喪服の似合う少女 (ハヤカワ・ミステリ)

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  • 早川書房 (2024年8月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (280ページ) / ISBN・EAN: 9784150020064

作品紹介・あらすじ

女性私立探偵・劉雅弦の元へやってきた女学生・葛令儀。彼女は劉に、友人の岑樹萱を見つけてほしいと依頼する。劉は調査を始めるが、岑樹萱を深く知っている者は、一人もいなかった。さらに劉は調査の中で死体を見つけ、殺人容疑で警察に逮捕されてしまう……

みんなの感想まとめ

女性探偵が依頼を受け、行方不明の友人を探す物語は、複雑な人間関係や感情の交錯を描き出しています。1930年代の中国を舞台に、探偵と女子学生の関わりを通じて、友情や復讐のテーマが浮かび上がります。登場人...

感想・レビュー・書評

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  • ★5 私立探偵が人探しの依頼を受け… 女性のプライドと力強さを描いた人間ドラマ #喪服の似合う少女

    ■あらすじ
    1930年代の中国、女性私立探偵の劉雅弦に依頼がやってくる。依頼主は実業家の娘からで、友人の岑樹萱を探してほしいというものだ。劉雅弦は調査を始めるも、岑樹萱の父親は事業で失敗して夜逃げをしており、彼女も行方しれずだった。足取りを追い続ける探偵劉雅弦であったが、背後に隠された事実が見え隠れするようになり…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    ★5 これまた渋みのあるいい小説!

    一人称視点で描かれる私立探偵小説。人探しから始まる物語で、着実にストーリーが展開されていきます。全編通して探偵その人の背景や人間性がじっくりと感じられて、体の中に彼女の魂が入り込んでくるようです。

    手がかりである人脈とひとつずつ相対していくのですが、それぞれの人生が伺える会話が豊潤で生き生きとしてる。序盤は人となりが分からないのですが、読みすすめるほど人間身が感じられ、自分自身も探偵になってしまったような錯覚をうけるのです。

    そして中盤からは想定していなかったほどストーリーが大きく動き始める。アクションあり、誘拐劇ありと小説がパワーアップ。事件の背後にある人間関係も更新がされ、それぞれの歴史に重みが増してくるんすよ。物語の後半に差し掛かり、事件解決の流れになるのですが… 実はここからが本作の真骨頂なんです。

    本作で推したいのは、主要人物がほとんどが女性であるところ。主役の探偵、令嬢、探している少女、実業家の愛人、友人の記者など、例外なく全員が魅力的、パワフルに描かれています。その背景に権力者や男どもの都合があるのですが… もうね、ひとりひとりを抱きしめたくなってしまう。でもおそらくは、そんな慰めや施しは不要と突っぱねられてしまうのでしょう。決して派手でなくとも、魂がある人はカッコイイですね。

    また社会性も厳しく描かれています。これほどまでに貧富による身分の差があるのか、街での薬物乱用や犯罪の状況など、中国での現実を目の当たりにできるのです。

    喪服の似合う少女は、望むものを手に入れられたのか。彼女はどんな犠牲を払い、その結果幸せになったのか。英文タイトルの意味を噛み締めながら、私は明るい未来を祈らずにはいられませんでした。

    ■ぜっさん推しポイント
    大学生の頃、どんな仕事がやりたいのか分からなかったなぁ。そして大人になって色んな職に就いても、自分がやりたかった仕事なのか疑問をもち続けてました。それでもひとつひとつの仕事をこなしていくうちに、やっとやりたいことが明確になってきましたね。

    いつの時代も男も女も、人それぞれの様々な仕事や立場がある。本作に出てくる女性たちは、力強い意識とプライドが感じられて痺れましたね。励ましと元気をいただきました。

    • yoshi1004さん
      はじめまして、こんにちは!いつも拝見させて頂いてます。
      そして今作品、現在進行形で読んでます。感想を読ませて頂き、首がちぎれる程頷いて同意し...
      はじめまして、こんにちは!いつも拝見させて頂いてます。
      そして今作品、現在進行形で読んでます。感想を読ませて頂き、首がちぎれる程頷いて同意します。読了が益々楽しみになりました。ありがとうございます。
      2024/09/21
    • autumn522akiさん
      yoshi1004さん、こんちはです。コメントありがとうございます!
      骨身にしみわたるいい小説です、めいっぱい楽しんでくださいね。
      yoshi1004さん、こんちはです。コメントありがとうございます!
      骨身にしみわたるいい小説です、めいっぱい楽しんでくださいね。
      2024/09/21
  • 女性探偵・劉のもとへ葛令儀という女学生から行方不明になった友人・岑樹萱を探してほしいと依頼を受ける。
    安くはない費用を女学生が払えるのかと言えば、彼女は地元の大物、葛天錫の姪であった。
    岑の行方を調べるうちに謎の男に襲われ、妨害された理由を知ったときに複雑な事情を知ることになる。
    岑が誘拐されたこととその後の錯綜する人間関係。
    単なる友情では済まされなくなったとき、何が残ったのか。

