ディオゲネス変奏曲 (ハヤカワ・ミステリ)

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  • 早川書房 (2019年4月3日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784150019426

作品紹介・あらすじ

雨の大学教室で、学生たちにまぎれこんだ謎の人物「X」を捜す推理合戦のスリリングな顚末を描いた「見えないX」、台湾推理作家協会賞最終候補となった手に汗握るサスペンス「藍を見つめる藍」など17の傑作ミステリ短篇を収録。陳浩基デビュー10周年記念作品

感想・レビュー・書評

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  • 香港の作家、陳浩基の自選短篇集
    ジャンル固定ではなく横断しているので記載する
    各話を◎◯□△☓の順でなんとなく。

    1「藍を見つめる藍」(ミステリ)□
    藍(らん)は仕事が出来る真面目な男という評価だった。しかし彼には人には言えない趣味があった。1人の女性のブログを熱心に見ること、そしてアンダーグラウンドサイト内を閲覧することが趣味であった

    ・大事な部分が読者にはアンフェア過ぎるので僕の価値観だとミステリとしてはまったく評価出来ない。でも読み物としては大変面白かった。そういう物なのだと思う


    2「サンタクロース殺し」(掌編)□
    クリスマスの日、ホームレス達が集まって暖を取っていた。そこで1人がサンタクロース殺しという小話を始めた

    ・数行の謎部分(小話)にその他を埋め尽くす解決編。恐ろしい構成。しかも登場人物も言うが「なんだ、その話つまんな」なのだ。しかし1人のホームレスの発言で小話が別角度で急に、という内容。珍しいのはショートミステリ物はほとんどキレ味が醍醐味と思うのだけれどこの作品、そうではない。予想外の終わり。良いか悪いかでなく、本当に珍しいと思う。小話が小話のまま昇華されている


    3「頭頂」(ホラー)△
    僕は人の頭の上に化け物が見える。あまりに気持ち悪く、他の人は見えないようだ。僕は病院へと通った 

    ・完全に伊藤潤二の世界だった。オチも。
    日本ではよく見るタイプ…ですね


    4「時は金なり」(SF)◯
    僕はモテる彼女に振り向いてもらう為に金が必要だった。そこに時間を売り買いしてくれる会社を見つけ…

    ・世にも奇妙な物語。が、本文ラストはこのテーマ、この分量でしか書けない閃光のようなセリフだった。正直普遍的だなーと読んでいた所にガツンと頭を叩かれた気持ちになった。これを書きたかったからあえて淡々と「普通の話」を書いたのだろう。なるほどなあ……油断しました


    5「習作 一」(掌編)☓


    ・なんすかこれ?


    6「作家デビュー殺人事件」(本ミス)□
    作家になりたいなら君も1人殺してごらん、そうすると本物のミステリーが書けるよ。と編集者に言われた作家志望が自作の為に完全犯罪を現実で行う

    ・もっとトリックを考えるシーンに文量割いていれば良作だったかもしれない。この短さが良いのかもしれないけれど、作家志望が作家になれると望みをかけたトリック思考過程はもっと丁寧に見たかった


    7「沈黙は必要だ」(掌編)△
    カイジの地下労働施設のような所で働く奴隷の男の物語

    ・伏線が…なさすぎる…


    8「今年の大晦日はひときわ寒かった」(掌編)◯
    今年の大晦日は、ひときわ寒かった。けれどもぼくの心は暖まっている。

    ・原稿用紙換算でたった6枚。ひときわ寒い終わり方。好物です


    9「カーラ星第九号事件」(SFミステリ)◎
    宇宙探査船に探偵デュパパン(原文ママ)登場

    ・最高の問題作。僕は大好き。ただこれだけ連続で2回読みました。それは何故か。
    初読時とある事情でアストロノーカが頭から離れなくてなんにも文字が入ってこなかったんです。わかるって人は親友になれると思う。知らない人はそれでいい


    10「いとしのエリー」(ミステリ)◎
    妻の妹と旦那がディナーに遊びに来ていた。しかし愛しの妻は上の階で死んでいるのだ

    ・お も し ろ い 何が面白いか書くとネタバレになるので何も書けない無念。


    11「習作 ニ」(掌編)△
    練習作2つ目
    ・一よりは楽しめた。でも商用紙に載せるようなもんでしょうかね


    12「珈琲と煙草」(SF)△
    3日間の記憶がない。珈琲を飲もうとコンビニに行くが冷蔵庫には煙草が入っていた

    ・正直読み手がミステリ読みなのかSF読みなのかでけっこう変わりそう。僕はSFとして読みましたけど平均点以下です。ミステリっぽく読めば面白い気もします。ディックの系譜


    13「姉妹」(イヤミス)□
    主人公の彼女の姉が死体で発見される。容疑者として疑われそうな彼女の為、主人公は死体処理に奔走する

    ・読後感はこの本でNO1でした


    14「悪魔団殺(怪)事件」(SFミス)◯
    秘密基地で怪人の死体が発見される!頭のよくない怪人たちは混乱する!!

