かくて彼女はヘレンとなった (ハヤカワ・ミステリ)

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  • 早川書房 (2022年9月2日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (376ページ) / ISBN・EAN: 9784150019839

作品紹介・あらすじ

ヘレンが隣家で見つけたガラスパイプは、麻薬密売に関する重要な証拠品だった。もし警察が隣家へ捜査に来てしまったら、バレてしまうかもしれない――かつての罪から逃れるためにヘレンという偽名を名乗っていることが。窮地を脱すべく彼女は策を練るのだが……

みんなの感想まとめ

人間関係の複雑さや過去の影が色濃く反映された物語が展開され、主人公ヘレンの孤独で奮闘する姿が描かれています。70代の女性が主人公という独自の視点から、現代と1950年代の二つの時代を行き来しながら、シ...

感想・レビュー・書評

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  • シニア向け住宅街に住むラテン語教師のクレミー。
    普段なら定期連絡のある隣人の安否を気遣い、預かっていたスペアキーで隣家の様子を探りに行くと、予想だにせず、さらにその隣家への秘密めいた通路が。
    興味に抗えず進んでいくと大層なガラス細工を発見し、深く考えもせず又甥、又姪達へスマホで写真を共有。
    ところが、このガラス細工は盗品かつ元の持ち主はカタギの人間でなく、麻薬取引に関わる犯罪者、しかも盗品はガラス細工だけでなく百万ドルの現金も。

    どうやら隣家は麻薬取引の中継所として使われているようで、その利用者が盗品を匿っていた模様。
    クレミーは期せずしてその秘密を日の下に晒してしまった。
    又甥、又姪達もクレミーから送られてきた写真をこれまた何の気なしに拡散させてしまい、これが持ち主のボロバスクの目に留まり、執拗な追走を受ける展開に。

    普通であれば警察に通報し~、という流れになるのだが、ここに一捻りあり、クレミーには警察沙汰にしたくない後ろ暗い事情が。。。
    過去に自身に降りかかった災難と、その後始末ゆえ、現在は身分を偽り、”ヘレン”として生活しているのだ。
    又甥、又姪らとはTELやSNSで繋がっているものの居場所も今の身分も知らせていない。
    潔白とは言えない身には、こんな事案がきっかけで化けの皮が剥がれてしまうことだけは厳禁なのだ。

    ジャンル的には『木曜殺人クラブ』のようにちょっとおちゃめなシニアがひょうひょうと活動するスタイルの物語。
    SNSやスマホといったツールとの接点も交ぜ込みながら、ときに自信喪失をちらつかせるものの、結局は若い者には負けてられん!とばかりに窮地を脱すべく奔走する様が読みどころ。

    加えてフラッシュバック的に挟みこまれる回想シーン。
    クレミーが負っている過去の十字架は何なのか。
    悪魔的な男の胸くそ悪さが牽引し、こちらの物語の顛末も気になる。

    と、序盤はいい感じだったのだが、徐々にだらける。
    終盤は同じシーンの中で、”誰もがちょっとずづすれ違ってちょっとずつ勘違い”というキレのないドタバタの繰り返しで飽きる。
    過去の事件と現在との交錯も思っていたほどではなく、結局ただのお騒がせ事件だったのか的な終焉が残念なところ。

  • Caroline B. Cooney
    https://www.carolinebcooneybooks.com/index.html

    かくて彼女はヘレンとなった | 種類,単行本 | ハヤカワ・オンライン
    https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000015219

  • 親族であってもー!!人の情報を勝手に喋ったらだめーーーーー!!!!!
    過去も現在もそれで窮地に陥る「ヘレン」が哀れでならなかった。
    数十年挟んだ二つの殺人事件を行ったり来たりして次第に真相が明かされていくのだけど、進め方がとても上手く、混乱することも間延びを感じることもなかった。
    あなたが好きだよヘレン。

  • アメリカ・サウスカロライナ州のシニアタウン、サンシティにすむヘレンは三軒の棟割り住宅の左端に住む75歳のラテン語教師。真ん中のドムはひとり暮らしで転倒をきっかけに毎日ヘレンに「無事だよ」のメールを送るのが日課だ。が、今日はメールが無い。これがそもそもの始まりだった。ドムはどこに行ったのか? 隣人たちの秘密が顕わになり、ついには死人が、大金が・・ 怒涛のごとく芋蔓式に事件が起こり、人がつながってゆく。そして題名の「かくて彼女はヘレンになった」理由が、ヘレンの過去が、現在の事件と交互に語られる。