    最後まで言葉少なく感情のない岑樹萱(令淑)が、復讐をやり遂げたとき…
    劉との会話に寂しさを感じた。

    1930年代の中国と女性探偵の活躍という不思議な感覚ながらもこの事件の真相を思うままに楽しめた。




    • おびのりさん
      こちらが
      祝2,000冊レビューですね
      *・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*
      こちらが
      祝2,000冊レビューですね
      *・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*
      2024/09/30
    • おびのりさん
      一冊前かな?
      この辺ってことで
      一冊前かな?
      この辺ってことで
      2024/09/30
    • 湖永さん
      おびのりさん こんばんは。
      ありがとうございます♪
      知らない間に…ですねー。
      そういえば1000冊目もどの本だったのかと⁇
      このまま、気のむ...
      おびのりさん こんばんは。
      ありがとうございます♪
      知らない間に…ですねー。
      そういえば1000冊目もどの本だったのかと⁇
      このまま、気のむくままに読書を楽しもうと思ってます。
      2024/09/30
  • 久しぶりの華文ミステリ。
    たまには読んでみるかぐらいの気持ちだったがなかなかに面白かった。

    路線的にはこってこてのハードボイルド。
    それもそのはず、逝去40周年を迎えるロス・マクドナルドに捧げる一編とあれば。
    その王道の中のそこここにまぶされる中華風味と、序盤で明らかになるものの、あれ、これってもしかして?と引き込むちょっとした設定の妙がにくい。

    とある都市省城の資産家の姪が親友を探して欲しいと私立探偵劉の事務所を訪れる。
    調査妨害もありつつ、巻き込まれ逮捕もありつつ、細い糸を辿るように行方を探っていく過程で見えてくる2人の少女の関係性。
    最終盤の揺り戻しの「なぜ?」に応えるビターな真意も、技巧に凝ることなく意外性を持ったなるほどな帰着でハードボイルド的でした。

    なぜか匂わす百合要素は謎。
    こんなほんのりでどんな効用が!?
    求めている人はこんなんじゃ満足出来ないだろうし、そうでもない人は、え?ってなる。
    作者がやりたいだけ。。。

    『雪が白いとき、かつその時に限り』はめちゃくちゃ新本格って感じだったのに一転、ザ・ハードボイルドときて作風が分からなくなった。
    『元年春之祭』も読んどくかー。

  • 私は好きだった。読み終えると主要人物が全て女性だったと気付く。私立探偵、被害者、全てのモデルケースがここに集まったのかと思う程きちんとされている。1930年代の中国の雰囲気も堪能できる。登場人物の生き方がリアルでミステリを味わいながらかつての中国の貧困さにも言及していて良かった。

  • 陸秋槎を初読。勝手なイメージでラノベ寄りのミステリを書かれる方だと思っていたが、今作は歴史ハードボイルド作品。

    女性の私立探偵、劉の元に、少女から同級生の行方を探してほしいと依頼がある。足取りを追う劉。一見、ただの家出に見えたが、事態は思いもよらない展開に。。。

    時代は1930年代。あとがきによれば中国では、この時代にしか私立探偵は成り立たないとのこと。
    テンプレートな事件、展開ではあるものの、最近は滅多に見なくなった私立探偵もののため、最後まで楽しめた。

    作中の劉のかっこよさは折り紙つき。またラストも非常にやるせなく。でもそこが、なんとも言えない余韻を残す。良作。

  • 1930年代の中国、私立探偵を営む女性のもとにひとりの女子学生が依頼を持ち込んできたことから、彼女は奇妙な因縁まつわる事件に巻き込まれていく。
    端正で無駄のない筆致で綴られる、きわめて冷静なハードボイルドの筆致が、まだ年若い作者によるものだと思うとかなり驚く。並々ならぬ博識も、ほかの著作で片鱗を味わったものの本当に凄い。そして堅苦しさを懸念する縁遠い時代設定も「物事がどう進み、誰がなにを企てたか」をスマートに描いているので、意外なほどすんなりと物語を追える。ほんと巧い作家だと感心します。