    ・なんと日本人が書きそうなネタだろうか。最高。悪の組織の悲報感がたまらない


    15「霊視」(ホラミス)□
    深夜の公園、ホームレスの男が語る。昔、霊能力者として警察に協力していたが冤罪を起こしてしまったと

    ・なんか乙一の作品でこういうの読んだような気が…


    16「習作 三」(掌編)□
    練習作3

    ・ノーコメント


    17「見えないX」(本格ミステリ)◯
    大学生たちが教室内に潜むXは誰なのか思考合戦。虚偽の申告、コンゲーム

    ・人狼。普通に読めばこの本で1番質が高いと思います。至る所にある手掛かりが再読を促します
    熱狂する大学生、思考読み物として大変面白い


    総じて平均レベルが高かった
    ミステリ、SF半々でしょうか。でもSFモノは正直いまいちなのでミステリとしてお勧めします

  • 同じ作者の13.67が話題だったので読んでみたところ、びっくりするくらい面白かったのでこれも読むしかないと思い手に取ってみた。
    純粋なミステリーにとどまらずSF要素を取り入れた話もいくつかあり、作者の志向が垣間見れ興味深かった。収録作の中では「見えないX」、「作家デビュー殺人事件」、「カーラ星第九号事件」が気に入った。習作などもあり全てが傑作!とは必ずしも言えないが、13.67が気に入ったなら読んで損ではないと思う。

  • ミステリ短編集。だけれど、本格ミステリありSFミステリありサスペンスありホラーっぽいのあり、と読み心地はかなりバラエティに富んでいます。
    お気に入りは「カーラ星第九号事件」。SFミステリで、論理もきっちりとした固めのミステリだと思ったら。ラストで明かされる真実が!
    「頭頂」と「霊視」もホラー好きとしてはかなり好みでした。怖いけれどどこかしらユーモラスな「頭頂」、でもこんなの……見たくないなあ。「霊視」はラストでぞくりとさせられます。
    一番本格ミステリだったのは「見えないX」かな。ある意味の犯人捜しミステリだけれど、日常の謎としても最低レベルに魅力的ではないつまんない謎、だと思っていたのに。いやいやとんでもなく面白いじゃないですか! そして真相は見抜けませんでした。

  • どれもひねりが効いている

    あとがきの著作解説がとてもいい
    一作ごとに一曲を例えている

    藍を見つめる藍 作家デビュー殺人事件 見えないXあたりが好き

  • ミステリやSF、ホラーなど様々なジャンルでの短編集。なので、とても贅沢な感じ。似たようなモチーフ?が変化させつつ再び現れることもあり、タイトルの”変奏曲”のとおり。著者のあとがきにはおすすめされる曲のがあり、音楽と共に読書を楽しむのもまた良し。(YouTubeで実際に聞くことができるのでありがたい)

  • 『見えないX』が面白かった。ジャイアンや毛利小五郎、倖田來未が出てきて、日本の作品や人物のオマージュになっていて、日本愛が節々に感じられる。

  • 7/16/2020

    私は頭が硬いんだと思う、SFは苦手。(昔は眉村卓くらいは読んだんだけど。) なので2篇くらいあったSFは字面だけ追って読んだ感じ。逆にSF好きな方にはオススメかも。他にも異なったタッチのミステリー短編満載なので、陳浩基を読んでみるのにちょうどよい一冊。それこそ3ページ程度の超短編もあったりで、器用な人なんだと思う。

    追記 9/10/2020
    感情的になりそうだったので前回↑では敢えて触れなかったけど、読み始めようとして最初に目にした 「本書を謹んで天野健太郎氏に捧ぐ」。これは強烈すぎた。ここでしばらく止まってしまった。
    RIP

  • ミステリーというよりはSF色の方が強い短編集。ミステリー色が強いSF作品ともいえる。気に入ったのは「時は金なり」で、これは時間を売買できる世界を描いた短編。時間を売ると言っても寿命が縮まるわけではなく、なんとなく時間の進みが早くなったと感じるだけで記憶も失われない。時間を買った場合は、その逆で時間の進み方が遅く感じるようになる。時間を売っても何のデメリットもないし、むしろ辛い時間がさっと過ぎるのはメリットとも思える。結末は想像通りどんでん返しとなる。「見えないX」はミステリーらしい作品。謎解きゲームのようで面白い。

  • かなりおもしろい。早く次の長編を読みたい。

  • これは楽しい短編集。ミステリー、SF、ホラー、ドタバタ、何でもあり。
    一話一話が短いけど切れ味鋭くて秀逸。
    独立したお話たちなので、スキマ時間にちょっとずつ読み進めるのも良さそう。

  • 小気味良さが心地良い……。

    どの物語も読み始めると止まらなくなり、最後で必ず「エッ!」となる。
    そのたびに自分の脳が活性化される。

    しかも、ミステリーのみならず、SF風だったりホラーだったり…
    この人の引き出しの多さは、半端ではない。

    さすがですね。

  • ホラー、星新一風のSF、バカミス、バリバリの謎解きと、バラエティに満ちた作品集。いろいろな楽しみ方ができるけど反面、玉石混淆、ネタありきで広がりに欠ける作品も少なくない。しかし、作者があの陳浩基となると話が違ってくる。話題の華文ミステリの旗手にして、日本の新本格を引き継ぐ注目の作家なのだ。

