宇宙の孤児 (ハヤカワ文庫 SF 281)

  • 早川書房
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150102814

感想・レビュー・書評

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  • 1941年に書かれたハードSF。設定が細かくリアルに作り込まれてる。

    外宇宙に進出してから何世代も巨大宇宙船が舞台。文明が衰退し中世的な世界観になるのが面白い。「船」こそが世界の全てで、「船」の外に世界があるなんて考えは常識の埒外とみなされている。キリスト教に基づいた天動説が支配的だった中世ヨーロッパと大きく重なる。
    作品としてはSFながら、序盤から中盤にかけては内容はまるで宗教革命がテーマの歴史小説のようだ。
    後半は「船」を飛び出し宇宙が舞台となる。宇宙船の操縦という中世的なキャラクター達とは馴染まない描写がアンバランスな魅力を生んでいる。

    ただ、古い翻訳のせいか、それとも原語の表現がそもそもの原因か、あまり読み易くはなかった。情景描写が分かりづらい。
    それから、この作品の世界では「日時」という概念がなくなっているので、意図的であると思うが時間の経過の表現があまりなされず、それが一層理解を難しくさせている。

    終盤に入って力尽きたのか、展開が多少おざなりになった感もあったが、まあまあ楽しめる作品だった。

  • ハインラインの最初期の作品。この「宇宙船」=「世界の全て」だと思っている人々。外の世界があるという事すら世代が替ってゆくうちに忘れ去られてしまう。主人公のヒュウは、ミューティ(突然変異者)のジョウ=ジムと出会った事をきっかけに、自分たちの世界の秘密を知る。世代間宇宙船を舞台とした古典SF。最後が駆け足過ぎなのが少し残念。

  • 常識、信仰、宗教について考えさせられる!
    エンタメも聞いていて読みやすい!

  •  居住可能な星を求めて旅立った巨大宇宙船の中で、何世代も入れ替わっていくうちに技術や知識は失われ、ここが宇宙船だということも忘れ去られた世界。「操縦室」を発見した主人公は世界の秘密に気付き、旅を再開させようとする、というはなし。

     設定がかなりしっかり組まれてる感じなのに、たった250ページに収めてるのがすごい。言葉の端々でちょこちょこ説明させたり、描写を最低限に省略するのが巧すぎる。

     ジョウ=ジムがすごく好きだ。ひとつの胴体に2本の頭がのっていて、常に議論し合っているから誰よりも早く世界の秘密に気付くことが出来たっていうのは、強引だけど説得力ある設定だと思った。歩くMAGIシステムみたいな。

  • 第一部『大宇宙』、第二部『常識』。
    自身を内包する世界が恒星船であることを知らない住人たちが世界を描写することに対し、著者や読者の存在する時空に依存せずに説明しようとしていた第一部。それを放棄した第二部。
    『宇宙の戦士』を読んでいたら、いつのまにか『スターシップ・トゥルーパーズ』を観ていたというような読後感である。

    読むきっかけとなったのは『トレジャー・ハンター八頭大 ファイルⅢ』のあとがき追加版。『魔界航路』の元ネタとしてハインラインの著作を挙げていたのだが、挙げられていたタイトルでは検索にヒットせず、ハインラインの著作一覧を眺めて、おそらくこれであろうと当たりをつけたのが本書だ。
    巨大な星間船に、知識の継承をされぬままに世代を引き継ぐだけの存在に成り果ててしまった乗組員たちの子孫。『魔界航路』の構造と一致するので、たぶん間違いはない。

    あちらこちらに影響を与えまくったんではないかと思われる。第一部の衝撃と、第二部のぐだぐだもそのままに。

  • 世代宇宙船の作品は大好き

  • 古書購入

  • 久々に読み返し

  • 1940年頃に書かれた中編が元になっているそうだ。かなり古いSFと言える。
    ケンタウリを目指していた宇宙船の中が舞台。
    反乱や世代交代で知識が失われていき、宇宙船=世界(宇宙船の外側などない)というのが常識の世界では何が起こるのか?
    友情あり裏切りあり。
    面白く読み進めていき、98%は良かったのだが、ラスト2%がダメダメ。
    ご都合主義過ぎて台無しだよ (>_<)

    一旦信じきっている常識から逃れるってのは難しいよねえとか思いながら読んだ。

    SFファンなら★3つ。
    SFはどうもねえという人なら★2つくらいかな。

  • 世代を越えて旅する移民宇宙船が、文明停滞を起こし、閉鎖的な社会を作り上げる……「ありきたり」に思えるのは、この作品の影響力がそれだけ大きかったと言うことか。すいすいと読め、読んでいる時間が短く感じる。

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