぼ読めなくなってしまっている内容を、カールが二の足を踏んでいる間に助手たちが熱烈な使命感をもって読みといていき、ジグソーパズルのピースを一つずつ正しい位置に置いていってだんだん絵が現れてくるように、少しずつ少しずつ事実が明らかになっていきます。そんな都合の良いことある?!と呟きたくなるような展開も挟みつつ、続きが知りたくてどんどん読んでしまいました。解説も読むとデンマークの社会についても説明があって、興味深かったです。

  • あいかわらずの面白さ、特捜部Qシリーズ!
    今回は前回以上に濃いキャラ、ユアサも登場し、事件のシリアスさプラス、面白おかしい部分も多くあってよかった!
    詳しい感想はブログにて。

    http://kariabookdiary.jp/2019/08/21/tokusoubu-q-pkarano/

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