アンドロメダ病原体 (ハヤカワ文庫SF)

  • 早川書房 (1976年10月19日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (448ページ) / ISBN・EAN: 9784150102081

みんなの感想まとめ

未知の病原体による恐怖が迫る中、アリゾナ州の小さな村で一夜にして住民が全滅するという衝撃的な事件から物語は始まります。科学者たちが集まり、謎の人工衛星と生存者を調査する緊迫した5日間を描くこの作品は、...

感想・レビュー・書評

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  • マイケル・クライトンが小松左京による名著『復活の日』の第一章で描かれた細菌が蔓延することで人類が絶滅の危機に直面するというエピソードからインスパイアされて書き起こした有名SF映画のノベライズ作品。
    一晩で二人の生存者を残しただけで、小さな村の住人が全滅した原因究明から宇宙から飛来した未知の菌株発見と対処にわたるSF医療ミステリーから一転して施設内に繁殖が確認され、自己診断する保安コンピューターによる蔓延防止の為の自爆が決定されるが、この毒性の強い菌株は核爆発による放射線によって猛烈に繁殖が促進される事を知った主人公が爆破阻止に赴くパニックサスペンスへと展開するストーリーは見事。
    原題の「ストレイン=菌株」はキノコやカビの分類で「病原菌」ではない。多分に邦題命名の際に「アンドロメダ“カビ”の恐怖」では、絶対ウケないであろう危惧から、日本人にはニュアンス的に「病原体」の方が怖いイメージを導き出しやすかったところを狙ったか。原題と邦題の難しさよ。

  • アリゾナ州の小さな村で一瞬にして起こった謎の住民の大量死という冒頭からワクワクする。中盤以降は、地球外生命を研究するネバダ砂漠の地下にある秘密の研究所での、その「アンドロメダ菌体」と名付けられた謎の病原体の真相にせまる科学者チームの緊迫の5日間の話になるが、その研究過程のドキュンメタリタッチの描写が渋い。いささか渋すぎて地味だが、著者が「ジュラシック・パーク」でもテーマにしていた、精緻に組み立てられた筈のシステムが、偶然や人為的なミスなど、ちょっとしたことから連鎖的に破綻していくサスペンスな展開があってまったく飽きない。本の感想ではないが、映画は本作の学術的なエッセンスを絞って、かつ見事な研究所のセットを作り出していて非常に出来がいい。自分で映画監督もやってしまう作者だけに、もともと映像化に映える場面を作り出すのが巧いのだろう。

  • 墜落した人工衛星を回収するため、アリゾナの人口50人ほどの
    小さな町の近くへ向かった軍人がみつけたものは、一夜にして
    全滅していた町の姿。
    そして、回収車の中にいるふたりの軍人もまた犠牲となる。
    原因は?地球外生命体?病原体?
    4人の科学者が集められ、回収した人工衛星と、生き残った胃潰瘍もちの老人と
    生後2カ月あまりの赤ちゃんを、特殊な施設のなかで調査研究する5日間を描く。
    1969年発表の作品・・・そんなに前なの??
    古臭いなんてことはなく、最後までたのしめました。

  • 映画も観た筈だが全く覚えていない。タイトルから勝手にアンドロメダ星雲生まれの未知の病原体が地球を襲い人類が滅亡の危機に瀕するというパニックモノかと思ったが全然違っていた。事件は冒頭でいきなり起こるが物語の大半は研究施設での地味な仮説と検証の繰り返し。主人公はあくまでも病原体であり人間を描いたものではない。ちょっとホーガンの「星を継ぐもの」に似たタッチである。ポピュラー・サイエンス好きには堪りません。読むけど好きとは言えなかった著者が今更ながら大好きになりました^^この後、病原体について少し考えてみる予定。

  • 未知の病原体を補足する国家プロジェクトの報告書という体裁で非常に値が細かい科学的なデータがこれでもかというほど挿入されその他も国家機密や人事の新聞記事や歴史解説書のような説明で、かなり乾いた文体が続く。それを引っ張るのは事件の面白さ。
    今読んでもここまで科学的な内容に振り切ったものも珍しい。歴史的な本だけど十分楽しめた。

  • 地上に着陸した人工衛星を回収しにアリゾナ州ピードモントへ向かった兵士たちからの連絡が途絶えた。最後の音声記録によると、町の人びともみな死んでいるようだ。この知らせを受け、陸軍とNASAは国内最高峰の研究者たちによる〈ワイルドファイア計画〉を実行する。細菌学者のストーンをはじめとする4人の科学者たちは、地球外からやってきたと思われる菌株の正体を探るため秘密裡に建設された研究所に集まった。その研究所は微生物に汚染された際に備えて核自爆装置が設置されているのだが……。ノンフィクションの手法で書かれたエポックメイキングなSF。


