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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784150019969
作品紹介・あらすじ
被災地を巡るダークツアーを担当するヨナは、自社企画の査定を命じられベトナムへ向かう。企画は新味に欠け、ヨナは会社に打ち切りを提案しようとするが、たまたまひき逃げ事件を目撃したことで謎の一味に新たなダークツアーを「捏造」するよう脅迫され……。
みんなの感想まとめ
経済社会の現実を鋭く描いた物語は、被災地を巡るダークツアーを企画する主人公ヨナの視点を通じて展開します。彼女は収益が低迷するツアーの査定を行うため、ベトナムの小さな島ムイに向かいますが、そこで直面する...
感想・レビュー・書評
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蟻地獄から抜けられない恐ろしさ… 人間の邪悪な本性が描かれたショッキングスリラー #夜間旅行者
■あらすじ
独特のテーマを持ったプランを提供する旅行会社に勤務する主人公。彼女はツアープログラム業務にあたっており、収益が良くないツアーの見直しを命じられていた。
あるベトナムのツアーに同行して現地を査定する主人公だったが、途中でコンダクターとはぐれるトラブルに見舞われてしまう。仕方なく街に滞在することになるのだが、なにやら街には秘密があるようで…
■きっと読みたくなるレビュー
人間の醜悪さが詰まったスリラー。不愉快な怖さが魅力ですね。
まず独特の背景設定とストーリーが絶妙に厭らしいんですが、きっと何も知らずに読んだほうが楽しめます。そのため、書き記したあらすじ以上のことは詳しくは語れません。
序盤から嫌な雰囲気が漂うのですが、中盤からは徐々に圧迫さが増していき、悪夢が広がっていく。蟻地獄にハマったしまった様に、ずるずるとしかも着実に引きずり落されている感覚がイヤすぎる。発生している理由も、止める方法も分からない。しかも誰も助けてくれないという恐ろしさ… こわっ
恐怖のキーワード「ワニ75」
たったこれだけの単語なのに、身悶えするほど恐ろしい。動物名と数字だけのこのキーワードが、一体どんな意味なのか… 読んでみればわかります。
またさらに不快感を増す要素として、本書にでてくる人間たちの価値観ですよ。
そもそもこの旅行会社のプランについて、漫画カイジの鉄骨渡りのあるエピソードを思い出してしまいました。大金持ちの権力者たちは、鉄骨渡りをしている若者たちを見て、自分が安全な場所にいるという優越感を楽しんでいるというシーンです。
人間は誰しも弱い生き物ということなんでしょうが、非道なことに興味がわいてしまうという事実は悲しいものです。
そして街の人々ですよ… 貧しさはもはや罪であり、正義がなんなのか分からなくなってしまっている環境が辛すぎる。物語の話だけであって欲しいと、願わずにはいられませんでした。
■ぜっさん推しポイント
物語の終盤はもちろん怖さも最高潮なんですが、さらに切羽詰った感じ、スピード感、なにより哀愁の表現が素晴らしいんです。これまで様々なミステリーで不幸な登場人物を見てきましたが、最たるものですね。
私はいつも恵まれない人生だよな~と、ボヤいているのですが、決してそんなことはなく十分に幸せなんだなと感じるのでした。
と…これも、自分が安全な場所にいるという優越感ですよね。私も醜い生き物です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
被災地を巡るツアーを企画しているジャングル社に勤めるヨナ。収益の低いツアーに参加し査定することになり、ベトナム沖の小さな島ムイに行く。が、そこに隠された驚愕の現実を知り行動を起こすが・・
ということなのだが、このジャングル社、ソウルにありスタッフは千人以上いて、災害を33タイプに分け、そこから152の商品が生まれていた、と説明される。このジャングル社の”商品”企画もさることながら、ツアーの内実たるや、空恐ろしいものがある。ありきたりの言葉で表現すれば、何でも商品としてしまう経済社会の現実の恐ろしさ、ということだろうか。しかし最後は自然の力はそれを上回っている、と作者は梶を切っている。
最初はジャングル社内の派閥争い、次にムイ島でのツアー、そして知る現実、さらに現地案内人とヨナの淡いロマンス、などもありドラマにしたらおもしろいかも。最後は怒涛の出来事。星新一の「おーいでてこい」なんかもちょっと想起した。
書評七福神のwebページで10月の推薦で3人がイチオシしていたので読んでみた。姜芳華さんの訳文がとてもいい。まるでもともと日本語で書かれた文章のような読み心地だ。倉敷生まれとあるので韓国語も日本語も自然に身についているのか。
2013発表
2023.10.15発行 図書館 -
過去の災害の爪痕を見聞する旅、これを売り物にした「公正旅行」。
こんなものがあることが驚きだった。が、よく考えれば“イタリア ポンペイ”だってそうだし、関ヶ原合戦場やアウシュビッツ、原爆ドームへ行くのも似たようなもの。
問題はそこに“経済”が絡むことで、過剰な演出やサービスか生まれること。
この物語はその延長線上にある。
ハヤカワ・ポケット・ミステリにしては、随分と“文学的”な物語で、謎解きというよりはSF外の「ディストピア」小説のよう。
