祖父の祈り (ハヤカワ・ミステリ)

  • 早川書房 (2022年7月6日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (232ページ) / ISBN・EAN: 9784150019815

作品紹介・あらすじ

ウイルスのパンデミックによって荒廃した世界。治安は著しく悪化し、物資も乏しい。アメリカのある町に暮らす老人は、悪質な犯罪と公権力の横暴に脅かされながらも、娘や孫と懸命に日々を送っていたが……。巨匠リューインが真摯に家族の絆を描いた最新長篇。

みんなの感想まとめ

荒廃した世界を舞台に、家族の絆を描く物語が展開されます。ウイルスのパンデミックによって治安が悪化し、物資が乏しい中で、老人は娘や孫とともに困難な日々を生き抜こうと奮闘します。作品は全体的に読みやすく、...

感想・レビュー・書評

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  • 名前は知っていたけれど、初読みの作家。
    解説は北上次郎氏、訳は田口俊樹氏というキャストからして実力作家なのだろうけど、たぶん最初はこれじゃない方が良かったんだろうなと。

    パンデミック到来後の世界の未来を描いたディストピア小説。
    第一章の出だしは「おっ、かっこいい家族小説か?」とも思ったのだけれど、その後は主人公の老人家族以外ほとんど登場人物が出てこない。
    そしてインターネットはおろか、テレビ、新聞、口コミですら情報の流入がない世界を生きる物語。
    どこまで行っても息苦しく、希望が薄い。
    まぁ、こんな世界にしてはいけないという思いばかりは強く感じた。

    訳者あとがきで、主人公の老人のやさしさを称えて、”やさしくなれないようじゃ、私など息をしている値打ちもなくなる”と、かのハードボイルドのレジェンドも言っていた、と引用を用いるが、「ん?これって彼のセリフだと思うけどなんか違和感」
    と思ったら最近創元推理文庫で出た新訳は田口俊樹氏だたのですね、納得。(ひっそりと宣伝が含まれていて笑)

  • ハードボイルド刑事ものが有名な作家さんとのことですが、自分は最初に読んだのがこの作品なのでこういうやわらかめな作風なのかなと思ってしまった。
    全体的に読みやすいのでさらっと読んでしまうが、実は深く伝えたいものが見え隠れしている印象。
    訳者さんの手腕によるところですが、とてもよく原本のニュアンスを出している作品という気がしました。

  • パンデミックで崩壊した世界の中、身を寄せ合って暮らす祖父と母と息子。
    感染よりも、強盗や横暴な警察に怯えながら、ギリギリの生活を送っているけれど、家族の温かな時間もあって余計に苦しくなる。
    美しいラストも、この先の現実を思えば単純に喜べない。
    それでもやはり、最後のセリフはグッときた。

  • なにかもっと酷いことが起こるのでは、とハラハラしながら読んだ。「正しい情報は金持ちしか得られない」
    そんな世界になってしまったアメリカ、とある家族の話。
    リューイン初めて読んだ。

  • 筆力はあるものの、物足りない。

  • ウイルスのパンデミックによって荒廃した世界。治安は著しく悪化し、物資も乏しい。アメリカのある町に暮らす老人は、悪質な犯罪と公権力の横暴に脅かされながらも、娘や孫と懸命に日々を送っていたが……。

    不思議な読後感。
    久しぶりにリューインの作品を読んだ。これを機に、過去作を読み返してみたい。沈黙のセールスマンの新版が出るらしいし。

    ポケミスに限らないことだが、翻訳書の値段が随分高くなった。売れ行きが心配になる。

  • ウイルスが流行り食べ物はフードバンクから提供され、治安は悪く、物もほとんどなく住むところも転々とするような世界。そんななかを生きる老人と娘と孫。まず冒頭の展開から驚かされる。荒廃した世界での暮らししか知らない孫を憂いたり、でも老人の生き方と家族を守ろうとする意志と優しさに心掴まれる。希望が限りなく少なくなっている世界でどう生きていくのか。ラストは希望なのか、違うのか。色んなことに思いを馳せる作品。

  • リューインさんのファミリー物(といっていいのか…?)
    病名は書いてないものの、世界的パンデミックにより崩壊したアメリカが舞台。
    設定ではあるけれど、この設定が受け入れられるほどにはアメリカでのコロナの被害はすごかったのだろうと思わせる。