    著者あとがきを参照しつつ作品を読むと、彼がとても実験的にこれらの作品を仕上げていることがわかる。個人的にお薦めは、金銭で時間をやり取りできる世界を描いた「時は金なり」、後の『世界を売った男』を思わせる「珈琲と煙草」。そして何と言っても「見えないX」。これは読み返すと、作者のフェアネスがわかり、さらに面白い。

  • 若干、玉石混淆なところもあるけれど、平均値高めと思う。『藍を見つける藍』『沈黙は必要だ』『いとしのエリー』○。特に『時は金なり』◎

  • なんで読もうと思ったか、きっかけは忘れてしまったけれどミステリーだったりサスペンスだったり多様なストーリーが楽しめた。中国版スティーブンキングみたい。個人的には見えないXがオチも含めて好き。

  • 短編集はあまり刺さることがないが、これは面白かった。
    「時は金なり」の時間については若さがあると売ることにも抵抗が少ないのかもしれないが、貴重だと気づくのは後半なのだろう。
    「悪魔団殺人事件」のジャガイモをマッシュポテトにするところは面白かった。こういうユーモアは好き。

  •  この作者は長編を2冊読んで感心した。これはその自選短編集。名のある作者であっても短編は難しいものだがさすがの出来栄え。思わず考えさせられる「時は金なり」、トリッキーな「見えないX」などなど、多様な作品で楽しめる。巻末にそれぞれの作品について著者の解題がはいっているのも興味深い。

  • 短編なので読みやすいのはいいが、短いのに気味が悪い話も多数。とても怖い!いまだに魔法瓶を見ると思い出してしまう。猟奇も謎もホームドラマも描ける陳浩基、お見事。サンタクロース殺人事件のような話はあまり書かないかもだが安心できる。クラシック音楽の編成のように書いているものまた一興。

  • こんなに読み応えのある短編集はなかなかないです。
    「13・67」が最高に面白かったとはいえ、あんな面白い話が量産できる作家とか滅多にいませんよ?と気楽に読み始めましたが、流石は「13・67」を書いただけある!とシャッポを脱ぐしかなかった。

    一遍毎の読ませる技の巧みさもさることながら、内容がまたバラエティに富んでいて、SFもホラーもユーモアミステリーも味わえるお得な一冊です。全部面白い!
    しかも著者のあとがきが作品解説になっていて、イメソン的BGMまでプレイリストで用意してくれる厚遇っぷりで読んでるこっちが恐縮してしまいそうな気持ちに…

    個人的に気に入ったのは「時は金なり」
    タイムイズマネーとは昔から言われてるし、コストパフォーマンスよりもタイムパフォーマンスを重視する人が増えている現代において、色々と考えさせられるお話でした。

    余談ですが、私は石黒正数先生の漫画がとても好きなので、陳浩基氏が石黒先生の作品を読まれていて、なおかつベタ褒めされているのが嬉しかったです!

  • 本編の感想と大いにズレるけど、最後の「見えないX」今の日本文化がそんな伝わってるの…?!という驚き。倖田來未はわかるけどmisono(しかもロンハーの解説付き)まで!笑

    小説ならではの叙述トリックが多く、久々にミステリを読んでる!って感じを楽しみました。

  • 3.74/228
    内容(「BOOK」データベースより)
    『今、新たな潮流として注目を浴びている華文(中国語)ミステリ。その第一人者・陳浩基が持てる才能を遺憾なく発揮したのが、この自選短篇集である。大学生たちが講義室にまぎれこんだ謎の人物「X」の正体を暴くために推理を競い合う本格ミステリ「見えないX」、台湾推理作家協会賞最終候補作となった衝撃のサスペンス「藍を見つめる藍」、密室殺人を扱った「作家デビュー殺人事件」、時間を売買できる世界を描いた異色作「時は金なり」など、奇想と仕掛けに満ちた驚愕の17篇を収録。著者デビュー10周年記念作品。』

    著者:陳 浩基  
    訳者: 稲村 文吾
    出版社 : ‎早川書房
    新書 ‏: ‎362ページ

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著者プロフィール

●著者紹介
1975年生まれ。香港中文大学計算機学科卒。台湾推理作家協会の海外会員。2008年、短篇「ジャックと豆の木殺人事件」が台湾推理作家協会賞の最終候補となり、翌年「青髭公の密室」で同賞受賞。2011年『世界を売った男』で第2回島田荘司推理小説賞を受賞。2014年の連作中篇集『13・67』は台北国際ブックフェア大賞など複数の文学賞を受賞し、十数ヵ国で翻訳が進められ国際的な評価を受ける。2017年刊行の邦訳版(文藝春秋)も複数の賞に選ばれ、2020年刊行の邦訳の『網内人』(文藝春秋)とならび各ミステリランキングにランクインした。ほかの邦訳書に自選短篇集『ディオゲネス変奏曲』(早川書房)がある。

「2021年 『島田荘司選 日華ミステリーアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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