    "すでに起こってしまった事件"に関する機密文書という体裁で書かれ、この本自体がアメリカ政府によって隠蔽されているという冒頭の設定がまず楽しい。人工衛星の真の目的だったり、研究所に張り巡らされた偽装工作だったり、前半は陰謀論的なワクワクがある(笑)。
    発表当時は「人間的興味が薄い」と批判されたりもしたらしいけど、私はあまりそう思わなかった。ワイルドファイアのメンバーは5人なのに1人は虫垂炎で来れなかったり、みんなが若手のホールをうっすらバカにしていたり、レヴィットが大変な事故につながりかねない発作を保身のために隠していたり、最高の頭脳を持つはずの人たちの欠陥が書かれているのは好もしいと思う。
    とはいえ、通信記録や検査結果の図表などを挿入して科学ノンフィクションのように見せるという、ケレン味たっぷりな仕掛けが一番の見せどころだろう。巻末の参考文献にはストーンやマンチェックの論文まで記載されている。クドいほど細かく描写される検疫システムの"注文の多い料理店"感も笑えるが、当時NASAのおざなりな検疫隔離手順が批判されてもいたそうで、その見識をエンタメに全振りするのがすごい。
    人類が一番最初にコンタクトする地球外生物は微生物になるという仮説を広げながら、実はまだまだ地球に未知の生物がいるというオチも好き。最後の最後はアクションが繰り広げられるのでSFとしてちょっと肩透かしではあったけど、エンタメのサービス精神特盛りの面白さを堪能させていただきました。

  • 図書館で。マイケルクライトンの初期の作品。
    宇宙病原菌により一つの村の住民がほぼ死滅する。
    生き残った老人と赤ん坊はなぜ生き残ったのか?
    科学者たちによる地下での実験が進む。一方で、村の付近を飛行していた飛行機の原因不明の墜落。
    果たして宇宙病原菌 アンドロメダ病原体とはなんなのか?

    最初の方は結構ダラダラ進んで退屈だったけどクライマックスの方はドキドキで面白かった。

  • 『-変異体-』を読み始めたら???
    そして気付いた。オバサンの記憶の中ではこれと『遊星からの物体X』がごっちゃになっていたのでした…

  • 出版当時ならワクワクして読んだと思う。

  • 続編「変異」を読む前の復習として。
    50年前の当時、医学部に在学中だった26歳の新人作家が書いた傑作はまったく色褪せてない。

  • ジュラシック・パークを書いたマイケル・クライトンの初期の作品

    2月から読み始め、通勤電車の友だった。
    徐々に新型コロナウィルスの感染が広がり始めたのと相まって、アンドロメダ病原体との攻防はスリリングで面白いと感じた。だけど2月末頃から予定されていたイベントがことごとく中止になり、今や緊急事態宣言発令中。世の中が小説を超える最中、改めて読書再開。

    科学者が空気感染する宇宙病原体の解明に取り組む様子がドキュメンタリータッチで描かれる。さすがに50年前に書かれた作品とあって、コンピュータに関する記述はレトロに感じる。電話回線しかなかった時代ですもの。それでも当時の科学技術を織り交ぜた内容は色褪せず今に通じていて、とても面白かった。

    アンドロメダ病原体ほど致死率は高くないけど、コロナウィルスは突然変異して人体に影響がなくなることはない。きっと緩やかに共存していくのだと思う。

  • 「宇宙空間の微生物を回収し、新しい生物兵器を作り出す」ことを目的とした「スクープ計画」が、アメリカで密かに実行されていた。そして、宇宙空間から帰還した「スクープ計画」の人工衛星は、アリゾナ州の砂漠の中の田舎町に着陸する。関係機関の職員がすぐに回収する予定だったが、それより先に、田舎町の住民に発見され、こじ開けられてしまう。そうして未知の微生物「アンドロメダ菌株」が田舎町の人々に感染し、ほとんどの住民を殺してしまう。生き残ったのは、胃潰瘍持ちの老人と、生後2か月の赤ん坊。

    「スクープ計画」と同時に、持ち帰った微生物を扱う機関として「ワイルドファイア」も立ち上がる。そこは、地球外生物がもたらされた場合、その生物を調査・分析して地球上での伝播を防ぐことを目的としている。

    なぜこの老人と赤ん坊は生き残ることができたのか?
    ワイルドファイアで、科学者たちがアンドロメダ菌株の正体をつきとめ、感染によるさらなる犠牲者を出さないための予防策を探る。

    たった5日間の出来事についての作品なので、物足りなく感じるのか?
    今まで読んだマイクル・クライトンの作品は、次々とトラブルが発生し乗り越えていき、スピード感が抜群なのだけれど、『アンドロメダ病原体』は、「あれ、もう終わっちゃった…」。