    感染症で妻を亡くした老人、その娘、孫である少年が、ただ生きているだけの日々。
    だけどそこに一匹の犬と、そして一人の少女が合流して、家族の物語が動き出す、というストーリー。

    淡々と、フードバンクに並んだり廃墟に忍び込んで暮らしたりといったパンデミックで崩壊した世界を生きる親子の生活と絡めて彼らの過去がわかるのだが、老人も彼の娘も割としんどい過去を持っていることがわかる。それでも、学校も友達も何もかも奪われた少年よりはマシだという気持ちを持つふたり。
    少年はそんな祖父と母親に過剰に守られながらも子供らしい冒険心を発揮していく。
    少年の姿に気持ちを変えた老人と母親は、家族を守るために、家族の人生を変えるために決断し、行動していく。


    崩壊したディストピア世界をこれから生き延びていかなければいけない家族を前に、大人として祖父は決断し行動し、そして祈りを捧げる。
    他にもシリーズのように人が死ぬわけでもなければ事件が起こるわけでもない。でもこの世界では毎日の食事を得ること自体が、必死の出来事だったりするわけだ。そしてそんな世の中でも警察がいてバッチを振り回していたり、フードバンクとして食料品を供給するルートがあったりと、権力というのは恐ろしいと感じられる。

    正直、小説としてはそこまで「面白い」ものではなかったが、世界が変わったら?ということを想像、喚起させる小説として面白かった。
    これをしっかり小説として成り立たせるあたり、さすがベテランと言わざるを得ない。

  • 未知のウイルスが蔓延したことにより荒廃した世界。その世界を生きる老人、老人の娘、娘の息子。ただし未知のウイルスも、登場人物たちも、その固有名詞を排して描かれている。とはいえ、本作が新型コロナウイルスが流行した2021年に刊行されたのは注記しておくべきだろう(日本で翻訳されたのは2022年)。1942年生まれの著者が79歳で出版した作品である。荒廃した世界においては本来の警察は崩壊しているらしく、“金バッジ”と呼ばれる存在が不法者を取り締まっている。そんな世界を舞台にしてはいるが、主眼が置かれているのは、先に書いた老人たちの一家である。

    本作のメイン登場人物である老人は、その年齢ゆえに多くの過去を持っている。200ページ超ほどの本作の中でも、過去を語る場面が何度か出てくる。そんな老人を中心に据えられて展開される本作は、それほど大きな事件が頻発するわけではない。非常にミニマルな作品と言えるだろう。そういう意味では手軽に読める作品ではある。中盤以降には、老人の孫(娘の息子)がキーマンとなる展開が用意されており、読みどころのひとつとなっている。ラストには、こんな荒廃した世界における希望が示されているようでいて、どこか物悲しさが漂う。著者によるその他の家族小説にも興味が湧いたので、いずれそちらも読んでみたい。

  • おじちゃんがパンデミックでディストピアと化したアメリカで、サバイバル生活する話。
    ちょっと流行りのサバイバルゲームっぽい。
    持たざる者ながら家族愛で切り抜けている主人公家族と、恐らくはギリギリ持つ者側でありながら家族から逃げてきた農場の少女との対比が……。

  • ウイルスのパンデミックにより国の機能は停止。
    自分の身は自分で守るしかない。
    老人は娘と孫のため、崩壊した世界のありとあらゆる物と対決しなければならなかった。
    絶望だけではなく、希望も描かれている(と、思いたい)
    とても読みやすかった。

    ヒデミス!2022 選書で手にした一冊。

  • コロナ禍の影響が大きく反映されたディストピア小説。

    ディストピア物らしい大事件が起きそうで起きない、老人が過去を懐かしみながら退廃した世界を家族とサバイバルする日常を描いているのが独特。

    事件が起きそうな材料が出てもスルーするからモヤっとする。でもラストは良い。

  • 分からん

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著者プロフィール

1950年、奈良市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。英米文学を中心に幅広い翻訳活動を展開。訳書多数。 ※なお、本書は、加藤万里子氏(横浜市生まれ。アメリカ、ドバイなど長年の海外生活ののち出版翻訳者)との共訳。

「2022年 『ストレングス・リーダーシップ<新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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