    登場人物たちが良い意味で皆「冷静な大人」ばかりなので、それなりのドロドロとした因縁話ではあるものの、激情を交わす場面はほぼなくて、さっと読んでいるととてもさらりとした読み心地に感じます。少女と探偵の、ほんのひとときの感情の擦り合いが切ない余韻をわずかに与えるくらいです。

    こんな筆致でまた探偵物を読んでみたいですが、作者はまたきっと全然違うテイストの作品を仕上げられるんだろうなと思います。凄い方です。

  • 1934年、中華民国。女性私立探偵・劉雅弦は、葛令儀という女学生から行方不明の友人・岑樹萱を探し出してほしいという依頼を受ける。樹萱の父親が借金を抱えたまま消えたことを突き止めた雅弦は、調査中に謎の男に襲われてしまう。刺客を仕向けたのは、令儀の伯父で地元の大物である葛天錫だった。天錫はなぜ雅弦を妨害するのか。そして、令儀による依頼の真の目的とは。友情、恋慕、哀憫。錯綜する人間関係の中で、雅弦は耐え難い悲劇を目の当たりにする。ロス・マクドナルドに捧げる、華文ハードボイルドの傑作。

    しばらくロス・マクドナルドは読んでいないが、影響を受けていることはよく分かった。漢詩の意味が何となくしか理解できないのが残念。もう少し漢文をまじめに学んでおけばよかった。

  • 陸秋槎『喪服の似合う少女』読了。華文ミステリの俊英にして日本サブカルに造詣の深い著者による新作は意外にもハードボイルド。女性私立探偵の主人公は大富豪の娘の依頼で失踪した同級生の女学生を捜索するが...
    終盤の英題を回収する展開、探偵一人称視点故に語られないものに想いを馳せずにはいられない。

  • 日本のミステリー作家にも敬意を払うあとがきにびっくりさせられた中国の作家によるハードボイルドミステリー。主人公は女探偵で、舞台は1930頃の架空の地域(省城と書かれる)。この女探偵は特に優れた能力もないし、財産もないのだけれど、知恵と肝の太さでどんどん真相に迫っていきます。基本的にはいなくなった女子学生を探すというお話です。謎解き的にもさほど入り組んでないのに解けていく楽しさは十分にあり、一昔前の中国の様子がわかるのと、中国人の名前の表記や本棚の本、詩の引用で昔の偉人による漢詩がでてきたりと周りの小道具がいちいち異文化で楽しめました。最初は薄い本だったので簡単に読めるかと思っていましたが、ふつうの本だと350ページ程度のボリューム感はあったかなぁ。薄くて軽いので持ち運んで読みたいときにいいと思います。ハードボイルド系で殺人や暴力が良く出てくるので中学校以上。基本は大人向け。

  •  私立探偵小説。事件を追っていくにつれて、徐々に人間関係が顕になっていくのが良かったです。

     元年春之祭でも思ったけれど、作品の時代に合った雰囲気が文章から滲み出ている感じが凄いです。登場人物達がその時代に住んでいて、その時代の目線で話が進んでいく感じがしました。

  • フーダニまではかんたんにわかったけど、ホワイは最後までわからなかった。副題が活きた。

  • 時は1930年代中華民国。私立探偵の劉雅玄は、ある裕福な家の少女から同級生の友人を探してほしいと依頼を受けるが、探し回る内に暴力を受け、情報も依頼者、探している少女についての情報も二転三転し、眼の前で殺人が起き、嫌疑を受け、留置されたり、身代金を届ける役割をまかされたり。探し出したあとも、情報は転がっていき、最後は…と。最初はバチバチとも思えた依頼者との関係が、段々とシスターフッドな関係になっていき、けど「わたしには分かっていた。彼女は二度とここへ来ないだろう。永遠に。」…と、苦さと一抹の寂しさを残して。◆ドライなようでいてこだわりが強くてつきすすむ探偵像に心惹かれ。◆中西折衷なのが中華民国をあらわしているようで、という描写が何度も。◆◆「だまされなければ生きる道がないのなら、だまされればいい。分かっていようといまいとね。生きていくことが一番大事よ」◆「あなたは永遠にわたしたちに加わりはしない。何も信じていないからです。永遠にわたしたちに敵対もしない。あなたにそんな度胸はないからです。」あたりが印象に。

