火星の砂 (ハヤカワ文庫 SF 301)

  • 早川書房
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150103019

感想・レビュー・書評

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  • 2019年6月12日読了。地球の植民地として発展する火星を訪れた作家のギブスンは、思いがけない出会いと火星の発展を目の当たりにしその考えを変えていく・・・。1951年初刊のクラーク氏の長編第2作、クラーク先生の著作はその「人間讃歌」というか、ロマンティックな感じが私のような古い人間にはたまらない…!ご都合主義に感じるような展開・設定が多いような気もするが、それでこの壮大な話が盛り上がるんだったら全然OKでしょう。自分もおっさんと言える年齢であり、作中のギブスンの気持ちに非常に共感できるところもあり、楽しく読んだ。ただタイトルはいまいちピンと来ないが…「暁計画」というのも違う気はするが。

  • すでに火星への移住が実現している世界。地球ー火星間の定期航路が開設され記念すべき第一号の乗客としてSF作家のマーティン・ギブスンが乗り込んだ。ただ一人の乗客であるギブスンが六人の乗組員と共にアレース号にて三ヶ月に渡る火星への旅を始めた。

    旅の途中、最年少の乗組員のジミーは、ギブスンが過去愛し、別れた女性の息子だと気づいた。自分が原因で彼女と別れ、以後一切連絡も取らなかったことを悔やむギブスンは、過去のいきさつをジミーに話し、以後、ジミーの力になろうと決意した。

    火星に到着しギブスンはハドフィールド総督と会談を行った。火星での生活は困難を極め、地球からの援助なしには成り立たなかった。しかし、そのためには莫大な資金が必要になるが、火星からの見返りは何もなかった。地球では火星移住の必要性に疑問を持つ人達も出始めるなか、火星の最大の目標は自給自足を実現させることだった。そのためには人材の確保が必要であり、ギブスンが地球に送る記事による効果を期待しているとの事だった。

    火星では子供の移住は認められなかった。稼いで生まれ育った子供はまだ小さく、そのため十代の人口はほぼゼロだった。ハドフィールドの娘アイリーンはその例外で、同年代のジミーと出会い恋に落ちた。

    火星で人が住むのは大きなドームの中だけに限られ、ドームをいくつかつなげて街が作られ、その街が幾つか火星上に点在するという状況だった。ドーム以外は未だ未開の地が多く、まだまだ謎が存在していた。ギブスンはジミーとアレース号の機関士ヒルトンと共にジェット機で他の街を訪れることにした。その途中ハリケーンに出会いジェット機は不時着する。故障のため動けなくなった一行は強力なカメラのフラッシュを使い、火星の月からの捜索に居場所を知らせようとした。その途中獣道を発見し、火星には存在しないと言われていた生物を発見した。外見はカンガルーに似ていて草食、人間を怖れず気にもしないといった感じだった。その内のもっとも小さな一匹がギブスンになついてしまい、結局一緒に換えることになった。カメラのフラッシュは功を奏し、一行は無事もう一つの街に到着した。

    アレース号は地球への帰途につくことになったが、ギブスンは火星の発展に寄与するため、残ることを決意する。一方、ジミーはアイリーンとの結婚を真剣に考え、アイリーンと共に地球へ帰りたいと考えていた。ハドフィールドにそれを伝え許しを得ようとした。ハドフィールドはギブスンとも話をし、ジミーがギブスンの息子ではないかと聞いた。婿になるかもしれない人間を知ってもらうためにもギブスンは本当のことを話した。ジミーはギブスンの息子であるが、ジミーはそのことを気づいていない。ハドフィールドはジミーに本当のことを話すのはもう少し待ったほうがいいとアドバイスし、ギブスンとの間に友情が芽ばえる。

    火星では秘密裏に暁計画と呼ばれるものが実行されつつあった。アレース号が地球に帰る少し前、それが完成された。火星に二つある月のうちの一つ、フォボスを中間子反応を利用して燃やし、火星表面を温めようとするものだった。これが空気草と呼ばれる植物を繁殖させ、空気草により、火星の砂に含有される酸素を大気中に放出させようとした。火星環境が一気に改善し自給自足が現実のものになるとの予測が建てられた。

    地球の承認を得ず進められた暁計画により、ハドフィールドは地球への召喚を命じられた。アイリーンと共にアレース号で地球に行くこととなり、ジミーとも同行することとなった。一方、ギブスンの火星残留が地球からも認められ、ハドフィールドから広報宣伝と火星人に空気草を育成させる計画も任せられる。

  • クラークの長編第二作 よみやすい!   
    表紙   6点中原 脩
    展開   7点1952年著作
    文章   7点
    内容 625点
    合計 645点

  • リアリティを感じさせる描写はさすがだが、あまりにもストーリーがない

  • クラークの宇宙物は古びないと思っていたが、さすがにこの作品は時間の流れに耐えられなかった。
    宇宙船内でたばこを吸ったり、ビールを飲んだり。果ては火星植物、火星人が出てくるとさすがに読む気をなくす。

  • 2010/9/16購入

  • 読みやすいな、という印象を受けました。
    ほとんどSF的な小難しい用語は出てこないので
    はじめてSFを読む人でも安心して読めます。

    このお話は
    火星に向かう一人のルポライターが
    火星でいろいろなことを体験するお話。

    途中飛行機の墜落や、
    異星人とあったり(!)など面白いです。

    最後ももちろんハッピーエンド!
    非常に読後感はよいです。

  • 20世紀少年で「ともだち」の息がかかった漫才コンビが≪「広いところ行きたいから宇宙に行くのや!」「ほうほうそれで!」「そしたら宇宙服が窮屈でたまりません!」≫というような漫才をやる。そんな名作。
    日進火歩でも人間はやっぱり人間らしい。話に入っていきやすい。

  • 現実にはまだ火星に人類が到達していないいま
    若干の甘いファンタジーのような要素を入れながら
    うっとりと読むのもいいのではないでしょうか。
    道中の描写も悪くないし。
    なにしろ1950年代の作品よ。

  • クラークの作品は読後感が清涼。
    火星に新たな転地を求めた人類の苦闘をさわやかに描く。

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