それに気づくまでは、よく分からなかった。 -
主人公のヨナが列車に乗ると、読者の私はいつのまにかジェットコースターにライドオン、ここから始まる怒濤の展開。
とくにダークツアーの大掛かりな計画の設定が秀逸で、例えば(自粛)
スケールの大きな物語で読み応えがありましたが、読後はすーっと波が引くように熱が醒めてしまいました。なんだか不思議な読後感でした。 -
ツーリズムと名のつくものの裏にはこういうことありそう。観光客は見たいものを見て、それを確認するんです。こなれた訳文で読みやすかったけれど、内容にはちょっと入りきれず残念です。
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韓国人気作家の日本初上陸作品である「夜間旅行者」。災害ツアーという奇妙な商品を企画・提供する韓国ツーリズム会社に勤務する女性が物語の主人公。会社に10年勤続するも燃え尽きかけた主人公ヨナ。退職勧告代わりの休暇で会社の災害ツアーモニターとしてベトナムのある地域へ。そこで人工的に作り出される災害。話の展開がヨナ主導で進むも、ヨナの知らないところで事態は動いていて、読んでいて飽きないストーリー展開に楽しませてもらった。ただ、人間をこのように扱われるのは残酷極まりない読後感であった。
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ダークツーリズム訪問地の興亡を賭けた捏造の事故。人災を引き起こして、人々の関心を取り戻そうと着々と進行する企画と、知らず巻き込まれるであろう住民をマングローブの林一帯に移動させる水面下の攻防。会社のシナリオ通りに追い詰められる社員が最期にあらがえることが出来たとはいえ、元はと言えばツーリストの欲望が引き起こした事故だと思うと恐ろしい。
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SL 2023.12.12-2023.12.14
主人公は被災地を巡るツアーを扱う旅行社に勤務するヨナ。世界の災害を商品としてしか見られなくなっていることもすでに十分恐ろしいのだけど、故意に災害をでっちあげて旅行ツアーを企画するというなんとも不気味な展開に。
そして最後は驚異的な自然の力に薙ぎ倒されていく人間たち。
救いがあるのかないのかわからないようなラストだった。 -
Xで評判が良かったのと、表紙に惹かれて。災害に見舞われた地域を組み込んだツアー、いわゆる「ダークツーリズム」を主力商品とする一大旅行業者に勤めるヨナ。社内の立場が危うくなり、最終通告としてベトナム沖の島を巡る、落ち目の自社企画の査定に出向くが…。まとめれば数行で終わる内容を何ページにも渡って読む意義が見い出せない一冊だった。東南アジア、特にカンボジアに行けば実際に行われていることを物語にしたような印象を受ける。原作の癖なのか翻訳の問題なのか分からないが、誰が発言・思考しているか分かりにくい場面が多々あり読み辛さを感じたこともマイナス。大仰なPRの割には肩透かしな内容に、早川書房への疑念が募る…(目の敵にしているだけかもしれない)。地震・津波・台風・火災などとは違い、海外資本の開発による環境資源や地域の暮らしの破壊といった、「写真には収められない災害」、いわゆる「売れない災害」への世間の無関心はNGO勤務時代に痛い程感じたので、扱ってくれているのは嬉しかった。
「災害ツアーを経験した人々の反応はおおかた、”ショック→同情と憐憫、または気まずさ→自分が生きて暮らしていることへの感謝→責任と教訓、または自分は生き残ったのだという優越感”の順に現れる。」 -
初ハヤカワ・ミステリ。縦長の独自サイズにビニールカバー、中の黄味がかったページに惚れ惚れする。
作品に関しては、中盤~終盤にかけて、積み上げた虚構の物語を一気に突き破るような展開があり、小説でありながら、フィクションの枠組みを飛び越えるようだった。
被災地が観光資源になれば、撮れ高が求められ、訪れる観光客は悲劇的な物語を期待する。その期待を満たすために、誇張されたフィクションが生まれ、それを演じる人々がいることの歪み。
ダークツーリズムの屈折した構造は、同じ韓国人作家キム・エランの「沈黙の未来」を思い出した。 -
昔、旅行会社で働いていたし、今も定期的に海外旅行に行く。その一方で昨今の各所でのオーバーツーリズムの諸問題、実際街にあふれかえる外国人観光客を見るにつけ、そもそも旅行とは?と思ってしまうことがある。
旅行は景色、建造物、食べ物、何にせよその場所の他所とは異なる秀でた物を訪れたりするものと超一般的には捉えられているが、ダークツーリズムというあえてネガティブスポットに行くというのもある。この話はダークの中でも災害をスポットに当てたツアーをオーガナイズする旅行会社の話。こういう会社に近しいもの実在するんだと思う。小説ではそれが作られた災害現場だったという。。
社内政治や現地擬似(?)恋愛なんかもリアリティあって面白かった。最後がまるでハッピーでないのも韓国っぽくて好きだった。観光スポットに行くのは興味なくて、ただ街を歩いたり、ハイキングしたりの旅行に完全シフトしているけど、やっぱりこの方向性でいいなと改めて思ってしまった。 -
英国でなにか賞を取ったようだが、私はこの作品はピンと来なかった。
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