  • 帯に「ロスマクに捧げる華文ミステリ」とあるが、期待以上に良かった。時は1934年の中華民国。主人公は女私立探偵の雅弦。作者自身のあとがきによれば、この時代にしか中国に私立探偵は成立しえないらしい。猥雑で政治も経済も不安定な街で、主人公はある女子学生の行方知れずとなった友人を探すことになる。愚直にひとつずつ手がかりを追っていくうちに、何重にも隠されたある秘密に最後にたどり着く。
    ナックルダスターや銃を用意していても、不意をつかれれば暴力の餌食になってしまう生身の女性である主人公だが、そういった危険も承知済みとばかりに淡々と調査を続ける姿が単純にかっこいい。権力者の機嫌は取りつつも、芯は曲げずにしたたかに生き延びる主人公の人間性が魅力的だ。
    また調査する謎が解き明かされる過程や、最後に明かされる真相のせつなさも全てが申し分ない。とても良かった。

  • 予想以上にしっかりハードボイルド。

  • 出てくる女性たちが皆んないい!主役の3人ー私立探偵、富豪の令嬢、その友人で失踪した少女ーは勿論のこと、富豪の愛人や新聞記者など脇を固める女性も気に入った。劉雅弦探偵は奥が深そうで、、また会いたい。

  • タイトルからして引き込まれる。
    実務能力高いミス汪に惹かれるし、気が強い葛令儀もだんだん好きになる。何よりしたたかで儚い萱萱と寡黙で淡々とした劉雅弦。
    過酷な環境でしたたかなはずなのに、どこか最後で器用には生きていない。味わい深い小説だった。

  • 1930年代の中国を舞台にした、女流探偵ハードボイルド。中華ナンチャラってバカにするなかれ、ここまでしっかりしたスタンダードなハードボイルドは、日本だけでなく世界中観てもそう多くはないはず。

    話の筋は探偵もの定番の出生の秘密探しで、喫煙飲酒運転格闘友情と、ハードボイルドメニューを完全に(しかも相当高いレベルで)提供して、あっと驚く急展開のラストまで持っていく凄さ。しかも、活躍する女性登場人物たちのカッコ良さったらもう。

    こんな作家がこんな小説を書く人もいる中国という国家の底知れなさ、政治と経済面だけ見ていると社会主義的面白みのない冷たい怖い国だと思うし、その一面も決して間違いではないはずなんだが(EX:ジャッキーチェンの体たらく)、それだけではない奥の深さと底知れなさ。

    差別と偏見だけに浮かれてたら、もっともっとエラいところまで差をつけられるぞ、武市ジャパン

  • 情景の説明があり、長くて飛ばしながら読んだ

  • とても翻訳が頑張っていて、読みやすい。1930年代の中国の架空都市という、全くイメージがしづらい舞台なのだが、非常にするすると読めた。主人公の性別や、舞台設定が明らかになるポイントが面白くて、「えっ女性なの!?」、「えっ現代じゃないの!?」ってイベントの本筋と関係ないところでびっくりした。誰が黒幕だとしてもなんだってこんなに回りくどいことを…と思いながら読んでいたが、種明かしで納得。なんていうか言語化しづらいけどとても中国的な終わり方。

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著者プロフィール

小説家。1988年北京生まれ。2014年に短編「前奏曲」が第2回華文推理大奨賽最優秀新人賞を受賞。2016年に『元年春之祭』(新星出版社)でデビューする。同作は2018年にハヤカワ・ミステリから邦訳刊行され、日本の新本格に影響された華文ミステリ作家として脚光を浴びる。邦訳書に『雪が白いとき、かつそのときに限り』(ハヤカワ・ミステリ)、『文学少女対数学少女』(ハヤカワ・ミステリ文庫)があるほか、日本刊行の小説アンソロジー『アステリズムに花束を 百合SFアンソロジー』(編=SFマガジン編集部/ハヤカワ文庫JA)、『異常論文』(編=樋口恭介/ハヤカワ文庫JA)などにも参加している。本作『盟約の少女騎士(スキャルドメール)』が、日本では初の単著書き下ろし作品となる。

「2021年 『盟約の少女騎士』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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