    ただ、人工衛星をバンバン飛ばし、国際宇宙ステーションも建設し物・人の行き来も増え、寿命の尽きた人工衛星が軌道からそれて地球に落ちてくる現在、宇宙の未知の病原体・生物との接触がいつ起きてもおかしくないんだ…と実感させられる作品ではあった。

  • すんごい説得力のあるお話。面白かったです。

  • wired・科学と創作・7位

    mmsn01-

    【要約】


    【ノート】
    (wired)
    「宇宙からやってきた細菌」をめぐる恐怖をドキュメンタリータッチで描く。本作でデビューした後の巨匠はかつて『WIRED』ともゆかりの深い作家のひとりだった。

    ◆ユーザーからのコメント
    書かれた年代。そして、もっともらしい嘘(なかの資料はほとんど創作ですよ)の作り方は、創造性の基本/ いちばん「サイエンス」っぽいのはこれじゃなかろうか/懐かしさのあまり1票。そういや『ER』もこの人だ/このなかからならこれかな。『月は無慈悲な夜の女王』がなぜ入っていないのか?

  • 映画化もされているそうですね。
    まさしくハリウッド映画の様にテンポよく、しかし緊張感を失わないストーリー構成で一気に読んでしまいました。
    回想形式だから、途中ちょくちょく「この行動が実は間違った方向に向かっていた」とか入るんですよね。
    登場人物がミスしたのを知りながら読み進めるのは読者としては余計焦ります。
    もしかしたら登場人物よりも。

    機械の描写は50年前とは思えないくらいはったりが効いていて、特に読んでいて気になりませんでした(私が文系だから?)。
    出てくる機械に実用化されてるものもあるからでしょうか。
    逆に作者は先見の明があるなと思わされました。

    ちなみに好きなシーンはワイルドファイアに入るまでの消毒滅菌消毒(以下略)のシーンです。
    なんだか「注文の多い料理店」みたいじゃないですか?
    『クリームをよく塗りましたか、耳にもよく塗りましたか』。

  • クライトンタッチを確立した作品   
    表紙   5点栗原 裕孝
    展開   8点1969年著作
    文章   8点
    内容 650点
    合計 671点

  • 「最後にものをいうのは準備でもなければ、直感でさえもない。必要なのは運であり、そして最後の勝利は、こつこつと働きつづけた努力家に訪れる」
    ジュラシックパークの原作者、マイケル・クライトンが60年代に書いたSF小説。宇宙からやってきた未知の病原体が田舎町の住民を全滅させるんだけど、赤ん坊と胃潰瘍のヤバイおやじだけがなぜか生き残る。その謎に迫るために科学者たちが奮闘していく様子がドキュメンタリータッチで淡々とつづられています。登場人物の印象はみんな薄いし、描写がマニアックすぎてわからないところも。だからこそ、ときどきビックリするような新事実をサラッとかましてくるので、ページをめくる指がとまらない。

    それから、中盤に出てくる超滅菌エリアに進むためのプロセスが、途方に暮れるほど面倒!こんなの当番に導入されてなくてよかったぁとつくづく安心。

  • 翻訳もの。

    人物描写より、科学的な考察のほうが勝っています。
    この小説は、地球外から持ち込まれた生命体が地球の生物に与える影響について
    がっつり考察したうえできわめて綿密に書かれており、
    40年前にかかれたとはおもえないほどリアリティがあります。
    (まあ、コンピュータに関する記述はおいといて。)

    なんだか、フィクションでなくて、ノンフィクションかとおもうくらい。ちゃんとした理系論文の雰囲気がよくでています。

    2014.03.31

  • IMAX

  • SFの古典的名作。とはいっても'69年の発表から30年以上を経た今となっては、登場してくるコンピュータなどのガジェットはもはや時代遅れとなってしまっている。
    とはいっても、それは本作の評価を左右するものではない。技術的進歩は時代とともに当然の帰結である。
    SF小説は未来予測の側面を持つが、未来の預言書ではないのだ。

    本作を原作とした映画『アンドロメダ……』もまた傑作の誉高いが、残念ながら現在ではスクリーンで観る機会もなく、DVDは絶版。私もいまだ未見だが、たしか映画版のほうは小説とは違ったオチであった筈。改めて映画のほうを観てみたいと思う。
    映画といえばこの著者のマイクル・クライトンの書く小説は映画との相性がいいようで、過去何作も映像化されている。自ら監督もした『ウエスト・ワールド』もぜひスクリーンで観たいものだ。

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著者プロフィール

1930年生。英米文学翻訳家。大阪外国語大学卒。主訳書にヴォネガット『タイタンの妖女』、ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』、ラファティ『九百人のお祖母さん』、ティプトリー・ジュニア『たったひとつの冴えたやりかた』(以上ハヤカワ文庫SF)、著書に『ぼくがカンガルーに出会ったころ』(国書刊行会)。2010年没。

「2022年 『SFの気恥ずかしさ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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