アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))

  • 早川書房
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本棚登録 : 12078
感想 : 977
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150102296

感想・レビュー・書評

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  • 夏休み課題図書風第二弾。再読だがほとんど何も覚えておらず、10代で読んだ時はアンドロイドハンターの苦悩の物語に感じたが、今読むと救いのある前向きな結末に驚いた。この前読んだ『華氏451度』とは15年位書かれた時期が違うが情緒安定の装置が必需品などと近未来の描き方が似てて面白い。

  • 核による第三次世界大戦後の世界が舞台。地球は死の灰に覆われ、人類の多くは他の星に移住する。
    主人公のリックは地球に残る警察官であり、また、バウンティ・ハンターと呼ばれる賞金稼ぎでもある。非合法のアンドロイドを1体狩れば1000ドルがもらえる。火星から8体の逃亡アンドロイドが地球に潜り込む。警察は、また、バウンティ・ハンターがそれを追う。仲間のバウンティ・ハンターが2体をやっつけたところで、逆にアンドロイドにやられ入院することになる。リックは、残りの6体のアンドロイドの退治を命じられ、引き継ぐ。
    リックと6体のアンドロイドの戦いは、心理戦でもあり、だまし合いでもあり、アクション的なものでもある。その戦いがテンポよく描かれており、それが本書の面白さの1つ。
    この時代のアンドロイドは、人型のものであり、外見上は人間と区別がつかない。人間とアンドロイドの違いは、「感情移入できるかどうか」であり、それを、動物や他の人間に対しての感情移入の程度を測る、フォークト=カンプフ検査という方法で検査をして見分ける。人間とは何か、とか、感情移入とはどういうことか、ということを読者は考えざるを得ないストーリー展開になっており、これが本書の面白さの2番目だと感じた。
    また、アンドロイドの中には、若い魅力的な女性の外見をしたものもあり、主人公のリックは、それがアンドロイドだと分かっていながら、ベッドを共にする。リックは、その女性型アンドロイドに「感情移入してしまう」こととなるが、それは、その女性型アンドロイドの狙いでもある。上記した、心理戦・だまし合いの一部だ。

    大戦後の地球は、死の灰に覆われたため、人間以外の動物も多くが絶滅するか、個体数を大きく減らすこととなった。そのため、逆に、人間は生きた動物を何とか飼おうとする。それは希少であるために、非常に高額。そのため、裕福でない人間はロボット型の動物をペットで飼うことで満足せざるを得ないということが起きる。本書の題名にある「電気羊」は、そういった人工のペットであり、主人公のリックが飼っているもの。題名に対しての答えは「NO」である。アンドロイドは、感情移入できないので、ペットである電気羊の夢は見ないのである。
    リックにはイーランという妻がいる。物語のラストの場面でイーランが、リックに対して、また、動物に対して、さらには、人工の生き物に対して「感情移入」を示す。それは、人間の優しさであり、思わず感動してしまうものでもあった。人間とは、他を思いやることが出来る、他を愛することが出来る存在であるということ。
    いや、面白い本だった。

  • 想像より登場人物が多く横文字の名前であったため相関図を頭の中で作り上げるのに苦労しました。

    おそらく私は本作の真髄の部分を理解できていません。しかし、そんな状態でも本作は「ヒト」が生きることの意味を考えさせてくれる一冊であると感じました。

    これまで読んできた小説の多くは面白い娯楽であるものがほとんどでしたが、本作は教養を得るための自己啓発本のような役割も果たしてくれると感じます。

  • ちょっと思い出して映画を見直すことにしたので、原作も読み直し。

    映画の感想はこちら。
    http://booklog.jp/item/1/B016PLAAQQ



    世界大戦による核汚染で人類は地球から他の惑星に移住している。
    動物たちは次々絶滅し、野生の動物はほぼ存在しない。
    地球に残った人類のステータスは、生きた動物を飼うこと。
    高額な動物が買えない庶民は電気動物で代用するしかない。
    閑散とした地球で、人々は互いの共感のために精神共存機械を使っている。装置のチャンネルを変えて気分を変え、人類共感宗教のマーサー教で他者と共感を得る。

    そして人間の代わりにアンドロイド、通称”アンディ”たちが作られ、働いている。
    そんなアンドロイドのなかには人間に反抗し、脱走するものも出てくる。
    主人公リック・デッカードは逃亡アンドロイドを狩る賞金稼ぎ。妻とは諍いが多く、生きた動物を飼うために仕事に励む。
    アンドロイドは巧妙に作られ、専門のテストを行わないと人間との区別がつかない。
    人間としての記憶を植え付けられたアンドロイドは自分を人間と思い込み、そんなアンドロイドを狩るうちに自分が本当はアンドロイドではないかと思う人間たち。
    そして逃亡アンドロイドたちは、知的障害で人間社会からははじかれた青年のイジドアの元に隠れていた。
    イジドアは初めて自分が付き合える相手に会えたと喜ぶが…

    リックは心身疲労と人間のあり方に悩みつつもアンドロイドたちとの最終対決に向かう。

    ===
    人間とアンドロイドの違いとして、アンドロイドは共感ということが理解できないとしている。そこが「どこか人間と違う」と分かってしまう。それは他者への憐憫も持ちえないし、関心もないので人間たちの区別もつかない。
    リックは自分の存在の基礎に疑惑を覚えたこともあったが結局はいがみ合うことも多い妻の所に戻り、
    イジドアも最後は自分がはじかれた人間の社会へ加わろうとする。

    発表年が1968年で、物語の舞台が1992年1月3日というので、近未来と言うにも近すぎるほどの未来。
    作者にとっては「架空の未来」でもただ「パラレル」でもなく、自分たちが生きられる平行社会なのか。