    ヘレンは1950年代に高校生と大学生だったという設定。ヘレンになった理由もその時代が少女時代だった、というのが大きく影響していて、文章も50年代の人々の生活と意識を細かに描写する。

    現在の事件がかなりのスピードで展開し、ヘレンの過去もいやあ、よく頑張ったね、という感じではあるのだが・・・ 真実は知らない方が幸せな時もある。とくに生みの親なんてものは。



    2020発表
    2022.9.15発行 図書館

  • はじめに想像していたのと全然違った。めちゃくちゃ面白かった。今と昔が交互に描かれる。しかもヒロインは70代の老婆。
    ここに出てくるのは生きる価値さえないろくでもない男。昔の時代での男女の在り方や、男の都合よく育てられた女子の生き方が哀しいまでリアルに現される。作者も70代。人生を卓越したからこその作品。

  • 予想していたのとはまったく違う、非常に読みごたえある小説だった。
    *脛に傷持つ主人公→彼女自身には何ひとつ非はない。
    *シリアス、あるいはハードボイルドな雰囲気→思いのほかコミカルな箇所もあり(ストーリーはまったくもって「笑える」ようなものではないのだが。そんな読み味は「死後開封のこと」に似ている)
    *現代小説→むしろ過去(1950年代)に焦点が当たっている(とはいえ、これがけっして「昔話」ではないところがまた…)

    リッチな老人たちが住む町で一人暮らすヘレン。はたから見たらこのうえなく退屈、しかし本人にとっては何ものにも代えがたい平穏が、ある日ひょんなことから破られる。麻薬、裏金、よそ様への不法侵入。50,000回生まれ変わっても無縁だったはずのあれやこれやに振り回された老婦人の抱腹絶倒の孤軍奮闘が始まる…!

    …というストーリーの裏で、まったく別のもうひとつの物語が進行する。表の現代パートとは真逆の、まったく残酷で、陰惨で、おぞましく、救いのない物語が。
    1950年代を舞台にしたこの物語は現代パートとスイッチしつつ進むが、この構成は秀逸としか言いようがない。現代のまったりハッピーエンドが約束されていなければ、とうてい読むに堪えないほどに悲惨な物語だからだ。
    しかも上述のように、それはいまだ「過去」ではないのだ。ヘレンにとっても、私たちが生きる現実世界においても。

    特にフェミニズム的でもミサンドリー的でもない(なんなら、訳者あとがきは意識が低くて辟易させられる)普通の娯楽小説なのだが、鋭く現実をえぐり出すこと「あの日、君は何をした」「彼女が最後に見たものは」のごとし。酸いも甘いも噛み分けた錬達の女性作家が現実を描くと、いやが応にもこういうものになるのだろう。
    とにかく男はクズか、馬鹿か、クズかつ馬鹿しか出てこない。あげく、こんな小説への感想に「笑」をつけまくり、自分語りとmansplainingを盛大にかましたクソレビューしか書けないレビュワーまで出るに及んで、つくづく男という生き物への嫌悪が募った。

    2022/9/20〜9/25読了

  • 高齢者が寄り集まるシニアタウンに住む主人公クレミーは「ヘレン」という偽名を使っていたが、近所で発生した事件に巻き込まれてしまい、過去に自分が関わった事件が明るみになるのを恐れて画策する…というストーリーのほのぼのサスペンス。
    現在の事件と過去の事件が交互に語られるが、その2つの事件はそれぞれ独立していて関連は無い。
    どちらの事件も終盤の駆け足感が凄く、真相はあっさりで多少肩透かし。

  • 映画にするとおもしろそうなクライムサスペンス

     さすがニューヨークって感じかな。古き良き時代と現在を行きつ戻りつしながら、ヒロインのダブルネーム理由が明らかにされていく。それはそれで面白いもかもしれないけれど、やはり主題は今発生している事件かな。

     その進行中事件が、なかなかスリリング。少ない登場人物の中から、意外な役割を担う主役級がでてくるくだりが楽しいかも。

     逆に言えば、昔のほうの事件があまりにかわいそうで・・・。

     でも、段組みに慣れていなくて、読みにくかったな。

  • 翻訳かな?いまいちだろ

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