砂漠の惑星 (ハヤカワ文庫 SF 273)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150102739

感想・レビュー・書評

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  • 「ソラリスの陽の下に」・「エデン」と並び、ファーストコンタクト3部作のうちの1作。「エデン」は積読中なんだけど、ソラリスといい、本作といい、これは果たして異星生物とのコンタクトに成功しているのかどうかという点では疑問が残る。ソラリスでは知性を持った(?)『海』、本作では生き残った機械が進化した微小の虫型の無生物が出てくる。いずれの前でも人間はかくも無力である。この砂漠の惑星も、人間が敗走する形で幕を閉じるのだが、何故か清々しく誇らしささえ感じる終わり方だった。

  • 古書購入

  • ソラリスもそうだったけど、人間の理解を超えすぎていて全然噛み合わない感じがおもしろい。

  • 宇宙には未知の生物や現象がたくさんあって、そういうのに直面したら、どうなるか?みたいな。

  • (2006.11.29読了)(拝借)
    原題は、「無敵号」と言うのだそうで、1964年の作品です。ハヤカワ文庫では、1977年に一度出たのですが、これは、2006年の新装版です。
    「ソラリス」は、知能を持った海の話でしたが、「砂漠の惑星」は、琴座星人によって地上の外敵を排除するように制作された学習能力を持った機械が主人である琴座星人が死滅した後も機能し続け新しく訪れた地球人に対しても攻撃をし続けているという話です。

    ●物語の概要(「訳者あとがき」より)
    「場所は琴座系の外れにあるレギス第三惑星である。かつてこの惑星の調査のために琴座の宇宙本部基地を飛び立った巨大な宇宙船、従って強力な武器と強力な防御設備とを備えた宇宙線コンドル号がこの惑星で消息を絶っている。何らかの理由で事故に会い、百人近い乗組員は全滅したのである。第二の宇宙船無敵号はコンドル号とその乗組員の捜索を目的としてレギス第三惑星に着陸する。そこからこの物語は始まる。何が起こるか分からない未知の惑星であるがゆえに万全の防御策を講じながら、早速捜索は開始され、やがてコンドル号やその乗組員の遺体は発見されるが、事故の原因はさっぱり分からない。とかくするうちに無敵号の乗組員にも犠牲者が出始める。黒雲まがいのものが突如巻き起こって、これに巻かれた人間は一切の記憶を失い、廃人同然になってしまうのである。その黒雲によって自動機械もすべてプログラムを狂わされてしまう。
    黒雲の正体は羽虫ほどの小さな金属片の集合である。その金属片は太陽エネルギーを吸収しながら、何らかの環境の変化を察知すると、互いに結びついて黒雲状の群体となり、全体が一個の電子頭脳を備えた巨大なサイバネティックス機械のようなものとなって、強力な磁場を作り出し、外敵の中枢神経に相当する部分を破壊してしまうのである。
    仮説によれば、かつて琴座のデータ星が爆発する以前に、そこの第六惑星には知的生物が住み、彼らは技術の面で非常に進んだ文明を持っていた。その琴座星人の偵察用宇宙船がレギス第三惑星に着陸して惨事に会い、琴座星人は死に、自動機械だけが残って、宇宙船の外へ出て行った。それらの自動機械、つまりロボットはどんな困難な条件の中でも生きながらえることのできる、高度に専門化された、ホメオスタシスを持つ機械装置だったのである。自動機械は、この惑星の自然条件に適応するために自己変革を遂げつつ、自己増殖の能力を備え、一方ではこの惑星の生物と、他方では自動機械相互の間で生存競争を展開し、やがて数百万年に渡るその生存競争と自然淘汰の勝利者として残ったのが《黒雲》であると考えられる」
    ●棺桶聴診器(81頁)
    「死んで間もない人間、あるいは、低温その他の作用によって腐敗が始まる前の死体なら、この装置を使って意識の最後の内容を聞き取ることができた。」

    1964年ごろの最先端の医科学知識と想像力を総動員して、40年後の現在でも楽しく読める物語を創作できたレムと言う人は、凄い。宇宙の知識も科学技術もさほど進んでいないと言うこともあるかもしれないけれど。
    SFと言う分野も結構面白い分野と言えると思う。
    「ソラリス」と「砂漠の惑星」と「エデン」が三部作になっていると言うことですので、「エデン」も是非新装版で復刊して欲しいものです。

    著者 スタニスワフ・レム
    ポーランドを代表するSF作家
    1921年09月12日 現在のウクライナ領リヴィウに生まれる
    1946年 クラクフに移る
    1961年 代表作の『ソラリスの陽のもとに』を発表
    2006年03月27日 ポーランド南部クラクフで心不全のため死去、84歳

    (「BOOK」データベースより)amazon
    6年前に消息をたった宇宙巡洋艦コンドル号捜索のため“砂漠の惑星”に降り立った無敵号が発見したのは、無残に傾きそそりたつ変わり果てた船体だった。生存者なし。攻撃を受けた形跡はなく、防御機能もそのまま残され、ただ船内だけが驚くべき混乱状態にあった。果てなく続く風紋、死と荒廃の風の吹き抜ける奇怪な“都市”、貞察機を襲う“黒雲”、そして金属の“植物”…探検隊はこの謎に満ちた異星の探査を続けるが。

  • いやー、面白かった。
    これ、1964 年の作品とは!

    先が読めず、ハラハラ、ドキドキ。
    最後やったーと思い、
    ページをめくると、あ?終わり?・・・。

    いきなり終わられたけれど、
    すごく面白かった。

  • “われわれは、われわれの知識の尺度では計れないすべてのものを撃破しつくすことを目的にして、どこへ行くにも強力な破壊兵器を積んでいかなければならないのだろうか?”

  • ソラリス3部作の第2作。
    私はレムの作品の中でこれが一番好きです。
    スペクタクルとはまた違った、東欧SFへようこそ。

  • ポーランドSF。
    まだ読んでいない。

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著者プロフィール

スタニスワフ・レム
1921 年、旧ポーランド領ルヴフ(現在ウクライナ領リヴィウ)に生まれる。クラクフのヤギェロン大学で医学を学び、在学中から雑誌に詩や小説を発表し始める。地球外生命体とのコンタクトを描いた三大長篇『エデン』『ソラリス』『インヴィンシブル』のほか、『金星応答なし』『泰平ヨンの航星日記』『宇宙創世記ロボットの旅』など、多くのSF 作品を発表し、SF 作家として高い評価を得る。同時に、サイバネティックスをテーマとした『対話』や、人類の科学技術の未来を論じた『技術大全』、自然科学の理論を適用した経験論的文学論『偶然の哲学』といった理論的大著を発表し、70 年代以降は『完全な真空』『虚数』『挑発』といったメタフィクショナルな作品や文学評論のほか、『泰平ヨンの未来学会議』『大失敗』などを発表。小説から離れた最晩年も、独自の視点から科学・文明を分析する批評で健筆をふるい、中欧の小都市からめったに外に出ることなく人類と宇宙の未来を考察し続ける「クラクフの賢人」として知られた。2006 年死去。

「2023年 『火星からの来訪者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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