    作者のフィリップ・ディックが語った自分の創作根本。(以下あやふやな記憶ですが)、
    「私は、この世ではうまく生きられない私の愛する人たちのために、彼らが生きられる世界を描く。
    本来なら現実に自分を合わせるべきだろうが自分はそれができない。
    それがSFを書くということだ」

  • ハヤカワ文庫で持ってるはずなんですが。今はこんなになってるんですね。(ブックオフに、売っちゃったかも)りま でした。

    • りまのさん
      図書館あきよしうたさん、今 マルチビタミンゼリー 飲んでたとこ。ありがとうございました。おやすみなさい。 りま
      図書館あきよしうたさん、今 マルチビタミンゼリー 飲んでたとこ。ありがとうございました。おやすみなさい。 りま
      2020/08/09
    • りまのさん
      ありがとうございます
      ありがとうございます
      2020/08/19
  • Do Androids Dream of Electric Sheep?
    単純な疑問文のタイトルだが、反語表現だろう。アンドロイドはそんな夢は見やしないと。眠れないときに羊を数える人間。眠れないときがないアンドロイド。人間に見紛うアンドロイドを、アンドロイドだからという理由で人間は躊躇なく永遠の眠りへと送れるのか。

    人間は、羊を数えやっと眠れたと思ったらこんな悪夢をみてしまう。
    人間とアンドロイドの違いはそこにある。

    再読必至のSF物語。
    人間とは、存在とは。哲学の根源にぶつかる(気がする)。

  • 第三次世界大戦後、放射能灰に汚染された地球。その世界は生きている動物を飼育することがステータスの社会だった。人工の電気羊しか持たないリックが本物の動物を手に入れるため、逃亡した奴隷アンドロイドの懸賞金を狙い、彼らを追い詰めていく。
    序盤は登場人物の多さと横文字、マーサー教の現実と非現実が交わるような独特の世界観に戸惑ったけど、スリリングなアクション描写が読みやすさになっていてそこがよかった。

    そして、人間と見分けがつかないほどのアンドロイドと関わっていく中で、リックが狩るべきアンドロイドへと感情移入していく描写が生々しい。自分自身が本当に人間なのかと疑問を抱くシーンも印象深い。

    人間とアンドロイドの違いを何かへ感情移入できるかどうかで測っているのが興味深かった。そして、あとがきにもある通り、単純な対立の構図ではないところも考えさせられる。狩るべきアンドロイドに感情移入していくのも人間、知性のあるアンドロイドを火星で奴隷のように扱っていたのもまた人間。アンドロイドという存在によって、人間性への問いが生まれているのが面白い。

    現実と非現実、人間とアンドロイドの境界を夢のように行き交いながら、その本質に迫っていく作品。

  • 映画「ブレードランナー」の原作。
    映画自体は見たことなし。
    核戦争後の世界で、生き物は死に絶え人類の多くは火星に移住した設定。地球に残った少しの人類と移住時に国から無償で提供されるアンドロイドの話。
    まずエンターテイメントとして面白い、冒頭に能書きがないからすっと物語に入り込める。

  • 読み始めは今どきのSFと比べると古い感じや設定の甘さが目立ったけど、読んでいくとどんどん主人公の葛藤に巻き込まれていって目が離せなくなる
    人間性を共感、アンドロイド性を合理性としてその対立を描くが、それをまがい物の宗教もどきと、永延と続くバラエティーで対比するセンスは素晴らしい
    ある意味最近の(特にアメリカの)リベラルの限界を暗示していると思う
    共感力は理屈を超えるし、だれも宗教の背景が書割かどうかなんて聞きたくはないのだろう
    またサピエンス全史より半世紀も前に人間性を共感や集団幻想にあると喝破して先見性も見事

    タイトルについていえば、ラストシーンから考えると電気動物に共感(夢をみる)のはアンドロイドではなく人間ということだろう

    あと本筋とはあまり関係ないけどジョン・ダンの引用はちょっと笑えた

  • フィリップ・K・ディックの著書は初めて読みます。

    タイトル自体は知っていたけれど、じっくりと読む機会がなかなかなく、今回やっと読了することが出来ました。

    【あらすじ】
    舞台は第三次世界大戦後、放射能の灰が一面に撒き散らされ、多くの生物が死に絶えた後の地球。放射能の影響で子孫を残せない人間は特殊(スペシャル)の烙印を押され、多くの人間が叶えた火星への移住は制限される。
    地球に残った人々の間で絶対的な価値でありステータスとされているのは「生きている動物を飼うこと」であり、人工羊しか持たない主人公・リックは火星から逃亡してきた8人のアンドロイドを“処理”し、その賞金で本物の動物を手に入れようと奔走する……

    1ページ目を開いた瞬間、その時からSFの世界観が本当に緻密に広がっており、人口動物の動きやリックたちの生活はもちろん、共感ボックスやマーサー教、電話ならぬ映話やキップル、ホバーカーといったありとあらゆる物体、宗教、道具が真実味を帯びてわらわらと押し寄せてくる感じがしました。
    物語の本筋はもちろんのこと、それらの道具類を眺めていくだけでも十二分に面白く、本題を忘れそうになってしまいますが、(あとがきにわかりやすく示されているように)命題は「どこがアンドロイドと人間の境目なのか?」という点です。
    他のSFでも良く示されているSF永遠のテーマとも呼べるものですが、「人間とアンドロイドの対立」という単純な構造ではなく、もっと情動的に語られるのが本著者の作品であり、持ち味なのだそう。

    逆に、上記の単純対立構造の映画や小説ばかり見てきた私にとっては新鮮で楽しく、また考えさせられる作品でした。

    個人的にはこの世界観の奥にある、火星へ移住した人たちの物語も覗いてみたいと感じました。

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