宇宙気流 (ハヤカワ文庫 SF 247)

  • 早川書房
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150102470

感想・レビュー・書評

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  • トランターもの3作品めにしてようやく本格的にトランターが登場。でも主な舞台はフロリナとサーク。読者のミスリードが上手だなあと思った。ラストのセリフは泣く。

  • 中2の時に買ってから40年経ってやっと読んだ。 その頃は、翻訳された海外SFより国内のSFの方が文学的にもよくできてると思ってよく読んでいた。しかし、今になると、やはり海外の古典SFのよさがわかるようになってきた。

  • 世界SF全集で読んだ。
    カートという特殊な繊維を生産する惑星フロリナがノヴァで爆発してしまうことを発見した空間分析家のリックを中心とした話。話の作り方としては、リックが記憶喪失になり、カートの工場で働いていて、ヴァローナという女性に世話をされている。司政官テレンツがそれを庇護しているところから始まり、基本的にはリックとヴァローナ、テレンツの逃避行が話の筋で、彼らを追う大貴族ファイフや、空間分析局のジャンツ、銀河帝国を形成しつつあるトランターの大使アーベルなどの行動で話が進む。ファイフ家の令嬢ラミアがでてくるけど、もうちょっと活躍してほしいと思う。

  • 出だしはよかったのに途中で失速。結局宇宙気流の謎とは? 炭素が多く含まれている区域にあたったら恒星の放射線量に変化が生じるということだけど、ヘリウムじゃなくて炭素だと何故そうなるのかとかちゃんと説明がほしかった。ていうかヘリウムと水素の核融合に炭素が関係するのか?? 同位体になるってこと? だとしたらどうやって? あと司政官テレンスの転身が無理ありすぎ。おまえが犯人だったんかい!しかも何がやりたかったのか動機がブレブレ。宇宙気流自体の発想とサークとフロリナの関係性は面白かっただけに残念。

  • 神経衝撃療法によって白痴となったリックはフロリナという星で発見された。フロリナはカートという銀河系でも唯一の特殊繊維を算出する星だった。そのためフロリナはサーク人によって支配され搾取され続けていた。リックはフロリナ人の大女、ヴァローナに預けられ生活していた。一年後、だんだんと記憶を取りもどしつつあるリックはフロリナが消滅すると言い出す。不安になったヴァローナはフロリナ人の司政官であるテレンスに相談する。テレンスはリックの記憶を取り戻させようとカート人が住む上層の図書館に向かう。図書館でリックが思い出した空間分析ついて検索を行う。これが巡邏隊員の知るところとなり、二人は追われることになる。あとからついてきていたヴァローナにより二人は助けられるが周りは敵だらけだった。

    銀河系の2/3を支配するトランター帝国はカートの利権を手に入れようとサーク及びフロリナに謀略の手を張り巡らせていた。トランター帝国の外交官アーベルのもとにI・S・B(宇宙空間分析局)のジャンツが訪ねてくる。ジャンツは一年前から行方不明になったI・S・Bの局員を探していた。そこに元空間分析官と名乗る白痴の青年とフロリナ人の女性と司政官がサークの巡邏隊員から逃亡中との連絡が来る。

    リックとヴァローナはテレンスとはぐれてサーク最大の貴族であるファイフに捉えられた。一方テレンスはトランター帝国の大使館に何とか逃げ延びた。

    そこで、トランター帝国、サーク、I・S・Bとの会談が行われる。そこでリックに神経衝撃療法を行ったのがテレンスだとわかった。リックがフロリナ消滅の情報を携え上陸した時、カートによるフロリナの支配を脱し独立する材料になるとしてリックの記憶を奪った。しかし、記憶が戻り始めた時、ヴァローナがリックを医者に連れて行ったことがきっかけでリックに関することがサーク側に知られてしまった。

    結局、フロリナの太陽がノヴァにより爆発してしまう事がわかる。カート生産のため住民を犠牲にしてでも利益を得ようとするサーク貴族のファイフだったが、カートがノヴァの影響による変種だとするトランター帝国のジャンツによる説得によりフロリナからの全住民の移住が決定した。

    一年後リックはヴァローナとともに故郷である地球に戻る。一方テレンスはノヴァによる爆発をフロリナで一人迎える決断をする。

  • 意外な展開の連続。
    ミステリー風味も有り。
    登場人物が多彩。
    面白い作品。

  • 1952年の作品

     ちょうど「ファウンデーション」シリーズ初期3部作の2作を終えた後の次期に書いた作品である。アシモフを連続して読んでいたら、またファウンデーションシリーズを読みたくなってきた。
    ファウンデーション(1951年)
    ファウンデーションと帝国(1952年)
    第二ファウンデーション(1953年)
    ファウンデーションの彼方へ(1982年)
    ファウンデーションと地球(1986年)
    ファウンデーションへの序曲(1988年)
    ファウンデーションの誕生(1993年)

     まとめて買ってしまうそうだ。しかし、この楽しみはまた次回においておこう。まだまだ本を読む時間は取れるだろうから。





     で、宇宙気流である。サーク(懐かしい響きだ)の領土となっているひとつの星が焼失する運命にあることを知った地球人科学者が主人公となる。主人公はそれを知らせようとするが、謎の男がこれを阻止する。この謎の男が最後までわからない。推理小説ではすぐに犯人がわかったのに、最後までわからなかった(だから面白い)。謎の男を謎らしくするために、サークとトランター帝国(これもまた懐かしい)の政治紛争等が盛り込まれており、物語に奥行きが与えられている。

     SFという意味では、舞台が未来宇宙というだけであまり色濃くない。ハッピーエンドに終わる物語であるが、2人の登場人物により母星への郷愁がレフレインされているあたり非常にロマンチックな一面が色濃く描かれている。愛国心と故郷愛みたいなテーマと思って事件を追うと新しい発見があるかもしれない。とても面白い古典だった。

  • 何度読み返しても飽きない一作です。
    カートと、フロリナの危機との関係。なぜカートはフロリナでしかカートたりえないのか。彼の思い出した「惑星中の人が死ぬ」とはどういう意味なのか。
    サークと、トランターと、宇宙空間分析局。それぞれが、それぞれの思惑で彼の身柄を捉えようとする中、司政官の選んだ道。
    それはたぶん、間違っていました。最初から最後まで、間違え続けたけれど、カートの独占を死守したいサークや、それに横槍を入れたいトランターなんかより、ずっと共感できます。

  • 何回か日記とかで書いちゃってる気がしますが、サーク人の支配に翻意を抱いている司政官テレンスがサーク人の令嬢と同じ車に乗り合わせる羽目になって、そこで「彼女の唇を奪うことが最高の反乱行為だ」とひらめいて無理やり唇を奪うのですが、そのシーンが今まで生きてきて最もエロチシズムを感じたシーンでした……! テレンスは小汚い中年のオヤジのイメージだったんですが、読み返したら意外とかっこよい感じでびっくりした。テレンスの反乱願望って、正しいようでいてものすごくいびつなものですよね。結局は抑圧されていたことへの単なる復讐に過ぎないな、と。けれどあのシーンは死ぬまで忘れられないシーンです。

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著者プロフィール

Isaac Asimov (1920―1992 )。アメリカの作家、生化学者。著書に『われはロボット』『ファウンデーション』『黒後家蜘蛛の会』等のSF,ミステリーのほか、『化学の歴史』『宇宙の測り方』等の科学啓蒙書やエッセイが多数ある。

「2014年 『生物学の歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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